ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地   作:赤土

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筆が乗った、ただそれだけです。

そして、唐突ではありますが
「課外授業のプルガトリオ」はこの投稿をもって完結とさせていただきます。

……これ以上、だらだら続けていても仕方ないですからね。


後書きや解説については、後ほど活動報告で行わせていただきます。


Case Final. To be continued for 「学級崩壊のデビルマン」

人間界とも、冥界とも違う場所にあるとされるアインスト空間。

赤と青のミルトカイル石やストーンサークルが宙に浮かび

一般的に黒や青とされる宇宙空間と異なり赤みを帯びた空間が広がる、静寂に満ちた空間。

 

ここには、かつてのオーフィス――ウンエントリヒレジセイアが鎮座しており

その他にもこの空間で様々なアインストが生まれていた。

アインストへと変貌したサーゼクスの眷属、ベオウルフや

かつて堕天使を裏切った、バラキエルだった存在もここにいた。

 

「ククク……よもやサーゼクスの眷属がこちら側に来ようとはなぁ?

 そこのカラスにしても同じだ。お前達に、オーフィスの何が理解できるというのだ?」

 

「過去に意味はない……あるのか……ないのか……

 そして……奴らは純粋な生命体には成り得ん……

 そう……お前達……悪魔は……望まれぬ……存在……」

 

「我らが……望むは……純粋なる……存在……

 それこそが……新たな世界に……必要な生命……

 悪魔も……堕天使も……新たな世界には……不要……」

 

ベオウルフやバラキエルを詰るようなシャルバの物言いに、彼らはかつて変異した時と

同じような調子で喋る。言葉を交わすというよりは、唯々己の意見を述べているに過ぎない。

少なくとも、二人にシャルバと交流しようという意図は全く読み取れない。

それは、シャルバも同じであるのだが。

 

「……純粋たる悪魔を愚弄するか、成り損ないの悪魔に

 負け犬のカラス如きが!」

 

ベオウルフは神器(セイクリッド・ギア)を持たない

ただ己の力だけでサーゼクスに見初められ悪魔となった人間……だった。

彼に限らず、サーゼクス眷属は皆神器を持たないが、それには一応の理由がある。

その理由――目的を果たす事が叶わない今となっては、最早形骸化しつつあるが。

 

バラキエルにしても、彼は神を見張るもの(グリゴリ)の中核を担う存在として

アザゼルや彼と対立しがちなコカビエルの仲を取り持つなど

シェムハザと並んで、縁の下の力持ち的な存在であり

常に妻や娘を気にかけていた、心優しき堕天使であった。

しかし、かつて出現したアインストと対峙した際、彼らの手に落ちてしまい

ミルトカイル石を埋め込まれ、こうしてアインストの尖兵へとなり下がってしまった背景がある。

この事実は、アザゼルやシェムハザ、コカビエル辺りしか知らないことだ。

 

「……静まれ……

 いよいよ……時が……満ちようとしている……」

 

「……はっ?」

 

ふと、言葉を漏らすウンエントリヒレジセイア。

その言葉に、傍に居た禍の団・旧魔王派のシャルバ・ベルゼブブが反応する。

 

「混沌が……かの世界を……覆わんとしている……

 我らは……混沌が……世界を覆う前に……

 世界を……静寂で……包まねば……ならない……」

 

「おお……では、ついに……!」

 

「既に……『門』は……世界と繋がった……

 静寂なる世界……それこそが……世界の……正しい在り方……」

 

融合を繰り返し、強化を重ねていくアインスト軍団。

それに呼応するように、ミルトカイル石も赤から青、青から黒へとその色を変化させていく。

そして、シャルバへと渡された「石」を埋め込まれた腕輪の石の色も

黒水晶のように変色していく。

その影響からか、シャルバの身体にも赤い水晶のような物体――アインストのコアらしきものが現れ始める。

 

「おおおおおおお!! こ……これは……! この力さえあれば……!

 最早サーゼクスも……アジュカも……超越者などどうでもいい……

 冥界に静寂を……我らが望む……新たな世界を……!」

 

シャルバ・ベルゼブブ……否、アインストベルゼブブはその身を醜悪な蠅の怪物へと変え

さらに生み出した半身は彼らアインストの中でも上位種にあたる

「アインストレジセイア」の風貌を強く持っていた。

その様は、かつて同様の変異を遂げたカテレア・レヴィアタンを彷彿とさせるものだった。

 

(こ……これは……こんなもの、オーフィスの力ではない……もっと別の……

 だから俺はこれ以上オーフィスに関わるべきではないとシャルバに言ったんだ!

