ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
スクフェスACで絵里さんの生誕祭イベの為にひたすら輝夜の城で踊りたいを周回して来たQooオレンジでございます。
さて、本日10月21日は我等がμ'sのミトメラレナイワ(17歳→18歳)なハラショー姉さん(ガンプライブではドMな荒縄の伝道師)、絢瀬 絵里さんの生誕祭でございます。
本日は絵里さんの生誕祭をお祝いし予てより予定しておりました絵里さん生誕祭特別編をお送りいたします。
時間軸は現在の本編6話よりも未来のお話になります。
そして今回もガンプラバトルは一才ございません。
そんな今回は絵里さんが体験した少し不思議なお話になります。
それでは 2017 絢瀬絵里生誕祭特別編「素敵怪盗えりーちか ①」 はじまります。
「やっぱり知らない天井だわ…。」
みんな、おはよう、こんにちは、こんばんわ。
“私”は音ノ木坂学院ガンプラバトル部チーム“μ's”所属のスクールファイター、絢瀬 絵里よ。
“知らない天井だわ”なんてどこかのエヴァ初号機のパイロットみたいな台詞から始まった今回のお話は、“私”…絢瀬 絵里が体験したとても不思議な出来事のお話なの。
今でもあれは夢なんじゃないかって思うときもあるわ。
でもあの出来事は紛れもない事実…。
まぁ“私”暮らすの世界線では誰も知らないんだけどね。
知っているのは“私”だけ…。
今日はそんな“私”が体験した不思議な出来事のお話に少しだけ付き合ってちょうだいね。
それはある日の朝、なんの脈絡もなく唐突に始まったの…。
見覚えのない知らない天井。
でも見慣れたいつもの天井。
“私”と私。
私は“私”を思い出した。
“私”は私を知った。
“私”は私になった。
私が“私”になった。
そう…音ノ木坂学院ガンプラバトルチーム“μ's”の一員である“私”…絢瀬 絵里は、目を覚ますと、ロシアン喫茶“ハラショー”のマスター“絢瀬 絵里”という“私”の知らない私になっていたの。
はっきり言って“私”が言っている事の意味がわからないわよね?
大丈夫よ。それが普通の感性だから。
意味がわからないと思う貴方達は正しいわ。
私も貴方達と同じよ。
初めはこの状況の意味が全くわからなかったから。
だから“私”はとりあえず状況を整理するために、この身体の本来の持ち主である私の記憶を探ってみることにしたの。
幸い、と言うべきかしら?
“私”は私の記憶を探るうちに、この状況を何とかする方法を知る事が出来たわ。
どうやらこの身体の持ち主である私は、そう遠くない未来に私が別の世界線の“私”になることを希から予言されていたらしいの。
そうそう。
このロシアン喫茶“ハラショー”のマスターをしている私が暮らす世界線の希はね?
政府お抱えの国家占術師を束ねる裏組織“占術省”の筆頭占術師なんて真姫的に言えばイミワカンナイ。モノをやっていたのよ。
何でも国家を裏から支える占い師集団らしいんだけど…びっくりよね?
他にも“μ's”のメンバーはみんな色々な人生を送っていたわ。
例えばこの世界線の凛は猫耳を着けて可愛らしい衣装を着てアイドルをやっていたのよ?
私の記憶を疑う訳じゃなかったんだけど、あのキ○タマ蹴り潰してヤるにゃー!って騒いでる凛がアイドルだなんてちょっと信じられなかったわ。
だからテレビの音楽番組で歌っている凛を見ときは驚いたわ。
猫耳でフリフリの衣装を着て笑顔で歌って踊っている凛を見ていたら、似合いすぎていて不思議と鼻から愛が溢れ出しそうになっちゃったの。
鼻から愛が溢れ出しそうになっちゃったなんて花陽みたいよね?
