ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

ことりさん大暴れ?なことりさんアルバイト回が間に合わずに急遽真姫ちゃん回となったQooオレンジでございます。
割りと真面目な今回のお話は…。

それでは “余り物” 始まります。





















“余り物”

とある日。

 

私、西木野 真姫はガンプラバトル部の部室で優雅に午後のティータイムを楽しんでいたわ。

 

ファッション雑誌を片手にお茶請けとしてそらが焼いてくれたクッキーをぽりぽりと食べながら、なんとなく部室の中を見渡していたら、工作室の入り口の近くに設置されているテーブルの上に乱雑に置かれたガンプラのランナーの姿が目に入ったの。

 

テーブルの上に乱雑に置かれいたガンプラ特有の色とりどりのそのランナーたちの姿にどこか違和感を感じた私は、飲みかけのティーカップを置いて違和感の正体を確かめるためにランナーを確認しに行ってみたわ。

 

私が感じた違和感がなんなのか、それはテーブル上にランナーを1つずつ丁寧に並べていくうちに段々とわかってきたわ。

 

私がこのランナーたちに感じた違和感…それは数種類の別々のガンプラのランナーたちが混ざりあっていたからだったみたい。

 

しかもこのランナーたち…あるガンプラは頭部のパーツがだけなかったり…またあるガンプラは胴体のパーツだけがなかったり…そしてまた別のガンプラは腕のパーツだけがなかったり…。

 

このまま組み立てたら頭のないガンプラとか腕のないガンプラとか脚のないガンプラができちゃうのよね。

 

このランナーたちがどうしてこんなことになっているのか気になってしまった私は、工作室でガンプラの改造をしているにこちゃんに聞いてみることにしたわ。

 

「ねぇにこちゃん。ここに置いてあるガンプラのランナーってなんか頭とか腕とか脚とか色々あちこち足りたなくない?」

 

にこちゃんにそう聞いてみると…

 

「ん?あぁ…それね。それ、余りなのよ。」

 

って答えが返ってきたわ。

 

「余り?最近公式でどうどうとボーナスパーツとか言い出した実際にはぶっちゃけランナーの都合でどうしても余っちゃう余剰パーツのこと?」

 

余りって聞いて1番に思い出したのは、オレンジジュース野郎がこのお話を書いている2018年10月の段階でちょっと前に発売されたジムⅢビームマスターで通常のジムⅢの頭部のパーツとかをボーナスパーツと言い出した余剰パーツと呼ばれている使わないパーツのことだったわ。

 

でもちょっと違ったみたい。

 

「なんか急にメタいこと言い出したわね…。って!そうじゃなくって!そこに置いてあるランナーは改造のために必要な部分を切り取った後のランナーなの。ぶっちゃけあとは使う予定のないパーツね。文字通りの余り物よ、余り物。」

 

にこちゃんが続けて説明してくれたこのちぐはぐなランナーたちの正体は、ガンプラの改造やミキシングで余ったしまった文字通りの余り物ってことだったの。

 

「“余り物”、か…。」

 

“余り物”

 

そう聞いて私は少し前までの自分を思い出しちゃったわ。

 

学校では腫れ物扱いでいつも“余り物”になる自分のことを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸せなことに私のお家は他の子たちのお家よりも少しだけ裕福な家庭だったわ。

 

他の子たちよりも少しだけ大きなお家。

 

他の子たちよりも少しだけ良い服。

 

他の子たちよりも少しだけ良い小物。

 

登下校には優しいパパとママと団長たちが心配して必ず送り迎えと護衛を付けてくれたり。

 

護衛とかこうして改めて振り返ってみると、みんなちょっと過保護よね?

 

まぁパパたちが過保護になるのもわからないでもないんだけどね。

 

私って実は小さい頃に何回か誘拐されちゃったのよ。

 

だからみんなまた私が誘拐されたりしないか心配だったんでしょうね。

 

そんなわけで私の登下校は厳つい護衛のみんなが付きっきり。

 

小学生や中学生の子たちにはうちの厳つい連中はさぞ恐ろしい集団に見えたんでしょうね。

 

その証拠に登下校で私に一緒に行こうって声をかけてくれる子は誰もいなかったわ。

 

あの頃の私はきっと異物だったんでしょうね。

 

普通の子たちの中に1人だけ居るちょっと普通じゃない子。

 

ヒトは己と違うヒトを排除しようとする。

 

歴史を紐解けばそんなことは一目瞭然だわ。

 

まぁ幸いなことに私の場合は“排除”とまではいかなかったけどね。

 

私の場合は極力かかわり合いを持たないようにされていた。ってとこかしら?