 カテレアは、あいつのせいでおかしくなったんだぞ!

 

 ……ま、まさか……俺にも寄越されたこの腕輪……ッ!?)

 

シャルバの変貌を陰で見ていたクルゼレイ・アスモデウス。

オーフィスの本質を今更ながらに知るも、時既に遅し。

枷は、彼らが禍の団として行動を起こし、オーフィスを祭り上げた時に

既に嵌められていたのだ。

 

(ぐああああああっ!? い、嫌だ! 俺は由緒正しきアスモデウスの末裔だ!

 あんな得体の知れぬバケモノなどではない!

 数多の世界を支配する悪魔の、その王となるべき存在だ!

 

 数多の……世界の……支配を……俺が……

 

 

 ……数多の……世界を……静寂に……支配……)

 

クルゼレイの心などお構いなしに、腕輪にはめられた「石」はクルゼレイに力を与え

その心を侵食する。そこにいたのは、最早かつての魔王などではない。

 

――いや、「かつて(アインスト)」の魔王という意味で

彼らは正しく旧魔王派として存在することが出来たのだ。

 

ここに、この場にいないリゼヴィムを除き、先代の四大魔王の血族という意味での旧魔王は

そのすべてがアインストと化した。

アインストによる冥界の侵食は、とどまるところを知らない……

 

――――

 

「……いよいよ、潮時かもなぁ」

 

そうぼやくリー・バーチが眺めているのは冥界の国会中継。

今回の議題は「増加傾向にあるアインストに対する国防」であった。

相変わらずファルビウムは寝ており、セラフォルーは例の衣装できゃぴきゃぴしていた。

平常運転で国民に余計な心労を与えないためだろう、と好意的解釈ができないこともないが

それが却って国民の感情を逆なでしているのではないか、とリーは見ていた。

 

現状、イェッツト・トイフェルだけではアインストの侵攻を賄いきれなくなりつつあった。

そのため、各地の戦う力を持った悪魔にも自衛を依頼しているが

それに伴う手当などは支払われていない。故に、サイラオーグが率先してアインストと戦っている

バアル家や、これを機に冥界での発言力を強化しようと目論んでいるフェニックス家は

現状の政治方針に対して不満を抱いていたのだった。

 

……その政治方針をイェッツト・トイフェルが情報操作の名目でリーに

「現政府は国家予算を着服し、私腹を肥やしている」などと書かせているため

その情報に踊らされている貴族悪魔も少なくはないが。

 

勿論、そのような事実はないし、あればグレモリー家は困窮していない。

幸か不幸か、グレモリー家を襲撃したアインストは軒並み返り討ちにあっている。

戦力だけならば、グレモリー家は優秀なのだ。本当に、戦力だけだが。

 

人間界では活動に不自由している兵藤一誠も、ここでは罪に問われることもない。

故に、赤龍帝の力を何ら制約を受けることなく発揮できているのだ。

そのため、現在グレモリー家は戦力だけは突出しているのだ。

それを正しく運用できているかどうかと問われると、別の問題だが。

 

そのため、国会では時折

「グレモリー家の戦力を接収し、国防に当たらせるべきだ」という意見が出る。

その意見はリアスを前線に立たせることをよしとしないサーゼクスによって封殺されている事と

現魔王政権に対しクーデターを企てているイェッツト・トイフェル司令ギレーズマでさえ

 

「命令系統の違う者を派遣されても運用に困る。

 我々には彼女らが我々の命令に従うとは思えない」

 

という観点から、ギレーズマはこの意見には反対していた。

観点は全く逆だが、現政権とイェッツト・トイフェルの意見が一致した珍しい例である。

 

ともかく、そういった理由から戦力を結集させてアインストを叩く、という作戦が取れないのだ。

それに、アインストのアジトも無ければ司令塔たるシャルバやクルゼレイ

そしてベオウルフは現れていない。

完全に、アインスト側の戦法は尖兵を多数送り込んでくる物量戦なのだ。

 

