Ainzardry   作:こりぶりん

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 10巻でマーレにダンジョンを作成させると聞いて作者に届いた電波は二つある。
 一つは言うまでもなく「魔導王の試練場」であり、もう一つが「マーレのふしぎなダンジョン」であったが……詳細を詰める時点でふしぎなダンジョンはお蔵入りになった。



B8F:モンスターハウスだ!

 *** モンスター配備(アロケーション)センター ***

 

「いかにもっ、て感じの部屋っすねえ」

 

 その扉の上部に据え付けられた看板に刻まれた文字を読んで、ルプスレギナが言った。ソリュシャンが聞き耳を立てるまでもなく、扉の向こうからはがちゃがちゃと何かが動き回るようなせわしない音と気配を感じる。

 

「でも、案内板だとこの向こうに管制室があるんだよねぇ?」

 

「……その通り」

 

 エントマがそう確認を取ると、シズが頷いた。二人の肩をユリが叩いて、ポキポキと指を鳴らしながら前に出る。

 

「まあ、行くしかないということね。やまいこ様曰く……『まずは殴ってから考える』よ」

 

「はい、ユリ姉様」

 

 至高の御方から下賜(くだ)されたありがたいお言葉を聞いて、妹達の顔が引き締まる。すると、どことなく呆れたようなアインズの呟きが聞こえてきた。

 

『ああ、うん、その……こういうことは言いたくはないんだが、やまいこさんの言葉はあまり参考にしない方が……あ、いえ、なんでもないですはい』

 

 ユリが扉を蹴り開けると、部屋の中の様子が目に入ってくる。

 その部屋はかなりの大きさを持つ広間であった。一行が足を踏み入れると、いつもの光苔に照らし出された薄明かりでは不足であると言わんばかりに、自動的に壁際の松明に火が灯った。赤々と揺らめく炎が奥の暗がりを覆う闇をほんのわずかに押しのけるも、暗い帳の底で蠢く何かの正体を映し出すには至らない。

 と、警戒しながら全員が部屋の中へと足を踏み入れたその直後。開け放した扉が音を立てて勢いよく閉じた。一同はぎょっとして振り返り、後列のシズが慌てて扉に手をかけ施錠を確認するも、愚かな侵入者を逃がすものかとでも言いたげに、固く閉ざされた扉が拒絶の意志を返してくるばかりであった。

 

「……開かない。閉じ込められた」

 

「……! 皆、奥に何かいますわ!」

 

 シズの言葉の意味を噛みしめる間もなく、部屋の隅からがちゃがちゃと音がして、暗闇の中に次々と赤い光点が浮かび上がる。それがある意味見慣れたものであることに一同が気づくのに時間はかからなかった。二つ一組で無数に浮かび上がるその赤い光は、スケルトン族の眼窩に灯る目の光と同じ類の物であり、つまりは部屋の奥に潜んだモンスター達の眼光の煌めきに他ならないのであった。

 

「これは……陣形……?」

 

 それを目にしたユリが思わず呻いたように。大広間の奥から湧いてきたモンスター達は、単なるモンスターの群れに留まらず、部隊としての体裁を持っていた。

 正面に展開するは、鎧兜に身を包み、盾を並べて壁を作った骸骨戦士(スケルトン・ウォリアー)の戦列。その壁の両端にそびえるは、天井に頭を擦りつけんとする巨躯を晒した集合する死体の巨人(ネクロスォーム・ジャイアント)。その後方には杖の先に魔力のオーラを纏わり付かせた骸骨魔法師(スケルトン・メイジ)達と、子鬼森司祭(ゴブリン・ドルイド)の集団。駄目押しに、天井にその体を張り付けてかさかさと動き回る複数の絞首刑蜘蛛(ハンギング・スパイダー)

 ここまでに遭遇したはぐれモンスター達と違い、侵入者を迎え撃つという意志の下に統率された動きをする言わばモンスター軍団が、明らかに冒険者達を殺しに来ていた。逃走の不可能な強制戦闘で、訓練された集団との戦闘。このダンジョンの作成者は、ここで一段上の難易度を設定したと見える。

 

「ルプスレギナは左、ソリュシャンは右を迎え撃って!」

 

 それだけでは飽きたらず。ご丁寧にもこちらの側面を突き、隊列を崩さんとして部屋の外周端を駆けてくる悪霊犬(バーゲスト)達を視認したユリが前衛に指示を出すと、即座にルプスレギナとソリュシャンが武器を構えて体を横にずらした。飛びかかってくる悪霊犬(バーゲスト)は妹達に完全に任せ、ユリは正面を睨みながら後ろに指示を出す。

