ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます!
結局は更新までまた一週間も掛かってしまいました…。
しかも今回で終わらないし…。
じ、次回こそは終わらせてみせます!

それでは 第5話「START:DASH!!」そのきゅう てん ご② 。ご覧下さい!









第5話「START:DASH!!」そのきゅう てん ご②

[[よぉーし!エネルギー全開だよ!アグニ!いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!]]

 

[[西木野さん!早く凛ちゃんの後ろに!ミサイルが誘爆したらすぐに爆風が来るよ!]]

 

[[さぁ!ばっちこいにゃ!爆風なんて目じゃ無いにゃぁぁぁぁ!!!]]

 

私の百式と小泉さんの緑色のジムが星空さんのデカネコの後ろに隠れた直後、デカネコの横に位置していた高坂先輩は、エネルギー充填が完了したランチャーストライクのアグニを私達に向かって降り注いで来るホーミングミサイルの雨に向けて放ったの!

 

アグニを撃ち終えた高坂先輩のランチャーストライクが星空さんのデカネコに後ろに隠れると、小泉さんが指定したポイントへ真っ直ぐに飛んでいったアグニの赤いビームはホーミングミサイルを凪ぎ払い、次々に誘爆を誘って轟音と共に辺り一面が爆炎に覆い尽くされたわ!

 

そして爆炎を伴った爆風は私達へと殺到して来て……

 

[[爆風だけじゃなかったにゃー!こうなりゃヤケにゃ!ベニャッガイ!気合い入れるにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!]]

 

[[凛ちゃん!この規模の爆炎は気合いじゃどうにもなんないかもぉぉぉぉぉぉぉ!!!]]

 

「ちょっと!ホント大丈夫なの!って来た!きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

[[おぉ!なんかスッゴーい!]]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いきてる…の…?あはは…嘘みたい…。」

 

[[うん。花陽達、ちゃんと生きてるね…。]]

 

[[にゃぁぁぁぁ!凛のベニャッガイがまた焦げたにゃぁぁぁぁ!]]

 

[[うわぁー!ホントだ!黄色いにゃんこだったのに真っ黒にゃんこになっちゃったねー!うん!真っ黒にゃんこもかわいいよ!]]

 

ホーミングミサイルの誘爆で巻き起こった爆炎と爆風が過ぎ去ると、私はまず生きてる事に感動しちゃったわ。

 

今回はもうダメだと思ったけど、星空さんのデカネコに助けられちゃったわね……。

 

私達の盾になってくれた星空さんのデカネコは、可哀想に本来の綺麗な黄色の装甲が焼け焦げて真っ黒になっちゃってたわ。

 

…………普通に疑問なんだけど、星空さんのデカネコはなんであれだけの爆炎をもろに受け止めていて装甲が焦げただけなの?

 

一昨日のバトルロイヤルでも思ったけど、相変わらず星空さんのデカネコって非常識な装甲してるわね……。

 

………で、済む問題な訳ないでしょ!

 

「ちょっと!あれだけの規模の爆炎を真っ正面から受け止めといて、なんで星空さんのデカネコは装甲が焦げただけなのよ!絶対にオカシイでしょ!」

 

[[ふっふっふー!西木野さん!よくぞ聞いてくれました!最近は凛ちゃんのベニャッガイの非常識装甲に誰もツコッミ入れてくれなかったら寂しかったんだよ!あのね、凛ちゃんのベニャッガイの装甲にはなんと!]]

 

「なんと?」

 

[[色々と秘密があるんです!]]

 

あれ?小泉さんってこんな子だったかしら?

 

教室じゃ大人しくて星空さんの影に隠れてる目立たない子だと思ってたんだけど……。

 

ふっふっふー。とか言ってるわよ、この子…。

 

「………だーかーらー!その秘密を教えなさいって言ってるの!」

 

[[真姫ちゃん、わがまま言ってはなよちゃん困らせちゃダメだよ!]]

 

あーもう!この忙しい時にアホな先輩は人の邪魔して!