 

けど私はそれでも良かったの。

 

お家に帰れば優しいパパが、優しいママが、優しい団長たちが一緒に居てくれたから。

 

たった数時間。

 

学校でひとりぼっちになるくらい何でもなかった。

 

でも…班を決める時とかに私ひとり取り残されちゃうのはイヤだったわ。

 

悲しくて寂しくて惨めで、泣きたくなる。

 

でも私は泣かない。

 

泣けばなんか負けたような気がしたんだもん。

 

だから私は“余り物”になっちゃってもなに知らぬ顔でいたの。

 

内心の悲しい気持ち、寂しい気持ち、惨めな気持ち、やるせない気持ち、色んな負の気持ちを押し殺しながら。

 

私は優しいみんなが待っているお家に帰るまで、ただただ時間が過ぎ去ってくれるのを耐えていたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“余り物”のランナーを見て、ふいにまだひとりぼっちだった頃の昔のことを思い出しちゃった私は、なんとなくこの“余り物”のランナーたちが愛おしく見えて来ちゃったの。

 

だから私はにこちゃんにこの子たちを譲ってちょうだいって頼むことにしたわ。

 

「ねぇ、にこちゃん。この子たちいらないなら私が貰ってもいいかしら?」

 

「別にいいけど…珍しいわね。真姫がこんな余り物のランナーを欲しがるなんて。」

 

にこちゃんの返事はOK。

 

でも私が“余り物”のランナーを欲しがるなんて珍しいわねって言われちゃったわ。

 

確かににこちゃんの言う通りね。

 

普段の私なら“余り物”なんて欲しがったりはしないわ。

 

そんなことをしなくても、新しいヤツを買えばいいんだから。

 

でも今の私は昔の“余り物”だった自分と目の前の“余り物”のランナーたちを重ね合わせちゃって、ちょっとセンチメンタルな気分なの。

 

私はもう“余り物”じゃなくなったわ。

 

凛や花陽、そらに穂乃果たち。

 

そしてクラスのみんなも。

 

みんなが私に手を差しのべてくれた。

 

優しいみんなが手を差しのべてくれたから、私は昔のように学校で“余り物”じゃなくなったの。

 

だから私も“余り物”のこの子たちに手を差しのべてあげたい。

 

“余り物”だった私が“余り物”じゃなくなったように、この子たちも“余り物”じゃなくなって欲しい。

 

「別にいいでしょ?それに私は“余り物”だから欲しいの。それに“余り物”って言っても寄せ集めれば1機くらいにはなるんじゃない?」

 

だから私はこの子たちを…“余り物”を欲するの。

 

“余り物”をちゃんとしたガンプラにしてあげたいから。

 

「うーん……そうね…確かに寄せ集めればちょうど1機くらいにはなるわね。なに?アンタこの余り物で1機作るつもり?」

 

「ダメ…かしら?」

 

「ふーん…ま、別にいいんじゃない。ここにあるランナーは好きに使っていいわ。何かわからないことがあったら相談しなさい。」

 

「うん。ありがと、にこちゃん。」

 

さて。

 

“余り物”のみんな?

 

覚悟はいいかしら?

 

私があなたたちをちょっと素敵なガンプラに作り上げちゃうわよ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわり?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「ここをはめて…取り付けて…うん!できた!」

 

「へぇ…まだ素体状態だけどあの余り物がなかなか立派になったじゃない。で、ソイツの名前はどうすんの?」

 

「んふふ♪ちゃんと考えてあるわ♪あなたは誇り高き“余り物”…“グフ・サープラス”よ!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

次回こそはことりちゃんアルバイト回を…。

更新は早ければ来週の金曜日のお昼頃を予定しております。
また、本編更新はいつも通り月曜日のお昼頃となります。
お時間よろしければ合わせてご覧下さいませ。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想、または質問などもお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

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