ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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新規フラグが設立されました。

「もうひとりじゃないよ」


第4話「ススメ→トゥモロウ」そのさん

ん……あれ?ここは?穗乃果は……?

 

「穗乃果!気が付いたのですね!良かった…本当に良かった……。」

 

「穗乃果ちゃん……大丈夫?どこか痛くない?苦しくない?」

 

「海未ちゃん……?ことりちゃん……?あれ…?穗乃果……。」

 

あ…。そっか…。穗乃果、学校が……穗乃果達の音ノ木坂が廃校になっちゃうって思い出しちゃって…。

穗乃果が気が付いたのは学校の保健室。ことりちゃんと海未ちゃんがベッドで横になっている穗乃果の手を握ってくれていました。

今にも泣きそうな二人の手から伝わる温もりが、冷たく震えていた穗乃果の心をあったかい気持ちでいっぱいにしてくれて…。

 

「放課後までもう少し寝てろ、アホっ娘。保健のセンセが寝てる間に軽く診てくれたけどさ、過度のストレスが原因で倒れたんじゃねーかって。身体には特に異常はないから寝て休んでればとりあえずは気分も少しは良くなるってよ。」

 

あ…鳴神君?そっか鳴神君も一緒に居てくれたんだ?

あは…鳴神君の真面目な顔なんてはじめてみたかも?これはレアだね。

うーん?こうしてじっくり見てみると、鳴神君って結構イケメンさん?かな?

普段は苦笑いかちょっとムスっとした顔しか見たことなかったからわかんなかったよ。

 

「ねぇ。鳴神君?」

 

鳴神君は穗乃果が目を覚ましたのに気付くと、ちょっと微笑みながら穗乃果のおでこにかかっていた前髪をそっと払ってくれたの。そして穗乃果の頭を“ぽんぽん”ってしてくれたんだ。

 

「ん?なんだ?アホの子。」

 

「アホの子じゃないよ?穗乃果だよ?」

 

やっぱりちょっといじわるかな?でもいつもよりも鳴神君の声がスゴく優しいんだよね。きっと心配かけちゃったね?

 

「はいはい。で?なんだよ?腹でも減ったのか?」

 

「違うよ……。ねぇ。教えて?……学校……穗乃果達の学校は…なくなっちゃうの?」

 

穗乃果は…また………一人になっちゃうの?

 

「ん。高坂さんが寝ている間にことりさんと一緒に理事長に聞いてきたよ。現段階ではまだ確定じゃないけど、廃校が正式に決定するのも時間の問題って事だよ。」

 

「鳴神君!何も今その話を穗乃果にしなくても!穗乃果は…」

 

「どのみちいつかは知るんだ。遅いか早いかの違いだよ。それに高坂さんだって隠されても嬉しくはないだろ?なら…。」

 

「ソラ君…。」

 

「だからと言って!穗乃果は…穗乃果は…。」

 

「海未ちゃん…ありがとう。鳴神君も、ありがとう。あと、ごめんね?イヤな思いさせっちゃったよね?でも…大丈夫だよ?穗乃果は大丈夫……。だって…。」

 

「穗乃果ちゃん…。」

 

「穗乃果…。」

 

「だって?なんだよ?アホっ娘。」

 

「……だって…ずっと……一緒に居てくれるんでしょ?鳴神君は?穗乃果は一人じゃないんでしょ?なら……うん!穗乃果はだいじょーぶ!」

 

穗乃果がそう言ったら、鳴神君はいつもの苦笑いで頭を掻きながら……

 

「ったく……。」

 

「わ!ちょっと鳴神君やめてよー!」

 

その手で今度は穗乃果の頭をわしゃわしゃってしてくれたんだよ。

 

「アホの子は勘違いしてるみたいだけどさ、廃校になるからってすぐに学校閉めてはい、終わり。なワケねーだろ?」

 

「えー!そーなの!」

 

「穗乃果ちゃん…やっぱり勘違いしてたんだね~。もし廃校になっても学校がなくなるのは今の1年生達が卒業してからだよ?」

 

「大丈夫ですよ?穗乃果。卒業まで、私達はずっと一緒です。だから安心して下さい。」

 

うわぁー!穗乃果!スッゴい勘違いしてたんだー!どうしよう!学校なくなったらみんなとお別れしなきゃダメだって思って倒れちゃったなんて……恥ずかしすぎるよー!

 

「お。悶えてる悶えてる。クックックッ。ようやく自分の勘違いに気付いたな、アホの子め。」

 

は、恥ずかしー!