 

「ナーベラル! 後ろから()()()()()!!」

 

「了解です、ユリ姉様。……エントマ、合わせて!」

 

「りょーかい、ナーベラルぅ」

 

 ナーベラルが呼びかけに応じて半歩進みながらエントマに声をかけると、同じくエントマも頷きながら前に出た。ナーベラルが打ち合わせた両手の中心から白く輝く光が溢れ出し、彼女が手を開くに従って放電しながら空中に弧を描く。

 

<二重最強化(ツイン・マキシマイズマジック)()連鎖する龍雷>(チェイン・ドラゴン・ライトニング)

 

 ナーベラルの両の掌から白く輝く光の竜が飛び出し、うねりながら空中を奔って集合する死体の巨人(ネクロスォーム・ジャイアント)に襲いかかる。身を捩る間もなくそのあぎとにくわえ込まれた集合する死体の巨人(ネクロスォーム・ジャイアント)は、一瞬の間を置いて粉々に爆散し、その体躯を構成していた死体もまた床に散らばる前に焼き尽くされて塵となった。

 その場に放電を撒き散らしながら、光の竜が次なる獲物を求めて跳ねる。後列の魔法詠唱者(マジック・キャスター)達を狙いとしたナーベラルの意に従い、主に骸骨魔法師(スケルトン・メイジ)子鬼森司祭(ゴブリン・ドルイド)を次々に飲み込んでいく。一匹咥える度に放電して減衰しながら次の獲物に襲いかかるその様は、まさに連鎖するという名に相応しい光景であった。やがてその勢力を発散しきり、虚空にかすれて消えたその後には、後列の殆どと前衛の半分を食い散らかした呪文の爪痕がくっきりと残ったのである。

 

「さぁて、私の番ねぇ。雷鳥乱舞符ぅ!」

 

 集団の過半数が壊滅したことに相手方が動揺する間もなく。ナーベラルの隣に進み出て懐から複数の符を掴み取ったエントマが、宣言と共にそれを前方にばらまく。ひらひらと空中に撒き散らされた符の一枚一枚が、青白い放電を放ちながら複数の鳥の形をした光へと姿を変える。合計で数十羽もの雷の鳥が、眩い輝きと共に前方へと飛翔する。瞬く間に前列の骸骨戦士(スケルトン・ウォリアー)の元へ到達し、ナーベラルの魔法がもたらした惨禍に後方を振り返った骸骨達のもとで炸裂した。着弾地点で球状に放電しながら炸裂し、骸骨兵達を飲み込んで青白い光の幕となった鳥たちがその姿を消した後には、粉々に吹き飛んで散らばった焼け残りの骨の欠片が僅かに残るのみであった。

 

「……」

 

 そして、特に指示を受けるまでもなく、己の役割を心得たシズが無言でライフルを構える。立射の姿勢からリズミカルにばん、ばん、ばんと三発の銃弾を発射した。三発の弾丸は狙い違わず、天井に張り付いて縮こまり惨禍を逃れた三匹の絞首刑蜘蛛(ハンギング・スパイダー)の頭部をそれぞれ撃砕する。ぼとぼとと頭を失った蜘蛛の胴体が床に落下してくると、モンスター達の最後の生き残りが息の根を止められた。

 

「おし、これで全滅っすかね?」

 

 前衛に飛びかかってきた悪霊犬(バーゲスト)達を返り討ちにしたルプスレギナが、聖杖についた血を振り払いながらそう口にすると、ガントレットの返り血を拭いながらユリが応じる。

 

「そうね……もう全部片付けたでしょう。ご苦労、みんな。ソリュシャン?」

 

 そう言いながらも索敵担当の妹に念押しして確認を取ると、奥の様子を窺ったソリュシャンは頷きながら進み出た。

 

「ええ、ユリ姉様。この部屋に動くモンスターは残っていませんわ。……奥に宝箱があります、開けてみましょう」

 

 そう言って彼女が宝箱に歩み寄ると、姉妹達がぞろぞろと後に続く。ソリュシャンの仕事を信頼しきった結果ある意味緊張感のない彼女達の様子を見咎めたかのように、ソリュシャンが宝箱に手を伸ばした瞬間アインズの声が降ってきた。

 

『待てソリュシャン。命令だ……その宝箱を()()()()()()()

