ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地 作:赤土
スランプ脱出できたかどうかはわかりませんが
セージの過去編、ラストになります。
「てめぇらっ! また懲りずにっ!」
駒王町裏路地。元浜はここで戦利品を手に恍惚としていたところを
またしても
往来で戦利品を眺めないのは褒めるべきなのだろうが
そもそもそれ以前にそういうモノを外で見るなと言いたい。
ともあれ、約束通りに俺は元浜の救援に駆け出る。
だが、そこには金座だけでなく
まずい。奴らはバカだが腕っぷしだけはいい。
元浜が俺を雇った(?)ように、奴らも用心棒を付けたって事か!
「あんたはいつぞやの! ……ねぇ、アイツ始末してくれたら
今度デートしてあげるからさ、やっつけちゃってよ」
「マジ!? よーし、じゃあお前には恨みはねぇ……
いやあるな。お前『駒王番長』宮本成二だろ。
お前や
ここらでボコりたいとおもってたとこだ!」
わ、わかりやすい奴だ。どっかにもこんな奴がいた気がするが。
だから出素戸炉井はバカだって言われてるの、気づいてるのか?
とにかく、ちょっとマズい事になった。
出素戸炉井の奴らと(金座もだけど)物理的に対立するのは避けたい。
自慢じゃないが、俺は喧嘩が苦手だ。駒王番長などと言うあだ名も、一人歩きの結果に過ぎない。
多分に大那美のダチのせいなのだが、別に悪い奴らじゃないから俺も強く言えない。
その結果がこれである。さてどうやって切り抜ける?
「元浜、とりあえず今の内に逃げろ。とりあえず警察呼んでもらえると助かるけど」
「わ、わかったぜ」
元浜だけでも逃がし、俺はこの状況を打開すべく、思考を巡らせる。
だがそんなのはお構いなしとばかりに出素戸炉井のバカは殴りかかって来る。
当然俺は逃げる。避ける。全く、俺は面ドライバーでも無ければ
中の人ことOAX(大野・アクション・エクストリーム)の花形アクションスター
とにかく避ける。必死で逃げる。
「あっははははっ! だっさ!」
「マジ逃げしてやんの! うけるぅー!」
……これだから金座の連中は好きになれない。
人が必死になっているのを嘲笑う連中の多い事多い事。
とは言え逃げないとやば……っ! そうだ!
俺は逃げる途中でスマホを取り出し、金座の連中の顔を撮影する。
その後に続いて、出素戸炉井の奴の一連の動きも動画撮影する。
俺のこの一連の動きが理解できないのか、金座の連中も最初は首をかしげていた。
そしてそれに気づいた時には、俺はもう次の行動を起こしていた。
「……ま、まさか! アイツ!」
「お、気づいたか? だがもう遅い、『tsubuyaitar』にアップしといたぜ!」
そう。その証拠がこれである。
Chrono_Charisma
出素戸炉井に暴行うけてるなう
[動画]
10秒前
Chrono_Charisma
唆した金座の連中の顔うp
[画像]
たった今
自慢じゃないが、俺のアカウントは結構炎上している……風に見えて
実際俺がお礼参りを喰らったことはそれほどない。当事者以外には。
少なくとも、実家が割れたとかそう言う事は一切ない。
このハンドルネーム自体がありふれたもので、言わば名無しさんに近い状態で
個人情報も載せていない、載せたとしてもでたらめなメールアドレスだけだ。
そんな自分の防護は完璧に固めた状態で、こういう火種を投下する。
するとどうだ。
Issei_Oppai
また出素戸炉井や金座かよw
たった今
Matsuda_Mobmob
暴行受けてるって大丈夫なのかよw
たった今
Kiryu_Glasscouter
顔うpとかさすが黒のカリスマさんやでぇ
たった今
Rias_RedDemon
また彼らなの? もういい加減にしてほしいわね
たった今
……とまぁ、こんな感じに反応がつく。
これで後はどっかの暇人が暴れてくれる。それが狙いだ。
「……ちょっ! 顔うpしやがったわコイツ!」
「こ、こうなったら対策練るわよ! あんた! そいつの足止めしなさい!」
「え? あ、お、おう!」
アワレ。出素戸炉井の男子生徒は金座の女子生徒にうまい具合に乗せられただけみたいだ。
だが、俺に手を上げている時点で同罪なんだよなぁ。
さて、あとはこいつを撒けば全て解決だ。元浜ももう逃げただろうし。
出来れば警察が来るのを待ちたいところだけど、そこまで俺が持つかどうかもわからないし
怪我は避けたい。となれば逃げて撒く一択だ。
「お前のせいで報酬貰い損ねてるんだ! 一発殴らせろ!」
「やなこった! 俺の知り合いにもてめぇみたいな色ボケした奴がいるが
そいつの方がよほどましだぜ! 誰かに暴力振るわない分な!」
……今自分で言って思った。それってつまり、兵藤の奴も誰かに暴力を振るうようになったら
出素戸炉井の連中と同レベルに下落するって事じゃね?