 

「もー!海未ちゃんもことりちゃんも鳴神君も!穗乃果を見ないでー!」

 

「穗乃果ちゃ~ん♪お写真撮りましょ~ね♪はいチ~ズ♪」

 

「んじゃ俺はムビってアホの子の羞恥動画を某動画投稿サイトにアップしとくか。」

 

「やーめーてー!こんな穗乃果を残さないでー!けーしーてー!」

 

「二人とも!穗乃果は真剣に悩んでいたんですよ?余り茶化さないであげて下さい!」

 

「穗乃果の味方は海未ちゃんだけだよー!」

 

「や~ん♪恥ずかしがってる穗乃果ちゃん可愛いよ~♪も~永久保存だよ~♪はぁはぁはぁはぁ……ホノカチャン……。あぁ…ことりぃ♪これだけでご飯3杯はイケちゃいそぉ~だよ~♪」

 

「安心しろって。せめてもの情けで目のトコにだけはモザイク入れてやるから。世にも珍しいアホの子の羞恥動画。目指せ100万再生ってね。」

 

「イヤー!ホントモウユルシテヨー!」

 

「ことり!鳴神君も!二人ともいい加減にしなさい!ほら!教室に帰りますよ!もう授業が始まってしまいます!」

 

「は~い♪それじゃ穗乃果ちゃん♪放課後に穗乃果ちゃんのカバン持って向かえにくるからね~♪」

 

「さて。んじゃ俺も行きますか。おとなしく寝てろよ?アホの子。」

 

え?もうみんな行っちゃうの…

…………やだ…………

 

「んあ?なんだよ?高坂さん?」

 

あ……。

気付いたら穗乃果はいつの間にか鳴神君の制服の端を掴んでたの。

 

「う~。」

 

これじゃ穗乃果、ただのだだっ子だよね。みんなに……鳴神君に迷惑かけちゃう…手…離さなきゃ……

 

「はぁ。まったく……。」

 

「ふぇ?」

 

ため息をひとつ吐いた鳴神君は、あのちょっと困ったような優しい微笑みを穗乃果に向けてくれると、また穗乃果の頭をぽんぽんってしてベッドの脇にあるイスに座ってくれたの。

 

「側に居るよ。そう言えば約束だったもんな?」

 

「鳴神君?」

「ソラ君?」

 

あ……約束……。一緒に居てくれるって…。

 

「と言うワケで園田さん、ことりさん。俺は午後の授業はサボるわ。」

 

「ホントに?いいの?鳴神君?穗乃果のわがまま聞いちゃって?」

 

「いいさ。誰だって具合が悪い時に一人はイヤだもんな。」

 

「ソラ君…。うん!うん!流石はことりの、ことり達の未来のダンナ様だね♪それじゃソラ君♪穗乃果ちゃんをお願いね♪」

 

「ふふ。今日の穗乃果は甘えん坊さんですね。鳴神君も。授業をさぼるなんていけませんよ?でも、仕方ありません。今日は特別に見逃してあげます。」

 

「園田さん、さんきゅ。ついでに後でノートだけ見せてよ。ことりさんも、悪いけどホームルール終わったら俺の荷物も持ってきて貰ってもいいかな?」

 

「うん!りょ~かい♪ことりちゃんにおまかせです♪」

 

「分かりました。では私達は今度こそ教室に戻りますね?穗乃果?貴女は鳴神君に余り無理を言わないで下さいね?」

 

「ソ~ラ君?穗乃果ちゃんと保健室に二人っきりなんてサイコーのシチュエーションだね?でも~チャンスだからって、穗乃果ちゃんとだけ二人っきりでえっちなことしちゃダメだよ?ヤるならことりと海未ちゃんも一緒のときに、ね♪ハジメテはみんな仲良く、一緒に♪いっ~ぱいえっちしよ~ね♪」

 

「ことり!さらっと私を巻き込まないで下さい!それは……私だって別に…その…鳴神君と…その……。」

 

「海未ちゃ~ん♪素直になろ~よぉ♪」

 

「はいはい。ったく…ことりさんはブレないね……。園田さんをからかってないで、ほら!授業に遅れるぞー。」

 

「ことりちゃん!海未ちゃん!ありがとう!穗乃果!穗乃果!二人ともだっーいすきだよ!」

 

「もう……。ふふっ。もちろん私も穗乃果の事、大好きですよ。放課後に向かえに来ます。今はゆっくり休んで下さいね。鳴神君。それでは穗乃果をよろしくお願いします。」

 

「もちろんことりも大好きだよ♪穗乃果ちゃん♪じゃあまたあとでね♪」

 

