ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地 作:赤土
今回は三人称視点です。
そう長くない(はず)なので適当にお付き合いくださいませ。
駒王学園・女子更衣室前。
ここに、三人の男子生徒がいる。
ここは女子更衣室、男子は用のないはずの場所である。
それなのにここにいると言う事は、即ちいかがわしい目的に他ならない。
「ど、どうなんだよ松田……」
「しっ! 押すなイッセー! バランスが崩れる!
おおっ……こ、これはなかなか……」
この駒王学園に籍を置く一年生、松田某、元浜某。そして兵藤一誠。
彼らは元女学園であるここで、周囲の迷惑を顧みず下ネタを振っては悦に浸る
所謂「変態三人組」として悪名高い存在である。
その名の示す通りに、更衣室の窓から中を覗き込んでいる丸刈りが松田。
それを支える形で一誠、周囲を見張る元浜と歪ではあるが
チームワークは取れていた。
――――
さて、ここで彼らの悪行と言われる行いについて触れておこう。
学校へのセクシー系のDVDの持ち込みや公共の場での猥談に始まり
そもそも閲覧が法令で禁止されているはずの18歳未満お断りな本やDVD、ゲームでさえも
学校に持ち込んでいたりしているのだ。
勿論、そのような行いは元女学校であることを抜きにしても認められるはずがない。
教師に咎められ、没収の憂き目にあうのも日常茶飯事のレベルである。
その頻度には、生徒会や教師陣も頭を抱えており
近々水面下で警察にも動いてもらうプランさえも立っているほどだ。
表沙汰に警察を動かすと学校の名前に傷がつくと言う理由から
大々的に警察による巡視の強化が行われていないのは
公立以上に名前を気にする私立高校の弱点であるともいえよう。
それにもかかわらず、彼らの目的は「女子にもてたい」と言う
多感な男子にしてはありがちな、そして分不相応極まりないものであり
同じ一年でありながらそのルックスで女子を魅了している木場祐斗には
激しい嫉妬の念を向けている。
自らを高めるどころか貶め、それでいて他人を羨む輩の末路など、決まっていると言うのに。
――――
「ん? おい元浜、お前は来ないのか?
見張ってくれる分には俺らは助かるけどよ」
「あ、ああ……いや、そろそろ『アイツ』が来る頃かな、って……。
だ、だからそろそろ撤収したほうが……」
一誠の疑問に、元浜は少々声を震わせながら答える。
「アイツ」。それはこの駒王学園において、少々の異彩を放つ存在でもあった。
松田と一誠はその存在を僅かな噂でしか知らない。
「何言ってるんだよ! 今ちょうどいいところなんだから……」
「何っ!? お、おい松田! 俺にも見せろっ!」
しかし元浜は、その存在をよく知っている。
いつぞや、カツアゲに遭ったところを彼に助けてもらっているのだから。
そう、その人物は――
「よう皆の衆。そんなところで集まってどうしたんだ。
何か面白いものでもあるのか、俺にも見せてもらおうか?」
その存在は、笑っていた。
しかし、その眼には松田と一誠とは別のぎらつきが見えている。
笑うという行為は、本来攻撃的な行為であるとは誰が言ったものだろうか。
その存在がたたえていた笑みは、平和的なものではなく
明らかに威圧的なものであった。
その存在を知っている元浜だけが、必死になって言い訳をしている。
「ま、まままま待ってくれセージ! 俺はやめようって言ったんだ!
こんな、こんな女子の尊厳を汚す様な行為!
モテる男のすることじゃないからやめようって!」
「あっ! 元浜てめぇ裏切ったな!」
「セージ……も、もしかしててめぇ! 『駒王番長』宮本成二か!?」
「……確かに俺は宮本成二だが、誰がそんな名前付けるんだよ。
それより、こんなところで騒いでいていいのか?」
セージと呼ばれたその存在は、顎で更衣室のドアを指し示す。
すると、着替えも最低限に鬼のような形相で女子が次々に飛び出してきたのだ。
その様子を見るや、セージと呼ばれた存在はさっさと踵を返して立ち去ってしまう。
「俺も変なのに巻き込まれるのは御免なんでな。
あ、因みに大声出させたのはわざとだから。こってり絞られて来い。
よかったな、女子と話が出来て」
「「「よくねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」」
その後、当然のように変態三人組は絞られ、教師に呼び出され
生徒会長に嫌味を言われる結果になってしまう。
遠巻きにその様子を眺めているセージは、あんぱんを頬張りながら呆れた様な顔をしていた。
「……俺は確かに元浜の矯正を試みるというニュアンスの事は言ったが。
思ったより重症じゃねぇか、これ」
――――
それから、元浜との約束のためにセージはバイトの無い日にはボディガードを受け持ち
時には勉強を教えてもらいながら、時には変態三人組のセクハラ行為を未遂に防ぎ
折檻を加えながら少しずつ、松田や一誠とも距離を縮めていた。
「……で、何で俺がお前らの買い物に付き合わないといけないんだよ」
「いやぁ、お前なら私服じゃ絶対高校生に見えなさそうだし?
