「いやはや、お久しぶりですねぇ、ササキさん」
「はい、お久しぶりです、カムイさん」
僕は今、学長室にカムイさんと2人でいる。カムイさんに呼ばれて、今は2人で話しているんだ。
「本当に申し訳ありません、貴方の事情を知っていながら招待してしまいまして」
「大丈夫です。ある人に、上手く誤魔化して貰ってるので」
「ふむ、それならいいのですが、くれぐれも、暴走しないようにお願いしますよ」
「分かりました、では」
学長室を後にし、指定された教室へ向かう。僕は時々、夢を見る。もう一人の自分が、僕へ語りかけてくる。だけど、怖い、彼を知ったら、どうなるのか、それが怖い。考えている内に、僕の教室、カズノコ組へとやって来た。僕は教室の扉をノックし、入室する。
「遅れて申し訳ありません、少し、お話をしていたもので」
「いや、構わない。ようこそ、『カズノコ組』へ。このクラスの担任を努めさせてもらうクライヴ・ローウェルだ。学長から、君が伝えることがあると聞いたのだが」
「はい、では。先ほど自己紹介をしましたがもう一度、ハイセ・ササキです。僕は今日、皆さんと同じ入学生ですが、カムイさんのお願いで僕も教鞭を取らせて頂くことになりました」
教室がざわめき出す。それはそうだ、今日入学してきた者が教師などありえない。
「皆さんの気持ちも分かります。ですが、これだけは言えます。僕は冒険家としては皆さんより経験も積んでいます。なので、役に立つことを教えたいと思ってます」
「では、ヨシュア君、冒険家にとって必要な事は何かな?」
僕は、以前知り合った、ヨシュア君を指名する。
「えっ、えっ?冒険家にとって、ですか?えっと、強くなる事ですか?」
「そうだね、それもあるけど、今の回答は15点だよ」
「じゅ、15点、ですか」
「一概にも、強さだけじゃどうにでもならない時がある。それは僕が1番良く知っているからね。答えは、無い、が正しい」
「な、無いんですか!?」
「そう、無い、強さが正しい、知性が正しい、何てのは昔の話、どちらかが、また、全てが正しいとは限らないからね。だから、僕が教えるのは、僕が経験してきたこと、全てさ」
いつの間にか、教室の人たちの視線が、ハイセに釘付けになっていた。今のハイセの教えは、全員の心に響いていたのだ。
「色んな職業があるよね?僕は一応、全て扱えるんだけど、そのノウハウを教えるつもりだよ。後、体術。皆さんも経験があると思う。敵の攻撃が避けられない時が、そんな時でも、体術が役に立つ、女性でも出来るから、是非頑張って欲しいと思っています」
「そして、戦略、冷静さを失ってはダメだからね。こういう時、こういう戦略があるって事を知っておいて欲しいと思ってます」
担任であるクライヴでさえも、ハイセの言葉に、唖然としてしまっていた。
「そして、最後に注意が2つ、一つ目、『手足を捥がれても逃げろ』…生きてさえいればチャンスは何度でもある。命を落とせばどうしようもないんだ。二つ目、『最強より最高を目指すべし』…最高の前では全てが霞んで見えてしまう、だから、強さだけを求めないで、周りから認められる、そんな強さを手にして欲しい。以上、これで僕のお話は終わりです」
ふぅ、と息を吐いた瞬間、教室から拍手が上がる。これには流石に予想してはいなかった為に、ハイセはビックリしていた。
「素晴らしい講義だった。では席へ座ってくれ」
クライヴさんの言う通り、僕は席へ座ることにした。
「では、まずはこのクラスの学級長を選出したいのだが……」
「僭越ながら、この私が」
ブロンドで、良く手入れをされた綺麗な髪の少女が立候補した。
「待ってくれ、シャルロット殿。皆の意見を……」
「カムイ学長から、直々に任命されておりますので」
それはマズイと、ハイセは思った。何故ならその少女のことを良く知っているからこそ、マズイと判断したのだ。
「……そうか。みな、どうだろうか?意義がある者は挙手をしてくれ」
「学級長ってな〜に〜?」
「皆の纏め役のことだよ」
等の会話が少しあった。今しかないと思いはハイセは手を上げる。
「はい」
「おぉ、ハイセ殿。何か意見が?」
「えぇ、副学級長には、僕がなります」
「ほぉ、それはどうして」
「シャルロットさん1人では出来ないことは僕が補助をする形がいいと思ったので」
「そうか、だが、もう少し…」
「クライヴ先輩、決めるべき事項はまだ山積みです。余計な問答は時間の無駄。迅速に決定して参りましょう」
「あ、ああ……」
流石のクライヴでも、シャルロットの言葉の圧に、素直に従うしかなかった。
「それでは、続いて学校での係を割り振っt「ハイセ!」えっ?」
窓を見ると、黒い竜が空を飛び、ハイセの名を叫んでいた。
「ど、どうしたの?ラーシュ、そんな大声で」
「魔物だ。それもかなりの数だ」
『えっ!?』
教室の皆も、驚愕していた。
「わかった、皆、窓から見ていて、今から、講義の時間だよ」
窓から黒竜の背に乗り、グラウンドに降り立つ。降りて森の方を見ると、魔物の大群が群がっていた。
「うん、これは凄い数だね」
「我の介入は?」
「僕1人でいけなくはないけど、講義の時間だし、1人と1匹の戦略を見せてあげよう」
「了解した。我が主よ!」
「いくよ、ナルカミ、IXA」
ハイセは、変わった形の剣と、黒い槍を魔法陣から出現させる。そして、魔物の大群へ向かって走り出す。
「ナルカミ、形状変化」
ナルカミ、と言われる剣が変形し、小さな大砲の様な形になる。そして、雷を発射する。
「くらえ、我が炎!」
竜が黒い炎のブレスを魔物に向かって発射している。それだけで、魔物の大半は消滅している。
「ナルカミ、形状変化」
ナルカミを変形させ、魔物を斬り伏せ、
「IXA」
黒い槍の切っ先が、1部消滅し、地面から黒い柱が現れる。
「さて、粗方片付けたから、剣の講義だね。剣は適当に振るだけじゃダメ、我流な剣や型に嵌った剣も、強大な敵の前では全て無に等しい。だから」
ハイセが剣を構え、魔物が攻撃をした瞬間、
「相手の流れを読み、そこに一撃を入れる」
ウッホのハンマーを仰け反り、そのまま斬り伏せる。
「そして槍、隙が大きいこの武器は、当てるのは難しいだろう。だけど」
ミノの斧を、IXAで弾き飛ばす。
「槍は、他の武器もそうだけど、色んな工夫次第で戦況を変えられる。そして、刺す!」
ミノをIXAで刺し、消滅させる。
「これにて、講義は終了だよ」
ハイセの講義が終わり、ハイセは武器をしまい、学校に向かって歩き出した。
有馬さんの武器を持たせました。色んなクインケがあるけど、やっぱりこれかなと思いました。