そしてことりちゃんと海未ちゃんは教室に戻って行ったんだ。

 

「やれやれ…。ほれ。高坂さんはもう少し寝てろ。」

 

ことりちゃんと海未ちゃんを見送った穗乃果は、ベッドにまた横になったの。そしたら鳴神君が穗乃果にお布団かけてくれたんだ。

 

「うん!あのね?鳴神君。」

 

「ん?」

 

「ありがとう。」

 

「どういたしまして。」

 

 

なんでだろう?やっぱり誰かが……鳴神君が側に居てくれてるからかな?ひとりじゃないってスッゴい安心するな…。

そっか。鳴神君…か…。

 

「ねぇ。鳴神君。」

 

 

クラスメイトの男の子…。

 

 

「今度はどうした?」

 

「呼んでみただけ…。」

 

「そっか。」

 

 

ちょっといじわるな男の子…。

 

 

「鳴神君。」

 

「おう。」

 

「えへへ。また呼んでみただけ。」

 

「ったく…。」

 

 

でも…優しい男の子…。

 

 

「ねぇ。」

 

「ん。」

 

「“そら君”…」

 

 

ちょっと……ステキな男の子…。

 

 

「……なんだ。アホ乃果。」

 

「もー!アは余計だよ!そら君!」

 

 

むー。やっぱりいじわるだよ。

 

 

「はいはい。“穗乃果”。」

 

「あ…」

 

え?あれ?今…“穗乃果”って…。

 

「もう寝ろ。大丈夫。穗乃果が眠っても、ここに、穗乃果の側にいるから。」

 

穗乃果の名前をはじめてちゃんと呼んでくれたそら君。

嬉しさと、ちょっとの恥ずかしさ、そしていっぱいのあったかい気持ち。

そんないろんなあたたかいモノが穗乃果の内側を満たしていって、穗乃果をゆっくり少しずつ、穏やかな眠りに誘っていったんだ。

 

「目が覚めたら、またいつもの騒がしくて元気な穗乃果に戻ってくれよ。そうしたらさ、園田さんとことりさんと俺と、また四人で一緒にアミュセンに行って、みんなでガンプラバトルしよーぜ。」

 

いつもの穗乃果。

 

ホントの穗乃果。

 

「そら君…。」

 

そら君のあたたかい手が、穗乃果の頭を優しく撫でてくれてる。

 

「ずっと………ずっと………いっ…しょ…」

 

ああ…穗乃果。そら君が、このあったかい手が…このぬくもりが………

 

「側にいるよ。だから、おやすみ。穗乃果。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好き…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやすみ。穗乃果。」

 

おやすみなさない。そら君。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん!よし!起きた!穗乃果!ふっかーつ!アミュセン行くぞー!ガンプラバトルするぞー!おー!」

 

穗乃果、保健室でゆっくり休んで元気いっぱいに復活したよ!

よし!アミュセンに行ってガンプラバトルするんだ!

せっかく穗乃果のガンプラもってきたんだもん!今日もみんなで一緒に出撃だよー!

 

「起き抜けにそれかよ…。ったく、これだからアホ乃果は。」

 

「あ!そら君!おはよー!あとアホ乃果じゃなくて穗乃果だよー!どーしてちゃんと名前呼んでくれないの!」

 

「アホ乃果にはアホ乃果で十分じゃボケ。」

 

あれー?さっきまでスッゴい優しかったのにー?なんか今度はスッゴいいじわる?

 

「あ!穗乃果ちゃん♪起きたんだね!具合は……あは!もう大丈夫そうだね?」

 

「ことりちゃん!おはよー!」

 

「穗乃果……貴女は1日に何回おはようを言うのですか?でも……元気になった様で本当に…本当に良かったです。」

 

「海未ちゃん!ごめんねー!いっぱい心配かけちゃったよね?でもぐっすり眠ったから穗乃果元気いっぱいだよ!だから!一緒にアミュセン行って今日もガンプラバトルしよーね!今日は穗乃果がんばっちゃうんだから!」

 

「何を言ってるのですか!貴女は先程まで体調を崩して眠っていたのですよ?アミューズメントセンターに行ってガンプラバトル?そんな事は言語道断です!送っていきますので今日は真っ直ぐ家に帰りますよ!」

 

「えー!やだ!穗乃果もう元気いっぱいだもん!ガンプラバトルする!」

 

「なっ!穗乃果!わがままはいけません!」

 

「海未ちゃん、落ち着いて!穗乃果ちゃんも!海未ちゃんは穗乃果ちゃんのこと、とっても心配してるんだよ?だから今日はお家に帰ってゆっくり休もう?」

 

海未ちゃんもことりちゃんも、穗乃果のことを心配してくれてるのはスッゴいわかるよ?でも穗乃果は今日はみんなと一緒に居たい。一緒に遊びたい。どう伝えたらいいんだろ?うーん?