猫耳アイドルの凛にも驚いたんだけど、実は1番驚いたのはこの世界線の穂乃果よね。
だって“私”の世界線ではアホを極めていたあの穂乃果が、この世界線では……ごめんなさい。話が逸れちゃったわね。
話を元に戻すわね。
そして“私”が元の世界線の“私”に……ガンプラバトルチーム“μ's”の一員である絢瀬 絵里に戻るための方法も、この世界線の私は予め探していてくれたみたいなの。
その方法は世界中に散らばった願いを叶える奇跡の石“ラブカストーン”を50個集める事。
“ラブカストーン”は長年、ラブライバーと呼ばれる9人の女神(近年では更に9人増えたらしいわ)を信奉する愛の戦士達の夢と希望を叶え続けて来た魔法の石で、50個集める事で持ち主の欲望を1回だけ叶えてくれる不思議な力を持っているらしいの。
私は希に“私”の辿る運命と共に、その“ラブカストーン”の奇跡の力を教えて貰い、ロシアン喫茶ハラショーを営む傍ら、西木野財閥(この世界線では西木野グループではなく西木野財閥なんですって。)の総帥の真姫に各種装備を、都内で私立探偵兼情報屋をやっているにこからは色々な情報を貰って、とある方法で“ラブカストーン”を集めていたの。
そのとある方法……それは……もう少しだけナイショよ♪
まぁサブタイトルでバレバレでしょうけどね。
とにかく、“ラブカストーン”が50個集まれば“私”は元の世界線に戻れるかもしれない。
私になった“私”はそう信じて残りの“ラブカストーン”を集めたわ。
ただ…どうやら奇跡を起こす“ラブカストーン”でも願いは必ずしも成就されるとは限らないらしいわ。
ある廃課金戦士と呼ばれる上級ラブライバーの1人は、金に物を言わせて500個もの“ラブカストーン”を集め、新たに顕現したウルトラでレアな意中の女神をその手にしようと全ての“ラブカストーン”を使って10回も願ったのだけれども、その願いは結局は叶う事はなかったって話よ。
またある時は血と汗と涙を流しながら、1銭も使わずに50個の“ラブカストーン”を集めた無課金戦士と呼ばれるラブライバーが、たった一度の願いで願いを叶えた…なんて事もあったらしいの。
夢と欲望を気まぐれに叶える奇跡の石“ラブカストーン”…。
不確定要素がありすぎて不安だけど……きっと大丈夫よ。
“私”の願いは必ず叶うわ。
“強い想いは奇跡を呼び込む”
ガンプラバトルを嗜むファイターの間ではまことしやかに囁かれている都市伝説…。
都市伝説とか言ったけど、“私”は……“私”達“μ's”は、何度も強い想いで奇跡を呼び込んでみせたんだから。
例えば……ことりの何処までも高く飛びたいと願ったその強い想いは、エルブランシュに破壊と混沌の黒き翼を与え。
穂乃果の負けたくない終わりたくない勝ちたいと願った強い想いは、穂乃果を最強のファイターの1人へと導く奇跡の時間を与え。
花陽のみんなを護りたいと願った強い想いは、あの子の電子精霊達に新たな力を与え。
凛の誰よりも速く駆け抜けたいと願った強い想いは、限界を超える可能性を与え。
そして……ソラを想う“私”達の強い、誰よりも強い想いは、彼に“女神の祝福”を与えたわ。
もちろん強い想いが呼び込む奇跡は、“私”達“μ's”だけじゃなく、多くのファイター達へも顕現したわ。
ある中二病を拗らせたファイターは全てを凍てつかせる絶対零度の力を。
あるファイターは宿敵を倒すために四象を超えて太極へと至る力を。
あるファイターは優秀な姉を超えるための蒼き焔の力を。