実のところ、物量戦というのは現在の悪魔が最も苦手とする戦法である。

現在の悪魔は個人の力は突出しているが、平均値で見ると凡百と言わざるを得ない。

精々、正式に軍隊として訓練を受けているイェッツト・トイフェルが平均以上だが

それは軍隊なのだから当然の話。

下手をすれば、神経断裂弾や特殊強化スーツ等の対怪異用の装備に身を包んだ

自衛隊一個中隊にも負けかねない。これは純正悪魔、転生悪魔問わず悪魔全体の問題だ。

 

いくらリアス・グレモリーの滅びの力が強くとも、いくら兵藤一誠の神器が強くとも

彼らとて疲弊する。対してアインストはクロスゲートから無尽蔵に沸き続けるし

空間転移も可能なので、進軍にかかる時間は悪魔のそれよりも遥かに速い。

個の力ばかりに突出している現在の悪魔は、多角的な侵攻に弱い。

 

数にものを言わせるその傾向はアインストばかりではない。インベスもだ。

ドラゴンアップルの果実あるところインベスあり。

インベスを減らすために、ドラゴンアップルを全て処分――絶滅させるという意見も出たが

これにはドラゴンアップルを必要とするタンニーンが当然のことながら反対したことと

インベスそのものにドラゴンアップルの生育能力があるため

意味をなさないという理由で却下された。

 

また、昨今ではドラゴンアップルを摂取したアインストも確認されている。

彼らは通常のアインストよりも強化される傾向があり

イェッツト・トイフェルも手を焼いていた。

現在、冥界では主にバアル家、アガレス家、フェニックス家、シトリー家

そしてグレモリー家の五家が、国の命令に拠らない

各々の意思でアインストやインベスといった冥界を脅かす脅威と戦っている。

しかし、彼らとて協力体制にあるわけではない。

現に次期当主の婚姻問題で揉めに揉めたグレモリー家とフェニックス家の溝は

修復の見込みがなく、アガレス家も他の家系とは距離を置いているため

彼らの足並みは全くと言っていいほど揃っていない。

一応、バアル家が音頭を執ろうとはしているようではあるが。

 

そのため、彼らの活動は「国民の善意」レベルにとどまっており

そういう意味でもイェッツト・トイフェルと肩を並べて戦えるレベルではないのだ。

一人一人の力が強くとも、集団行動が出来ないようでは軍隊としては致命的である。

そういう面では、特にグレモリー家とシトリー家は足を引っ張っていたのだ。

 

しかも、シトリー家の戦力の中核を担うソーナ・シトリーとその眷属は

駒王町の警護任務に就かなければならない。そのため、シトリー家は今後暫く

戦力として計上することが出来ないのだ。

 

「……と言うわけで、以上のプランが提案されております」

 

サーゼクスが会議の中で出た意見をまとめ上げ、述べたプラン。それは――

 

・魔王眷属の封印を解く

・人間に頭を下げ、対アインスト用の装備を工面してもらう

・音信不通の天使はともかく、堕天使と協力体制を取る

 

結論から言おう。どれも理由をつけて却下された。

 

まず一つ目。これはイェッツト・トイフェルが反対したのかと思えば

貴族悪魔の議員から反対の声が上がったのだ。

 

実のところ、イェッツト・トイフェルにしてみれば

ここまでアインストやインベスの戦力が上がった以上

魔王眷属にも動いてもらい、共倒れを狙うプランも立てていた。

ところが、ベオウルフの顛末を知る一部の議員が、ほかの魔王眷属も同様の事が起こらないか

不安を抱いたため、頑なに首を縦に振らなかったのだ。

 

ベオウルフの顛末は、イェッツト・トイフェルによる多少の情報操作はあったものの

それほど嘘はついていない。ついていないが、それ以上に不可解な点が多すぎる――

というのがイェッツト・トイフェルによる調査結果だったのだ。

ベオウルフがアインスト化した原因は全くの不明。

故に、ほかの魔王眷属にも同様の事が起きないか

議員である貴族悪魔は気が気でならなかったのだ。

 

二つ目。これも議員から反対の声が上がった。

特に大王派と呼ばれる派閥だ。確かに先の覇龍騒動におけるアインストとの戦いで

人間が作ったナイトファウルという武器や、アルギュロス、アントラクスという弾丸は

アインストに対して有効打となり得た。

これが人間がアインストに勝てた最大の理由とさえ言える。

サーゼクスが人間界の国会議員・須丸清蔵(すまるせいぞう)から持ち得た情報だ。

 

