ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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新規フラグが2つ設立されました。
「Private Wars」
「ぶる~べりぃとれいん」



第3話「遭遇戦」そのよん

[[…穗…乃果!待ちなさい!様子がおかしいです!お願いです!一度停まって下さい!]]

 

海未ちゃんの声!通信圏内に入ったんだ!

 

[[大丈夫!大丈夫!なんか知らないけど敵が1機に減ってるからみんなでふるぼっこだよ、海未ちゃん!ゴーゴー!進めー進めー!ミサイル撃っつぞー!]]

 

「穗乃果ちゃん!海未ちゃん!こっちに来ちゃダメ!お願いだから早く逃げて!」

 

[[ことり?通信が回復したんですね!二人とも無事ですか?一体何が…?]]

 

ダメ!この距離ならきっともう穗乃果ちゃん達も捕捉されてる!

 

「鳴神君!」

 

[[いやさ、別に本気でラブホに誘ったワケじゃねーけどさ、冗談だけどさ、バリっと決めたトコでアレはねーだろ…。ソコはやっぱり痺れる憧れるー。とか、ステキ!抱いて!とかさぁ…。男の子的には言って欲しいワケでさぁ…。頑張ったらご褒美的な展開を期待してなかったかって言ったら嘘になるけどさぁ…。]]

<<ドンマイです、マスター。そしてさっさと立って下さい。ああ、もちろんナニがではありませんよ。それは後でご自分で処理するかにこにでも頼んで下さい。早くしなければ後続の友軍機2機が合流してしまいますよ。>>

[[アイリサーン?あのね?ハートブレイクな相棒にもう少ーし優しく出来ねーの?]]

<<優しさで敵機が堕とせるのなら優しくしますが?優しくしますが?大事な事なので二度言いましたが如何ですか?マスター。回答を求めます。>>

[[ナンカイロイロゴメンナサイ…]]

<<追加情報です。新規敵性反応の周囲にモックが湧きました。良かったですね。少しは時間が稼げますよ。まぁ所詮はモックなので時間を稼げたとしても僅かでしょうが。しかしモックに助けらるなんてマスターも堕ちたものですね。ほらマスター、謝ってないでさっさと迎撃に向かいましょう。久し振りのご馳走ですよ。>>

[[ウマレテキテゴメンナサイ…]]

 

あれー?なんかいつの間にかアイリちゃんと漫才しながらスッゴくヘコんでるー!ってザクでorzしてるよー!

 

[[追い付きました!大丈夫ですか!鳴神君?そんな!酷い…なんて事に…機体に大きなダメージを受けたのですね?大丈夫です!今度は…今度は私が鳴神君を守ります!穗乃果!鳴神君を連れて一旦下がって下さい!今は貴女にしか頼めないのです…後の事は任せます!鳴神君をお願いしますね…。さぁ!ことりは私と一緒に!]]

 

[[あれ?なんかスッゴくシリアスな展開?穗乃果シリアス展開は苦手だなー。あ!でもシリアルは好きだよー!なんか似てるよねー!]]

 

[[穗乃果!もうおふざけは無しです!いい加減にしないと本当に怒りますよ!さぁ!鳴神君!早く後退を!ことりも!何をボーッとしてるんですか!]]

 

あのね?穗乃果ちゃん…展開はこの上なくコメディーだよ。シリアルだよ。ミルクかけて食べれるよ?海未ちゃんもスッゴくやる気出してるけど、鳴神君は元気なんだよ…。色んな意味で。

う~ん。鳴神君も男の子だからえっちなのは仕方ないよね?頑張ってくれたら、その…あの…ご、ごほうび、あげた方がいいのかな?今は男の子がスゴく少ないから、お母さんも目ぼしい男の子が居たら無理矢理にでも既成事実作って逃げられないようにしっかり掴まえなさい。って言われてるし…。ことり、別に鳴神君とそ~ゆ~関係になるのがイヤってワケじゃないけど、もう少し段階を踏んでお互いをもっと知って、告白したりされたりして、ちゃんとお付き合いを初めてから……。でも鳴神君優しいからそーゆーことしたらちゃんと責任は取ってくれそうだよねー。

 

「って!ことりもそうじゃなくて!海未ちゃん!鳴神君は大丈夫だから気にしないで。ちょっと心が折れてるだけだから!それより今は!」

 

[[ことり?それは本当に大丈夫なのですか?そちらの方が機体にダメージを受けたよりも酷い状況な気がするのですが?]]

 

[[あー!アレなに?ねーねーことりちゃん!海未ちゃん!あっちからなんか来たよ?]]