元浜と松田はまだ更生の可能性があるけど、兵藤はなかなか難しいのが実情だ。
だが、俺としては俺のダチのダチでもある奴がそんな状態なのは避けたい。
だから……って!
今考えていることじゃないと思っていたら、一発いいのをもらってしまった。
「へへっ、駒王番長も大したことねぇな」
「顔はやめろたぁ言わないが……痛ぇな」
口元を手の甲で拭うと、赤いものがついていた。
今貰った時に口の中切ったか。嫌いな血の味がする。
だが出素戸炉井の奴は手を休めることなく俺をさらに殴ろうと飛び掛かってきたその時。
「動くな! 警察だ!」
おお、なんてナイスタイミング。
その言葉と同時に出素戸炉井の奴はずっこける。ざまぁ。
「一部始終を見ていたぞ! そっちの今転んだ奴、ちょっと署まで来てもらおうか!
傷害罪だ!」
「そこの君……って宮本君じゃないか。『また』ちょっと来てもらうよ」
――そう。
勿論、悪い意味ではない――と思いたい――が、俺が警察の世話になるのは
これが初めてではないのだ。大体が落とし物(万札!)を届けたり
認知症を患ったじいさんを交番に届けたりと言った内容だが。
ともあれこんなわけで、俺は警官――
――――
元浜は見た目が弱弱しいからか、よく金座に狙われているそうなのだが
松田や兵藤はそれほど狙われていないらしい。まぁ、それならそれでいいんだが。
ああいう騒動は、起きないに越した事は無いんだ。
案の定、tsubuyaitarの俺の書き込みはあの後消されていたが。
実は、金座の悪行を知らしめるために顔うpをしたのはあれが初めてではない。
以前もまた、このように一日もすれば消されており魚拓すら残らない勢いだったそうな。
まとめwikiも出来ているらしいが、そっちもすぐに消されるとか。
まぁ、金座の悪行を蹴散らすのが俺の仕事じゃないし。
俺の仕事は学校と――バイトだ。
今日のシフトは――げっ。
――まさか、
嬉しいような、息苦しいような。
元浜に会う前、俺は彼女――
彼女と音信不通になったのは小学校の卒業式の日が最後。
それ以来、優に三年は何も知らない日々を過ごしていたのだ。
それなのに、このタイミングで突然の再開。
そして、これは俺が偶然見かけたのだが――
――子供まで、いた。
それでも、と俺は自分に言い聞かせ、何者も顧みずに俺は姉さんに告白をしたのだ。
鼻で笑ってくれても良い様なものなのに、姉さんは「百年先に咲く百合の花」と言ったのだ。
それ以来、俺はそこから先には踏み込んでいない。
――怖くて、踏み込めないのだ。意味が解らなかったわけじゃない。
だが、だからってバイトを辞めるわけにもいかない。それは母さんが困る。
幸か不幸か、互いの生活リズムの差からか
シフトが重なることもほとんど無かったのが功を奏したらしい。
だが今日はそういうわけにもいかない。
腹をくくって、おれはユニフォームに袖を通し、エプロンを付けた。
――結論から言おう。相手もぎくしゃくしているのが目に見えてしまい
ほとんど会話になってなかった。これでも、昔は一緒に遊んでくれたり
長い休みの時には色々な事もあったりしたんだけどな。
はぁ、思い出は遠くなりにけり、か。
こればかりはあの言葉を信じるより他ないのだろうか。
下手に動いても解決する問題でもない。時間薬って奴なのか? そうなのか?