 

アホな高坂先輩はなんで私が小泉さんに問い詰めてるか、分かってないでしょ。

 

「いい?高坂先輩。あんな異常な装甲見たあとに、真っ黒にゃんこー。とか言って、さらっと流したアホな先輩はちょっと黙ってて!」

 

[[真姫ちゃんがひどい!って!穂乃果はアホじゃないもん!最近はそら君だけじゃなくてことりちゃんも海未ちゃんも穂乃果のことアホってゆーし…。どーしてみんな穂乃果をアホってゆーの!もーいっかいゆーけど穂乃果はアホじゃないもん!]]

 

アホって言われるのは、あんたがアホだからでしょ!って言ったら流石にちょっと酷いかしら?

 

それと、高坂先輩の話に出てきた“そら”って確かあのザクのファイターで変態よね。“ことり”って人は痴女だったかしら?

 

それで“うみ”って人は……たぶんこの“うみ”って人は苦労人ね。

 

可哀想に…“うみ”って人はアホと変態と痴女に振り回されてるんだわ、きっと。

 

[[穂乃果先輩…嘘はいけないにゃ。]]

 

[[あれ?凛ちゃんもひどい?]]

 

とりあえずアホな先輩は放っときましょ。

 

今は星空さんのデカネコの非常識な装甲の話よ!

 

「で?小泉さん、秘密でもなんでも良いから、ちょっとくらいは教えなさいよね!」

 

[[凛ちゃんも西木野さんも穂乃果先輩の扱いが…。まぁいっか。穂乃果先輩だし。えーっと、ベニャッガイの装甲だったよね?実はノリで秘密とか言ったけど、ベニャッガイの装甲自体にはそんな対した秘密はないの。]]

 

「対した秘密は無いって、普通なら消し飛ぶレベルの爆炎を受けてもピンピンしてるのよ!そんな説明じゃとてもじゃないけど納得できないわ!」

 

[[納得できないって言われても……ただベニャッガイの装甲の表面に耐ビーム、耐衝撃、耐熱、ついでに生活防水の処理をしてるだけだよ?]]

 

「それだけやってたら“だけ”じゃないわよ!って!最後の生活防水は絶対にいらないでしょ!なんで生活防水よ!スマホじゃないんだからいらないわよ!」

 

[[あぁ…ツコッミ要員がいると花陽もボケに回れて楽しいな……。いつもはみんな好き勝手にボケ倒してるから花陽もやってみたかんだよね…。]]

 

「ボケるな!小泉さん!あなたは本来こっち側の人間でしょ!そっちに行ったらダメよ!戻ってきなさい!」

 

[[ごめんね、西木野さん…花陽はもう戻れそうにないよ…。さて、ツコッミスキーな西木野さんはほっといて、凛ちゃん。焦げた他にベニャッガイに異常はない?今回はベニャッガイの頭に“アレ”が積んであるから、異常があったらすぐに教えてね。……花陽は全力で逃げるから…。]]

 

ちょっと!放っとかないでよ!誰がツッコミスキーよ!ってツッコミ入れたらまたボケられるわ…。

 

真姫、我慢よ!我慢!

 

パパもママも言ってたわ!真姫はやればできる子なんだ。って!

 

だから辛いけど我慢よ!

 

………ふぅ……なんとか私の中のツッコミが過ぎ去っていったわ…。それにしても、小泉さんはナニを行ってるのかしら?

 

デカネコに異常があったら全力で逃げる?

 

逃げるって小泉さんが星空さんとデカネコを見捨てるって事よね?

 

小泉さん、一昨日のバトルロイヤルじゃ身体を張って星空さんの事を守ろうとしていたのに、その小泉さんが星空さんを置いてどうして逃げるのかしら?

 

普通は異常があるからこそ、見捨てるんじゃなくて助けるんじゃないの?

 

[[“アレ”ってなんだにゃ?……にゃ?“アレ”?…………あぁぁぁぁぁ!!!そ、そうだったにゃ……。凛、“ファイナル・ベニャッガイ”のことスッカリ忘れてたにゃ…。]]

 

“ファイナル・ベニャッガイ”?はぁ?ナニソレ?なんかスゴくダサい名前ね。

 

「ねぇ、星空さん。“ファイナル・ベニャッガイ”ってナニ?」

 

[[うん!穂乃果も気になる!知りたいなー!知りたいなー!凛ちゃん教えてよー!“ファイナル・ベニャッガイ”!うん!なんかカッコいい名前だよね!あっ!それってもしかして凛ちゃんのベニャッガイの必殺技!]]