ところが、ここにきて悪魔のプライドが邪魔をする。

特にバアル家の先代当主ゼクラム・バアルは「ここで人間に借りを作っては悪魔が嘗められる」

と言わんばかりに頑なに人間の技術の導入を拒否したのだ。

既にある程度人間の技術は冥界に流入しているが、軍事技術はその限りでもない。

軍事技術について人間を頼るということは

自分たちの軍事技術が遅れていることの証左になる、と。

自分たちはおろか天使や堕天使の足元にも及ばないと見做している

人間に技術面で遅れを取っていると認めることは

彼にとって耐え難いものであったのだ。

 

これについては、イェッツト・トイフェルは賛成していたが

(後日自分たちの運用している兵器の技術に応用するという意味も含め)

意外なことにサーゼクスら四大魔王が全員一致で反対したため、却下となった。

それが彼らを魔王に任命したゼクラムの息によるものなのか

あるいは別の何かまでは定かではないが。

 

最後に三つ目。これは現状を口実に和平を結ぼうとする四大魔王の意向によるものだ。

だが、これは「仮想敵の禍の団(カオス・ブリゲート)がアインストに変わっただけではないか」だの

「どういう理由で和平が結べなかったのか四大魔王は何も理解していないのか」だの

議員の貴族悪魔とイェッツト・トイフェルから反対の声が上がり、却下となった。

 

このように、余裕のない現状では仕方のないことかもしれないが

誰もが自分の意見ばかりを押し通そうとし、足を引っ張りあう。

人間の国会では珍しくもない光景だが、それを悪魔の国会で見ることになろうとは。

そういう意味でも、リーは現政府に失望していた。

 

「……ま、今の俺はイェッツト・トイフェルお付きだけどな。

 それもヤバくなったら人間社会にでも亡命するか……神仏同盟でもいいな。

 コネは一応できてることだし」

 

吐き捨てながら、リーは国会中継を映し出していたテレビの前から去っていく。

悪魔の未来には、暗雲が立ち込めたままだ。

 

――――

 

――某所、フューラーの基地

 

ハーケンクロイツの描かれた旗が下げられた、フューラーの執務室ともいうべき場所。

そこで、フューラーは部下から報告を受けていた。

 

「……閣下、作戦結果の報告がございます」

 

「うむ。

 ……ふ、フフフ……ククク……そうか、やはりそうか。

 あのJunge(若者)に聖剣を持たせたのは、正解だった。

 私の求めていたものを、炙り出してくれたのだからな」

 

「……と言うことは、ついに『聖槍』を……!?」

 

白を基調とした軍服に、ケルト結びの模様が入ったケープを纏った存在。

白い肌に長く美しい金髪、丸みを帯びたボディラインが

その存在を女性であると認識させるが

顔には「顔が描かれていない」仮面をつけている。

 

――つまり、彼女もまた聖槍騎士団の一人であると言える。

 

その彼女が、フューラーに対し報告を行い、フューラーはその報告を受け

ついに己の探し求めていたもの――聖槍の手掛かりを掴んだのだ。

 

「では、直ちに部隊を派遣して……」

 

「フッ、慌てずともよい。

 這い寄る混沌からは何者も逃れられんのだ。

 ならば、我々が戦いやすい場所に来たところを奪い取ればよい。

 

 それに……聖槍を持った彼には我々の『同志』になってもらおうじゃないか。

 彼も私と同じ『英雄』なのだからな」

 

己を英雄と嘯くここにいるフューラーと、かのヒトラーの関連性は不明である。

影武者、部下、同一人物……今わかっているのは禍の団という組織に属し

この世界の神や悪魔の存在を公に広め、彼らと戦い

そのためにはテロ行為も辞さないという、ちょっとした過激派であるという事実。

 

しかしそれは、曹操が掲げている「怪異は人間によって倒されるべきである」という思想と

何ら変わりはない。フューラーはそれを有言実行し、曹操はまだその実績がないだけ。

そういう意味では、フューラーは曹操と組むことに前向きである。

 

……ただし、フューラーが語る「英雄」と曹操が語る「英雄」

この両者には大きな隔たりがあるであろうことは、想像に難くない。

 

「閣下。もし彼が我らに賛同しない場合は……」

 

「その場合は当然始末する……いや、『させる』事になるだろう。

 大衆を殺すのは怪物、怪物を殺すのは英雄、ではその英雄を殺すのは……

 

 ……大衆なのだからな。そして大衆は容易く流される。

 わかるか? 英雄とは、かくも脆いものなのだよ」

 