他にも強い想いは沢山の奇跡を呼び込んだわ。
そう。
強い想いは、強い願いは、きっと奇跡を呼び込んでくれる。
だから“私”は気まぐれな奇跡の石に誰よりも強く願うわ。
みんなの…“μ's”の元へ戻りたいと…。
“私”は必ずみんなの所へ帰ってみせるわ。
「いらっしゃいませ!ロシアン喫茶“ハラショー”へようこそ!」
元の世界線に戻るために、“私”はさっそく残りの“ラブカストーン”を集めようと行動を開始…しようと思ったんだけど、現実はそう簡単にはいかなかったの。
世知辛い話だけど、“私”が“私”の世界線に戻るまでは私の暮らしているこの世界線で“私”も生活をしなきゃいけないわ。
そう……生活しなきゃいけないの……。
生活をするためには……お金が必要なのよ。
この世界線の私は、“私”に私の貯金を切り崩して生活をして欲しいと考えてくれていたみたいだけど、それじゃ“私”の為に色々と準備をしていてくれた私に対して不義理過ぎるわ。
“私”が“私”の世界線に戻った後も、私はこの世界線で生活をしなきゃいけない。
それを考えると私が将来の為にと頑張って貯めてきた貯金を切り崩して“私”が平然と生活するなんて、そんな事はとてもじゃないけど出来ないわ。
“私”はそこまで恩知らずな女じゃないもの。
それに50個目の…最後の“ラブカストーン”がどこにあるのかもまだ分からない現状では、“私”には出来る事は特に無くて……ぶっちゃけちゃうとかなり暇なのよ。
“ラブカストーン”の情報を待って1日中ゴロゴロと何もしないでいるなんてそんなの冗談じゃないわ。
だから“私”はとりあえず私が経営しているロシアン喫茶“ハラショー”で私の様に働きながら、探偵で情報屋のにこが“ラブカストーン”の情報を探してきてくれるのを待つ事にしたわ。
“私”が喫茶店を切り盛りできるのか正直不安だったけど、私の記憶と私の身体は何をすればいいのかしっかりと覚えていてくれたみたいで、“私”にとっては初めての喫茶店経営でも思っていたより苦労はしなかったわ。
「って、なんだ、ソラか。」
そんな“私”が私の変わりに経営しているロシアン喫茶“ハラショー”に毎日モーニングセットとお昼のランチセットを食べにやって来るのはこの世界線でのソラだったわ。
ねぇ?みんなはこの世界線のソラが何のお仕事をしているかわかるかしら?
ヒントはあのチンピラ全開のソラとは正反対の職業かしら?
正解はね?刑事さん。
そう。この世界線でのソラは刑事さんなの。
“警視庁特殊犯罪捜査室”って部署の刑事さんなんですって。
“私”の世界線だと、ソラの養父さんの悠おじ様がこの特殊犯罪捜査室の室長だった筈ね。
そう言えば、あちらの世界線の特殊犯罪捜査室にはよく亜里沙が雪穂ちゃんや悠莉ちゃんと一緒に遊びに行ってるって聞いたけど…遊びに行くような所なのかしら?
三人とも変な眼鏡をかけて街中を走り回ってる姿もよく見るけど…。
亜里沙に聞いてみても“お姉ちゃんにはヒミツ♪”って言われちゃったし。
まぁ遊びに行っている場所が場所だけに、犯罪とかに関わっている事はないでしょうから、その点だけは安心なのよね…。
また話がそれちゃったわね。
そんな“私”の世界線のソラのお義父様と同じお仕事をしている私の世界線のソラを見ていると、二つの世界線は変な所で微妙な繋がりがあるのかも?って思ちゃうわ。
うふふ♪それにしても……いつも穂乃果や凛相手にゴルゥラァァァ!って騒いでるあのチンピラ全開のソラが刑事さんとか、ホント似合わないわよね?