 

ふぇ?なんか来た?あ!フリーダム?でもかなり改造されてるっぽいよ!スゴいクオリティ!あれ?でもあのガンプラってどこかで見たような…?え?フリーダムから広域通信?

 

[[また素組?今日は多いわね。それにそこのザクは何をやっているのかしら?まぁいいわ。さて、こんにちは。ここで会ったのも何かの縁、少し相手をお願いできないかしら?]]

 

あれ?この声…

 

[[あら?そっちのウィングはいい線行ってるわね。改造のセンスも良いしとても丁寧に造られているわ。ふふっ。少しは楽しめるかしら?さぁ先手は譲るわ。楽しませてくれたら素組の人達とそっちのボロボロのフルアーマーは見逃してあげるから、かかってきなさい。]]

 

そうだ!テレビで聞いた事あるよ!それじゃやっぱり…あのガンプラって…去年のガンプライブ・ファイナルステージに出場していたビルドフリーダムガンダム!そのファイターは…!

 

「…A-RISEの綺羅ツバサさん…。うそ…。なんでこんな野良バトルに?」

 

去年のガンプライブの最優秀ファイター。無敗の女王、日本で一番強い高校生ファイター。ガンプライブ・ファイナルステージを制したUTX高校ガンプラバトル部、チームA-RISEのリーダー…。綺羅ツバサさん!

 

[[ことりちゃんの知り合いの人?]]

 

[[あら?ウィングの貴女は私の事を知っているのね?嬉しいわ。さぁ、それじゃ楽しいバトルをしましょう?]]

 

「あ…」

[[ことりちゃん!]]

[[ことり!]]

 

綺羅さんはそう言ってことりのウィングに向き直ると、腰の後のマウントからビームライフルを取り出しました。先手を譲るって言ってたからまだ構えてはいないけど、きっとことりがバスターライフルを撃った瞬間に回避して撃ってくる…。マシンキャノンじゃフェイズシフトがあるから間接を狙わなきゃ意味ないし…ビームサーベルで接近戦は…一番ダメだ。綺羅さんは接近戦のスペシャリスト…。ことりじゃ2・3回斬り結べても、その後に斬り払われて終わり…。

無理だよ…無理ゲー過ぎるよ…。綺羅さんはUTX高校に入学してからずっと公式戦無敗の高校生最強ファイターだよ?ことりとウィングだって決して弱くはないはずだけど、ガンプライブの優勝者が相手じゃ…。

 

[[来ないの?はぁ…有名になり過ぎると挑戦者が少なくてつまらないわ。貴女と貴女のウィングとならとても楽しいバトルが出来ると思ったんだけどね。残念ね…。なら仕方ないけど遠慮なく!全機全損にさせて貰うわ!]]

 

[[そうは!させません!穗乃果!]]

[[うん!いっくよー海未ちゃん!ミサイルはっしゃー!]]

 

ことりが絶対的な強者と戦う事に怖じ気付いてしまいウィングを動かせずにいると、綺羅さんは“残念”の一言と一緒にビームライフルを構えます。

そんな綺羅さんのビルドフリーダムに対して、穗乃果ちゃんはミサイルで、海未ちゃんはいつの間にかスナイパーライフルから交換していたプルバックマシンガンで、それぞれ応戦しようとしていました。

でも綺羅さんはそんな二人に対して冷静にスゴい早さで手にしたビームライフルを二度撃ち放ちます。

放たれたビームは穗乃果ちゃんのフルアーマーガンダムのミサイルポッドと海未ちゃんのジム・スナイパーⅡのプルバックマシンガンを正確に撃ち抜いてしまいました。

 

[[ファイターの反応速度は悪くはないわ。でも…根本的に機体が遅すぎね。]]

 

[[きゃ!]]

[[うぇ!やられたー!]]

 

「あ…あぁ…」

 

もうダメだよ。無理だよ。助けてよ。誰か、お願い…ことりを穗乃果ちゃんを海未ちゃんを…誰か…誰か………

 

「お願い…助けて………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<ボケマスター。略してボケマス。さぁ、出番です。>>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[誰がボケだ!ボケマスだ!ボケ精霊!うっしゃオラァ!逝くぞォォォ!]]

 

「ふぇ?鳴神君?」

 

諦めてしまったことりの呟きに反応したのはorz状態でヘコんでいた鳴神君でした。

 

いつの間にか起き上がっていた鳴神君は気合いの声と一緒に、ザクを一気に加速させて例のスゴいスピードで突撃していきます!

 

[[なっ!クイックブースト?素組のザクで良くやるわ!でも!]]

