ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地 作:赤土
未見の方はご了承ください。
某日・ジュネス駒王町店前
併設の映画館も再開したらしく、休日という事で来てみることにした。
そして、同じことを考えている人はかなり多いらしく、結構人がごった返している。
この光景だけ見ると、ここがテロ組織や怪物に狙われているなんて
にわかには信じられないくらいだ。
さて。映画鑑賞に赴くこと自体は別にいい。それに同伴する者が思いのほか多くなったのも
まあそれはいいだろう。
だが、ここにはあるとんでもない……やんごとなきお方もおられる。
そうなるに至った話は今から数日前に遡る――
――――
「……映画鑑賞に天照様を同伴させてほしい!?」
やけに続く長雨、時期外れの梅雨のような雨模様の続く中
月読様から頂いた話は、我が耳を疑うには余りあるものであった。
なにせ、日本の主神が「お忍びで映画館に行くからその護衛を頼む」などと
どうして信じられようものか。いや、現に話持ちかけられてはいるけれど。
「そうなのだ。少し前の話だが、ある神明社の膝元の商店街に……
……えっと、なんだったか」
「アルテルウォーク、よ。月読」
アルテルウォーク。よくある旅番組と言えばその通りなのだが
この番組は所謂カルトな人気を博している。何故ならば。
――番組MCがアルテルマンに出てくる怪獣や異星人なのだ。
「そう、その番組がな。公開収録で訪れることになって
ある地方の神明社にも訪れる、そんな話が上がったそうなんだが……」
「ええ、私は番組が来るのを首を長くして待っていたのです。ですが……」
――ごめんなさい、そういうの(怪獣や異星人のきぐるみ)はちょっと……
と言う神社関係者の一言で、収録は叶わなかったそうだ。
「私がいいって言ってるんだからいいでしょ!? 私がどれだけ楽しみにしてたか!
今日だってアルテルマンの映画を見に行くって話が無かったら私は……」
わんわんと泣き出してしまう天照様。月読様が言うには
「その出来事がショックで岩戸籠りしかねない勢いだった。と言うか半ばしてる。
アルテルマンについて調べたら、映画を丁度やっているそうではないか。
そこで、映画鑑賞に行けば少しは気が晴れるのではないか、そう思ってな。
ただでさえ大変なこの時期に、岩戸籠りなどされては敵わん」
だそうだ。岩戸籠りってどれだけですか。
と言うか、岩戸籠りなら適任がおられるのでは? と思い聞き返してみるが――
「
何せ、悪魔連中が『神社の神気を払う技術』などと言うものを作ったという話が出てな。
そんなものを用いられて、我らの領域に入られるだけでも事だと言うのに
それが原因で、我らの属性をあらぬ方向にもっていかれては困るからな。
我々に関してもそうだが、天宇受賣に関してもだ。
彼女が岩戸開きの際に何をしたか、知っているだろう?」
岩戸開き。引きこもった天照様を引っ張り出す際に
天岩戸の前で騒いで気を引く、って話だったはずだ。
その際に天宇受賣様がやったことと言えば……所謂……す、スト……
『成る程。神事をサバトの紛い事にされちゃ、日本神話としても立つ瀬がないってことか』
おいアモン。そうだけど言い方。
とは言え、確かに下手をすれば岩戸開きの神事はサバトになりかねない。
サバトも岩戸開きも、騒ぐという点において
かつ性的な要素を交えて高揚するという点において共通点がある。
見解の相違かもしれないが、確かに背徳の代名詞ともいえるサバトと
厳粛なる神事を同列に見做すのは、当事者たる日本神話の神々からすれば複雑か。
「フッ、そこな悪魔の言う通りよ。岩戸開きは我等にとって重要な神事。
それを悪魔の都合よく解釈されて穢されては
最悪天宇受賣の神性そのものにも悪い影響が及びかねない。
故に、悪魔が我らの力を悪用しないと立証できるまで、一部の神は隠れてもらっている。
こと天宇受賣に関しては、戦となると非力だからな」
話が見えてきた。引きこもってしまった天照様を出そうにも、天宇受賣様が出てこられないから
岩戸開きの神事が出来ない、よって違う方法で天照様を外に出そう、と。
