ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます!

妹のレポートで四苦八苦していましたが、何とか完成できました!
そしてスクフェスのイベントも無事にヨハネ様、ルビィちゃんを三枚取完了です!
しかも報酬の勧誘チケットでガチャしたら…URの海未ちゃんが!キター!
この幸せを噛みしめて、ガンプライブ完結目指して頑張ります!

それでは第5話「START:DASH!!」そのろく。ご覧下さい!


第5話「START:DASH!!」そのろく

「はぁはぁはぁはぁはぁ…。」

 

「えーっとね?だいじょーぶだよ?海未ちゃん?ちょ~っとふざけちゃったけど、ことりが造ってるバトルコスチュームはこの動画みたいなえっちな衣裳じゃないから♪ね?」

 

「ほ、本当でしょうね…。もし嘘だったら……ことり…貴女が生徒会長をエリシチにしようとした様に、私も貴女をことりの唐揚げにしてしまいますよ…。」

 

「や~ん♪海未ちゃんがこわ~い♪ことり、お料理にするのはイイけど、お料理にされるのはヤダなぁ~。」

 

「誰も穂乃果のお話聞いてくれない…。ねぇ?そろそろ穗乃果のお話も聞いてほしーな。」

 

「穂乃果!ちょっと待ってろ!こっちは忙しいんだ!園田さん?お、落ち着けって!な?悪かったから!謝るからさ?もう園田さんに紐水着なんて着せようとしねぇーから!だから園田さんまで人○料理作ろうとすんのはヤメテ!マジで!お互いにことりさんの○肉料理は、あの狂気の集合体のエリシチはトラウマだろーが!」

 

「ふふ。うふふふふふ…。そうですね…。確かにエリシチはトラウマですよ?ですが、あの様な破廉恥な衣裳を着させられて人前に出て羞恥に震えるくらいなら、ことりも鳴神君もみんな纏めて調理して差し上げます…。ほら?鳴神君はチンピラ気味なので凛が言っていたチンピラゴボウにしてあげますね?」

 

「アホ猫ォ!テメェが変なコト言うから俺まで人○料理のラインナップに並べられちまったじゃねぇーか!」

 

「とりあえず凛はアホ猫じゃないにゃ。今回はおにーさんとことり先輩が悪ふざけし過ぎたにゃ。あきらめて海未先輩に美味しく調理されるといいにゃ。」

 

凛はお利口さんですね。

 

ふふふふふ。良かった…可愛い後輩をこの手で調理する事が無くなって…。

 

猫食文化があるのは聞いた事はありますが、調理方法なんて知りませんからね…。

 

串にでも刺して塩コショウをふってから焼くくらいでしょうか?

 

あぁ…生きたまま焼いても面白いかもしれせんね。

 

きっといい声を聴かせてくれる事でしょうね。

 

うふふ…本当に、本当に良かったです…凛がそんな事にならなくて…。

 

「花陽は海未先輩のボンテージ、似合うと思うんだけどなぁ…。」

 

「小泉ぃぃぃ!それ以上は言うなァァ!テメェも調理されっぞ!」

 

「あはは!はなよ?私にボンテージですって?貴女は本当に面白い事を言いますね!うふふふふ。どうやら貴女も美味しく調理されたいみたいですね?良いですよ?貴女も素敵なお料理に生まれ変わらせてあげましょう!そうですね…貴女はお米がお好きな様なのでぶつ切りにしてお米と一緒に炊き込んで美味しい美味しい炊き込みご飯にしてあげましょう!ことりの唐揚げにチンピラゴボウ、おかずだけで主食がなかったのでちょうど良いですね!貴女のその血で真っ赤な炊き込みご飯を作ってあげますよ!あははははははは!」

 

「遅かったよ…。」

 

「ひぃぃぃぃぃ!ダレカタスケテー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、その、大変お見苦しい所をお見せしてしまい、申し訳ありませんでした…。」

 

「えーっと、園田さん?落ち着きましたでしょーか?もうお料理は…しないですよね?」

 

「ええ。もう大丈夫です。ごめんなさい、鳴神君…。エリシチの脅威から共に世界を救う為に戦った貴方を人○料理なんて酷い事にしようとしてしまって…。」

 

錯乱していたとは言え、私もことりの様にヒトを調理しようとしていなんて…。

 

ま、まさか…私もことりの狂気に当てられて狂鳥病に感染してしまったのでしょうか?!

