ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地   作:赤土

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時系列がわかりにくいことになってますが
本編Will61. 以降、forXのXXX2. 以降となってます。


DX13. Revenge has been served

サーゼクス・ルシファーは生誕以降最大のピンチに見舞われていた。

 

 

意気込んで主催したレーティングゲームイベントを最後の最後で台無しにされた事。

 

それなりに信頼を置いていた自分達の直属軍隊(イェッツト・トイフェル)

人間の私設軍隊(ラスト・バタリオン)と手を組みクーデターを起こした事。

 

その人間との共存に希望を抱いていた矢先、こうして最悪の形で裏切られた事。

 

そして……最愛の妻・グレイフィアを実家に強制送還され、実子との連絡も

音信不通となってしまっている事。

 

 

魔王として、夫として、父として、なにより男として。

サーゼクスは重大な局面に立たされていたのであった。

 

「サーゼクスちゃ……ちょ、ちょっとどうしたのそのハーデスみたいな顔!?」

 

「セラフォルーか……いや、私は悪魔を統べる魔王として、グレイフィアの夫として

 そしてミリキャスの父として、全力で臨んできたつもりだったが……」

 

いつもの調子で話を振るセラフォルーに対するサーゼクスの顔はかなり窶れており

もはや病人もかくやと言わんばかりの状態であった。

 

「教えてくれセラフォルー! 私の何がいけなかったんだ!?

 そりゃ確かに最近はアインストやJOKER等の対応に追われ

 ミリキャスとの交流や、グレイフィアとの夜も含めた生活が

 おざなりになっていた感はあったかもしれない!

 

 ……だが、私も魔王だ。苦しんでいる悪魔を見逃すことなどできやしない!」

 

「サーゼクスちゃんは立派にやってるよ☆

 ……って言うか夜の生活の悩みなんかアタシに振るなっつーの★」

 

思わずセラフォルーに夜の生活の悩みを振ってしまったサーゼクスは

自分が何を口走ったかを理解し、慌てて弁明する。

 

「試そうにもそんなことしたらグレイフィアちゃんに滅っ★ されちゃうしね。

 ……する気も無いけど」

 

「ははは……そう言う冗談が言えるだけ強いな、セラフォルーは」

 

冗談でも言わなきゃやってられないでしょ、と小声で返しながら

セラフォルーもまた、頭を抱えている。

クーデターによって混乱が起こる前にレーティングゲーム観戦に来ていた

各神話勢力は退去していたため、クーデターに、より正確に言えば会場の異界化に

巻き込まれずに済んだのだが、その後の応対に頭を抱えていた。

 

特にとんでもない条件を突き付けてきたのはロキだ。

「誠意を見せろ」と北欧神話勢力下までの出頭を求めてきたのだ。

いや、ロキはまだ話をする余地があるという意味で、マシなのかもしれない。

それ以外の勢力は何の連絡も無い――つまり、見限られたとも言えるのだ。

事が事であり、また自分達の勢力も敵対勢力に襲われているのだから

単純に「自分の所で精一杯」と言うだけの話なのかもしれないが。

 

「……こんな時だからこそ、私も仕事してくるわ。

 相手があのロキだから、何されるか分かったもんじゃないけど

 今は少しでも味方が欲しいもんね」

 

「そうだな……あの人間も、まさかユーグリットなどと言う

 人間を何とも思わないような奴と手を組むとは思わなかった。

 その結果が、この痛手とも言えるしな。

 そう言う意味でも、我々は人間に学ぶところがあったという事だ」

 

普段はおちゃらけている、というかそのおちゃらけで開かれた部分もある

このレーティングゲームをはじめとして、真面目に動いているところが少ない

四大魔王ではあるが、今はこうして自分達の職務に真剣に取り組もうとしていた。

 

……クーデターと言う結果を見るに、少しばかり遅かったかもしれないが。

 

 

――――

 

 

プライベートルームに戻ったサーゼクスは、ふと見慣れぬ羊皮紙を見つける。

そこには、ルキフグスの魔法陣が描かれていた。

召喚用ではなく、単にメッセージを伝えるだけのもののようだ。

 

ルキフグスからの差出。有無を言わさずに、また魔法陣に仕掛けがあるかも確認せずに

サーゼクスはその魔法陣に込められたメッセージを確認する。

 

『やあ、義兄上。いや、「元」義兄上と言うべきかな。

 ちなみに知っていると思うけれど、これは一方的なメッセージだ。

 今の言葉に反論されても、僕は一切知った事では無いね。

 寧ろ、決定事項だ』

 

