ハイスクールD×D ゴースト×デビルマン HAMELN大戦番外地 作:赤土
以前アンケート頂いた「セージをイッセーが撃つか撃たないか」の
結果において、選ばれなかった差分の投稿となります。
※注意事項
あくまでも「選ばれなかった可能性」の話であり
本編の時間軸はイッセーがセージを「撃った」ものとして今後も進んで行きます。
Will35.4~41 if. 弾丸の行方 Aパート
――ようこそ、普遍的無意識の世界へ。
この世界の物語を垣間見ている諸君は既に私を知っているかもしれないが
改めて、名乗らせていただこう。私の名はフィレモン。意識と無意識の狭間に住まうもの。
今回は諸君の名を問うためではなく……
「選ばれなかった可能性」をご覧いただこうかと思い、ここにお越し願った。
世界は人の心の、選択の数だけ存在する。
ここでこうして諸君に話しかけている私と、諸君のよく知る私もまた、違う存在かもしれない。
この両者はいずれも私であり、私ではない。これについて語るのは長くなるし
今回の本題からは逸れるため、ここまでとさせていただこう。
今回諸君にご覧いただくのは……
「撃たなかった選択と、別のものを撃とうとした選択」だ。
赤龍帝を身に宿す少年・兵藤一誠は宮本成二に対し銃を向け、その引鉄を引いた。
だが、この「選択」にも例外なく「選ばれなかった可能性」と言うものが存在する。
これから、諸君にはその「選ばれなかった可能性」をご覧いただこう……
――――
「まだ決めかねているのなら、はっきりと言ってやろう。
こいつを撃たなければ、お前は未来永劫ハーレム王にはなれないぞ!!」
そこで白音を人質に待ち構えていた宮本成二のダークサイド
即ち心の影が形を成した存在――シャドウ成二。
彼はイッセーに対し、セージに散々苦汁を舐めさせられた
その仕返しをしろとばかりに拳銃を投げ寄越す。
投げ寄越された拳銃にはかつてドライグを止めるために発砲したとはいえ
人体――イッセーは悪魔だが――には過剰火力とも言うべき
その時と同じように一発だけ込められていた。
逡巡していたイッセーではあったが、「撃たなければ、ハーレム王にはなれない」。
その言葉が、イッセーの中でぐるぐると回っている。
(俺は今までハーレム王になるためにいろいろやって来たんだ……
ナイア先生のお陰で、朱乃さんやイリナが俺のところに来てくれた!
セージは邪魔ばかりしてるけど……セージが邪魔しようが、ナイア先生がいてくれたから
俺のハーレムはようやく成立を始めたんだ! いつかリアスだって必ず……!
だ、だから……何を迷う事があるんだ、俺は!!)
イッセーの瞳には、迷いの色が色濃く浮かび上がっている。
確かに目の前の存在――セージに対する恨みはある。
だが、それでもイッセーは発砲に踏み切れずにいた。
そんな様子を
(……バカが。やるならやる、やらないならやらないではっきりさせろ。
以前ならともかく、もう霊魂のを殺したところでお前に悪影響はないだろうが。
しかし、このやり口はたかだか人間一人の悪意のみで為せる業ではないな。
後ろにもっと大きな……得体の知れない悪意の塊でもあるというのならば話は別だが……
……やはりこいつもガキか。たかが人間の悪意如きで殺意を植え付けられおったからに)
ドライグの思っている通り、シャドウ成二はセージに銃口を向けるイッセーを眺めており
その表情には、邪悪さがこれでもかと込められていた。
対照的に、銃を向けられているセージは膝をつき、項垂れたまま顔を上げようともしない。
そんなセージに対し、イッセーは一向に引鉄を引こうとはしない。
寧ろ、その手は未だに震えているのだ。
そんな様子に、シャドウ成二もいよいよ痺れが切れ始めていた。
「…………殺す気があるのかないのか。この程度で迷うってのは
お前のハーレムに対する情熱は、その程度のものだったのか?」
「そ、そんなわけが……っ!!」
シャドウ成二に言われてもなお、イッセーは引鉄を引かなかった。
そうこうしている間に、項垂れていたセージが頭を起こし始める。
頭の上で騒いでいる己の影とイッセーに、ただならぬものを感じたのだ。
「…………もういい。時間切れだ。
その程度の覚悟しかなかったお前を処刑人に選んだ俺の人選ミスだ。
夢を追うのに人を殺める気概も無いとか……ガッカリだよ。
一人殺すも二人殺すも変わらないだろうが。それとも、一人殺して日和ったか?」
「バカ言うなよ! 俺はハーレムの夢をあきらめてなんか……!!」
「邪魔者一人殺せないくせに口だけは一人前だな……もういいよ。
お前がやろうがやるまいが、どの道俺の不始末は俺が付けなきゃならないんだからな。
――消え失せろっ、意志薄弱で腰抜けのサルが!!」
EFFECT-FEELER!!
シャドウ成二が
イッセーに何の加減もなく叩きつけられる。
その衝撃でイッセーが持っていたニューナンブは曲がってしまい
使い物にならなくなってしまった。
イッセーを弾き飛ばした触手はそのままセージの手首・足首・首の五か所に巻き付き
ミシミシと締め上げていく。
「あぐ……く……っ……!!」
「予定とは少し違ったが、お前を処分するという当初の予定からは何も変わらない。
ここで死ね。死んで詫びろ。これ以上、生きて害悪を撒き散らさないようにな」
「――そうはさせない!」
〈ブドウスカッシュ!〉
セージを締め上げる触手は、
セージは触手の拘束から解放され、再びへたり込みせき込んでいる。
すかさず白音がそこに駆け寄り、その背を擦る。
「……大丈夫ですか?」
「あ、ああ……二人とも、ありがとう」
起き上がったセージは、シャドウ成二に対し身構える。
それは誰に言われるでもない無意識の生存本能からくる行動であり
そこには自罰感情など微塵も無かった。
「生き残る」。ただそれだけのシンプルな、そして生きとし生けるものにとっては
当たり前の感情を以て、セージはシャドウと対峙していたのだ。
「……クハハハハハッ! そう来るか!
