ガンプライブ! ~School Gunpla Project~ 作:Qooオレンジ
学校の授業も終わり放課後となり、自宅にガンプラを取りに帰ったことりを見送った私と穂乃果は、早速二人で学校の近くのアミューズメントセンターにやって来ました。
「ここのアミューズメントセンターに来るのも随分と久し振りですね…。」
「中学の頃はよく3人で遊びに来てたよねー。」
「ええ。受験勉強と高校生活でしばらくは来れませんでしたからね。」
本当にあの頃は大変でした……。
ことりと二人で穂乃果に必死に受験勉強をさせてようやく3人で音ノ木坂に入学出来た時のあの感動は今でも忘れられません。
「海未ちゃん!ことりちゃんが来るまでまだ時間かかりそうだから、穂乃果先にバトルしてくるねー!」
「って、ちょっと穂乃果!」
行ってしまいました……。
まったく。穂乃果は相変わらずなんですから。
仕方ありません。私もことりが来るまで少し時間を潰すとしますか。
そう思いながら店内を見渡すと、視界の隅にUFOキャッチャーがありました。
中には色々な動物?のような可愛らい縫いぐるみがあります。
「あの水色の子。なんだか可愛いですね…。」
「あれ?園田さん?」
そんな時、背後から私に話し掛けて来たのは
「鳴神君?」
同じクラスで今年の春から隣の席になった鳴神君でした。
「園田さん一人?珍しいね。園田さんが一人でアミュセンに来てるなんて。」
「いえ、今日は穂乃果に誘われて。確かに私一人では遊びに来ませんが、中学の頃はよく穂乃果とことりと一緒に来ていたんですよ?」
「ああ、高坂さんと一緒か。ふーん。でもなんか以外かも。園田さんって真面目でアミュセンに遊びに来るってイメージなかったからね。」
「そうですか?」
「そうだよ。っと、園田さん。そういやぁソレ欲しいの?」
「えっ?」
鳴神君は先程まで覗いていたUFOキャッチャーを見ながら私に問いかけてくれました。
「ああ。見た事がない縫いぐるみなんですが、可愛いなって思って。ですが私では取れそうにありませんので諦めます。」
「ふーん。園田さんらしいや。やっぱポケモンとかしらねーか。で、どれ欲しかったの?」
「ポケモン…ですか?あ!えーっと、あの茶色の子と黄色の子の下にある水色の子が可愛いな、って思ってたんですが……。」
「ん、シャワーズね。りょーかい。まかせてってばよ。」
「鳴神君?」
そう言うと鳴神君はポケットから100円玉を数枚取りだしUFOキャッチャーを初めてしまいました。
「先ずは邪魔なリーフィアとイーブイからか…。」
鳴神君。もしかして私にあの水色の子を取ってくれるのでしょうか?
「海未ちゃん、お待たせ。」
「ことり?早かったのですね。」
「うん。お待たせしちゃ悪いから頑張って急いで来たの。あれ?鳴神君?」
「ヨッス、南さん。突然だけどこれあげるよ。」
「うわぁ!リーフィアちゃんだ!いいの?貰っちゃって?」
「オッケーオッケー、貰っちゃって。」
鳴神君はことりと挨拶を交わしながら、いつの間にかUFOキャッチャーから取りだした黄色の縫いぐるみをことりに放り投げてました。
「ありがとう!大事にするね!」
「あー!ことりちゃんだけズルい!鳴神君!穂乃果にもなんかちょーだい!」
そこにガンプラバトルが終わったらしい穂乃果がやって来ました。
穂乃果は開口一番にことりが鳴神君から貰った縫いぐるみを見て催促しています……。
まったく。
「穂乃果!よしなさい!鳴神君に迷惑ですよ!」
「えー!だってー!」
「あーはいはい。ちょっと待ってて。高坂さん。」
「ごめんね、鳴神君。穂乃果ちゃんが…。」
「ごめんなさい、鳴神君。穂乃果が…。」