 

そっか!クイックブースト!綺羅さんの叫び声でことりも鳴神君の急速な突撃の正体にたどり着けました。鳴神君がさっきからやっていたスゴいスピードの突撃はクイックブーストだったんだ!

 

クイックブーストは始めの踏み込みと同じタイミングでバーニアやスラスターとかのメイン推進機を大きく噴かして機体に勢いを付けてから、さらにもう一度推進機を踏み込みと一緒に大きく噴かす事で急速に加速させる特殊な操縦技術です。全部の動作をフルパワーで、さらに一瞬の内にやらなきゃダメだし、踏み込みのタイミングがシビア過ぎて少しでもズレちゃうと機体のバランスが一気に崩れて大変な事になっちゃうんです。クイックブーストを使いこなせるファイターさんは世界でも一握りだけって聞いたことがあります。

 

そんなクイックブーストで急速に突撃していく鳴神君に対して、素早く反応した綺羅さんはビルドフリーダムのバルカンで牽制射撃を放ちながらビームライフルをザクのコクピット目掛けて放ちます!あの突撃のタイミングじゃ腰のレールガンも翼の中のプラズマビーム砲も展開は間に合わない!

鳴神君はバルカンには構わずそのまま突っ込むと、スラスターを使い機体を回転させビームを紙一重で避けて、その勢いを利用してビルドフリーダムに回し蹴りを放ちます!

 

[[オラァ!]]

 

[[まだ!]]

 

綺羅さんはその回し蹴りにも反応しバックステップで機体を後退させますが……

 

[[ほら土産だ!貰っとけ!!]]

 

そこに鳴神君は突撃直前に腰のマウントから外して左手に握っていたハンドグレネードを“ぽん”っとビルドフリーダムの頭部に向けて放り投げて……

 

[[ハンドグレネード?しまっ……きゃあ!]]

 

回し蹴りからのハンドグレネードの投擲で完全に虚を付かれた綺羅さんの反応は遅れてしまい、弧を描いて飛んでいったハンドグレネードはビルドフリーダムの視線を覆うように爆発します。そして鳴神君は着地と同時にもう一度クイックブーストで突撃しビルドフリーダムを無理矢理押し倒しました!

 

<<ヒートホーク、アクティブ。>>

[[その首!貰ったぁ!]]

 

ヒートホークの起動を告げるアイリちゃんの声が淡々と響く中、ザクは赤熱化したヒートホークを押し倒して仰向けになっているビルドフリーダムの首目掛けて一気に降り下ろします!

ヒートホークや実弾系射撃武器等の非ビーム系攻撃のダメージを軽減するシード系ガンプラの一部が使用できる特殊防御アビリティ“フェイズシフト装甲”。ガンプラバトルでは間接や首周り等には適応されないから、鳴神君のザクが降り下ろしたヒートホークはビルドフリーダムの首をすっぱっと切断してしまいました!

 

[[嘘!素組のザクよ!]]

[[心からの贈り物をもういっちょ!おまけだ!コイツも貰ってけ!]]

 

驚きの声を上げる綺羅さん。鳴神君はさらにザクを操り切断したビルドフリーダムの首元に、残っているハンドグレネードをねじ込むと、もう一度ヒートホークを降り下ろしました!

 

その一撃はビルドフリーダムの首元に埋まったハンドグレネードを起爆させ、内部から爆発を起こしビルドフリーダムの胴体部分を破壊して行きます!

 

[[まさか……私が素組のザクなんかに……はは…何かの間違いよね?]]

 

[[イヤ。悪いがタダのろくでもねぇ現実さ。お姉さんさ、アンタのガンプラも、アンタの腕も十分に世界レベルだったよ。けどさ……]]

 

[[けど?]]

 

[[けど、俺はそれ以上だった。って事だな。]]

 

[[っ!そう…そうよね……あは!あはははは!ハハ!ハハハハハハハ!!]]

 

綺羅さん?