確かに俺とお前は切っても切れない間柄だ。だがそれだけに互いに対する憎悪も深い!
生きたくばかかって来い! 俺は、俺ごとお前を滅ぼす存在だ!」
「……悪霊に呑まれたのもあるだろうが、俺にそういう感情が無いとは言わない。
だがここまでしておいて、やることが自殺は無いだろう!
他人に迷惑かけた落とし前は、俺の手できっちりと付ける!」
二人の宮本成二の鬨の声が、洞窟に木霊する。
程なくして、激しい戦いが始まり。その戦いは、立会人としてその場にいた
通りすがりの仮面ライダー――ディエンドの手でさらに混沌を極めることとなるのだった。
――――
しかし勝負に負けたにも関わらず、シャドウ成二は不敵な笑みを崩さない。
それどころか、精神面での優位性はある程度保ったまま、その姿を黒い靄と共に消してしまう。
――影は常に傍にいる。いつも……『お前のとなり』にな。
そう言い残し、高笑いと共に消え去ったのだ。
明確な殺意を持ち、手を変え品を変え苛烈な攻撃を繰り出してきたシャドウ成二。
その攻撃に、一度は全滅寸前まで追い込まれながらも辛うじて勝つことが出来たのは
セージ自身の「影を受容し、なお諦めずに立ち上がる」意志の強さと
そんな彼の心の支え――絆を紡いだ結果であった。
それが決定打となったのだ。
激戦を制し、傷を癒すセージ達。その最中、ふとセージはイッセーに尋ねる。
「……お前、何故あの時俺を撃たなかった?」
それは銃口を向けられたセージからすれば当然の疑問だった。
ある程度以上の信頼関係があれば、こう結論付けられる。
「撃つはずがない、仮に撃ったとしてもそれは相応の理由がある」、と。
しかし、今のセージとイッセーに、そこまでの信頼関係は無かった。
いや、崩れ去ったと言うべきなのかもしれないが。
つまり、セージは「こいつは俺を撃つかもしれない」。そういう風にイッセーを見ていたのだ。
しかし、実際にはこうして撃たれずに済んでいる。そう言う意味でも、単純に疑問だったのだ。
「そ、それは……」
「ハーレム王になれたお前の
確かにお前の虚憶に存在しない俺を消すのが手っ取り早いだろう。
そして、そこを自死も選択肢に入るほど膨れ上がった俺の心の影に付け込まれた。
言っちゃなんだが、俺の心の影とお前の目的。利害が一致していたと見るのが自然なんだよ。
それなのに、お前は俺を撃たなかった。それは何故だ? すまんが俺には皆目見当がつかない。
単に俺が気になっただけだから、言いたくないなら言わなくともいい。
寧ろそれ位わかれと言いたいのなら……それは察しが悪くてすまなんだ」
しかし、そんなセージの質問にもイッセーは答えることは無かった。
応答はしどろもどろで、要領を得ない。
「……そうか。変なこと聞いて悪かったな」
「いや……」
いつもならば嫌味を言うセージに、イッセーが突っかかるケースが多いのだが
今回はセージもシャドウにばらされた悪行もありイッセーに強く出られないこと。
イッセーの側も殺意が有耶無耶になってしまったことでセージに対し困惑した感情を抱いている。
イッセーがセージに向けていた殺意は、本物であったのだろうか。
引鉄を引くことを躊躇わせたのは、ハーレム王の夢への覚悟の足りなさの表れなのだろうか。
或いは、イッセーの心の奥底に残っていた…………
イッセーがセージを終ぞ撃たなかったその理由。
それを知るものは、誰もいない。
そう、当事者であるイッセー自身でさえも。
その後、セージらは自称盗聴バスターの弟子である悪魔の少女や
オカルト研究部らを加え、警視庁公安部の一部を巻き込む形で
突如として顕現したクロスゲートによって何処かへと飛ばされることとなる――
「能動的に撃たなかった」と言うよりは
「迷った挙句撃つのに踏み切れなかった」感じですね、これ。
「友情を理由に攻撃の手を緩める」って兵藤一誠のキャラクターからすると
実はあまり想像つかない行動、だと思ってます。
いやだって言うほど友人を大事にしてるムーブ無いですし
松田元浜は割と「上から目線」で接してる風潮ありますし
木場も言うほど友人として接してるかと言うと……?
イッセーの友人って、言うなれば「悪友」って存在が多い風に思えて。
松田元浜は実際そうですし(自分の事棚に上げて)、木場は太鼓持ち。
匙も悪魔社会として見ると悪友にカテゴライズしてもよさそうな。
ヴァーリや曹操は……友人カテゴリじゃないですし。
戦闘シーンカットは凡そ本編の流れと同じなため。
白音は新必殺技出しましたし、ライリィには進化しましたし
強いて言うならシャドウ成二倒すのにイッセーがあまり協力しなかったり
クローズマグマがノーマルクローズになった程度。
その分セージの気力が開幕から高いのでその分でバランス取っちゃった感じ。
※03/03
章管理に伴いタイトル変更。