「元」。その言葉にサーゼクスの心は不安でざわつくが

それを解消するためには、メッセージを読み進めなければならない。

ユーグリット・ルキフグスの悪辣な罠と言えよう。

 

『まずはいい報せだ。君の愛するグレイフィア・ルキフグスは無事さ。

 晴れて、ルキフグス家へ戻ることも出来た。

 僕に感謝したまえ。あれこれ無茶な手を使ったからね』

 

グレイフィアの無事。それを聞いた途端、サーゼクスは胸を撫で下ろす。

何せ、逆賊としてユーグリットによってルキフグス家へ強制送還されたグレイフィア。

極刑もありえたのだから、それが無事となれば安心もするものだ。

 

『それともう一つ。君の大事な第一子、ミリキャスも無事……と言えば無事だな』

 

だが次の報告は、何か奥歯に物が挟まったような物言いだ。

ミリキャスのような子供に、何かがあれば一大事。

ある意味で、サーゼクスはグレイフィアの時以上に不安に駆られていた。

 

『まあ詳しくは、別途送っておいた動画を見ておいてくれたまえ。

 ただし、その動画は少々刺激が強くてね。人払いをして一人で観ることを薦めるよ。

 では、後は動画を見た後で説明させていただこうか』

 

言うだけ言い残し、魔法陣は反応を無くす。そう言う代物だ。

昔のスパイ映画なんかだと「五秒後に消滅する」などと言って燃えるのがお約束だが

これはそんなことは無い、普通の録音再生機能型魔法陣だ。

 

ユーグリットが行っていた「動画」とやらはこれか……と

同じくルキフグスの魔法陣が描かれていた羊皮紙を見つけ出すサーゼクス。

先程よりも少し大きめなそれに描かれた魔法陣から、映像が映し出される。

これもまた、映像を一方的に映し出すだけの魔法陣だ。

 

 

――魔王動画観賞中...

 

 

衝撃的な動画を見終えたサーゼクスに、不意に声がかけられる。

自動再生される形となったユーグリットの声だ。

 

『まあ、そう言う訳だ。姉上はルキフグスに戻れはしたが

 既に身請けされていてね。まあ、買い取ったのは知り合いのようだし?

 会いたければ頼めばいいんじゃないかな?』

 

「こ……これは何だ!? 身請けなどと、これでは奴隷ではないか!!」

 

『……とか言ってるだろうから一応説明させてもらうと

 これ姉上が「自分の意思で」ああなっただけだからね。

 本来なら自由意思を奪った上でああいう扱いしても良かったんだ。

 まあ多少、そう仕向けたのは認めるけれど、それでも露骨な暴力は使ってない

 そもそも、姉上が我がルキフグス家に与えた損害は身請け金額でも足らない位だ』

 

悪びれもせず説明するユーグリットの声に、サーゼクスは怒りを隠さない。

怒りのあまり、滅びの力がプライベートルームの調度品を破壊している。

 

『自分の自由意思だから勿論違法薬物だとか「悪魔の駒(イーヴィル・ピース)」だとか

 そう言うものには頼ってないよ。薬物はともかく、うち「悪魔の駒」は扱って無いし。

 ああ、そうそう。その関係で姉上に入ってる「女王(クィーン)」の駒?

 あれ多分今頃抜けてると思うから。身請けした奴がそう言う技術持ってるらしくてね。

 どこで仕入れたんだか』

 

あり得ない。それがサーゼクスのだした結論だった。

「悪魔の駒」は、そう言う風に出来ていない。

そう思い、グレイフィアに駒を通じた連絡を試みるが……繋がらない。

不慮の事故で悪魔でなくなったベオウルフと異なり、グレイフィアは元々悪魔だ。

その気になれば悪魔同士の念話などあるのだが、それさえも繋がらない。

前々から実しやかに囁かれていた「悪魔の駒を取り除くことが出来る技術がある」という

「噂」が、現実のものとなったのだ。

 

「そ……そんな……『悪魔の駒』なくして……我々の……悪魔の繁栄は……」

 

『ま、そんな道具一つで悪魔を増やす、なんてナメた発想してるから

 こうやって足元掬われるんだけどね。

 僕と協力したあの人間だって、そこは同意見だったし』

 