 

不味いですよ!最悪です!このままではそのうち私も頻繁にことりの様に暴走し出してしまいますよ!

 

狂鳥病ならまだ穂乃果のアホに感染した方がマシです!

 

………マシですよね?

 

「それで結局は先輩達の衣裳はどんなのになるんだにゃ?エロいのかにゃ?紐かにゃ?スケスケかにゃ?」

 

「はっ!そうです!ことり!貴女は先程、私達の衣裳は破廉恥な衣裳にはならないと言っていましたが、実際の衣裳を見せなさい!当日になってとんでもないモノを渡されても困ります!実物です!実物を見せなさい!さぁ!今すぐに!」

 

ことりの事です!口では破廉恥な衣裳では無いと言っておきながら、当日にとんでもないモノを持ってくるんですよ!

 

そうならない為にも、今のうちに予防線を張っておかなければいけません!

 

「信用無いなぁ~♪ことり、ちょ~っとショックかな♪」

 

「信用?フン!どの口が言いやがりますか!大体!貴女は先日以来あまりにも暴走し過ぎなのです!先程のバトルロイヤルでもそうです!私達が射線上に居るにも関わらず、ああも簡単に引き金を引いて!危うく私も鳴神君も跡形もなく消し飛ばされる所だったのですよ!ゲームだから笑い話で済んでいますが、もしこれが現実の戦場だったのならば!貴女は私達を敵諸とも殺そうとしたんですよ!こちらを殺しに来る分、突撃ばかり繰り返している穂乃果よりも、貴女は余程たちが悪いです!さぁ!少しでも私の信用を取り戻したければさっさと衣裳の実物を出しなさい!さぁ!さぁ!さぁ!ことり!」

 

「海未先輩…。怒ると怖いんですね…。」

 

「あはは♪海未ちゃん今日はホンキだね♪しかたないなぁ~♪でも実物の衣裳はまだ仕上げが終わってないから持ってくるのはちょっと待って欲しいかな?せっかく作ったのに完成前に持ち出してほつれちゃったりしたら、ことりと~っても悲しいよ~♪スマホで撮った写真でも良かったらあるけど、それじゃダメかな?」

 

確かに…もしことりの作った衣裳がまともなモノで、完成前に持ち出した事により壊れたりしてしまったら申し訳ないですね…。

 

写真ですか…。仕方ありません。ここは私が妥協しましょう。

 

「分かりました。確かにことりの言う事にも一理あります。今回は私が妥協しましょう。ならばことり、早速その写真とやらを見せて下さい。」

 

「はぁ~い♪ちょっと待っててね~♪え~っとぉ…。あ、これこれ♪はい♪ど~ぞ♪穂乃果ちゃんと海未ちゃんの為に作ったことりの自信作だよ♪」

 

「こ、これは…。」

 

「あ!穂乃果も見たい!」

 

「どれ?俺にも見せて。」

 

「は、花陽も見たいです!」

 

「ならついでに凛にも見せてほしいにゃ。」

 

ことりが差し出したスマホの画面にはアイドルが着るような3着の可愛らしいノースリーブのワンピースが映っていました。

 

色はそれぞれパステルカラーでピンク、緑、青の3色。

 

恐らくは穂乃果がピンク、ことりが緑、私が青の衣裳を着るのでしょうね。

 

「うわぁ!スゴい!スゴいよ!ことりちゃん!本物のアイドルみたい!これ!穂乃果が着てもイイの?イイんだよね!ヤッター!よーし!コレ着てみんな一緒にガンプラバトルだよ!」

 

「へぇ。ホント、穂乃果の言う通りアイドルっぽい衣裳だな。うん、エロとか抜きでコレはなかなか…。」

 

確かに破廉恥とは程遠い可愛らしい衣裳です…ですが…これは…。

 

「ことり…少しは貴女を見直しましたよ。私も素晴らしい衣裳だと思います。私が着るには少し可愛らし過ぎるとは思いますが、紐だのスケスケだのの破廉恥な衣裳を着させられるよりは遥かにマシなので、そこは我慢しましょう。ですが!何ですか?そのスカート丈は!私はひざ下までなければ履きませんよ!そこだけは直してください!さもなければ私は一人だけ制服を着て出場しますからね!」

 

あんな短いスカートを履いてしまったら、下着が見えてしまうではないですか!

