どうも
はい。転生者です。
正しい道を進むようにと
なぜ通行人Aの子が近衛家に?と思われることでしょう。
それには深い事情があるのです。
たしかに通行人Aの子として生まれましたが、捨てられたようで近衛家に拾われました。
父さんが川を散策していたときに「籠に入って桃のように流れてきた」だそうです。
川上からどんぶらこです。
いったい親は僕をどうしたかったのでしょうか?
アレですね。お前には力があるから優しいおじいさんとおばあさんに引き取られて、貧相なお供を連れて鬼を退治しに行って来いというつもりだったのでしょうね。
分かりました。立派に期待に応えようじゃありませんか。
・・・そう考えないと悲しくて仕方ありません。
まさか自分の力でどうこう以前にこの世界から「さようなら」しかけていたなんて。
まあ理由は後で分かったんですけどね。
どうやら僕、種族が「ナイトメア」だったようです。
いつだったか前世の記憶が戻り始めていたとき、食事中に「ところで僕のレベルってどうなのかな?」そう考えていたら急に目の前にウインドーが表示されてびっくりしました。
父さんの前だったんで慌てたんですけど、どうやらこのウインドー、僕以外には見えないらしい。どうでもいいんだけど父さん。急にどたばたした息子をそれだけでそんなさげすんだ目で見ないで。泣くから、耐性無いから。
で、そこの種族欄に「ナイトメア」の文字が。
まあ角もあったのでそんな気はしていたんですけどね。
その僕の能力についてですが「すばらしい」の一言に尽きます。
先ず身体能力を見てビックリ。
能力がどれも人間の最大値を振り切っているんだもん。
なにこれ筋力60って+10のボーナスってどんだけ?
既に人外、基本値だけなら血まみれ伯爵も真っ青。
10秒間に180mダッシュって、もう笑うしかないよね。
で、肝心の技能レベルを見てまたビックリ。
レベルが2。
それは仕方ないとしても、その技能が半端ない。
全冒険者技能を身につけていたんだ。
コレ、こっから上げるのにどんなに貯めてもポイント足りなくね?
全齧りってなによ、器用貧乏にしかならないよ?
でも、戦闘特技は総覚えでした(笑)
後で分かった事だけど、戦闘特技が総覚えでも規定レベルに達していないのは使う事が出来ないみたい。
つまりレベルに応じた武器の達人などの恩恵は今の状態では得られないってこと。
それで拾われた時の話に戻ると、やっぱり揉めに揉めたそうな。
そらそーですよね、西の長が鬼子(ナイトメアには小さな角のようなものが額にあります)拾ってきて「自分の子として育てます」なんて言ったら、普通、否定するよね。
でも、せっちゃんも拾って育てているし案外度量が広いのかも。
さて、話は戻ってなぜ僕自身が拾われた事が分かったのか、それは数日前。
僕の10歳の誕生日の日でした。
祝い酒で酔ったぬらりひょんが口を滑らしたのです。
あの時は場が凍りついたのを子供心に感じました。
まあ、僕は神(自称)とのやり取りの記憶が戻りかけていたので、なんとなくそんな気はしていたんですけどね。さすがに「流されてきた」には落ち込みましたよ。
そうしたら巫女のお姉さん達が全員でぬらりひょんを袋叩きにして、刀子さん(高校生)が僕を掻き抱いてくれていました。
む、胸が・・・。
す、すばらしい。
いや、そうじゃなくて、そうすると身体に一部が変化していくわけで・・・
あの刀子さん?
なぜ気付いたのに力を増してくるのですか?
巫女のお姉さんたちも何か言っていますよ。
え、何?「ずるい」って何がですか?
顔を赤くしながらのその手の動きがなんだか、
あ、ちょっと待って、其処は・・・・
アーーーーーーーッ!
あ、カバンはいつの間にか自分の部屋の中に置いてありました。
ちなみに僕は外見のこともあり、学校には行っていない。
麻帆良に入れようという話もあったらしいが、何か「色々」あってポシャったらしい。
だから刀子さんに教わりながらの自宅学習なのだが、正解のたびに頭をなでてくれるのだけど、「ご褒美」と単語を言う時の目が怪しいのは何故ですか?
そんな騒ぎがあって一年後。
「父さん。俺には木乃香と違って魔法系の素質は無いんだよ」
特異というか微妙な立場の俺は原作のせっちゃん同様、木乃香を守るための訓練を受けていた。
せっちゃんは自らだが、俺は立場的に半ば強制的だ。
それでも大半の人は優しいし、親父も普通に接してくれているので何の問題も無い。
必然的に裏にも関わっていくことになり、魔法の事も教えてもらって修行したのだが、こちらはまるで駄目。
神鳴流の技も無理だった。同じ「気」でも魔力を消費する錬技とは違い体力を使用するところに問題があるのかもしれない。
とにかく、
だから正確には、「ここの世界の魔法」のだけどね。
さすがに死ぬ前の世界の記憶は戻らなかったが、それ以外の記憶が完璧に戻った俺はネギま!の「うろ覚え」の知識とSWの魔法を使いこなすことが出来ていた。
それに合わせて言葉使いも元に戻っちまったけど。
隠れてSWの魔法を試したところ、初歩のスパークで危うく森が全焼しかかりました(テヘッ)
・・・とんでもない魔力だ。
驚いていたら、頭の中にアフロ神の声が聞こえてきて「大魔王の魔力並みにしておいてやったぞ」なんてことを抜かしやがった。
メ○がメ○ゾーマぐらいの威力ってことか!コラ!