 

「高坂先輩って変わったセンスしてるわよね。私はカッコ良く無いと思うんだけど…むしろ“ファイナル・ベニャッガイ”なんてダサくないかしら?」

 

[[西木野さんはにゃんてコト言うにゃ!“ファイナル・ベニャッガイ”はダサくなんてないにゃ!凛が授業中に寝ないで考えた“ファイナル・ベニャッガイ”はサイコーなネーミングだにゃ!このセンスが分かんない西木野さんの方がダサいにゃ!ダサ木野さんだにゃ!]]

 

「ちょっと!誰がダサ木野よ!誰が!ってか授業中に寝ないのは当たり前のことよ!ちゃんと勉強しなさい!あと人に変な名前付けないでよね!星空さんがそんな変な呼び方するなら、私だって星空さんの事、ダサ空さんって呼ぶわよ!あぁ…そうだわ…。それともあなたの事は“高坂さん”って呼んであげようかしら?」

 

[[こうさかさん…高坂さん…穂乃果先輩…………それだけは激しくイヤだにゃぁぁぁぁぁの!凛もおバカでそんなに頭は良くないけど、それでもあそこまでアホじゃないにゃぁぁぁぁぁ!!!]]

 

「ならダサ木野さんとか変な呼び方するのは止めてよね!いい?人にされてイヤなことはやっちゃダメよ!分かったら返事!」

 

[[はーい…わかったにゃ…。西木野さん、ごめんなさいだにゃ…。]]

 

「分かればいいのよ。こっちこそ、星空さんのこと、“高坂さん”なんて酷い呼び方しちゃって悪かったわ。ごめんね?」

 

[[悪いのは凛の方だにゃ!]]

 

[[うん!うん!凛ちゃんと西木野さんが仲直りした所で、そろそろあの戦車のオバケさんをどうするか話し合いましょう!さっきの爆発の爆風で結構流されて戦車のオバケさんとの距離が開いちゃったから、少しはゆっくり作戦会議出来るよ。]]

 

[[ねぇ、穂乃果は泣いてもいいのかな?真姫ちゃんも凛ちゃんも花陽ちゃんもひどいよー!いいもん!あとでそら君によしよししてもらうもん!]]

 

うふふ♪高坂先輩“で”遊ぶのって、ホント楽しいわ♪

 

でも結局“ファイナル・ベニャッガイ”ってなんだったのかしらね?

 

気になるけどまぁ別にいいわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?小泉さんと星空さんの二人はバトルロイヤルに乱入までして助けに来てくれたんだから、あのデカブツを相手にするのにナニか良い作戦があるの?ついでに聞くだけ無駄だと思うけど、高坂先輩もナニか作戦ある?」

 

今の素組の状態の百式と私の操縦技術じゃ、悔しいけどあれだけの弾幕を張られちゃったらどうしようもないわ…。

 

“骨組み”を攻略するのにクレイバスーカの拡散弾を使って“面”の攻撃した私が、今度は同じ“面”の攻撃で苦しめられるなんて、なんかホント皮肉よね。

 

最も、同じ“面”の攻撃でも比べるのがバカらしくなるほど火力の規模は違いすぎるけど。

 

さっきの“骨組み”や私の百式もそうだけど、高機動型の機体の宿命としてでどうしても装甲が薄くなっちゃうから、広範囲を覆うような“面”の攻撃には弱いのよ…。

 

せめてシールドでも装備してれば少しは状況も変わったんでしょうけど、百式の標準装備には無いのよね。シールドって。

 

こんな事になるなら素組のままじゃなくて、パパやママの言う通り少しは改造しておけば良かったわ……。

 

[[はーい!穂乃果はランチャーストライクのアグニで撃ち落とすのがいーとおもうよ!アグニのビームなら当たればいちころだよ!]]