 

ガンプラバトルシミュレーターのコクピットはアミューズメントセンターでも高い場所にあるのですよ!

 

あんなに短いスカートでは鳴神君の様な不埒な人は下から覗いて来そうではないですか!

 

「え?イイの海未ちゃん?制服のスカートの方が短いよ?それにコレ、結構激しく動いても下着が見えない様にちゃんと工夫してあるし、衣裳とお揃いで専用のアンスコも用意してあるから制服のスカートよりも安全だと思うんだけど…?」

 

「あ……。」

 

そう言われてみれば制服のスカートの方が丈が短いです…。

 

あれ?それでは逆に制服で出場した方が恥ずかしいのでは?

 

激しく動いても下着が見えない工夫もしてあるそうですし、専用のアンスコも用意してあるならば何とか…なるでしょうか?

 

私がこんなに可愛い衣裳を着るのですか?

 

私なんかが本当に着ても良いのでしょうか…。

 

でも……もし私がこの衣裳を着たら…鳴神君は私の事を可愛いって言ってくれるのでしょうか…。

 

こんな私でも…可愛いと………。

 

って!だから私は何を考えているのですか?!

 

「えぇー!園田さんコレ着てくれねぇーの?普通に可愛いと思うけどなぁ?ってか園田さん、自分が着るには可愛い過ぎるって言うけどさ、園田さんも可愛いから問題ないと思うんだけど?」

 

え?いま、なんて言いました?可愛い?誰が?はい?私が?可愛い?!

 

「はい?私が?か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か」

 

「海未ちゃん?どうしたの?か?かってナニ?んー?カニ?」

 

「か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か」

 

「あはは♪海未ちゃん壊れちゃった♪おもしろ~い♪」

 

「か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か、か」

 

「イヤイヤイヤ!面白くないし!園田さん!しっかりしろって!」

 

「か、か、か、かわいくなんてまりませぇぇぇぇぇぇん!」

 

「ぬぉぉ!耳が!」

 

「鳴神君はナニを言ってるのですか!私が可愛い?冗談は程々にして下さい!私が可愛いなんて事はこれっぽっちもありません!あるわけありません!あるわけないでしょ!そんなこと!可愛い?可愛いと言うのはえーっと、あ!ほら!そこのことりみたいな女の子を言うのです!どーです?ことりはお菓子作りが得意なんですよ!お料理だって出来るはずです!ほら?エリシチとか作ろうとしたではないですか!普通はヒトを調理なんて出来ませんよね?ね?凄いでしょ?可愛いでしょ?可愛いですよね!それに比べて私なんて弓を射る事くらいしか出来ませんよ!そりゃあ多少は踊りには自信はあらりますが、それだけです!ああ!そうです!穂乃果も可愛いですよね?見て下さい!あの幸せそうなアホ面を!どうですか!思わず誘拐して地下室に監禁して自分だけのモノにしたくなる可愛さでしょ!ほら!穂乃果も可愛いんです!いいですか?可愛いとはこうゆう子達の事を言うです!分かりましたか!」

 

「つぅ、耳イテェ…。ったく、確かこんな時は斜め45度で手刀だったな。あー、園田さんとりあえずはストップ。てりゃ!」

 

「アイタ!」

 

ふぇ?わ、わたしはナニを?

 

「おぉ!マジで戻ってきたな。ほい、園田さん。まずは茶でも飲んで落ち着けって。」

 

「はぁ…。」

 

おかしいですね?記憶が少しの間だけ抜け落ちている様な気がします…。もしかして私はまた暴走していたのでしょうか…。

 

とりあえずは鳴神君に言われた通りお茶でも飲んでみましょう。

 

ふぅ…。

 

「落ち着いた?」

 

「あ、はい。ご迷惑を…じゃありません!思い出しました!ことりがせっかく作ってくれたのですが、この衣裳は私には…。」

 

「なんでさ?園田さん、さっきから自分のコト可愛いくないみたいに言ってるけど、それって世の中の大多数の女の子にガチで喧嘩売ってるぞ?園田さんよりも可愛い子なんてそうはいねぇって。この衣裳だって、園田さんが着たら絶対に可愛いって。」

 

「ですが!」

 

「はい!ですがは禁止!そーゆーワケで園田さんは大人しくこの衣裳来て出場して貰います!賛成の人は挙手を!」

 

「は~い♪ことりは賛成で~す♪」

 

ことり?

