それにしても。番外編で慎二を格好良く書きすぎた反動か。
本編ではとことん報われない。
そろそろ終盤が近づいてきましたけど、あまりにも哀れなので完結したら番外編時空で凛と結ばれるくらいまでの話書こうかな……
「良かった、大丈夫だったんですね先輩!!」
「心配したのよ士郎」
桜、藤ねえ……二人ともどうして泣いてるんだ?
俺なら大丈夫だよ、だって俺は英雄になるってお墨付きをもらったんだぜ?
その前に死ぬわけが無いじゃないか。
「だめっそんな体でどこに行こうって言うんですか?」
桜が俺の体を布団に戻そうとする。ごめんな桜。お前の気持ちは嬉しい。
きっとそれは操られる前から桜が持ってた優しい気持ちとおんなじだから。
待っててくれ桜。俺は今からお前を完全に治しに行ってくる。
決意を込めて桜を軽く横にどけて俺は立ち上がる。
今度はもう止めてくることは無かった。
「行くのね士郎」
「ああ、行ってくる」
藤ねえの質問に即答で答えると、ため息をついたかと思うと布に包まれた刀をつきだした。
「わかってる。今の士郎切嗣さんと同じ顔をしているもの。何かいろいろ思い出しちゃった。どうして忘れてたのかしらね。貴方を運んできてくれたセイバーさんって女性はね、切嗣さんの奥さんのボディーガードだった人よ。ああ見えて私よりも年上だから失礼の無いようにね」
「え、それは本当なのか藤ねえ」
「うん本当よ。さっきまで何故か忘れてたんだけどね。今ははっきりと思い出せる」
そうか、爺さんの奥さんって事は俺のおふくろになるはずだった人の周りに居た人か。
これは帰ってきてからの楽しみが増えたな。
「それじゃあ、桜、藤ねえ行ってくる」
「先輩。私も一緒に行きます」
「駄目よ桜ちゃん。あの顔をした男の人はね本当にバカなんだから……良い、士郎。こんなにいい子を待たせてるんだから絶対に帰ってこないとぶっ飛ばすわよ」
「行ってくる」
「全く、血がつながってない筈なのにどうしてダメなところばっかり似ちゃうのかしら。こうやって女の子を泣かせるところとか本当にそっくり。言峰 綺礼何て吹っ飛ばしてくるのよ!!」
「え、誰だそれ?」
「え?」
「え?」
出発は延期になった。
「えーと、それじゃあ先輩は私が姉さんに洗脳されてるって勘違いしてたんですね?」
「はい、すいません」
「もうっあれは姉さんが私の病気を治してくれたんですよ。もの凄い繊細な魔術でしたから。あれは多分姉さんは聖杯戦争の勝利を捨てて私を助ける能力に特化したサーヴァントを選んでくれたんですよ」
「いや、でもランサーのアニキを翻弄してたらしいぞ?」
うん、あれだけのでっかい男を翻弄するんだ。きっと凄いあくどいサーヴァントに違いない。
確かアニキが言ってた異名はなんだっけ……
「そうだ、死を操る魔女」
「何ですかそれは」
「アニキが言ってたんだ。遠坂のサーヴァントは死者の島の主。死を操る魔女「モーガン・ル・フェイ」だって」
死を操るとか完全に悪役だろ?
それに魔女とか……
「その人伝説のお医者さんですよ先輩」
「え、いや、でも……」
「はあ、良いですか。モーガンさんは宗教上の問題で悪役として伝えられてきましたけど。元をたどれば普通にお医者さんです」
そ、そうなのか?
あ、そうだ。慎二をひどい扱いしてたじゃないか。
それに人質に取ったり。
「いや、でも遠坂達は慎二を縛って蹴りつけたり人質に取ったりしてたぞ?」
「それも誤解です先輩。学校の結界あったじゃないですか。あれを張ったのは兄さんです。多分姉さんはそれに気が付いて止めてくれたんですよ。現に1時間ほど前に結界が消えたそうです。もし昨日先輩たちが乱入しなければ昨日の内に止まってたかもしれません」
「何だって? それじゃあ俺がやろうとしてたことは……」
何てこった。それじゃあ俺は本当に正義に味方どころじゃないじゃないか?
正しい事をしようとしてた遠坂の邪魔をして学校の皆の危機をのばしてたのは俺じゃないか。
俺は……俺は一体……
その時だ、俺の体を温かいものが包み込む。やわらかいいい匂いのするそれは後悔に沈み込む俺の体を浮かび上がらせてくれる優しさを感じる。
「もう、本当に先輩には私が付いていないと駄目なんですから。大丈夫ですよ。先輩には私が付いています。迷ったことがあったら私が決めてあげます。間違ったことをしたら私の責任です。今回だって私を助けようとして間違っちゃったんだから。先輩は悪くないんです。だから先輩は今もきれいなまんまですよ。ね、先輩……だから次は私を置いていこうと何てしないでくださいよ? いつだって一緒なんですから。ね、先輩」
「ああ、いつも一緒だ桜」
そうか、俺の正義はここにあったんだな!!
俺はもう迷わないよ桜!!
「うわぁ……! まさか桜ちゃんがこんなに重い子だったなんて……大事な弟を本当に桜ちゃんに預けちゃってよかったのかしら? いや、でも」
「大丈夫ですよ藤村先生。先生は家族ですから。一緒に先輩を支えていきましょうね」
「うーん、士郎はこれくらいの方が逆に良いのかしら? まあ、きっと本人達は幸せだと思うし……ハッピーエンドなのかしら?」
「ぎゃああああああ」
あの声は、昨日魔法陣から出てきた女の子か?
「行きましょう先輩」
「ああ、そうだな桜」
「うん、尻に敷かれてるだけって思えば何とか……」
そこに広がっていたのは阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
茶碗を死守しようと走り回る女の子と、それを追いかけるあれ。
一部持ってない人もいるが、男ならだれでも持っている例の場所だ。
それが空に虹をかけながら少女を追いかけまわしている。
「うん、桜。藤ねえ。ここは危険だから寝室に戻るか」
「ええ、そうですね」
「うん、そうしよっか」
「その声はマスターですね!! 待って下さい。助けて!!」
「この術は間違いありません。姉上が呼ばれるわけが無いと思っていましたが……貴女でしたかしゃ……ぐわあああああ」
「ねえ先輩。今度からしばらくご飯別の部屋で食べませんか?」
「うん、賛成だ」
「ええ、さすがの私もあれは嫌ね」
何だっけあれ。前に何とかの泉って番組で見たことがある。
ちゃんちゃんこを着た男の子が主役の妖怪番組の敵で。
そうだ、「南方妖怪○○ポ」だっけ。
正義の味方って妖怪も退治しなきゃならないのかな?
流石にあんなのとは戦いたくないんだが。
え、タイガーが詳しすぎるって?
犠牲になったんですよ、デレステのガチャが渋すぎて落ち込んでまき展開に入った作者のね……
あ、士郎がヤンデレ桜にトラワレルノハ1話からの予定通りです。
後書きに入れ忘れてる一文があったので追加
そろそろまじめな展開になると思った読者様へ。すいませんこれギャグSSなのでシリアスに見えたらそれはきっとシリアルのための準備です・・・