スト……の代わりに特撮ヒーローの映画ってのは、何と言うか差が激しいが。
「引き受けてはもらえまいか? と言うか、引き受けてもらわねばこの雨が上がらぬ」
「話は分かりましたが、何故俺なんです? お付きなら宮内庁の方がいらっしゃったような……」
旧日本軍の海軍将校のような身なりをした彼の事である。
俺に頼まずとも、彼に頼めばいいのでは? そう思ったのだが、思わぬ返事が返って来た。
「今回の事はお忍びのお忍びです。彼と行動を共にするという事は
少なからず、宮内庁の行動としての顔を持ちます。
ですが今回は、お恥ずかしながら完全な、私の個人的な事情でして……」
……あー、完全にプライベートの話だから持って行きづらい事情か。
おまけにこの事態招いているのも完全に私事、と来てる。
ケリをつけるにしても、大事にならないように誰かに付き添ってもらいたいわけか。
で、それをやるにあたっては俺が適任だったと。趣味的な意味でも。
「……わかりました、引き受けます。
ですが木を隠すには何とやら、何人かこちらで見繕った者達を同伴させますが
それは宜しいですか?」
「構わない。姉が世話になる」
月読様に畏まられるが、俺としても気が気じゃない。
元々映画は観に行くつもりだったので、それに同伴者が一人――一柱増えただけだ。
同伴する予定だった祐斗やアーシアさんには悪い事をするようだが……致し方あるまい。
……それより、この件どう説明しようか。
――――
「あの……本日はよろしくお願いします」
と、言う訳で俺は数名と一緒に映画――新約・アルテルマンを見るはずだったのだが
その数名の中に一柱が入ってしまい、現在に至ると言う訳だ。
当然、祐斗やアーシアさんと言った悪魔組は目を丸くしていたし
異教の神を前にゼノヴィアさんはどうリアクションしていいのかわかっていない。
白音さんは少し不服そうだが、今回別にデートのつもりしてなかったんだけどな。
と言うか、デートでアルテルマンの映画は流石に無いだろ。
白音さんがサブカルにも興味があるってのは知っているが、特撮も守備範囲なのかね?
「セージ……おめえ、いつからそんなにモテるようになったんだよ。
やっぱあれか? 駒王学園行ったからか? くそぅ、だったら俺も……」
「冗談でもやめとけ、あそこは地獄だ。特に今はな」
甲次郎に茶化されるも、現状の駒王学園を鑑みればとてもそんな気楽には。
白音さんやアーシアさん、ゼノヴィアさんと駒王学園の女性陣もいるが
特に否定の言葉がない。魔境だと思われているのだろうな。
「にしても、随分とにぎやかになっちまったね。
こりゃちょっと話……と思ったけど、チケットもう用意してあるんだっけか。
先に映画観ようかね」
甲次郎に付いてきた皆美の言う通り、これは大所帯だ。
まず俺に祐斗、白音さんにアーシアさん、ゼノヴィアさん。
大那美から甲次郎に皆美、大那美レスリング部の
因みに、大那美連中に声をかけたのは俺だ。
情報交換と、
この面子なのは、都合がついたのがこの三人だったというだけに過ぎない。
そして、何より。
「あ、あの……私、浮いてないでしょうか?」
「気にせんでください。それじゃ行きますよ」
――――
――新約・アルテルマン。
アルテルマンと言う話そのものが、外宇宙の生命体と地球人類の話なので
隔たれた価値観、と言う描写の意味ではすごく、現状思い当たる節があり過ぎる。
特にこの原典では悪質宇宙人と謳われ、今作においても地球の文明を堪能しつつも
その実、地球人類を生物兵器か何かとしか見ていなさそうな、この悪辣な宇宙人に曰く
「プレゼンテーションは成功した」と。
……こう言う事を考えながら映画鑑賞をするのはよくないが、まさかサーゼクスも……
もしそうだとしたら、今回作ったスタッフの勘がよすぎる。偶然だろう。
そして、結果として作品世界のアルテルマンの同胞にして
太陽系方面監査官ゾーフィーが送り込んだ文明消去砲「
原典を知るものからすれば、衝撃的なものであり
これを見た天照様が思わず声を上げたのが聞こえた。
そして、それに勝利をおさめたのもやはり、人間の知恵と意思だった。
過去幾百、幾万、幾億と繰り返された人間賛歌の武勇伝。
これを伝えるために、過去シリーズでも語られた「アルテルマンは神ではない」のフレーズが