 

「はい!花陽も海未先輩の可愛い姿が見たいです!」

 

花陽も!

 

「にゃ!凛も今回はおにーさんに1票だにゃ!」

 

凛まで?!

 

「ねー?きょしゅってなーに?え?なぁに、ホノカ?きょしゅは手を上げること?ふんふんなるほど…。はーい!穂乃果も海未ちゃんと一緒に可愛いカッコしたい!」

 

穂乃果…。

 

「もちろん、言い出しっぺの俺も賛成っと。」

 

「鳴神君…。あの、本当に私にこの様な可愛いらしい衣裳が似合うのでしょうか?私は…」

 

「もー!海未ちゃんしつこいよ!ソラ君!一気に決めちゃうから録音よろしくね♪」

 

「ん?あぁ。ことりさん、アレ使うのね。まぁ、グダグタとやってるよりもソレ使った方がはぇーか。あいよ、了解。ことりさん、全力全開で説得してくれや。」

 

「は~い♪それじゃ…海未ちゃんが気に入らなかったら悲しいしけど、ことりはあきらめるよ?」

 

「ことり…。」

 

ことり…そんなに悲しそうな顔をしないで下さい…。罪悪感でいたたまれません。

 

「でも、ことりは海未ちゃんにことりと穂乃果ちゃんと一緒にこの衣裳を着てほし~の!だから海未ちゃん♪“おねがい♪”」

 

「はい!喜んで!ハッ!わ、私はなんて事を!ことり!卑怯ですよ!今のは無しです!」

 

そうでした!ことりにはこの“おねがい♪”があったのを忘れていました!

 

最近は多少は耐性が出来たと思っていましたが、今回の様な完全に不意打ちの“おねがい♪”では抗える訳ないではないですか!

 

おのれ!ことり!貴女、計りましたね!

 

「はい!もー遅ぇ!園田さんの了承はバチッチリいただきました!」

 

「やったぁ~♪海未ちゃんありかと~♪」

 

「ちょ!ことり!抱き付かないで下さい!」

 

ことり…こんなに喜んで…。私がことりの作っている衣裳を着ると言ったのがそんなに嬉しいのでしょうか?

 

こんなに喜ばれるともういまさら断れないではないですか…。

 

「ことりちゃんだけズルい!穂乃果もぎゅーってする!えい!」

 

「穂乃果!貴女まで!もう!止めて下さい!」

 

「んじゃ俺も…。」

 

「鳴神君?貴方が抱き付いて来たらもぎますよ?それでもいいのならご自由に。」

 

「あ、はい。ゴメンナサイ…。」

 

全く!油断も隙もありません!

 

そう言う事はちゃんとお付き合いしてからにして下さい!

 

そうすれば…ちょっとくらいは…。

 

「海未先輩も納得?してくれましたので、バトルコスチュームの問題は解決ですね。」

 

「あとはチームの名前だにゃ!」

 

納得はしていませんが、“はい”と言ってしまったのでは仕方ありません。こうなったら私も腹をくくってあの可愛いらしい衣裳を着ましょう。

 

あとは凛の言う通り私達のチーム名ですね。

 

「チーム名ねぇ?あー、なんか、めんどいからかチーム音ノ木坂とかでいーんじゃねぇーの?」

 

「まぁ確かにそんな感じの名前が無難ですね。あまり奇抜なチーム名もどうかと思いますし、もういっそのこと鳴神君の案で良いのではないでしょうか?」

 

「えー!ことりはもっとかわいい名前がいーな♪」

 

「ちょーっと待った!ふふふ!ようやく穂乃果のお話が出来るよ!あのね!チームの名前は穂乃果にお任せだよ!もうちゃーんと手は打ってあるんだから!」

 