 

 鍵穴に突っ込もうとしていたソリュシャンの指がぴたりと止まる。僅かな沈黙の後、ソリュシャンが怪訝な表情で虚空を見上げた。

 

「……アインズ様、それはこの宝箱の罠をわざと発動させよ、ということでしょうか?」

 

『その通りだソリュシャン。お前の解錠技術が優れているのはここまでに十分見せて貰った。お前ならばこの迷宮の宝箱を百個解錠して百回とも罠の解除に成功するであろう。だがこれはテストなのでな、宝箱に仕掛けられた罠が作動する様子も確認させて貰いたい。故にそのまま開けよ、ということだ』

 

 その言葉を聞いたソリュシャンは、アインズからの賛辞を十分に噛みしめて堪能した後、後ろの姉妹達に振り向いて言った。

 

「……そういうことなのでみんな。普通に開けるけど準備はいいかしら」

 

「準備って何をすればいいのかしら……そもそも、罠にかかるところを見たいと仰っておられるのに準備してもいいの?」

 

 ナーベラルがそう言って首を傾げると、ユリが考えをまとめながらそれに応える。

 

「そうね……実際の訓練生達になぞらえたテストなのだから、盗賊が罠の解除に失敗した場合に備えて身構えているという想定でいいんじゃないかしら。矢とか(つぶて)とかが飛んでくるかもしれないという想定で構えましょう」

 

「はーい、ユリ姉様」

 

 ユリの言葉に、妹達はそれぞれに構えて罠の発動に備える。それを確認すると、ソリュシャンは自身も何が起きてもいいように全身を程よく緊張させながら、無造作に宝箱の蓋を押し開けた。

 飛び出したのは矢でもガスでもなく、魔法の光であった。

 

「!?」

 

 宝箱の中から青い光が溢れ出すや、同心円状に中空に波紋を広げる。一瞬の出来事に、身を捩ったソリュシャン、両腕を顔の前で交差させ腰を落としたユリ、思わず目を瞑ったナーベラル、反応できず棒立ちのエントマ、咄嗟に伏せたシズ……姉妹達の反応は様々であった。

 

「……みんな、無事!?」

 

 数秒の硬直の後、自身に何も異常が起こらぬ事を訝しんだユリが周囲を見回すと、大体の妹達が頷きを返す無事な様子と、一人だけ無事でない様子の妹が視界に入ってきた。

 

「姉様、ルプーが……!」

 

 床に引っ繰り返って僅かにぴくぴくと痙攣するルプスレギナを抱き起こし、ナーベラルが不安そうな顔を向ける。慌てて近寄ったユリが脈を取ると、激しい動悸が感じられた。見開かれた目の瞳孔が大きく開き、半開きの口からは涎が零れている。己の口腔内で湿らせた指を妹の唇にそっと寄せると、僅かに空気の流れ――呼吸を感じた。

 

「ルプス、意識はある? ……そう。眼球以外に動かせるところは? ふむ……姉様、ルプスは麻痺させられたようですわ」

 

 同じく近づいて跪いたソリュシャンがルプスレギナの状態を診断して報告する。命に別状がなさそうであると聞いたユリは安堵の息を漏らした。

 

「そのようね……しかし、何故ルプスレギナだけが? 今の光はなんだったのかしら」

 

『……今し方発動したのは、“プリーストブラスター”だ。信仰系魔法詠唱者(マジック・キャスター)の魔力オーラに干渉し、本人の状態に異常を与える魔法の罠だが……どうやら正常に動作したようだな』

 

 すると若干得意そうなアインズの解説が入ってきて、一同は感心して頷いた。魔法詠唱者(マジック・キャスター)の魔力を識別した上で干渉するなど、これまで聞いたこともない高度な技術である。麻痺しているルプスレギナの悲哀も忘れ、流石はアインズ様であると感じ入ってしまったことにも無理はないと言えよう。詳細についてはフールーダの異能(タレント)を参考資料にドワーフ職人のマジックアイテム開発技術を取り入れて頑張りました。否、頑張らせました。

 

「ところでアインズ様ぁ……回復担当のルプーが麻痺しちゃったわけですがぁ、アイテムを使用してルプーを治療してもよろしいのでしょうかぁ?」

 

 その後、エントマが素朴な疑問の声を発する。このダンジョンでは、麻痺を治療できるようなアイテムはこれまでに入手していないが、元々与えられている手持ちの巻物(スクロール)ないし治癒薬(ポーション)を使用しても問題ないのだろうかという疑問に、一同ははっとした。