それでもちゃんと刑事さんをやってるんだから、この世界線のソラはとっても偉いわ。
「オイ!オイ!絵里さん!朝っぱらから人のツラ見て“なーんだ”ってなんだよ。一応は客だぞ?しかも俺って常連だぞ!毎日、朝と昼に飯喰いに来てるだろ!売り上げに貢献してんだからもう少しなんかあるだろ!ホラ!毎日ありがと♪愛してるわ!ソラ!とか、キャー!ステキ!抱いて!とか!」
…………前言撤回。
刑事さんでもチンピラ風味の高校生でも、やっぱりソラはソラだわ。
私の世界線のソラも“私”の世界線のソラみたいに、いつものチンピラっぽいしゃべり方で冗談ばかり言うんだもん。
でも………そんないつも通りなソラを見ていると安心しちゃう。
それが“私”のよく知っているソラじゃなく、私の知っているソラでも…。
「はいはい。愛してるわよー。きゃーすてきー抱いてー。これでいいんでしょ?…ホント、ソラはここでも相変わらずなのね…。」
「ん?ここでも?」
「ううん。何でもない♪注文はいつものモーニングセット?」
「おう。頼むよ。」
「はい、毎度♪今朝のコーヒーもマシマシのマシマシでいいのよね?」
「マシマシのマシマシのマシマシでもいいぞ?」
「そこまで行くと虫歯とか糖尿病になっちゃうからやめておきなさい。」
「へーい。」
「素直でよろしい♪亜里沙!モーニングセット1つ!お願いね!」
“私”はソラに提供するコーヒーの準備を始めながら、ロシアン喫茶“ハラショー”で調理を担当するこの世界線での妹の亜里沙にモーニングセットのオーダーを通して、ふと“私”の世界線の事を思い出しちゃったわ。
マシマシのマシマシのコーヒー。
“私”の世界線じゃこのあまーいマシマシのマシマシのコーヒーを淹れてあげるのは“私”じゃなくにこの役目なのよね。
でもこの世界線じゃにこじゃなく私の役目なんだ……。
“私”は私の記憶に従いながらコーヒーに尋常じゃない量のお砂糖とミルクをドバドバと入れてそんなことを考えちゃったの。
「はーい。おねーちゃん!あっ!ソラさん!おはよーごさいます!今すぐ作っちゃうからちょっと待っててね♪」
「おうよ。…にしても亜里沙ちゃんの笑顔はマジで癒されるよなぁ…。俺があの鳥上司の無茶苦茶やら狙撃娘の暴挙やら米狂いのマッドの暴食に毎日毎日付き合わされても胃に穴が開かねぇーのって、あの笑顔で癒されてるからだよなぁ…絶対に。うん。亜里沙ちゃん…いい子だよなぁ…可愛いし。……なぁ絵里さん。亜里沙ちゃんを嫁さんにくれねぇーか?あの笑顔に毎朝起こされてぇんだけど?夜はもちろん…。」
手元に出来上がったお砂糖とミルクがマシマシのマシマシのコーヒーを見つめて、“私”は少しだけ“私”の世界線のにことこの世界線の私に嫉妬しちゃったわ。
あちらのソラは…“私”には余り甘えてくれないから…。
たまにはにこだけじゃなく、“私”にも少しは甘えてくれてもいいのに…。
そんな“私”の心中を知ってか知らずか、こちらのソラは亜里沙をお嫁さんに欲しいなんて冗談を言うから、“私”はちょっとイラッとしちゃったわ。
「可愛い“私”の妹をうだつの上がらない刑事の貴方なんかのお嫁さんにはあげいわよ?そんな事は認められないわ。」
だから少しだけいつものこの世界線の私より、キツイ物言いになっちゃったわ。
認められないわ。だなんて、まるであちらの世界線でソラと穂乃果と海未が“μ's”の公認申請に来たときみたいじゃない…。
はぁ…こんなんじゃダメね。
この世界線の私もソラの事を好きみたいだし、“私”が余りキツイ事を言ってしまって万が一にでも私が嫌われたらいけないわ。
“私”は私にはいっぱいお世話になってるんだし、ここは少しだけ私をアピールしておこうかしら?
うふふ♪私が言えない事を“私”が代わりに言ってあげるわね?
この世界線の私まだ処女みたいだし、恋愛の経験値もこの世界線の私より“私”の方が上みたいだしね♪
感謝してねっ?私♪
「亜里沙をソラのお嫁さんにはあげれないけど、私ならソラのお嫁さんになってあげてもいいわよ?」
「へっ?!マ、マジで?!えっ?!絵里さんが俺の嫁さん?!マジか?!」
「えぇ、マジよ。プロポーズするときはちゃーんとお給料3ヶ月分の指輪も用意してね♪」
「すぐに買ってくる!」
「なーんて、冗談に決まってるでしょ?」
「えっ…冗談…?冗談なのか……。そっか…冗談か…そりゃそうだよな…俺なんかじゃ絵里さんとは……はぁ…。」
ごめんね?ソラ。
貴方のお嫁さんになりたいって言うのは冗談じゃないんだけど、今の私は貴方の知っている私じゃなくて、私に乗り移ってる別の世界線の“私”なのよ。
おじゃま虫な“私”が“ラブカストーン”の力で元の世界線に戻ったら、私は私に戻るみたいだから、その時にはちゃんとプロポーズしてあげてね?