「分かっている。だから剣の腕だけでも最強にしてあげようとしているんじゃないか」
「そんなに身体能力(コンッ)俺には無いよ(カンッ)父さん」
話しながらも放ってくる親父の剣先を何とかさばいていく。
「そうかな?キミは能力自体はかなり高いと思うんだけどね」
さすが鋭い。あるにはあるんだよね。
宝の持ち腐れ状態だけど。
「でも、ムラもかなりあるね。どうしてそこでそんなに変な防御で失敗するんだい?」
防御ファンブルを振っているからですよ、お父上。
「そうかと思えば、鋭い一撃でこちらを慌てさせるし・・・」
はい自動成功に決まっています。
「まあ心配要らないよ。キミは基礎さえ身につければ強くなれる。私が保証するよ」
「そうなるといいんだけどね」
「大丈夫、私がしてみせる。そして、いずれ木乃香に近寄ってくる害虫共を始末するんだ」
「・・・はい?」
・・・なんだって?
「聞こえなかったのかい?キミが木乃香に近付く害獣を潰すんだよ」
自分の首に手をあて、ジェスチュアをする親父。
このおっさん、こんな性格だったか!?
「なに、心配しなくとも電話一本でキミがした事は証拠を残さないように片付けてあげるから心置きなく木乃香に群がる害獣を片付けるんだ」
「わーーい、それなら安心だぁ・・・って、出来るかーーーーー!」
叫びながら親父に切りかかる。
「なぜだね?」
それを軽くいなして首をかしげる西の長。
おい親父。なんで其処で心底不思議そうな顔するんだよ!
「どうして年端も行かない息子をヒットマンに仕立て上げようとしているんだ!」
「だって木乃香だよ?あの「おとうたまー」といって、私のあとをついてくる「将来はおとうたまと結婚するー」って言う、可愛い木乃香だよ?あんな穢れの無い私の宝を、どこの馬の骨とも分からん輩にくれてやれるものか!」
ヤベェ、目がマジだ・・・。
最近は「にいにぃのお嫁さんにもなるー」って言っていることを知っているのかな、このおっさん。
「そんな事、断じて許すわけにはいかない!」
オイ、白目と黒目が入れ替わっているぞ親父!
それに何で俺の思っていることが分かったんだ!
「愛だよ、木乃香に対する愛だよ!ああ木乃香、私の可愛い木乃香」
おーーーい。このおっさん狂っているぞーーーー!
「さあ、狂も楽しい死合いをしよう」
字、字がおかし・・ギャワーーーー!!
「まだだ、まだそんな腕では木乃香を護り通せんよ」
ちょっと!俺チートだよね?
何で親父の攻撃かわせないの!?
何で総当りなの?
天の声・「技能レベルが足りないからです」
そっかー。って、納得している場合かーーーー!
そんな死と隣り合わせの特訓が続く毎日、それが今の俺の近状だった。
それから2年後。
俺は十三歳になったのを契機に近衛家を出て旅に出ることにした。
どうやら頭も数値通りのチートなのか、学校の授業は全てわかっていたので武者修行に出してもらうことにしたんだ。
ぶっちゃけ、あのまま実家に居続けたら色々やばかったんだよね。
おもに俺の理性とか貞操とかが・・・。
最後まで付いて行くと言って聞かなかったのが、刀子さんとせっちゃん。
と言うか、せっちゃんや、キミは木乃香の護衛をするんじゃなかったのかい?
刀子さんは未だ結婚をしておらず、未だに神鳴流。
・・・何故だ、歴史が狂っている?
そんな二人を宥め賺しつつ旅に出ることにした。
そこ、ヘタレとか言うな。
ちなみに現在のレベルはオール7。
どうやら1レベル上がると全てのレベルが上がる仕組みらしい。
詳しい事は分からんけど。
それでも総魔力量では木乃香のほうが上なんだから、いったいどれほどの魔力をもっているんだか。
「ええぃ!近衛家の木乃香は化け物か!」
こんなこと口が裂けても言えねーな。
親父に殺されちまうし、何より木乃香と刹那が泣いちまう。
まあ単純に基本計算の仕方が違うんだろうけどな。
俺はそんな事を考えながら、こそこそと夜逃げのごとく実家を後にした。
さて、とりあえずどこに行きましょうかね。