ポケットモンスター〜こんなピカチュウは嫌だ〜   作:ディア

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第3話

ハナダシティ。ここのジムはかなり異色であり、あるものはポケモンショーを見に、あるものはサクラ、アヤメ、ボタンのハナダ美人三姉妹を見に、そしてあるものはハナダジムのジムリーダーでもある三姉妹と戦う為に集まるのだ。その為ハナダジムは観光客のスポットとなっていた。

 

 

 

しかし今日に限り数名を除き、ハナダジムに人が来なくなっていた。

 

「こんにちは! ジム挑戦にしきました!」

 

その理由は言わずもがな。とあるジムの挑戦者が現れたからである。

 

その挑戦者の名前はマサラタウンのサトシ。一見するとこのトレーナーは普通のように見えるが後ろにいるピカチュウを見ればかなりの変わり者だとわかるだろう。

 

『ここがハナダジムか』

 

カイリキーすらも凌ぐほどの筋肉を持つピカチュウことYTPがそう呟き、ハナダジムの中へ入る。ハナダジムに人が来なくなった元凶である。

 

「はぁ〜やっとついた……」

 

 

 

そしてその後ろにいるのはニビシティのジムリーダーだったタケシ。

 

彼はYTPがむちゃくちゃな行動を取らないかどうか監視するためにニビシティのジムリーダーを辞めてきたのだ。いや辞めさせられたというべきだろう。ポケモンリーグの調査委員会はYTPのめちゃくちゃな行動を見てタケシが監視しなければジムを取り潰すと脅し、タケシはそれに屈した。

 

ニビジムは弟に任せても父親が帰ってきたので何とかなるだろうがこのポケモンを監視するくらいならばジムを経営している方がマシだと感じていた。

 

 

 

要するに原作補正という奴である。

 

 

 

「あらいらっしゃぃ……?」

 

ハナダジムのジムリーダーの一人であるサクラがYTPを見て唖然としてしまう。

 

「(ああ……俺にもそんな場面があったな)」

 

タケシはそれを見て自分の時を思い出す。

 

「姉さん、一体……ひいっ!?」

 

「何よこの化け物!?」

 

『ポケモンだ。ちなみにピカチュウだ』

 

「「「「「お前(あんた)のようなピカチュウがいるかーっ!!」」」」」

 

その場にいた全員が突っ込んだ。ピカチュウと言えば女の子受けする程可愛らしい存在でゴリゴリマッチョではない。こんな、ゴーリキーがピカチュウの着ぐるみを無理やり着たような奴はゴーリキーといっても間違いなく通じるだろう。

 

『サトシ。そういえばオーキドからポケモン図鑑を貰っていたはずだ。それを使えば我がピカチュウだとわかるはずだ』

 

「はぁ……わかったよ」

 

そしてサトシがポケモン図鑑を取り出し、YTPにそれを当てる。

 

 

 

【ピカチュウ でんきネズミポケモン】

 

無機質な解説の声がその場にいる全員に悲報を告げる。

 

『これでわかっただろう。我がピカチュウだということを』

 

「嘘だどんどこどーん」

 

「こんな現実ってないわよ……」

 

「ピカチュウってこんなにマッチョなわけがないもの……」

 

三姉妹の咽び泣く声がハナダジムに響き渡る。

 

 

 

「(はぁ……本当にピカチュウだったのね)」

 

そのやりとりをこっそりと見ていたサクラ達の妹、カスミ。彼女は一度家出していたのだ。しかし前方不注意により、YTPに自転車を壊されてしまった。八つ当たり気味にサトシに弁償するように求めるがその場でくつくつ笑うYTPがあまりにも不気味すぎてその場から離れた。誰だって筋骨隆々のピカチュウが不気味に笑えばそうなるだろう。

 

 

 

しかし彼女はその後も諦めずサトシの後をつけ、隙を見計らって請求するつもりだった。だがニビシティでいわタイプ──じめんタイプ──のポケモンに相性が不利なでんきタイプの技で倒してしまったのだ。いわタイプであのザマである。でんきタイプに相性の良いみずタイプのポケモンが喰らったらオーバーキルも程々にしやがれ!と言わんばかりにやられてしまう。それどころかカスミ達姉妹が使うみずタイプのポケモンがでんきタイプと戦えなくなるくらいのトラウマが出来てしまう。