「悪魔の駒」は悪魔自身でさえも賛否両論あるものであるというのに

それを人間や妖怪などの他種族に度々使用され

それが自由意思に基づかないものもあるというのが、使われる側の意見の一つである。

はぐれ悪魔問題は、そうした背景も加味されて起きていると言えるだろう。

 

『ま、そんな時代遅れの失敗作の事なんかどうでもいいんだよ。

 君がもう一つ知りたいであろう、ミリキャス君の事についてだけど……』

 

ミリキャス。この名前が飛び出した時、サーゼクスは再びその全神経を研ぎ澄ませた。

ただ一人の我が子にして、貴重な純血悪魔。

グレイフィアもだが、ミリキャスに何かがあっても一大事だ。

ユーグリットを赦すことなどできやしない。

 

『姉上も酷いよねえ。最初こそミリキャス君と一緒にいられることを喜んだけど

 最終的に選んだのが自分の女としての立場なんだから。

 僕も予想外だったよ。姉上に母親としての自覚が今一歩足りなかったのは』

 

ユーグリットは要するにこう言いたいのだ。

 

――グレイフィアが、ミリキャスを棄てた

 

そんな馬鹿な、と声を荒げるサーゼクスだが、その声はユーグリットには届かないし

当然、グレイフィアにも届かない。

 

『ま、諸共に身請けされなかっただけマシか。流石の僕もそこまで鬼畜じゃないし

 貴重な純血悪魔、それも未来ある子だ。扱いには慎重になる。

 だから……』

 

「ならば! ならば僕のところに還してくれ!! グレイフィアがいなくとも、僕が……」

 

『あっと。僕としたことが大事な甥っ子の名前を間違えていたよ』

 

名前を間違えた。何を言っているのだユーグリットは。

サーゼクスの頭は混乱するばかりだ。

混乱する頭では、ユーグリットの言葉が正しく理解できたかどうかはわからないが

ユーグリットはそんなサーゼクスの様子などお構いなしに、事実だけを淡々と述べている。

 

『エドウィン。姉上が産んだ子はエドウィン・ルキフグスだ。

 これで彼も「魔王の子」というしがらみから解放されて自由な純血悪魔として

 健やかに育ってくれることだろう。

 姉上の子なんだから、僕が責任を持って面倒を見るよ。当たり前だろう?』

 

「ここに連れて来るには刺激が強すぎるし、まだ落ち着く時間も必要だ」との

ユーグリットの配慮から、別途写真の映像が魔法陣に映し出される。

そこには、面影こそミリキャスだが、その髪はほぼ銀髪に染まっており

僅かに残った紅い髪がメッシュのように残されている、という

尊厳破壊とも言えるイメチェンを果たしたミリキャス――エドウィンがいた。

 

『似合ってるだろう? クーデターで魔王の座を追われ、妻は奴隷として身請けされ

 息子は妻の実家で別の名前を与えられ……

 今の君には、何が残っているんだろうねえ? サーゼクス・グレモリー君。

 

 ……ああ、これでも少しは君に同情しているんだ。

 本当は姉上さえ取り戻せればよかったんだけど、まさか姉上が最後の最後で

 あんな事しでかしてくれたおかげでね……

 だから、恨むんなら姉上か、誰も幸せに出来なかった自分を恨みなよ。

 じゃ、僕も暇じゃないからこの辺りにしておくよ。

 また姉上の動画が出来たら、昔のよしみで紹介してあげよう』

 

かつて姉を奪われた悪魔は、その相手に対し復讐を完遂した。

復讐された側の心には、昏い炎が宿り。

 

 

……そして、滅びの力そのものを引き出す切欠の一つとなってしまった。




しれっとまたヤバい敵出すフラグ立ててるんじゃねーよ!
ユーグリット完 全 勝 利 S なわけなんですが……

ちなみに今回はさるお方からメッセージ頂いたので
その前振りも兼ねてカカッと書き上げた経緯が。

……えーっと、これ位容赦ないんですよ。赤土って奴は。

>エドウィン・ルキフグス
名前はジーンズメーカー……ではなく
エドワウ・マスとプリベンター・ウィンドから。
どっちもシャアとゼクスってあたり、リスペクトなのか皮肉なのか
ほんとわかんねーな……
こんなことしておいてなんですが、赤土的にはグレないか心配です。

本当は動画内容とか動画見たサーゼクスのリアクションとか
深掘りしたかったけど、それやるとR-18になってしまうので
18歳以上の方はお手数ですがforXにてご確認ください……
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