そのプロポーズは絶対に成功するから♪
「あら?そんなに落ち込むって事はソラはもしかして本当に私と結婚したかった?うふふ♪ごめんね?でも…そうね…。もし“私”に…ううん…私と本当に結婚したかったら、ソラ達が追っている噂の怪盗を捕まるとか、もう少し昇進して生活に余裕が出てからとか…。そんな感じでもうちょっと頑張ってからプロポーズしてみてね?ソラが一生懸命に頑張ってる姿を見たら、私も結婚とか本当に考えちゃうかもしれないわよ?」
まぁ昇進はともかく、噂の怪盗を捕まえちゃったらプロポーズは確実に失敗するんだけどね。
だってその噂の怪盗の正体って……。
「噂の怪盗…ねぇ……。あと少しなんだけどなぁ…。いつも俺1人ならあと少しまで追い詰めれるんだけど、うちの鳥上司がなぁ……。わざとか?!ってくらいに毎回毎回ナニかやらかしやがんだよ。この前なんてあの怪盗女に手錠までかけたのに、あの鳥上司のヤツがなんで落ちてんのかしらねぇーけど落ちてたバナナの皮で滑って転んで無意味に両手持ちしてた捕獲用ネットバズーカを俺に向けて誤射してきやがったんだぞ?あれさえなけりゃ逮捕できてたったのに…。はぁ…絵里さんにプロポーズするにゃまだまだ長そうだよ…。」
本当、あの時は危なかったわね…。
えっ?!何が危なかったか?
あ、あはは…そ、それはね?
えーっと…と、とにかく!危なかったの!
「うふふ♪いつ聞いても楽しそうな職場よね♪」
「ま、楽しい職場ってのは否定しねぇよ。上司や同僚はアレだどな。」
「ソラと愉快な仲間たちってところかしら?色々と大変だとは思うけど、お仕事頑張ってね♪プロポーズも待ってるんだから♪」
「へいへい。」
「ソラさーん!お待たせ!モーニングセットです!」
「お、さんきゅ。亜里沙ちゃん。」
冗談に見せかけた私の本音をさらけ出したソラとの会話が一段落すると、亜里沙がちょうどモーニングセットを運んできてくれたわ。
ちなみ今朝のロシアン喫茶”ハラショー“のモーニングセットの内容は、カリカリベーコンのベーコンエッグと知り合いのパン屋さんから毎朝仕入れている美味しい食パンを厚切りにしてトースターで軽く焼いた外はカリっと中はふわっとのトースト(2枚)に、レタスとトマトのサラダ(ハラショー特製ドレッシング付き♪)、あとはヨーグルト(お手製ブルーベリーソース付き♪)のセットなのよ?
これにホットかアイスのコーヒーか紅茶が付いてお値段はなんと500円♪
ちょっと高いかしら?
そんな毎日のモーニングセットとランチセットのメニューを何にしようか考えるのは大変だけど、同時にとても楽しかったりするの。
案外と向いているのかしらね?