私達がチーム名について話し合っていると、穂乃果が急に自信満々の大きな声でそう言ってきました。

 

穂乃果にお任せって。貴女に任せるのは不安なので出来れば却下したいですね…。

 

「穂乃果が?手は打ってあるって、なんかイイチーム名でもあんのかよ?」

 

「それはね?」

 

「「「それは?」」」

 

「明日学校で発表しまーす!」

 

「明日かよ!しかも学校でってなんでだよ!。あー、まぁチーム名は明後日の金曜までに決めて参加登録すれば間に合うから別にイイけどよぉ。」

 

「そ~だね♪穂乃果ちゃんが珍しく自信満々で手は打ってあるんだから~とか言ってるからおねがいしてみよっか♪」

 

「穂乃果の事です。どうせろくな結果にはなりませんよ?」

 

「あー!海未ちゃんヒドイよー!だいじょーぶ!明日を楽しみにしててね!」

 

「はぁ…。分かりました。では明日学校でですね。楽しみにしていますよ?もしろくでも無い事だったら…。」

 

「だったら?」

 

「ことり?お願いします。」

 

「は~い♪あのね?ことりが穂乃果ちゃんに“おしおき”だよ♪うふ♪」

 

「あ、あははは…。海未ちゃんもことりちゃんこわーい…。うん。穂乃果、がんばる…。」

 

「さて、と。んじゃ今日は帰るか。テーブルは俺が片付けてから帰るからみんな先に帰っていいぞ。」

 

「先輩!それは花陽が!」

 

「んにゃ。小泉と星空はテーブル確保して貰ってたからな。そこまではやらせられねぇよ。ほれ。暗くなる前に寄り道しないで帰れよ。穂乃果とことりさんと園田さんも気を付けてな。」

 

「はーい!うわぁ!もーこんな時間だ!穂乃果おかーさんに店番頼まれてたんだよ!早く帰らなきゃ!それじゃみんな!また明日ね!」

 

「ごめんね、ソラ君?衣裳作りがなかったらお手伝いするんだけど…。」

 

「気にすんなって。こっちこそ衣裳の事は全部ことりさんに任せちまって悪いな。コレぐらいはやっとくから、俺の衣裳もヨロシク。」

 

「うん♪それじゃまた明日ね♪」

 

「かよちん。おにーさんがそう言うなら凛達も帰ろっか?」

 

「でも凛ちゃん…。」

 

「花陽、凛も。大丈夫ですよ。どうせ私は鳴神君と帰り道は同じですので、私がお手伝いします。もう外は暗くなって来ています。貴女達も気を付けて帰って下さいね。」

 

「海未先輩……はい。分かりました。鳴神先輩!今日もおにぎりご馳走さまでした!海未先輩!お先に失礼します!」

 

「おにーさん!またラーメンおごってにゃ!海未先輩も!ばいばーい!」

 

「おーよ!気を付けて帰れよ!」

 

「「はーい!」」

 

「さて、と。悪いね園田さん、手伝っ貰って。んじゃさっさと片付けますか?」

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それほど時間も掛からずにテーブル席を片付けた私達は、今は帰路に就こうとアミューズメントセンターの入り口へと向かっています。

 

外はもう暗くなり始めており、あちらこちらで街灯が点り始めています。

 

「もうだいぶ暗くなってしまいましたね。」

 

「だな。それにしても…公式戦か。出るのは6年前の世界大会以来になるんだな…。」

 

「鳴神君…。やっぱり公式戦に出るのは怖いですか?」

 

「そりゃね。っと!」

 

「うわぁ!うー…いったいなぁ…。」

 

私の少し先を歩いていた鳴神君がこちらを振り返ったその時、角から女性が曲がってきて鳴神君に当たってしまいました。

 

その女性は鳴神君に当たり負けしてしまい、その場で転んで尻餅を付いてしまいました。

 

「すいません!大丈夫ですか!」

 

「鳴神君!気を付けて下さい!あの?大丈夫でしたでしょうか?何処か怪我は…。」

 

「あはは!うん!だいじょーぶだよ!よーいしょっと!こちらこそごめ…あっ…。」

 

よいしょと言いながら立ち上がったその女性はお尻をポンポンとすると、何故かこちらを見てとても驚いた顔をしています。

 

鳴神君のお知り合いでしょうか?

