真・怪人バッタ男 序章(プロローグ) 作:トライアルドーパント
8/19 活動報告にて、後書きの三択について受け付け場所を新設しました。ご意見はそちらにお願いします。
8/21 感想欄の指摘より、本文に修正を加えました。そして先週の合併号を見直して、瀬呂君もフルフェイスだった事を思い出した。
8/9 誤字報告より誤字を修正しました。ありがとうございます。
2018/5/20 誤字報告より誤字を修正しました。毎度報告ありがとうございます。
7/28 誤字報告より誤字を修正しました。何時も報告ありがとうございます。
2019/3/19 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。
2020/4/22 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。
桜が舞う四月。俺と出久と勝己の三人は、無事に雄英高校に入学した。
更に言うなら「腐れ縁」と言うヤツの力が働いたのか、俺が入る1-Aの教室に勝己がいた。教室にいる中で他に見知った顔がいないかと探してみれば、実技試験の説明の時のメガネ男子と、実技試験で同じ会場にいた透明女子とカエル女子がいる。
そして勝己はここでもチンピラキャラで通すらしく、メガネ男子こと飯田と言い争いをしているが、傍から見れば二人のやりとりは、ヤンキーの息子と口うるさいおかんのそれだった。
そうこうしている内に出久とほんわか女子が現れ、その後で入試の時に見た小汚い男の人が俺達の担任だと言う驚愕の事実が判明。そんな相澤先生の指示の元、入学初日に『個性把握テスト』と言う“個性”の使用を前提とした体力テストが行なわれる事と相成ったのだが、相澤先生は「このテストでトータル成績が最下位だったヤツを除籍する」と言いやがった。
「自然災害や大事故、身勝手なヴィラン達。何時何処から来るか分からない厄災。日本は理不尽にまみれている。そう言うピンチを覆していくのがヒーローだ。
雄英はこの三年間、こうしてお前等に受難と試練を与え続ける。“Plus Ultra【更に向こうへ】”さ。全力で乗り越えて見せろ」
う~む。俺としては“個性”を使う事自体は問題では無いが、一番グロいシーンであるバッタ人間へ変化する瞬間を、入学初日からクラスメイトに見せ付ける事になってしまう。それは高校デビューとしては最悪のスタートと言っていいだろう。
しかも今回は障害物がまるで無い為、誰にも見られない状況を作る事はまず不可能だ。それが出来るチャンスは既に逃してしまっている。
この状況をどうやって打開しようかと考えていたら、カエル女子が俺に話しかけてきた。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
「あ、ああ、え~っと、君は?」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんって呼んで、シンちゃん」
「シンちゃん?」
「ケロ? 私、何かおかしな事言ったかしら?」
「……いや、なんでもない」
シンさんと呼ばれ続けていた俺にとって、ちゃん付けはかなり新鮮だ。そして「女の子をちゃん付けで呼ぶ」と言う、ある種の憧れが現実のものとなるチャンスが舞い込んできた事に、内心で狂喜乱舞していた。
「それで、つ、梅雨ちゃんは俺に何か聞きたいがあるのか?」
「ケロ。私、思った事は何でも言っちゃうの」
「?」
「シンちゃんって、もしかしてあの時のバッタさん?」
「!?」
何たることぞ。梅雨ちゃんは俺がバッタ男である事を看破した。
「……な、何でそう思った?」
「バッタさんがいた時にシンちゃんがいなくて、バッタさんがいない時にシンちゃんがいたからよ。半信半疑だったけど、当たったみたいね」
つ、つまり、カマを掛けられたのか!? いや、もしかしたらプレゼント・マイクの試験の説明の時に目立った事で顔を覚えられてしまい、同じ会場にいる俺が試験中に見当たらなかった事で気付いたのかも知れない。やはり、姑息な事を考えるべきではなかったか。
「次、蛙吹と飯田」
「ケロ。お互いに頑張りましょう」
そう言って梅雨ちゃんは50m走をスタートラインに向かって行った。対する飯田は足に“個性”が発現しているタイプで、本人は不満そうだが50mを3秒04と言うタイムを叩き出し、歓声が上がった。
しかし、俺は100mを3.34秒で走破できるので、この50m走に関しては余程の“個性”持ちがいない限り、誰にも負ける気がしない。もっとも、全く気が乗らないと言うか非常に憂鬱な事は間違いない。
こうして次々とクラスメイト達が自分の“個性”を工夫して50m走に挑戦し、独自の記録を打ち出していくなかで、先に50mを終えた連中がワイワイと話し合っているのが聞こえてきた。
「そろそろ緑谷君の出番だな。入試の時に0Pの仮想ヴィランを倒した彼なら、凄い記録を打ち出すに違いない」
「ケロ。それならシンちゃんだって凄いわ。あの0Pの仮想ヴィランを真っ二つにしたもの」
「何っ!? 緑谷君以外にも、アレを倒した受験者がいたのか!?」
「何、何? 何の話?」
なんと言う事でしょう。俺と出久が入試の実技試験でやらかした事が、飯田と梅雨ちゃんの二人によって、クラス中に知れ渡ってしまった。話を聞いたクラスメイト達が、興味津々と言った目で俺と出久を見ており、唯一勝己だけが凄ェヤベェ顔でコッチを見ている。
……いや、待て。この状況を打破する方法を思いついたぞ。考えてみれば雄英高校の先生方は俺の“個性”を知っている筈だ。ならば、アレをこの場で披露すればどうなるかも分かっている。
ならば“個性”を使う瞬間だけでも便宜を図ってくれるかもしれない。そんな期待を込めて、俺は相澤先生へアイコンタクトによる意思疎通を試みた。すると、相澤先生は此方を見てから、やけに大きな独り言を言った。
「……遠慮は要らないぞ呉島。お前の“個性”はこのクラスの誰よりも強力だが、気後れする必要は全く無いからな」
ちくしょおおおおおおっ! クラスの皆が俺を見ているぅううううううううううッッ!!