 

[[うーん…それはどうかと思いますよ?確かに穂乃果先輩のアグニは私達の武装の中では1番威力が高いですけど、たぶんビーム系の攻撃じゃあの戦車のオバケさんにはダメージは通り難いと思います。あれだけの火器を積んであるんです。誘爆対策としてそれなりの装甲を積んでるはずです。あとはその装甲強化の一貫として、恐らくは耐ビームコーティングかそれに準ずる処理がされているはずですよ。だからあの戦車のオバケさんの防御アビリティ込みの総合的な装甲強度は、もしかすると凛ちゃんのベニャッガイと同等かそれ以上になってるかも…。]]

 

星空さんのデカネコの装甲強度と同等かそれ以上の装甲って……。

 

ふざけるんじゃないわよ!あれだけの火力持ってるのに、さらにバカみたいな強度の装甲してるとか、そんなバケモノどう攻略すればいいのよ!

 

[[うーん?ここはやっぱり逃げるが勝ちかにゃ?そんなバケモノの相手しないで、みんなで尻尾巻いて逃げるにゃ!]]

 

尻尾を巻いて…逃げる……?逃げるですって!この私が!

 

「ちょっと星空さん!尻尾巻いて逃げるなんて冗談じゃないわ!そんなの絶対にイヤよ!私はどんなヤツが相手でも逃げたりしないわ!逃げるくらいなら玉砕覚悟で突っ込んでやるわ!当たって砕けろよ!あいつの攻撃なんて全部避けて、不細工な顔面にビームライフル突き付けて胴体のコアごとぶち抜いてやるわ!」

 

[[そんなこと言っても素組で全部避けるとか無理っぽいにゃ。あのバケモノが相手じゃ当たってもすぐに砕けるにゃ。またさっきみたいにホーミングミサイルに追っかけ回されて今度こそ“ドカーン”だにゃ!]]

 

「そんなの!今度も同じ結果になるなんて!やってみなきゃわかんないでしょ!」

 

確かに私だって無茶だって事は分かってるわ!でも!それでも私は!

 

[[…アグニ…ホーミングミサイル…耐ビームコーティング…ぶち抜く………西木野さん、あの戦車のオバケのデータってありますか?少しでもいいんです。なんなら画像データだけでもいいです。ただ画像データだったら、出来たら全身が写ってるのが良いかな?あったらちょっとこっちに送って欲しいんだけど…。]]

 

「え?あのデカブツのデータ?ちょっと待って……えーっと、戦闘履歴、戦闘履歴……これかしら?小泉さん、そっちに送るわよ。」

 

サブコンソールを操作して百式の戦闘履歴の中から、あのデカブツとの戦闘データを探しだした私は、さっそくその中から使えそうなデータを小泉さんの緑色のジムに転送したわ。

 

小泉さん、あのデカブツのデータなんてどうするつもりかしら?

 

戦闘データ…ね。改めて画像だけでもあのデカブツの事を見てみると、ホントにおっきいわね…。

 

下半身はキャタピラー付きの戦車みたいなヤツで、上半身はモビルスーツのモノで、どちらもかなりの重装甲。

 

両腕に取り付けてるのってグレネードランチャー?それともバズーカかしら?どちらにしても百式のクレイバスーカよりもかなり大口径のグレネードかバズーカね。

 

他にパッと見ただけでも、機体のあちこちにガトリングガンやキャノン砲がいっぱい付いてるのが分かるわ…。

 

あとはさっき私の事を追い回して来た小型ホーミングミサイルだってあるのよね…。

 

あの全身に取り付けてある火器から放たれる攻撃がどれか1つでも直撃したら、素組で装甲の薄い私の百式なんて簡単に消し飛んじゃうわ。

 

初めは宇宙で戦車モドキとかふざけてるの?って、思ったけど、実際に相手にしてみるととんでもないバケモノだったわね…。

 

[[……この後ろの部分…これがホーミングミサイルの発射口だよね。……ここなら……うん。今ある手持ちのデータから推測される戦車のオバケさんの装甲強度。そこから計算すると、このホーミングミサイルの発射口なら耐ビームコーティング処理がしてあっても、穂乃果先輩のランチャーストライクのアグニでならなんとか貫けるかも…。]]

 