「いや、なんで二人があやまんの?っと、取れた。ほい、高坂さん。」
「うわぁー!イーブイだ!やったぁ!ありがとう鳴神君!」
そんなやり取りの間に鳴神君は二つ目の縫いぐるみを取ってしまっていました。
「凄い上手だね、鳴神君。ここのUFOキャッチャーって難しいのに。」
「ホントだよ!」
「そーかな?まぁ慣れだよ慣れだ。っと、よし!シャワーズGETだぜ。」
そうして鳴神君は私が見ていた水色の子をあっという間に取ってしまいました。
本当に凄いです。
「はい、園田さん。これでしょ?欲しかったのって。コイツの名前はシャワーズ。良かったら貰ってやってよ?」
「鳴神君…。いいのですか、本当に?」
鳴神君はUFOキャッチャーから取りだした水色の子…シャワーズを私に手渡してくれました。
正直。かなり嬉しいです。
「いーのいーの。暇潰しだよ、暇潰し。俺って基本暇人だし。そいつも俺なんかと居るより園田さんみたいな可愛い子に貰われたほうが嬉しいってよ。」
「な、なるかみ君!可愛いって……あぅぅ」
「うわー。鳴神君が海未ちゃんを物で釣ってナンパしてるー!海未ちゃん真っ赤だー!」
「してねーよ!なんでそーなんだよ!高坂さんと南さんにもやっただろ!」
「もう!からかわないの穂乃果ちゃん!ごめんね、鳴神君。ほら海未ちゃんも!」
「あ!はい!鳴神君。ありがとうございます!この子、大切にしますね!それと!穂乃果、後で覚えて置きなさいね!」
「ったく…。まぁなんだ、どーいたしまして。所で高坂さんと南さんとの持ってるソレってガンプラだよね?もしかして3人でガンプラバトルしに来たの?」
「せーだよ!ガンプラバトル!穂乃果さっきのバトル負けちゃったぁ。でも次はことりちゃんも海未ちゃんも一緒だから負けないよ!」
「あー。負けたのね、高坂さん。次のバトルって事は3人でバトルロイヤルにエントリーするの?」
「うん!3人でバトルロイヤルに出撃だよ!」
「穂乃果ちゃん!海未ちゃんは今日が初めてのガンプラバトルだからいきなりバトルロイヤルはちょっと……。」
「なんですか?バトルロイヤルって?」
「あー。園田さんは今日が初かー。確かにバトルロイヤルはキツいだろ。大人しくストーリーモードかプラクティクモードの方が無難でしょ?」
バトルロイヤル?ストーリーモード?プラクティクモード?
なんですか、それは?
先程から私のわからない単語が穂乃果達の間で飛び交っています。
なんだかとてつもなく不安です。
「じゃあ鳴神君も一緒にバトルロイヤルに出撃しようよ!」
「オイ待て。なんでそーなる!高坂さんは人の話を聞いてたのか!」
「大丈夫!大丈夫!ねっ!海未ちゃん!鳴神君が守ってくれるってー!」
「穂乃果ちゃん…ちょっと強引かも?」
鳴神君が守ってくれる……。
「あ、あの!鳴神君!」
「うぇ?」
「鳴神君さえ良かったら…お願い出来ませんか?私一人では不安で…。」
私はいったい何を言ってるのでしょうか?
鳴神君に迷惑が…
「あー、りょーかい。わかったよ。それでは不肖、鳴神青空。園田海未さんの護衛任務、受領させていただきます。」
「鳴神君…。ありがとうございます!よろしくお願いします!」
「うんうん!決まりだね!それじゃ早速みんなで出撃だよ!」
「その前にまずは海未ちゃんの登録がさきだよ!穂乃果ちゃん!」
「って!そっからかよ!早く登録しなきゃバトロイに間に合わねーぞ!ほら!園田さん!」
「はい!」
ガンプラバトル……。
不安です。
不安ですが……
少し楽しみです。
こうして右も左もわからないままですが、私の人生で初めてのガンプラバトルが始まろうとしていました。
大好きな幼馴染み達と、少し仲良くなったクラスメイトの男の子と一緒に…。