半数が倒された聖槍騎士団だが、持っている聖槍のコピーは

特に神器持ちの人間に対して大きな一撃となる。

さらに、まだ聖槍騎士団以外にもナチスがかつて開発したとされる兵器の数々や

聖槍騎士団には及ばないながらも、武装したナチス兵を思わせる軍隊。

彼らはいまだ健在なのだ。

 

だが、フューラーの最大の武器は「演説」でもある。

この演説によって三大勢力が致命的な打撃を受けたのは記憶に新しい。

神や天使、悪魔も捉え方によっては英雄である。

彼は、大衆を扇動し英雄を殺させたに過ぎないのだ。

 

「大衆は、全てを決してくれる指導者を欲するのが常よ……

 先を煩い決を下すのは、苦痛だからな」

 

その物言いは、確かにかつてドイツの民衆を言葉巧みに操ったヒトラーそのものであった……

 

――――

 

――沢芽(ざわめ)市・港湾倉庫。

 

マフィアや暴力団の取引場所の定番ともいえるこの場所に

錠前ディーラー・シドと台湾マフィア・天道連(ティエンタオレン)のメンバーが取引をしていた。

 

「約束の品だ。受け取れ」

 

シドが寄越したケースの中には、戦極ドライバーとマツボックリのロックシードが入っていた。

つまり、すぐにでも黒影トルーパーとして運用できる完成品だ。

中身を確認し、札束をシドに寄越す天道連のメンバー。

取引を終え、立ち去ろうとするシドをリーダーが呼び止める。

 

「……待て。前に言ってたロックシード、入って無いね」

 

「……チッ。製造過程にトラブルがあってな。ロールアウトは延期なんだとよ。

 代わりにロックビークルが入っているだろうが。新型よりもいいものなんだぞ、それ」

 

天道連の言う新型のロックシードとは、Aランクのロックシードを指しているのか

シドがユグドラシルタワーの地下で破損させてしまった者を指しているのか定かではないが

内容物を詰られたことに腹を立てたシドは、吐き捨てるようにロックビークルの存在を指し示す。

 

中に入っているのはダンデライナー。

タンポポを模した大型ロックシードから変形するロックビークルで

高機動かつ飛行可能で、機首部分にガンバレルユニットが搭載されている他

タンポポの花を模した部分からは高出力のビームも撃てる。

これの量産に成功しているというのだから

もはやユグドラシル驚異のメカニズムと言わざるを得ない。

強いて欠点をあげるとすれば、出力が高すぎるがために小回りが利かないことくらいか。

 

「さて……今回はもう一つ、頼みたいことがあってな」

 

改めて、シドが口を開く。それと同時に、シドの後ろから黒服の男達が現れる。

曲津組(まがつぐみ)の後継組織、八十曲津組(やそまがつぐみ)の組員だ。

八十曲津組と、天道連は協力関係にある。

よって、シドを介さずとも足並みはそろっているのだが――

 

「近々、ユグドラシルタワーでバケモノどもがいっちょ前に会談をやるらしくてな。

 そいつらにちょっとちょっかいを出してほしいんだよ。

 インベス使おうが、戦極ドライバー使おうがどっちだっていい。

 だが、これは『製造元』きっての願いだってことも、頭に入れておいてくれや」

 

ユグドラシルタワーで会談を予定しているのは、北欧の神々と日本の神仏だ。

彼らを指してバケモノとは、シドも罰当たりではあるが

神も悪魔も、人から見れば大差ないという意味ではシドの言葉はさほど間違ってない。

 

警察が警護を行う裏で、マフィアと暴力団が襲撃予定を立てている。

人間界も、平和とは程遠い現状であった――

 

 

――だが、後に思い知ることになる。

 

  覇龍騒動も、ユグドラシルタワーでの出来事も、まだ始まりに過ぎないということを。




蔵王丸警部という新たな司令塔の下活動を再開した超特捜課。
その初めの大きな任務は、沢芽市で行われる神仏同盟と北欧神話の会談の護衛だった。

しかし、それを快く思わない存在は、確かに存在していた。

追い詰められた悪魔、道を誤った天使、風前の灯の堕天使。
そして……暴走を始めようとしている人間。


次回
ハイスクールD×D 学級崩壊のデビルマン

第一章「社会見学のユグドラシル」

……この世界は、誰がために。
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