「小泉さん?高坂先輩のアグニであのデカブツの装甲を貫けるってホント!ホーミングミサイルの発射口…機体の後側のこの部分ね!ここなら貫ける……行くわよ!高坂先輩!私の手で直接ヤれないのは残念だけど、あのデカブツに引導を渡してやるんだから!」

 

[[ちょっと待って!西木野さん!今のはあくまでも可能性の話です!西木野さんから貰った戦闘データだって、直接交戦した時の詳細なデータじゃないから…。せめてあの戦車のオバケに一撃でも攻撃が当たったデータがあれば、もっと正確な装甲の推定値が出せたんだけど……。]]

 

うっ……確かに私はまだあのデカブツとろくに戦えてないし…。

 

さっきはデカブツの辺り一面を覆い尽くしたホーミングミサイルの先制攻撃で諦めちゃったから、一撃入れる所の話じゃなかったし…。

 

「でも……私は可能性があるなら試してみたいわ!私だけじゃあのデカブツには勝てない……だからお願い!高坂先輩!小泉さん!星空さん!あのデカブツを倒すために私にみんなの力を貸して!」

 

一人じゃ手も足も出ないで諦めちゃったけど…みんなが助けに来てくれて生き残れた…。

 

みんなが協力してくれたなら、あのデカブツとも戦えるかもしれない…。

 

でも……みんなはこんな私に力を貸してくれるのかしら…?

 

頑固で意地っ張りで無愛想な私なんかに……。

 

[[なに当たり前のこといってるの、真姫ちゃん?今日の穂乃果達はチームなんだよ!仲間にきょーりょくするなんて当たり前だよ!みんなで一緒に戦車のオバケをやっつけるぞー!おー!]]

 

っ!高坂先輩?!

 

[[仕方ないにゃ。こうなったら気合い入れて凛とベニャッガイがデカブツにキツい一撃をぶちかましてヤルにゃ!]]

 

星空さん!

 

[[西木野さん。花陽なんかでどれくらい力になれるか分からないけど、花陽も西木野さんと一緒に行きます!]]

 

小泉さんも!

 

「高坂先輩…星空さん…小泉さん……その、あの…あ、ありがとう……。」

 

ありがとう……か。

 

そんな言葉、家族以外に使ったのは久し振りだわ…。

 

ずっと一人の方が気楽で良いって思ってたけど、一人じゃないってのも案外悪くないかもしれないわね…。

 

「さぁ!行くわよ!みんな!デカブツを張り倒してやるんだから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[みんなできょーりょくして戦車のオバケをやっつけに行くのはいーけど、どうしようか?やっぱり穂乃果のアグニで決めちゃう?]]

 

[[あのデカブツはさっきから動いてないにゃ。やっぱりキャタピラー付きの戦車を宇宙で動かすなんて無理があったんだよ!めちゃくちゃな火力にさえ気を付ければ、あとはみんなで囲んでボコボコにできそうにゃ!]]

 

そう言えば星空さんの言う通り、レーダー上のあのデカブツの反応はさっきから動いてないわね。

 

いくら上半身がモビルスーツでも、下半身はキャタピラー付きの戦車。

 

移動方法がキャタピラー移動なんだから、地上ならそれなりの機動力だったんでしょうけど、宇宙じゃまともに動けないんでしょうね。

 

「動いてないならあの火力さえなんとかすれば、あれだけ大きな図体してるんだから、攻撃を当てるのは難しくはないわ。問題は……」

 

[[アグニで仕留めるなら穂乃果先輩がどうやって近付くか。だにゃ!]]

 

そう。問題はそこよ。

 

仮に高坂先輩のアグニでホーミングミサイルの発射口の装甲を貫けるんだとしても、ランチャーストライクの機動力じゃデカブツの弾幕をくぐり抜けるのは厳しいわ…。

 

直線的な射撃を避けるのはそんなに難しくないけど、こっちを追尾してくるホーミングミサイルって私の百式でも避けるのが難しいのよね。

 

[[そこで花陽の出番です!ストレージ!オープンですよ!]]

 

そう言って小泉さんがジムの武装領域(ウェポン・ストレージ)から取り出したのは地味な見た目の一枚の大きな布…。

 

デカブツの攻撃を避けるのにあの布ってなんか関係あるの?