 

[[ええ!そうよ!そうだわ!これはガンプラバトル!貴方は強かった!私が弱かった!それだけ!それだけよ!最高だわ!貴方は本当に最高だわ!あぁ!まだ上がある!まだ私は楽しめる!素敵だわ!こんなに素敵な事は無いわ!ねぇ!貴方!貴方のなま…………………………]]

 

ことりの助けての呟きから始まった鳴神君と綺羅さんの戦闘は、ほんの少しの時間で終わってしまいました。

性能を凌駕する技術…鳴神君の言葉は冗談なんかじゃなかったんだ…。無敗の王女と呼ばれるガンプライブの最優秀ファイターの綺羅さん。その最高峰の操縦技術と愛機ビルドフリーダムガンダム。2つの最高を鳴神君はただの素組のザクで圧倒してしまった…。それはただの凄まじいまでの操縦技術。

ことりは鳴神君の操縦技術に圧倒され言葉もなく見惚れてしまっていました。

 

そして突然笑いだした綺羅さんは鳴神君に名前を聞こうとしたんですが、途中でコアロスト判定が下りビルドフリーダムの残骸を荒野に残してゲームから退場していきました。

 

<<おめでとうございます。マスター。見事にストーカーフラグを立てましたね。流石は私のマスターです。>>

[[おいおい、冗談じゃねぇ。]]

<<そうですか。ちなみに先程の彼女、綺羅ツバサさんの画像検索をしましたが、中々に美人さんでしたよ。>>

[[マジか!出せ!ハリー!ハリー!]]

<<相変わらず下半身に忠実ですねボケマスは。それではこちらがその画像になります。>>

[[うっしゃキター、あ、あ?ってゴリラ?アイリさん!これゴリラじゃねぇか!]]

<<失礼。間違いました。こちらが本当の画像です。>>

[[おぉ!これはなかなか…。]]

<<さらに水着のグラビア画像もありますがご覧になりますか。>>

[[お願いします!アイリさん!]]

 

 

ことりはアイリちゃんとのそんな会話を聞いて少し不機嫌になっちゃいました。

さっきまではことりをラブホテルに誘うとか言ってたのに!確かに行かないって言ったよ!綺羅さんは美人さんだよ?でもことりだって…ことりだって…

 

[[凄まじい戦闘でしたね。ことり?どうしましたか?]]

 

[[スッゴい!鳴神君スッゴいよ!あんなに強そうな人に勝っちゃった!]]

 

ふぇ?ことり、今なにを考えてたの?え?あれ?あれ?あ……そっか……そうなんだ……これが……うん…ことりは…ことりは…………

 

[[あー、うん。頑張った!俺、超頑張った!見てた?園田さん!高坂さんも!どうよ?スゴいっしょガンプラバトル!]]

 

[[はい!これは、ガンプラバトルは凄いですね!そして、鳴神君も!]]

 

[[穗乃果も次は頑張るぞー!]]

 

<<マスター。そろそろバトルロイヤルの終了時間です。>>

 

[[あ?もうそんな時間か。了解。そんじゃ園田さん、高坂さん、南さん。あっちでまた会おう。]]

 

[[はい。ではお先に!]]

 

[[鳴神君!ジュース!穗乃果にもジュースおごってね!]]

 

[[穗乃果!貴方は最後まで!]]

 

[[あー。はいはい。了解了解。]]

 

[[やったー!それじゃあっちで待ってるねー!]]

 

[[全く…ごめんなさい鳴神君。穗乃果が迷惑掛けっぱなしで。]]

 

[[いいよ、別に。楽しいしさ。]]

 

[[ありがとうございます。それでは今度こそお先に。]]

 

 

 

[[ったく……ん?南さん?]]

 

「あ……うん。」

 

[[どうしたの?まさか酔った?]]

 

だから!がんばれ!ことり!がんばれ!

 

「ことり!」

 

[[は?]]

 

「ことりだよ!」

 

[[南さん?]]

 

「南さんじゃなくて!こ・と・りって呼んで♪」

 

[[え?なんでいきなり?いや、でも。]]

 

「ことりの事、攻略するんでしょ?今日のソラ君は、ちょっとかっこよかった♪だからことりちゃん好感度があっぷしました!だから…あ…」

 

勇気を出してようやくそこまで伝えると、バトルロイヤル終了の時間が来てしまい、ことり達は荒野の戦場からいつもの日常に戻ってきました。

 

でも違う。もういつもの日常じゃないねよ?

ちょっとだけ勇気を出して一歩を踏み出した新しい日常。

 

うん。頑張ろう。いきなりえっちな事は無理だけど。少しずつ、少しずつ仲良くなって、そしていつかはちゃんと………。

 

 

 

これがことりとソラ君との初めてのガンプラバトル、そしてことりが自分の気持ちに気付いた記念日でした。

 

ちょっと不安だけど、楽しくて新しい毎日の始まり♪

 

あまくてすっぱい、恋の始まり♪

ことりの恋のぶる~べりぃとれいん♪本日出発です♪

絶対に逃がさないよ?ソラ君♪

ことりのバスターライフルで撃ち抜いちゃうんだからぁ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?




第3話「遭遇戦」 は後1話続く予定です。ご覧いただきありがとうございました。

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