一応、仕事の方はきっちりと出来たのでそこは問題ないのだけど。
――――
ともかく、そんなこんなで駒王学園での生活はそれなりにうまくやっていけており
俺はともかく、元浜も成績だけは良かったので進級。
松田や兵藤にしても半ばギリギリと言う形だが進級。
素行を見ればこいつらが進級できたのは驚き半分なんだが。
そして二年生を迎え、春先に突然兵藤がとんでもないことを言い出したのだ。
「ふっふっふ。聞け彼女ナシの諸君。ついに俺、兵藤一誠にも彼女ができましたっ!
じゃーん、この子が俺の彼女、天野夕麻ちゃんでぇーす!!」
得意げにスマホの写真を松田と元浜に見せびらかすイッセー。
俺は目線がこいつらより少しばかり高いから後ろにつっ立っているだけで見えてしまう。
……が、こいつらほど親しくないとは言え一応クラスメートだ。
そんな奴の彼女を、あまり悪し様に言うのも気が引ける。
思ったことを飲み込み、兵藤に精一杯のイヤミを言ってやる。
これぐらいはいいだろう。人のことを勝手に彼女ナシだなどと言いやがって。
そりゃあいるとは一言も言ってない。
……いないとも言ってないが。
「兵藤、今朝のニュースじゃ明日は晴れって言ってたが
明日のデートに雨具とヘルメットは用意しとけよ。
お前さんに彼女が出来るなんざ、嵐か災害の前触れだからな」
松田と元浜が俺のイヤミに反応して大笑いしている。
……言いたかないが、そんなんだからお前ら彼女できないんだぞ。
言われた兵藤本人は、どこ吹く風と言わんばかりに自信のある態度をとっている。
これはこれでムカつくな。奴がデートを控えていなければ
生傷の一つくらい付けてやったかもしれない。
まあ、スケベ根性さえなければ兵藤もそんなに悪い奴じゃなし、うまくいけばいいんだが。
……しかし俺には、どうしても嫌な予感が拭いきれなかった。
その天野夕麻とかいう彼女が、美人局か何かではないか。
ここまでこの駒王学園の中だけとは言え、エロガキで通ってる兵藤に
いきなり付き合ってくれだなどと。
聞けば、そう言う彼女いない歴=年齢を狙った美人局は多いらしい。
こういうのは中年のおっさんが引っかかるのが昔の相場だったが
犯罪ってのは金座の例を見る限りでもわかる通り低年齢化してる。
兵藤が狙われたって不思議じゃない。件の彼女が、世間知らずって風にも見えなかった。
まあ、スマホの写真越しの人相なんざあてにならないが。
兵藤に聞こえないように、元浜にそっと耳打ちする。
が、結論から言おう。聞いた俺がバカだった。
「おい、このあたりで女子高生が絡んだ美人局的な犯罪はあったか?」
「知るわけないじゃん。
と言うか、カツアゲされてたのを助けてくれたのお前だろ?
お前が知らないことをどうして俺が知ってるんだよ。
駒王番長の耳に入らないんなら、そんなに悪い子じゃないんだろ」
その時の俺は思いもしなかった。
この彼女こそが、俺を、俺達をとんでもない事件に巻き込んでくれた元凶であることを。
……そして、俺にとっての最大最悪の悪夢の始まりであったと言う事を。
解説の所との矛盾点を解決するためのエピソードでもあったり。
何気に悪魔化する前のセージは喧嘩苦手です。
駈紋戒斗と小林豊みたいなものです。
>OAX
名前の由来は大野剣友会とJAE。
高岩哲也も高岩成二と大屋敷哲也の二大ミスター仮面ライダーより。
エクストリームのスペル? 仮面ライダーW形式だよ言わせんな恥ずかしい
>tsubuyaitar
ちらりと出たtwitter的アプリ。セージも活用してます。
>Chrono_Charisma
クロノ・カリスマ
黒の・カリスマ
黒のカリスマ
スーパーロボット大戦Zより。用途が用途なので後に名乗ったハンドルネームは
ここでは使ってません。この世界でも名無しの代名詞ですが
ジ・エーデルが絡んでるかどうかは……多分絡んでない。
>牧村明日香
憧れのお姉ちゃんに告白したのに相手に子供がいるとか
それなのに告白したセージとか色々ツッコミどころはありますが。
この当時のセージはともかく、現在のセージにとっては
間違いなく家族同様「守るべき対象」です。
>最大最悪の悪夢
本編参照。
この平和な時間を再び取り戻すため、セージは今日も戦い続けるのだ!
……と昭和特撮チックな〆をしたところで
セージの過去編、閉幕とさせていただきます。