 

[[にゃ?かよちん、その布ってなんだにゃ?]]

 

[[ふっふっふー!よくぞ聞いてくれました!これはその名もズバリなステルスマントですよ!ステルスマント!ステルスなマントなんです!]]

 

[[すてるすまんと?ねー、はなよちゃん。すてるすまんとってナーニ?]]

 

[[はい!ご説明しましょう!このステルスマントはその名の通りあらゆるステルス処理を施した隠密行動用の素敵なマントなんです!なんとびっくり!このマントを羽織るだけで、色んな種類のセンサーやレーダーからほぼ完璧に逃れることが出来るんです!]]

 

「な、なんかあっさりスゴいモノ出して来たわね…。ねぇ小泉さんソレって結構な鬼畜性能なんじゃないの?」

 

[[はい!とっても素敵な鬼畜アイテムなんです!と、言いたい所なんですけど、レーダーに写らなくなるだけなんで、目視で確認されちゃったらおしまいなんですよ…。ホントなら光学迷彩も付けたかったんですが、残念ながら私の技術じゃまだそこまでは再現できませんでした…。レーダーから消えて光学迷彩で目視も出来なくなっちゃえば、一方的に奇襲も待ち伏せもし放題な素敵な鬼畜アイテムになったんですけど…。]]

 

「イヤイヤイヤ!レーダーから消えるだけでも十分に脅威よ!そのステルスマント?だったかしら?色も地味な色なんだし、宇宙でなら目立たないんじゃないの?レーダーから消えるなら、それを高坂先輩が使ってデカブツの機体の後側に回り込めば…。」

 

[[おぉ!それならなんか行けそうだにゃ!さっき凛のベニャッガイを真っ黒コゲコゲにしてくれやがった、ホーミングミサイルの発射口を後からこっそり近付いてブスッと一撃だにゃ!]]

 

[[はい!あとは穂乃果先輩が気付かれない様に花陽達で上手く陽動出来れば…。]]

 

「陽動、ね。正直、あのデカブツの頭のオカシイ火力を相手に陽動とか、かなり命懸けになるわね…。でもまぁ…ここまで来たらヤルしかないでしょ!行くわよ!小泉さん!星空さん!私達三人であのデカブツを釘付けにしてやりましょう!それと…高坂先輩!私達みんなの命運、先輩と先輩のランチャーストライクに託すわ!」

 

[[ヤってやるにゃ!]]

 

[[はい!戦車のオバケ撃退作戦の開始です!]]

 

[[うん!戦車のオバケをやっつけるのは穂乃果におまかせだよ!………ねー、真姫ちゃん?さっき言ってた“めーうん”ってナーニ?新しいラーメン?]]

 

[[ラーメン食べたいにゃー。]]

 

[[花陽はおにぎりが食べたいなぁ…。]]

 

…………ホントにこの人達と一緒で大丈夫なのかしら?

 

なんか不安しかないわ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星空さん!またバズーカが来るわ!お願い!」

 

[[ばっちこいにゃぁぁぁ!アイタ?!ゴイーンって来たにゃ!機体にダメージ無くてもイタイにゃぁぁぁ!]]

 

[[凛ちゃん!痛いの今は我慢して!あっ!次はホーミングミサイルが来ます!えーっと、弾道予測、弾道予測…アレがコレでコレがアレ……うん!データ解析完了です!西木野さん!ホーミングミサイルの弾道予測データを送ります!マーキングされてるミサイルを順番に撃ち落として下さい!]]

 

「了解よ!任せなさい!それにしても!次から次にホントしつこいわね!忙しいったらないわ!来たわね…まずはそこよ!墜ちなさい!」

 

小泉さんから送られてきたホーミングミサイルの弾道予測データをサブモニターで確認した私は、IFSを通して自分の意思を百式に伝える事で機体を操り、ランダムな軌道で回避運動を行いなから手にしているビームライフルで、小泉さんが解析して指定してくれたホーミングミサイルを順番に撃ち落としていったわ。

 

さっきから小泉さんが解析してくれたデータってホントに的確よね。

 

高坂先輩がアグニて凪ぎ払った時の大規模な誘爆と違って、今度は撃ち落としたミサイルは回りの他のミサイルを上手い具合に巻き込んで小規模に誘爆していくわ。

 

[[穂乃果せんぱーい!まだかにゃぁぁぁ!]]