今一度、輝いていたのだ。
……個人的に、何度見ても人間賛歌は飽きないものだ。
それが故に、生半可に真似て欲しくない思いもある。
何らかの形で人間賛歌に触れた悪魔が、それに憧れて半端に人間の生活を真似したのか。
今の冥界の諸々――特に、サーゼクス周り――は、そう思えてならない。
……クライマックス。ここで、原典のアルテルマンとは大きな違いが生まれた。
命は、一つしかなかったのだ。いや、当たり前なんだけど。
原典では、アルテルマンが過失で喪ってしまった命と、戦死したアルテルマンを救うべく
救援に駆け付けたゾーフィ―が命を2つ持って来たというとんでもない解決法を提示していた。
しかし、今回ゾーフィーはアルテルマンの命を、過失で喪ってしまった命に代えることで
地球人は生還。しかし、アルテルマンは……
……ここで、映画はスタッフロールを迎えた。
アルテルマンがどうなったか。この世界の地球が今後どうなるか。それはわからない。
だが、同じスタッフの前の映画同様、人の力で、人知を超えた怪異に打ち勝った。
その力が正しく使われる限りは、未来は安泰だろう。多分。
アルテルマン。人が思い描いた、遠い彼方の強き隣人。
彼は神の如き力を持ちながらも、決して神でなく、また神たろうともせず。
ただ、一つの命として、地球人に寄り添う事を選んだ、遠い彼方の強き隣人。
人類にとっての善悪はさておき、強き隣人がごった返しているこの現状。
アルテルマンの精神に至れるものは、どれくらいいるのだろうか――
――――
「……色々、考えさせられました。アルテルマンのファンとしても、日本の主神としても」
後半部分は大那美連中に聞こえないようにしながら、天照様が呟く。
そうなのだ。この事件は、悪魔や天使、堕天使のみが徒に悪者なのではない。
その力を悪用しようとする人類や、領分を超えた隣人たる妖怪や神々もまた、その範疇に入る。
人間の傲慢かもしれないが、やはりこの世界は人間の世界なのだ。
強いて言うなら、そこに他の命を零さないようにしながら守り続けることこそが
主たる人間の役目であろう。
「……ケイスケも言っていたが、日本人の信仰意識が私には理解できなかった理由が
なんとなくわかったかもしれない。
私には、あれだけの力を持ちながら神にならない彼の気持ちがわからないよ」
ゼノヴィアさんによる、アルテルマン評。
それこそ母さんや下手すりゃじいちゃん、ばあちゃんでも知っているかもしれないアルテルマン。
俺にしてみれば、子供の頃から当たり前にあったテレビのヒーロー。
だけどそれは、祀られた神像に、活躍を語る聖典を掲げた神話の神とどれほど違うのだろう。
ゼノヴィアさんにとっての聖書の神が
俺――いや、子供たちにとってのアルテルマンであるように。
ただ、決定的に違う事がある。
ゼノヴィアさんの言う聖書の神は唯一無二であるが
アルテルマンはその背景の商業的事情があるにせよ、代替となる偶像が存在する。
面ドライバーや、フェザーマン。少し毛色は違うがダンガム、とかだ。
もっと毛色が違うドラグ・ソボールだってそう言う側面が無いとは言い切れない。
これもまた、日本人の無節操な信仰心のなせる業なのかもしれないが。
そういう背景があるからこそ、子供のヒーローが子供のヒーロー以上の意味を持っている。
……のかもしれない。
だが、信仰は集めこそすれ、崇拝対象かと言うと、それもまた違う気がする。
アルテルマンは神ではない。その言葉の意味は、都合よく縋りつく対象を求めてはならない。
自分の足で立ってこそ、人は人足り得るのだ。
……そう言う事なんだろうか。
そう言う事をつらつらと考えてしまう位には、この新約・アルテルマンは深い作品だった。
とは言え、それはあくまでも俺の感想だ。ただの怪獣映画の一環、として見る人もいるだろう。
特に、俺の考えをつらつらと述べようものならば悪魔組に苦い顔をされそうだ。
「いやあ、真剣に見ちまったら腹減っちまったぜ。飯食いに行こうぜ」
「いいですね、下にバイキングの店があったのでそこにしませんか?」
「……バイキング!?」
甲次郎の一言に、天照様と白音さんが食いつくように目を輝かせる。