 

 

 

もちろんカスミがサトシの後をつけていたことはYTPにはバレバレで鬱陶しい蝿程度にしか思っていなかったがこの際どうでもいいだろう。

 

 

 

『それよりもジム戦はするのか? しないのか?』

 

YTPの指摘によってビクリと三姉妹全員の肩が震え、泣き声が止まった。代わりに身体から出てくるのは滝のような汗だった。

 

「ひょっとして……そのピカチュウ使うの?」

 

「当たり前だよ。このピカチュウを使いこなさないとポケモンマスターになんかなれないよ」

 

「あ〜そう……残念だけどマサラタウンから来た三人に私達のポケモンはやられちゃったのよね。回復もまだ出来ていないし」

 

サクラが全く残念そうに言わず、首を振った。

 

「使えるのもこのポケモンだけなのよ」

 

モンスターボールから出てきたポケモンはトサキント。コイキングでも展開次第では勝てそうな程、こいつは弱い。

 

「それじゃバッチは? このままハナダジムで待つことになるの?」

 

「ほらこのブルーバッチあげるから、今日のところは帰って……ね?」

 

そう言ってボタンが無理やりサトシにバッチを渡すとYTPが落とした。

 

『サトシよ。こんな温情でポケモンマスターになれると思っているのか? 思わぬよな?』

 

YTPが、Yesかはいと言わなければ殺す! と言わんばかりに威圧し、サトシに詰め寄る。

 

「は、はい! 全くその通りであります!」

 

『ではやろうか』

 

ガシッ!

 

YTPがトサキントの尾ひれを掴み、プールの方へと歩く。

 

「「「その子だけはダメェーっ!!」」」

 

それを見た三姉妹はYTPにしがみついて止めようとするも暖簾に腕押し、馬の耳に念仏。まさしく無駄だった。

 

『小娘ども。退かねば全身全霊を込めたじしんを引き起こしてこのハナダジムを崩壊させるぞ』

 

じしんはじめんタイプの技でありでんきタイプのピカチュウが覚える技ではない上、ハナダジムはプロの建築者が設計したジムでありじめんタイプのポケモンがじしんを使ったとしても問題はない。だがこのYTPはハナダジムを崩壊する程のじしんを引き起こすだろう。タケシは自分のニビジムが壊されなくてよかったと思うが、今ハナダジムを崩壊させられたら監視の意味がない。

 

ハナダジム崩壊→監視していなかったと判断される→ニビジム取り壊し→弟妹達が飢える

 

 

 

というタケシの脳内がその図式をよぎり、YTPの前に立ちふさがった。

 

「待て!ここから先はどおっ!?」

 

通さないぞ!と言おうとしたがYTPは関係ないと言わんばかりにタケシをぶっ飛ばし、プールの方へと歩く。

 

 

 

「(どいつもこいつも、役立たずばかりなんだから!)」

 

カスミはサトシ達のあまりの不甲斐なさに、自分がやるしかないと腹をくくってYTPの前に現れた。

 

「それならあたしが相手になるわ」

 

姉達とは違い、冷静にそう言い腕を組んだ。そうでもしなければ自分が怯えている情けなさに自分の心が折れ、サトシ達の二の舞となる。

 

「か、カスミ!?」

 

「えっ!? 誰?」

 

「私達ハナダ美人三姉妹にはもう一人姉妹がいたの…それがカスミ。あの子なの。でもあの子はある日家出したのよ…」

 

「家出? どうしてそんなこと?」

 

「それは私が説明するわ。姉さん達が私に雑用なんかの裏方の仕事を押し付けまくったからよ。そのおかげで姉さん達は綺麗になれるのに私にはもっと綺麗になりなさいとかそんな感じのことを言ってくるのよ?バカじゃないの?それが嫌になって家出したってわけ」

 

『ようするに嫉妬か?』

 

「そうかもね。姉さんがチヤホヤされているのが気にくわない。それが嫌で家出したのかもしれないわ。」

 

『はっきりせん奴だ』

 

 

 

「るさい! それよりも私と勝負して条件付きで勝ったらブルーバッチをあげるわ」

 

「条件?」

 