 

あれ?この人、何処かで会った事があるような…。

 

「そっか…ホントに戻って来たんだ…。」

 

女性の口からそんな呟きが聞こえたと思ったら、突然彼女の瞳から涙が溢れだして来ました。

 

「え?」

 

「な?!ちょ!あの、お姉さんホント大丈夫ですか!」

 

「え?だいじょぶってナニが?へ?あ、あれ…私、なんで泣いて…。あ、あはは…。なんかごめんね?うん!だいじょーぶ!だいじょーぶだから…。」

 

女性は溢れ出した涙を袖口でごしごしと拭きながらそう言ってきますが…。

 

「ホントごめんね?君達がとーっても大切な人にスゴくそっくりだったから、つい。ね?」

 

そう言う彼女のその瞳は未だに真っ赤で、今にもまた泣き出してしまいそうです。

 

「大切な人ですか?その方達に私達が似ていると?」

 

「うん…。もうね?二人ともビックリするくらいにそっくりなんだよね。私のスゴく大切な人達に…。大切で大切で、思わず今みたいに泣いちゃうくらいに大切な人達…。でも…もう2度と会えない人達…。」

 

お姉さんはとても悲しそうな顔で私達にそう話してくれました。

 

もう会えないとは?どういう意味なのでしょう?

 

「もう2度と会えない?あぁ…そう言う意味か…。お姉さん、その人達ってもしかして…。」

 

鳴神君には“もう2度と会えない”の意味が分かる様ですね。

 

もう2度と会えない…?あ!会えないってそう言う事なのですか?だから彼女は涙を…。ならば、その人達はもしかして…。

 

「うん。私が高校の時にね。二人とも手の届かないとーおい、とーおい所にいっちゃったんだ。」

 

手の届かない遠い所。明言はしていませんが、恐らくはそのお二人は…。

 

「二人ともスッゴく大好きだった…。もちろん会えなくなった今でも大好きだよ?ホント懐かしいなぁ…。あの頃の私はね、ずーっとみんな一緒にこのまま幸せに包まれて生きて行くんだって、そう思ってたんだよね…。でも…二人とも居なくなっちゃったんだ。ホントにあっけなく。私達を置いて逝っちゃった…。“そら”の果てに、“うみ”の彼方に…。」

 

彼女は赤から黒に変わり始めた空を見上げなから、そう話してくれます。

 

空の果て、海の彼方。

 

“空”と“海”ですか…。

 

「男の子の方はね、いつも私の事をアホって言って馬鹿にしてばかりだったんだ。エッチで意地悪で。でもね?スゴく優しくて…。あの人が私の名前を呼びながら、何気なく頭を撫でてくれるのが私はスゴく大好きだった。一人じゃねぇーぞ、寂しくないだろ?って。いつも私が寂しくて泣きたくなっちゃったときには、優しくて暖かい手で撫でてくれた…。あの頃の私はいつかは彼に初めてをあげるんだろうなって。そしてみんなに祝福されながら結ばれて、あの人の子供を産んで、一緒にお家を継いで、たまにケンカしたりするんだけど、彼と私と子供と、毎日面白おかしく生きて行くんだろーな。って、なんとなくそう思ってた…。」

 

この人はその男の子が本当に大好きだったのでしょうね。

 

彼女の言葉の端々から彼への強い想いが伝わって来ます。

 

それにしてもエッチで意地悪で優しい人ですか…。

 

「人の事をアホと言って、エッチで意地悪で、でも優しい人…。なんだかその人は本当に鳴神君みたいな人ですね?」

 

「うへぇ…。エロで意地悪ってトコだけは否定できねぇ…。」

 

「ふふ。君もエッチで意地悪で優しい人なんだね。ホーント、あの人にそっくりだよ…。」

 

「あー、その、えーっと、まぁ光栄です?それで、もう一人はどんな人だったんですか?」

 

「うん。女の子の方はね、私の幼馴染みでね?小さい頃からいつも一緒で、真面目で厳しくて、いつもお説教です!って、怒られてた。でも…やっぱりスゴく優しい子だった…。」