エロ本買うにはうってつけじゃねぇか、ってさ。
いいじゃねぇか、お前の分も俺らが金出してやるからさ。
じゃ、これ買ってきてほしいもののリストな。間違えるなよ?
元浜はロリ系。イッセーと俺は巨乳モノ。」
「やれやれ。但し、条件が……」
「わーってるって。学校には持ち込むな、だろ?
約束だもんな、ボディガードしてもらってる以上俺も迷惑はかけたくないし」
「……それがわかってるならいい。こういうのは秘めてこそ華だ。
秘密の共有ってのも友達っぽくて悪くはないしな。
……それがこういう内容って事に、言いたいことが無くはないが。
あと元浜。そう思ってるなら少しは学校でも自重しろ。そしてこいつら止めるの手伝え」
「何言ってるんだ! エロこそ男の生きる原動力! おっぱいこそ正義!
お前だっていつか分かる時がくるさ、セージ!」
半ば丸め込まれるような形か、あるいは彼にも多少なりとも興味があったのか
学校の終わった後、三人組の買い物にセージは付き合わされることとなった。
平たく言えばパシリであるが、彼の外見は私服ならば大学生と見紛うものでもある。
それ故に、彼に白羽の矢が立ってしまったのだ。
正直に言えば、彼らとは別口でセージも好奇心から
こういういかがわしい本屋にこっそり入った経験はある。
あまりのカルチャーショックに何も買わずに逃げ出したが
こういう世界があることは知っているのだ。
それもあってか、買い物自体はそつなくこなすことが出来た。
(……やっぱマズいんじゃないかなぁ。俺まだ15なんだけど……)
……それと同時に、達成感と共に嫌悪感も生まれることになったが。
本当の事も言えないので、胸の内にしまっておくことになるだろう。
そして、買ってしまったものの保管場所も考えなければならない。
ベッドの下は定番すぎる。川辺に捨てるのも勿体ない。
いつか姉ともいうべき存在の憧れの人から聞いた
「プレゼントは相手がもらって喜ぶものを~」と言う言葉がなぜか過る。
それは、取り回し的な意味も含めての事なのだと
今更ながらに思い知らされた15の少年であった。
「お、帰って来たな」
「こんなところでたむろされても困るからな。ほらよ」
「おお、さすがセージ。しっかりリクエスト通りにやってくれてるぜ。
だから言っただろ松田、イッセー。セージは頼りになるって……はっ!」
この企画は元浜が立てたものであった。
自分達では出来ないことを、セージならば出来る、やってくれる。
そう思ったが故に出来心で立ててしまったプランが
まさか実現するとは元浜自身思っていなかったのだ。
しかしそれは、セージにしてみれば「体よく利用された」と判断するには十分な失言でもあった。
「元浜……はぁ。まあそんな事だろうとは思ってたよ。
最初に言ったよな? 俺はお前らの変態行為は積極的に邪魔するって。
今は学校関係ないからって俺もちょっと甘くなってた部分もある。
けれど、年がら年中その調子だといつか俺も庇いきれない事態が来るぞ。
そうなったときは、俺は遠慮なく友人としての縁を切るからな」
「なっ、何もそこまで言う事はねぇじゃねぇかよ!!」
「兵藤。友情ってのは篤くあるべきだが、同時にとても脆いものだ。
ふとした拍子でボロボロになってしまう事がある。
俺にも俺の友人が一応いる。そんな彼らの顔に泥を塗るような真似は俺も出来ん。
俺の顔に泥を塗るって事は、巡り巡って彼らにも泥を塗るって事だ。
今はわからなくてもいい、けれど心のどこかには置いておいてくれ。
……あ、それからこれは誰か好きな奴貰ってけ。やっぱ要らんわ」
そう言ってセージが周囲の目を気にしながら出した四冊目の本は――姉弟モノだったが
珍しく元浜はもとより、松田も一誠も手を伸ばさなかった。
「いやいや、それこそ俺達の約束だって。セージ、貰ってくれよ」
「俺達との友情の証だと思ってよ!」
「なかなか見る目があるじゃないか、セージ!」
「友情の証ならもっと別のものが欲しかったが……お前らじゃ仕方ないか」
結局、その四冊目の本はセージが受け取ることになり
置き場に相当苦心することになったのはまた別の話。
セージも男の子でした。そんなお話。
元浜と比べ、松田やイッセーとのファーストコンタクトは
あまり友好的ではありませんね。
セージの好みが年上であることが露呈しているようなものですが
それなのにリアスや朱乃になびかない。
A:日頃の行い。あと年上ならだれでもいいってわけじゃないし。
誰かさんとは違うんだよ。
このシリーズは多分次回で最後。
投稿時期は例によって未定。