歩けばスキルが手に入るチート魔導書を手にしてしまった俺は勝ち組   作:青猫ハマト

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第5話

 「ヤバいな」

 

 戦闘を開始して、もう小一時間経っただろうか。

 相手は全く疲れていないのに対し、此方は疲れきっていた。

 アルカディアは、次の手を模索するかのように此方の様子をうかがっている。

 シンは、HPが残り1割をきったことを確認し、最後のポーションまで使いきった。

 これで、シンに回復手段は残されていない。

 124本もあったポーションを使って、相手のHPは2150。

 まだ、850しか減らせていない。

 このペースでは、絶対に負ける。

 ただのゲームであればポーションが100本になったところで、諦めてデスペナ付きの死を選んだだろう。

 そう。只のゲーム、であれば。

 生憎、これは只のゲーム等ではない。

 プレイヤーはいわば、人質のような物だ。

 この空間からさっさとでるのに、一分一秒でも惜しみたくない。

 だから、勝つ。

 負ければ、このゲームから存在が除去される。

 勝つしか道はのこされていないんだ。

 

 アイテムストレージを見る。

 剥ぎ取り用ナイフが2本、魔法袋。そして、耐久力が80減った剣。 

 魔導書はリンに預けてある。

 今更となって、魔導書があればもうちょっと楽になったんだろうなと思ったが、無いものねだりはしても意味がない。

 ドラゴンキラーの剣を再び構える。

 目の前の敵はまだまだ余裕だ、とばかりに強がって見せる。

 いや、実際に余裕なのだろう。

 どうやって倒すかを必死に考える。

 まず、正攻法では勝てないだろう。

 あれだけのポーションを使い、減らせた割合があれだ。 

 どうやっても勝てる気がしない。

 では、どうするか。

 正直なところ打つ手は無い。

 まさに八方塞がり、万事休すだ。

 そう、自分だけならば。

 決して安くないポーションを使って今まで待ったのには理由がある。

 理由を説明するにはまず、このゲームの進行状況について、説明しなければならない。

 

 このゲームで間接的な死刑宣告をされ、小一時間経ったあたり。

 その死刑宣告をした人間から全プレイヤーに宛ててメッセージが送られた。

 内容は、このゲームを有利に進めて行く方法を書いた書物を配布するとのことだった。

 最初は怪訝に思っていたプレイヤーだったが、書かれた通りにやって見ると、よい結果が生まれたため、一気に書物は普及し、その通りに動く人は半分を越した。

 そして、その本にはこう書かれていた。

 ゲーム時間、2の倍数時間が経った都度、竜種モンスターの能力は低下する。その時を待ち、狙うべし、と。

 

 そう。

 それが狙いなのだ。

 竜種能力の低下、それを聞いた人々は一目散に竜種を狙う。

 その中でもアルカディアは竜種の中でも最弱である。

 さらに、アルカディアは序盤では、ここでしか現れない。

 するとどうなるか。

 人々は我先にと、アルカディアを狙うだろう。

 今はゲームが始まって1時間58分。

 つまり、後二分耐えれば大人数での競争型討伐が訪れる訳だ。

 そして、恐らくそこに魔導書を持ったリンも現れるだろう。

 そうなれば此方の勝ちだ。

 シンは敗北目前となったアルカディアに対して笑みを見せた。

 

 

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