 

お説教です!って。そ、それはまるで…。

 

「はは。ホントに園田さんみたいな人だな。お説教です!だってよ?」

 

「もう!言わないで下さい!」

 

「ふふ♪やっぱり君も真面目で厳しくて優しい子なんだね。でもね、私は知ってるよ?君が厳しいのは相手をホントに大切に思ってるからなんでしょ?私の場合は厳しいのは私の事をホントに思ってくれてたからなんだなって、居なくなってから気付いたんだよねー。もう私ったら遅すぎでしょ?」

 

「ま、気付いたんならいーんじゃねぇーっすか?」

 

「そうかな?」

 

「そうっすよ。」

 

話を聞けば聞く程に、そのお二人は私と鳴神君にそっくりですね。

 

お説教です!なんて、とても他人とは思えません。

 

「ねぇ?そんなそっくりさんな二人にお姉さんからちょっとだけお願いがあるんだけどさ?聞いてくれないかな?」

 

「お願いですか?ここで出会えたのも何かのご縁です。私達にお応え出来る内容ならば私は構いませんが…。」

 

「園田さんがイイなら俺も別にイイっすよ。あー、でも個人的にはエロいお願いなら嬉しいっすね。きゃ!抱いて!とか?」

 

こ、この変態は!性懲りもなく!

 

「鳴神君?もぎますよ?」

 

「うへぇ、それは勘弁。」

 

全く!しんみりした空気を変えたいのかもしれまさんが、限度があります!

 

「あはははは!そうそう!二人ともよく言ってたなぁ!もぎますよ?って!それは勘弁。って!うわぁ懐かしいなぁ…。」

 

「本当にその人が他人とは思えなくなってきました…。」

 

「だな。で?お姉さんのお願いってのはなんっすか?」

 

「うん。あのね?ちょっとだけ…ちょっとだけでいいの。二人の事をぎゅってさせて欲しいの…。ダメかな?」

 

「ぎゅ。ですか?まぁそのくらいならば何時も穂乃果やことりにされていますから、私は構いませんが…。」

 

「俺もそれくらいなら別にイイっすよ。」

 

「ホント!ヤッター!ありがとう二人とも!それじゃさっそく!えい!ぎゅー!」

 

「きゃ!ちょ!いきなりですか?!」

 

「えー!イイじゃんイイじゃん!ほれほれ?もっとぎゅー!」

 

「おぉ!お姉さん案外イイ身体してんなぁ!あぁ…この乳の柔らかい感触…久し振りだなぁ…。」

 

「鳴神君?もぎ取るだけでは足りない様ですね?ならば一度死んでみますか?」

 

「あ、はい。ゴメンナサイ、黙ります…。ん?あれ…この匂いって…。」

 

「(ホントにまた会えた…。大丈夫…今度は絶対に…私が…。)」

 

え?今なにか聞こえた様な…?

 

「うん…。ありがと♪二人とも!よぉーっし!元気出たぞ!これでお姉さん、まだまだ一人でも戦えるんだから!」

 

抱きしめられていた時に何か呟きが聞こえた様な気がしましたが、気のせいだったのでしょうか?

 

「いえいえ。こちらこそお姉さんの身体を堪能させて貰いました!ついでにどうっすか?このあと一緒にホテルにでも…。」

 

「あはは♪君も懲りないねー!そんな事ばかり言ってると、またそっちの彼女にもぎますよ?って言われちゃうよ♪それに、君は彼女を送っていくんでしょ?男の子ならちゃーんと、女の子を送っていかなきゃね?」

 

「ま、そうっすね。残念!」

 

「ホント変わんないなぁ…。うーん、そうだ!もしお姉さんとそんなにエッチな事したいんだったらさ?次に会えた時にガンプラバトルで私に勝てたら、君の好きなだけエッチさせてあげるよ?ナニしてもいーよ?縛ったりしてもいーよ♪なんだったら君の子供も産んじゃうだから♪」

 

「そいつはえらく魅力的なお誘いで…。けど、ガンプラバトルで勝ったら、ですか?マジでイイんっすか?俺って冗談抜きで実はかなり強いですよ?」

 