バイキングなら、いつぞやみたいに金が吹っ飛ぶ心配はないだろう。
出禁にはなるかもしれないが。
とは言え甲次郎の言う通り、俺も腹は減った。飯にするという意見には全員が同意した。
――――
食事の際には会話を交えながらだったので、思いのほかがつがつとは行かなかった。
特に甲次郎からは、またあの変な兜の夢を見た、って話をされたし。
本当にあったりしないよな、それ。
天照様も、アルテルマンの映画を見られてご飯も食べられた、という事もあってか
ご機嫌のご様子だ。よかった。これだけの大所帯になった時は流石にどうしようかと思ったが。
映画に関してもリアクションに困るって程のものでは無い(若干名除く)ので
概ね、今回に関しては成功したと言えよう。
帰り際に、天照様が
どことなく不思議な印象を持った中年男性とアルテルマントークで盛り上がっていた位か。
そのトークも終わったところで、今度は俺が天照様に呼び止められる。
「今日は本当にありがとうございました。
個人的なことではありますが、今回の事はきちんとお礼させていただきますね。
具体的には、これは大日如来様にも話していない……私の力。
これを、限定的ではありますがあなたが必要になった際に、お見せしようと思います。
あなたならば、正しく使えると信じておりますので」
……参ったな。俺は神様に信頼されるほど人間出来てないと思うのだけど。
力を以て解決せねばならないオーフィスやらなんやら、最悪サーゼクスとの戦いに関しては。
天照様のおっしゃる通り、頼らねばならないことになるのかもしれない。
そうなってほしくは無いと思いつつも、覚悟だけはしなければならない。
俺は、そう思いながら天照様と共に皆と合流することにした。
我は汝、汝は我。
汝さらなる絆を得たり。
我ら「女教皇」の力
また一つ、さらなる高みに極めん。
……と言う訳で、番外編にかこつけてコミュ話と
遠回しなシン・ウルトラマン観てきた報告でした。
結構悪ふざけしてますが、まあ番外編って事でどうか一つ。
>アルテルウォーク:ウルトラ怪獣散歩
この番組が神社仏閣出禁なのは割と有名らしく
天照様がそのお陰で岩戸籠りしかける事態に。
ちなみに商店街には普通に来ていた様子。
>ゾーフィー
つい最近解禁された彼。
この世界では新約も原典も同じ名前の様子。
>アルテルマン
神ではない、とはメビウス映画でも言われた言葉。
では神とはなんぞや。超常の力を揮えば、神なのか。
あがめられれば、神なのか。だとしたら神と悪魔の違いは何ぞ?
……そもそも、神って必要なのか。
それが故に、まだゼノヴィアにはアルテルマンの在り方が理解できてない様子。
アーシアも言及はしていないものの、ちょっと難しい問題として受け入れている様子。
拙作天照様は「人間に憧れた神様」な部分があります。
月読様は職務に忠実と言うか、ドライと言うか。
>天照様
今回こうなった原因。
岩戸籠りで異常気象になりかけたので、月読から映画をダシに引っ張り出された様子。
最後に言及している新たな力、とは元ネタキャラが改二内定(次イベで来る?)に
因んだお話。同じ理屈で大日如来様もハイパー隠し持っていたり。
>天宇受賣様
す、スト……(セージ談)の神様。
見解の相違ながら、サバトにも通ずるものがある、として
悪魔との接触は可能な限り避けたいという月読様の意向。
岩戸開きがサバト扱いされたら、一番影響大きそうなのこの神様だと思いますし。
ヤリまくって乱痴気するのと、裸踊りでどんちゃんするのも然程……
と言うのは、些か強引かもしれませんが。
神社に入るために神気を払う、ってのが原作仕様ってのが、なあ……
>綿志田教授
鴨志田じゃありません。私だ……もとい、綿志田です。
で、アルテルマンの話に絡んできたので元ネタはもう言わずもがな。
念のため言っておきますが、ディス・レヴ絡みの話は一切ありません。
>大那美の皆さん
思いのほか話が長丁場になったので削ったら出番が殆どなくなってしまった。
リバプールの風になりそうな人が新しく来ています。
一応、本編でセージが披露する予定のある技の前振りのつもりではありましたが。
>ミッチがニアミスになった理由
今回ウルトラマンの話なので、まあ。