「ええ。そのピカチュウに制限を設けさせてもらうわ。まず北斗やらなんやらポケモンの技ですらないものを使ったら反則負け。でんきタイプの技を使っても反則負け。ここまではいいわね?」

 

『ニビジムのジム戦を見ていたのか……面白い』

 

「だ、大丈夫なのか?」

 

『サトシ、制限がついた状態で戦うというのも悪くないぞ。むしろジム戦でそのくらいのことをしなければポケモンマスターになれん』

 

「……まあそういうならいいけど」

 

「そして最後! 場外に出たら負け!この条件を飲めないっていうならバッチは渡さないわ!」

 

『我を場外負けさせると?面白い、やってみろ』

 

「よし決まりね! それじゃついてきて」

 

カスミはうまくいったと内心ほくそ笑んでいた。あのピカチュウはよほどのことがない限り戦闘に関してあまり干渉しない。こちらは場外負けはない。しかし向こうには場外負けがある。それをいかに生かすかを考えていた。

 

 

 

▲▼▲▼☆☆☆☆▼▲▼▲

 

 

 

プールについたサトシ達。プールの上に板が張られ、そこに乗ることでプールの波が出来上がり、揺れる。しかしこの程度で動じるYTPではない。

 

「それじゃ行くわよ!出てきなさい! ヒトデマン!」

 

「シュワッ!」

 

カスミが出したポケモンはヒトデマン。名前の通りヒトデのようなポケモンだ。ちなみに雌の場合でもヒトデマンである。どうでもいい。

 

「ヒトデマン、プールの中に潜りなさい!」

 

「シュワッ!」

 

ヒトデマンはプールの中に潜りこんでしまい、サトシはそれを見て動揺した。

 

「プールの中に潜るなんてありかよ!?」

 

「ありよ。姉さん達も普通に使う手段よ」

 

「汚ねえ奴……」

 

 

 

『サトシ、じしんが起これば津波も起こる…我が言いたいことはわかるな?』

 

サトシはその言葉を理解し、サトシ満面の笑みとなった。

 

「わかったよ! じしんだ!」

 

『行くぞっ!』

 

YTPが前に宙回転しながら空を飛ぶ!そしてある一定以上の高さから板を目掛けて落下する。

 

 

 

ところで読者の皆さんはストローの原理をご存知だろうか?ジュースにつけたストローの空気を吸うことでストローの中の空気がなくなりジュースが飲めて、ジュースが減っていく。これは誰でもわかるだろう。しかしそれには限界がある。限界点は液体によって様々だが水をストローで吸う場合、水から離れて11m以上の高さからは吸えなくなる。

 

これには大気圧の影響を受け、そうなっているのだ。大気圧は空気の圧力のことであり、器に入っている液体などを下に押す力でもある。理論で言えば大気圧が大きいほどストローで吸える高さも増幅する。

 

 

 

では逆にその押す力が一点に集中しかつ一気に増したらどうなるだろうか?

 

 

 

結論は他の部分が一定の高さまで上がる。ただしそれはずっと維持していたらの話で元に戻ろうとする力も働く為、波が出来、結果的にじしん(つなみ)となる。

 

 

 

話を戻そう。YTPのじしんによってプールの水は外に流れ、ヒトデマンの姿が丸見えとなった。

 

「今だ!ピカチュウ!でんこうせっかだ!」

 

『さらばヒトデマン。貴様のことは二秒くらいは忘れん!』

 

そしてYTPのでんこうせっかが決まった。

 

 

 

『小娘。次はどうした?』

 

「うっ、くくく……降参よ! 降参! 水がなきゃ戦えないもの」

 

『だそうだぞ?』

 

「やったぁっ! ブルーバッチゲットだぜ!」

 

こうして二つ目のバッチを手に入れたサトシは次の街へと向かった。

 

 

 

ちなみにまいどおなじみロケット団達はサトシ達がいない隙を見計らってハナダシティで盗んだ道具を使い、YTPに襲撃したがYTPに小細工が通用するわけもなくあえなく返り討ちにされ、ボロボロになっているところでジュンサー達に逮捕されたそうな。




ちなみに言い忘れてましたがこのピカチュウのモデルはワリオワールドのレッドパンツジョニーという中ボスキャラです。作者が攻略するさいに一ヶ月以上もかけてようやく倒せた相手です。

次回は多分マチス戦。
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