「あは♪私が勝って当然みたいな言い方しちゃったから、君のプライドを傷付けちゃったかな?でもね?君が強いって事はちゃんと知ってるよ、誰よりも。けど、今の私だって君に負けないくらいに強いんだよ?あれから私はホントに強くなったんだから。んー?そうだなー、具体的にはイカれた魔女から世界を救っちゃうくらいに!」

 

「は?イカれた魔女から世界を救う?なんっすか?それ?え?お姉さんって妄想癖持ちっすか?」

 

「あはは♪気にしない気にしない♪君とのガンプラバトル、楽しみにしてるよ!それじゃまたいつかねー!」

 

そうして彼女は手をひらひらと振りながら、私達とは反対方向に行ってしまいました。

 

「行ってしまいましたね。不思議な人でしたが、綺麗な人でしたね。」

 

「ん、ああ。確かに綺麗な人だったけど、ちょっと変な人だったよなぁ…。なんか途中から俺達の事とあのお姉さんの大切な人達ってのを混同してた様な気もするし…。でもあの人…似てたよな…アイツに…。」

 

「鳴神君?」

 

「んにゃ。なんでもねぇ。気のせいだ気のせい…。さーて、もう遅いし帰ろっか。園田さん。」

 

「そうですね。帰りましょう…。」

 

 

 

 

「おーい!そらくーん!海未ちゃーん!おねーさんからの忠告だよー!」

 

 

 

 

私達が再び家路に就こうとしたその時、私達の後ろから大きな声で先程の女性の声が聞こえてきました。

 

「この先、君達には色んな事が待ち受けてる!悪い事!辛い事!悲しい事!色んな悪意が!だから!そら君は海未ちゃんを!みんなを絶対に守ってあげて!身体だけじゃなく!そのココロも!君なら!君にしか出来ないから!海未ちゃんはどんなことがあっても心を強く持って!絶対に絶望に身をゆだねちゃダメだよ!絶対に!そして!信じて!変わらない世界はないって!世界は必ず変わる!想いは願いに!願いは希望に!希望は未来に!みんなが繋がるその瞬間(とき)に!災厄さえ吹き飛ばす様な奇跡が必ず起こるから!」

 

「なっ?!」

 

「えっ?!」

 

私達が振り向くと、そこにはもう女性の姿はありませんでした。

 

「誰も居ない?い、今のはなんだったのでしょうか?」

 

「さぁ…忠告?なんだよそれ…。今の内容、忠告ってよりもありゃあ予言みてぇじゃねぇか…。」

 

「予言。ですか?」

 

「あぁ。それにさ、変じゃねぇーか。園田さんも俺もあの人に名前教えてねぇよな?」

 

「えっ?あ!そう言えば!」

 

「けど、あの人は俺達の名前を知ってた…。あの人、ホントになんなんだ?災厄?奇跡?守れってなんだよ?それに抱きしめられた時のあの人の匂い…。あれは…。」

 

私達にそっくりだと言う遠くに行ってしまった大切な人達…。

 

教えていない私達の名前を知っていた事…。

 

守れと言う言葉と心を強く持て言う言葉…。

 

私が絶望に身をゆだねる?

 

その言葉の数々に、急に不安に駈られた私は、無意識に鳴神君の手を握っていました…。

 

「あ…。ご、ごめんなさい!私…。」

 

「ん?ああ…いいよ。大丈夫、怖くないって。園田さんの事はさ、誰かに守れって言われなくても、俺自身の意思で必ず守るから。だから、大丈夫。」

 

「あ…。はい!」

 

繋いだ手の温もりが、不安を少しずつ溶かしてくれます。

 

「だから、帰ろう。今は…。」

 

「はい。帰りましょう、今は…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『頑張れ…男の子。貴方と貴方の大切な人達に女神の祝福があらんことを…。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました!

今回、後半に登場した女性はオリキャラではなく、一応はラブライブに登場していたキャラクターです。
この先の展開のため、あえて容姿の描写はいたしませんでした。
彼女の正体とは一体…?


それではまた次回、お会いしましょう!
本日はご覧いただきました、本当にありがとうございました!
皆様のご意見やご感想をお待ちしております!

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