 

『うむ、うむむ……? 本来はここからルプスレギナが欠けた状態で地上まで如何に脱出するかというのもポイントなのだが、お前達では結果は見るまでもないな。ええと、巻物(スクロール)はちょっと勿体ないかな? たぶん治癒薬(ポーション)の方がまだ補充は利く筈……よかろう、手持ちの治癒薬(ポーション)を使うことを許可する』

 

「かしこまりましたぁ」

 

 エントマがとてとてとナーベラルの側に寄ってきて、懐から状態治療の治癒薬(ポーション)を取り出すと、瓶の口をナーベラルが抱きかかえたルプスレギナの口の中に無造作に押し込んだ。勿論、麻痺して顎も満足に動かせぬルプスレギナがまともに飲み干せるはずもなく、赤い液体の半分以上はその唇から零れ落ちて、喉から胸元を艶めかしく濡らした。それを見ていたナーベラルが眉を顰めたが、まあ別に飲み干さずとも、かけるだけでも効果はあるのである。

 

「……ふはっ! あー、あー……びっくりしたっす」

 

 治癒薬(ポーション)の効果が現れて、ルプスレギナの目に焦点が戻った。そのまま上体を起こし、口元を袖で拭いながらため息をつく。

 

「ルプスレギナ、身体に異常はない?」

 

「大丈夫っすよユリ姉、麻痺してただけなんでさっきの治癒薬(ポーション)で完治したっす。それよりソーちゃん、お宝は?」

 

 治るや否や、宝箱の中身を気にしだしたルプスレギナの様子に苦笑する。それだけ元気なら心配あるまいと宝箱の中を覗き込んだソリュシャンが中身を読み上げた。

 

「ええと、治癒薬(ポーション)と、(ロッド)に、指輪ね」

 

 そう言って治癒薬(ポーション)っぽい液体が入った瓶を取り上げると、開いた瓶の口をぱたぱたと扇いで匂いを嗅ぐ。危険な物ではなさそうだと判断し、手の平に数滴垂らして口に含む。

 

「ふむ……何の変哲もない解毒薬ですわね」

 

 そう言うと、ソリュシャンは口を大きく開けて治癒薬(ポーション)を瓶ごと飲み込んだ。……念のために言っておくと、体内に収納しただけである。それを横目に、ナーベラルが手を伸ばして(ロッド)を取り上げた。全体として作りはシンプルなその杖は、先端に赤い宝石が嵌め込まれている。

 

「……<魔法探知>(ディテクト・マジック)に反応があるわ。この杖、マジックアイテムみたいね」

 

「おお、マジックアイテムっすか。使い方は?」

 

 ルプスレギナがひゅうと口笛を吹き、当然の疑問を発した。だがナーベラルは眉尻を下げて首を振る。

 

「前も言ったけど、鑑定系の魔法は修得していないわ。使い方まではわからない」

 

「……あらら」

 

 ルプスレギナが残念そうに呻くと、そこに助け船が入ってきた。

 

『ふむ、成る程……せっかくマジックアイテムを支給しても、鑑定ができなければ使い方がわからんか。これは地上の方で鑑定系のサービスを用意せねばなるまい。参考になったぞ、お前達。でかした』

 

「アインズ様……不甲斐ない私達に、なんとも勿体ないお言葉です」

 

 そう言って恐縮するユリに、アインズは笑い声をあげる。

 

『ははは、やってみないと分からない類の不具合を洗いだしているのだからな。そうかしこまることはないとも。ここは私から説明しておこう。その(ロッド)は“炎の杖”と言って、魔法蓄積(マジックアキュムレイト)の付与効果により、<火球>(マハリト)の魔法を封じてある。持った物の意志に従って、封じられた魔法が解放される。もっとも、杖の方もその負荷に耐えきれずに壊れてしまうから使いどころはよく考えるようにな』

 

 例によって某国で入手した、マジックアイテム作成技術を活かした試作品である。出来が良くないので、マジックアイテムというよりは巻物(スクロール)に近い性能のようだ。ナーベラルは頷いて礼を述べると、ソリュシャンに(ロッド)を渡した。ソリュシャンが心得て体内に(ロッド)を収納すると、最後に残った指輪に手を伸ばす。

 

()ッ……!?」

 

 すると、ソリュシャンが悲鳴を上げて、つまみ上げた指輪を取り落とした。一同の視線が彼女に集中する。

 