 

「時間的にはそろそろじゃないかしら?もう少しだけ頑張るわよ!」

 

高坂先輩のランチャーストライクがステルスマントの効果で、機体の反応がレーダー上から消えてからもう結構な時間がたったわ…。

 

私と小泉さんと星空さんの三人は陽動の為にデカブツの正面から攻撃を仕掛けてるんだけど、私の百式と星空さんのベニャッガイが放つビームは装甲の表面で着弾と同時に簡単に弾かれちゃうし、小泉さんのマシンガンも当たっても装甲にかすり傷さえ付ける事も出来ないし。

 

予想はしていたけどホントに星空さんのデカネコ並に厚い装甲してるわね!

 

素組や無改造でも基本的に攻撃力の高いビームサーベルでなら、耐ビームコーティングとかの防御アビリティがあっても、攻撃が通るんでしょうけど、そもそもあれだけ盛大に弾幕を張られてちゃ接近する事が出来ないのよ!

 

[[ホント、予想以上の火力でしたね!このままじゃいくら凛ちゃんのベニャッガイの装甲でも、いつかは削りきられちゃいますよ!]]

 

[[大丈夫!ベニャッガイはまだまだ行けるにゃー!]]

 

[[凛ちゃんが大丈夫でも頭の“アレ”は大丈夫じゃないかもなんだよ!お願いだから今日はバズーカの弾に頭突きとかはヤメテよ!胴体の装甲だって頭と同じ強度なんだから、受けるならそっちにして!]]

 

「今日はって、普通はバズーカの弾に頭突きなんてしないモノよ!ほら!またそのバズーカが来るわよ!星空さん!」

 

[[誘爆が怖くてベニャッガイはヤってられないにゃー!何発でも頭突きで受け止めてやるにゃ!にゃぁぁぁ!またゴイーンって来たぁぁ!やっぱりイタイにゃぁぁぁ!!]]

 

「だから痛いだけで済むのがオカシイのよ!」

 

[[あっ!レーダーに反応?!穂乃果先輩です!やった!あの位置からなら!]]

 

「待って!高坂先輩の後ろに反応がもう一つ?!あ!」

 

百式のメインモニターに写し出されたのは、デカブツとは反対方向に向かって発射された赤いビームの光……。

 

[[そんな…うそ…だよね?……穂乃果先輩の反応が…消えちゃった…?]]

 

本来の狙いであるデカブツとは真逆の方向に直進して行ったアグニの赤いビームが収まると、すぐに大きな爆発が二つ起こったわ。

 

さっきまでレーダー上にあった反応は三つ。

 

残ってる反応は一つ……最初からあったデカブツの反応。

 

消えた反応の一つは高坂先輩の後ろに表れた敵機を示す赤い光点。

 

もう一つの消えてしまった反応は友軍を示す青い光点。

 

つまりは高坂先輩のランチャーストライクの反応……。

 

[[にゃ?かよちん!西木野さん!穂乃果先輩から遺言メールが来たにゃ!“やられちゃった!ゴメンねー!でも後からきたのはやっつけたよ!”だって!]]

 

「遺言?高坂先輩、ヤられたって遠目から見た限りじゃ、完全にデカブツの不意を付いて奇襲したはずよね?あれ…後から来たって……あ…あぁぁぁぁ!お、思い出したわ!さっきのもう一つの反応!そうよ!そう言えばあいつらって三機編成だったわ!」

 

[[えぇー!三機編成?!西木野さん!花陽はそれは聞いてないですよ!作戦を立てるにも戦車のオバケさんが単独って前提が最初から違ってたんだ…。レーダー上に反応がいきなり表れたなら最後の1機もステルスマントみたいな隠密行動用の装備を持っていたのかな…。]]

 

[[いよいよ切羽詰まってきたにゃ……。]]

 

「ホントにゴメン!すっかり忘れてたわ…。こんなミスなんて私らしくないわ…。もう!きっと高坂先輩のアホがうつっちゃったんだわ!」

 