 

「あー、園田さん。ことりさんも。穗乃果のやりたいようにさせても別にいいんじゃねーの?」

 

そら君?

 

「鳴神君!貴方は穗乃果が心配ではないのですか?もしまた穗乃果が倒れたりしたら……。」

 

「大丈夫だと思うよ。穗乃果が倒れたのは心因性のストレスが原因なんだ。だったらさ、みんなでパーっと遊んでこのアホのストレスを発散させてやりたいなかな?って。」

 

たぶん穗乃果が倒れちゃったのはあの頃みたいにまた“ひとり”になるって思っちゃったからだよね…。

 

「それは……確かにそうですが…。………そう…ですね…分かりました。ですが穗乃果?体調は本当に大丈夫なんですね?少しでも具合が悪い様なら…」

 

大丈夫…。穗乃果はもうひとりじゃないってわかったから!

海未ちゃんもことりちゃんもそら君も!一緒に居てくれるから!

だから…

 

「大丈夫だよ!海未ちゃん!穗乃果は大丈夫!みんな一緒だもん!」

 

「だ、そうだよ?園田さん。んじゃアミュセン行って今日も一発バトロイに出撃しますか?」

 

「はぁ。分かりました。私も折角ジム・スナイパーⅡを作って持って来たのです。ガンプラバトルはやりたかったので、もう反対はしません。」

 

「海未ちゃん!ありがとー!よぉーし!みんなで出撃だよ!おー!」

 

「では、行きましょう。ことり?行きますよ?きゃ!」

 

あ!真っ黒オーラのことりちゃんだ!

 

「ネェ?ソーラクン?ナンデホノカチャンノコトオナマエデヨンデルノカナ?カナ?カナ?」

 

「ヒィ!こ、ことりさん?いつの間に後ろに!」

 

「ホノカチャントトッテモナカヨクナッタネ?オナマエモヨビステダネ?コトリハヨビステニシテクレナイノニ………フタリデエッチナコトシテタンデショ?コトリシッテルヨ?」

 

「なんでいきなりそーなる!してない!ナニもしてないから!穗乃果はずっと寝てたし、俺はスマホ弄ってたから!」

 

「コトリシッテルヨ?イジッテタノハホノカチャンノ×××ナンデショ?シッテルヨ?」

 

「自重しろ!伏せ字を使わせんな!女の子がそんな事いうな!ってか元に戻れ!」

 

「コトリシッテルヨ?シーツニチガツイテルンデショ?ホノカチャンハジメテダモンネ?シッテルヨ?」

 

「ねー海未ちゃん?初めてってなーに?なんでシーツに血が付いてるの?穗乃果、どこもケガしてないよ?」

 

「知りません!私はナニも知りません!って言うか私に聞かないで下さい!ことりー!お願いですから早く元に戻って下さい!」

 

「ウフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」

 

「こぇーよ!ことりさん!こぇーよ!」

 

「ことりちゃんがちょっと変だね?」

 

「コレのどこがちょっとだ!アホ乃果!なんとかしろ!アミュセンで好きなモン奢るから!」

 

またアホ乃果って言った!もー!そら君のいじわる!でも今日も好きなモノご馳走してくれるんだ!よーし!

 

「約束だよ!そら君!いくよ!ことりちゃん!えい!ぎゅー!」

 

「フフフ腐フフフふぇ?あ…穗乃果ちゃん?元気になったんだね!」

 

「「戻った……あんなに簡単に……。」」

 

「?どうしたの?ソラ君?海未ちゃん?そんなに端で二人で震えて?あ~!ことりにナイショでえっちなことしてたんでしょ~!ダメだよ?ヤるならことりも一緒!」

 

「してません!」

「できるか!」

 

「ホント?………カナ?」

 

「「ヒィ!」」

 

「よーし!アミュセンにれつごー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カナ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?




皆様。本日もご覧いただき、ありがとうございました!
第4話「ススメ→トゥモロウ」そのよん は、9月5日か9月6日に更新予定です。
次回は久し振りの戦闘回になればいいなぁ。と思っています。
皆様からのご意見やご感想もお待ちしております。


引き続き、ガンプライブ! ~School Ganpura Project~ をよろしくお願いいたします。

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