「そ、ソーちゃんどうしたっすか?」

 

「……接触ダメージを受けたわ。感触からして、負属性の。ユリ姉様、お願い」

 

 ユリが無言で頷くと、ソリュシャンに代わってその指輪を手に取った。飾り気のないシンプルな金属の輪っかだが、禍々しいオーラを放っているようでもある。

 

「うん……ソリュシャンの言う通りね。負のエネルギーが流れ込んでくる。この場でアンデッドはボク、いや私だけだし、この指輪は私が貰っておくわね」

 

 その指輪は生物が等しくダメージを受ける負属性の呪いを常時発しているようだった。だがしかし、アンデッドの首なし騎士(デュラハン)であるユリ・アルファにとっては、その呪いは彼女の体を癒す祝福へと反転する。ユリは彼女にとっては継続ヒーリングアイテムとなるその指輪を、嬉々として己の指に装着した。他の者には害にしかならないので、妹達に異論があるはずもない。

 

「さてと……では管制室にお邪魔しましょうか」

 

 

 




《モンスターアロケーションセンター》
 迷宮のエレベーターは王様が設置した物で、でもモンスターは邪悪な魔導師の手下で……?
 誰が何のために設置したのか謎が謎を呼ぶモンスターハウスだ(※1)!
 →はいはい塵化(マカニト)塵化(マカニト)(※2)。

※1:まあ本来出てくるのは人型モンスターなので、王様の配下であると解釈することも可能なのだが……この迷宮は魔導師の方が作ったんじゃなかったのか?
※2:雑魚は死ぬ魔法。DQ風に言うと経験値の入るニフラム、FF風だとLV8未満デス。配備センターに押し込まれたモンスターの過半数を殲滅する効果がある。

《プリーストブラスター》
 初代Wizから存在するものの中では二番目に(※3)殺意の高い罠。僧侶系呪文を修得しうる三種の職業に反応して麻痺・石化の状態異常を与える厄介な代物。似たような罠に、魔術師系呪文に反応するメイジブラスターが存在するが、引っかかった後の治療のしやすさという点でこちらの方が数段凶悪である。治療可能者が居なくなってからそのまま帰還を余儀なくされて途中であえなく全滅までがコンボ。尚、発動描写は適当に書き散らした模様。ついでに言うと麻痺の描写も適当。
 オーバーロード世界で魔法詠唱者(マジック・キャスター)の種類を識別可能であることはフールーダとアルシェの異能(タレント)が証明しており、世界の何処かには信仰系の魔力が見える異能(タレント)持ちも居るのだろう。

※3:一番殺意が高いのはテレポーターである。

大炎(マハリト)
 魔力系第三位階魔法(様式美)。クでもタでもない、トだ。
 メイジが初めて覚える(※4)範囲攻撃呪文であり、この呪文の修得前後ではPTの強さが激変する。それまで眠らせながら前衛に物理で殴らせていたメイジが、マハリトで敵グループを一掃するようになったときの爽快感たるや。

※4:……メリト? 知らない子ですね。

《死の指輪》
 持っていると毎ターン5ものダメージを受けるが(※5)、無事持ち帰れば以後金欠とは無縁になるほど(※6)の高値で売れる呪いの指輪という名の換金アイテム。残りHP及び回復呪文の残量と相談しながら、おっかなびっくり持ち帰ることに挑戦するその様は、冒険者の判断力が問われるシーンであるだろう(※7)。
 でも名前から判断するとオバロ世界では負属性の継続ダメージになるだろうなと作者に解釈されたため、アンデッド用の継続回復アイテムという圧倒的便利存在にランクアップした。余談だが、回復呪文を節約するため、普通の継続ヒーリングアイテムを持ち回りにして迷宮の回廊を練り歩く光景はWizの風物詩である。

※5:Wiz基準では恐るべきダメージ。初めて入手する時点では前衛の最大HPが40くらいと言えば理解して貰えるだろうか。
※6:進行度が上がるにつれ、宿は馬小屋(ほとんどタダ)、装備は宝箱から入手、寺院に御布施(蘇生依頼)? ハハッご冗談を……という風に金の使い道が無くなるという事情もおおいに関係がある。
※7:死の指輪を一度に何個持ち帰ることが出来るか挑戦するのは、局地的に流行った廃人達の戯れである。後衛を裸にして24個、前衛の空き枠が一人2個としても30個程度は簡単に持つ事が可能。理論上限界値は48個だが……


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