高坂先輩……あれだけ任せてとか言ってたのにヤられちゃったんだ…。

 

………変な先輩だけど、頭の中身が残念な先輩だったけど…一緒に居て決して不快な人じゃなかった…。

 

そうよね。先輩の仇は討たなきゃ…。それが死んじゃった先輩に私がしてあげられる唯一の事よね…。

 

「小泉さん、星空さん…行くわよ!高坂先輩の敵討ちだわ!……とは言っても、これからどうしようかしら。私達の射撃武器じゃあの分厚い装甲にはまともなダメージは入んないし…。もうデカブツを倒すには、あの弾幕を掻い潜ってビームサーベルで接近戦でもするしかないわね…。」

 

[[あの弾幕を掻い潜ってビームサーベルで接近戦?!む、む、む、無理です!花陽にはそんな事は無理ですよ!]]

 

でしょうね…。小泉さんの戦闘の様子を見る限り、解析や分析、援護なんかのサポートは得意そうだけど、直接戦闘は…特にビームサーベルとかを使った近接格闘戦は苦手そうだものね。

 

小泉さんって操縦が丁寧だから狙って撃つ射撃系の攻撃は上手いんだけどね。だから近接戦闘が苦手だってのはちょっと勿体ないわ。

 

[[かよちん…西木野さん…なんにも問題ないにゃ……。今度は凛に任せて欲しいにゃ!いよいよ凛とベニャッガイの究極奥義を見せるときが来たんだにゃ!]]

 

[[究極奥義って凛ちゃん?まさか!“ファイナル・ベニャッガイ”を使うつもり?!ダ、ダメだよ!アレは最終手段なんだよ!アレを使ったら!]]

 

[[そうだよ!“ファイナル・ベニャッガイ”は最終手段なんだよ!だからこそ、今!命より大切な仲間の為に使うだにゃぁぁぁ!]]

 

「星空さん!待ちなさい!あなた!ナニするつもりよ!」

 

星空さんは“にゃぁぁぁ!”って雄叫び?を上げながら、急にデカネコのバーニアを全開で噴射してデカブツに向かって突撃して行っちゃったわ!

 

[[西木野さん!かよちんの事をよろしくメカドックだにゃぁぁぁ!]]

 

「え?え?え?ねぇ!ちょっと!ナニが起こるのよ!小泉さん?!星空さんはナニするつもりよ!ってかよろしくメカドックってナニよ!」

 

[[西木野さん……凛ちゃんは…凛ちゃんは…ベニャッガイと一緒に命を燃やして燃え尽きるつもりなんです…。戦車のオバケさんを巻き込んで…。ぶっちゃけちゃいますと“ファイナル・ベニャッガイ”はベニャッガイの大きな空っぽの頭に大量に詰め込んだ爆薬を使った自爆技なんですよ。]]

 

はぁぁぁぁぁ?!自爆ぅぅ?!“ファイナル・ベニャッガイ”ってそう言う事だったのね!

 

自爆…確かに“ファイナル”だわ…。

 

「ちょっと待ちなさいよ!そんな事したら!星空さんまで死んじゃうわ!止めなさいよ!お願いだから自爆なんてしないで!まだ何か手があるはずよ!だからお願い!死に急がないでよ!」

 

ダメ!絶対にダメ!このままじゃ星空さんが、また私の“仲間”が死んじゃう!

 

もう私は“仲間”が死ぬところなんて見たくないのよ!

 

[[“ファイナル・ベニャッガイ”はもう止められないにゃ…。凛とベニャッガイの生きざまをみやがれだにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!]]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?




皆様。ご覧いただきありがとうございました!
難攻不落の要塞の様なデカブツに苦戦中の真姫ちゃんですが、彼女は果たして勝てるのでしょうか?
凛ちゃんの自爆の結果は?
戦いの果てにあるものとは…。

次回、第5話「START:DASH!!」そのきゅう てん ご③ をお待ちください!

次回こそはもう少し早く更新したいです…。


それでは皆様、改めまして本日もご覧いただき本当にありがとうございました!
皆様のご意見、ご感想をお待ちしております!

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