「ほら♪今日もいっぱい振り回されちゃうんだから、まずはしっかり朝ごはんを食べてしっかり元気を付けてね♪」
「だな。んじゃ…今日の栄養に全身全霊で感謝して…いただきます!」
「ん?メール?誰からかしら…っ!」
ランチタイムの後片付けを終えて亜里沙と一緒にお茶をしながらひと息ついていたら、ポケットに入れていたスマホがメールを告げる振動を発している事に気付いたわ。
メールの差出人は矢澤 にこ。
件名は“最後の石”…。
本文には“いつもの場所で待ってるわ”としか書かれていないけど、この件名の“最後の石”って“私”が求めている“ラブカストーン”の最後の1つの事よね。
そう……いよいよ最後の“ラブカストーン”の所在がわかったのね……。
「おねーちゃん?どうしたの?そのメール見てからなんだか難しそうな顔してるけど……。」
「……なんでもないわ。ただちょっと用事が出来ちゃったの。それでね、亜里沙?これから午後の忙しい時間で悪いんだけど、今からちょっと……。」
「えー!また!」
「ごめんね?後で何か埋め合わせはするから、それに…たぶんこれが最後だから……そう……これで最後だから……。」
「?最後?うーん?亜里沙はよくわからないけど、おねーちゃんにとって大事な用事なんだよね?なら…しょーがないかな♪お店は亜里沙に任せて!あっ!でも1人だと大変だから雪穂に応援頼まなきゃ!」
「ふふ♪ありがと♪それじゃあとはお願いね。」
「はーい♪」
“私”は亜里沙にお店をお願いすると、カップの底に僅かに残っていたコーヒーを飲み干して椅子から立ち上がったわ。
そして身に付けていたエプロンを外し壁にかけると、外したエプロンの代わりに外出用のパーカーに腕を通して店の入り口へと足を進めるわ。
外に出ようと扉に手をかけると、不意に後ろから亜里沙の視線を感じたの。
どうしたのかな?って思った振り向いてみると、そこには亜里沙がにこにこと“私”に手を振ってお見送りしてくれていたわ。
「おねーちゃん♪車とか気を付けてね!行ってらっしゃい♪」
あぁ…私の世界線の亜里沙も“私”の世界線の亜里沙に負けないくらいにいい子なのね…。
「えぇ。ありがと、亜里沙。」
ねぇ亜里沙……もう少しだけ、貴女の大切なお姉ちゃんの身体を借りるわね。
あと少し……最後のラブカストーンが手に入れば、“私”は“私”の世界線に帰ってこの世界線の私は本当の私に戻るから…。
だからもう少しだけ…。
「やっと来たわね!遅いわよ!絵里!この超絶美少女探偵の世界のYAZAWAを何時間待たせんよ!」
“私”は亜里沙にお店を任せると、メールに書かれていた“いつもの場所”…音ノ木坂の郊外にポツンと建っている西木野財閥所有の古びた洋館へと急いだわ。
にこを待たせちゃいけいなって思って急いで来たつもりなんだけど、私の住んでいるこちらの世界線の音ノ木坂って、実は“私”の暮らしていたあちらの世界線の音ノ木坂とは微妙に街並みが違っていたりするの。
だから“私”の知ってる近道を使ったら、途中で道が行き止まりになっていたりして迷っちゃって、目的地に着くのがすっかり遅くなっちゃたわ。
待たせれたにこはご立腹ね。
でも“私”もただ道に迷っちゃったワケじゃないのよ?
途中で通り掛かった公園でたい焼き屋さんの屋台を見付けたの♪
しかもよ?普通のたい焼きじゃなくてミニたい焼きなのよ♪珍しいでしょ?
このミニたい焼きって中身の種類もいっぱいで見た目も可愛いから、にこが喜ぶと思ってお土産に買ってきたのよ。
このミニたい焼きを見ればきっとにこの機嫌もよくなるわ。
だってこの世界線でも“私”の世界線でも、にこはにこなんだもん。
甘い物とか可愛い物で簡単に機嫌が治っちゃうのよね♪
「世界のYAZAWAってナニソレ?イミワカンナイ。それに何時間待たせんのよって、にこちゃんだって5分くらい前に来たばっかりじゃない。」
洋館の応接間で“私”を出迎えてくれたのは“私”にメールを送ってくれたにこと、もう1人……こちらの世界線では西木野財閥の総帥として忙しく毎日を過ごしている真姫だったわ。
真姫は忙しい筈なのにわざわざ来てくれたのね。
「う、うるさいわね!気分の問題よ!気分の!」
「ナニソレ?やっぱりイミワカンナイ。」
大財閥の総帥と私立探偵兼情報屋と喫茶点のマスター。
みんなは不思議な組み合わせだな?って思ったでしょ?
“私”も最初はみんなと同じ事を思ったわ。
そんな不思議な組み合わせのこの世界線での3人の関係は……ちょっと特殊なのよね。
実は私とにこと真姫は数年前まで色々とあって3人1組の怪盗団“キューティーパンサー”をやっていたの。
真姫が西木野財閥の総帥に就任してからは“キューティーパンサー”としては活動していないんだけど、今でも私達3人はあの頃と変わらずに強い絆で結ばれた大切な仲間なの。
だからにこも真姫もこうして私の“ラブカストーン”集めに力を貸してくれているのよ。
ちなみこの古びた洋館は怪盗団“キューティーパンサー”のかつてのアジトなのよ。
見た目はただの古びた洋館なんだけど、地下には色々な設備や装備が今でも使える状態で保管されているわ。
私と“私”はその設備と装備を使って“ラブカストーン”を集めているの。
うふふ♪みんなもそろそろ私と“私”がどうやって“ラブカストーン”を集めているかわかったんじゃないかしら?
サブタイトルの時点でバレバレでさっきの怪盗団“キューティーパンサー”でさらにバレバレよね……。
そう……みんなの想像通り、私と“私”は巷を賑わせている噂の怪盗“エリーチカ”として各地に散らばった“ラブカストーン”を集めているの。
まさか“私”が怪盗なんてやる事になるなんて思いもしなかったわ……。
でも“ラブカストーン”は残り1つ。
最後の“ラブカストーン”も怪盗“エリーチカ”が華麗に盗んで魅せるわ♪
「ふふ♪ごめんね、にこ?忙しいのに待たせちゃって?ちょっと道に迷っちゃって…。お詫びに…はい♪たい焼き♪ここに来る途中の公園でたい焼き屋さんの屋台を見かけたから買ってきちゃった♪ほら♪見てみて?ミニたい焼きなのよ♪」
心の中で決意も新たにした“私”は、とりあえずはにこと真姫にお土産のミニたい焼きを見せて遅れちゃった謝罪をする事にしたわ。
にこのご機嫌も取らなきゃいけないものね。
「ミニたい焼き?!うわっ!ナニよコレ!可愛いじゃない!しかもミニのクセにちゃんとたい焼きしてるし!」
「ホント、珍しいわね。ミニワッフルとかならお茶請けに出てきた時はあるけど、ミニたい焼きは初めてね。」
やっぱりにこはお土産のこのミニたい焼きが気に入ってくれたみたいね。
目がキラキラしてるわ。
でもこのミニたい焼きの中身には実はちょっとした秘密があるのよ。
いただくのはそれを説明してからにしなきゃね。
えっ?ミニたい焼きに秘密もナニもないだろ?
うふふ♪そうでもないわよ?
このミニたい焼きはね?スバリ!“ロシアンルーレットミニたい焼き”なのよ!
お店の人の話では1/100の確率でわさび味やからし味、唐辛子味とかの辛いミニたい焼きが入っているんですって♪
面白いわよね♪
「中身もいろいろなのよ?あんこにクリームに…」
「いっただきまーす♪ぱく♪」
「あっ!ちょっと待って!にこ!」
“私”がお土産のミニたい焼きの中身をにこと真姫に説明しようとすると、にこは“私”の話を聞かずにミニたい焼きを1つ摘まんでポイッとお口の中に放り込んじゃったの。
まぁ外れ?当たり?は1/100の確率だから大丈夫よね?
………………でもにこってこんな時は必ず………。
「もぐもぐ…………うっ?!」
人の話を聞かないで先走って必ず失敗するのよね……。
やっぱり私の世界線でも“私”の世界線でも、にこはにこだわ。
はぁ……また機嫌が悪くなっちゃうわね。
つづく?
皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。
怪盗エリーチカで画像検索すると怪盗姿の絵里さん(ついでにことり警部)が出てきます。
未見の方は参考までに。
次回の更新は本編を月曜日に、絵里さん生誕祭を間に合えば金曜日に更新予定です。
それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。
最後になりましたが、Happy Birthday!絵里さん!