相澤先生のお蔭で、今まで興味なさ気にしていたクラスメイトの気まで引いてしまい、多くが「どんな凄い“個性”を持っているんだろう」と言う期待の眼差しを、どことなくデキる雰囲気のある連中は「どんな“個性”か見極めてやろう」と言う思惑が篭った視線を、そして勝己は殺意が篭った只ならぬ眼光を俺に向けている。
「次、呉島と緑谷」
来たか、審判の時が。相澤先生の方に目を向けると「お前、ここで“個性”使わなかったら、分かってるよな?」みたいな目で俺を見ている。
……も、もう、やるしかねぇ。
俺は雄英での残り三年間の学校生活を、入学初日にして青春をドブに捨てる覚悟を決めた。高校デビューが桜の花弁の様に儚く散るのを幻視し、宣言通りに俺に受難を与えやがった相澤先生への怒り(私怨)を糧に、俺は“個性”を解放した。
「ヴヴ……URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!」
『ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』
『うわぁああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!』
『キャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』
バッタ男への変化を見届けたクラスメイト達は恐怖に顔を歪め、絶望の悲鳴を上げた。例外は出久と、勝己と、梅雨ちゃんと、透明女子こと葉隠(顔が見えないので分からん)だ。腰が抜けて動けない者もいれば、泡を吹いて失神している奴までいる。
幸いだったのは、体操服がパッツンパッツンになったものの、破れていない事。それでも予想していたとは言え、目の前のクラスメイト達のリアクションに涙が出てくる。
ええい! こうなりゃヤケだ! 思いっきりヤッてやるぞ!
ヤケクソになった俺は、人間の形状を保っていた両脚をよりバッタらしい形へと変形させた。両脚はバッタの様に折畳まれ、両手の爪を地面にめり込ませる。そんな独特の「クラウチングスタート」の体勢を取り、両脚に力を込めながら50m先のゴールラインを睨みつける。
「GUUUUUUUUUUUUUU……」
「ははは……、き、気合入ってるな、オイ……」
「お、俺には『肉食動物が獲物を狩る』格好にしか見えねぇんだけど……」
「なあ! 俺達、大丈夫なんだよな!? 喰われたりしねぇよな!?」
「ば、馬鹿言え! バッタは草食だ! 肉なんて食ったりしねぇよ!」
「……お言葉ですが、トノサマバッタは普段から虫の死骸を食べますし、脱皮中で動けない仲間を襲って食べる共食いも盛んな生き物ですわ」
『と、共食い!?』
一方の何も知らないクラスメイト達はその姿を見て必要以上に恐怖していたが、それも無理は無い事だ。想像して欲しい。自分の約50m先に、筋骨隆々としたバッタの怪人が体を地に伏せた状態で唸り声を上げ、凄まじい表情で此方を睨んでいる姿を。
その姿は「狩りのタイミングを見計らうライオン」を彷彿とさせ、ゴールラインの近くにいる彼等は自分達が「ライオンに狙われたガゼルの群れ」の様な気分になっていた。
『ヨーイ……スタート!』
「E―――――――――――――――――――――――――――!!」
スタートの合図と同時に両脚に込めた力を一気に解放した俺は、目にも止まらぬスピードでミサイルの如くゴールラインを通過した。スタートからゴールするまでの間、一度も地面に足をつけていないので、果たして50m走と言えるのか疑問だが、多分問題は無いだろう。
『0秒55』
良しッ! ぶっちぎりで一位だ! しかし、まだだッ! これはまだ踏み台に過ぎぬッッ!! 俺は昇るぞ! どこまでも……どこまでもッッ!!!
「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」
『ヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッ!!』
かくして、雄英高校の歴史の中でも類を見ない、波乱と恐怖に満ちた『個性把握テスト』が幕を開けた。
○○○
「実を言うと、ウチのクラスにも入学式はあった。だが呉島の“個性”を考えると、確実に大半の生徒が混乱して授業の進行速度が遅れると俺は思った。まあ、“合理的虚偽”ってヤツだ」
その当時の状況を1-A組の担任教師だった相澤消太はこう語る。
「入試の時も思った事だが、俺に言わせれば呉島の行動はヒーローを舐めているとしか思えん。一分一秒を争うプロの現場で、一々人目を気にして“個性”を使うなんざ、合理性に欠ける」
相澤消太は「見込みが無い」と判断した時点で、どれだけ好成績を出そうが出さなかろうが、容赦なく生徒を除籍する教師である。その「見込み」を判断する材料として、嘘をついたり煽ったりして生徒を追い込むのは、日常茶飯事だった。
50m走の後は握力、立ち幅とび、反復横とびと順調に続き、ハンドボール投げでちょっとした騒動があったがそれも無事に終了。更に上体起し、長座体前屈と進み、最後の持久走の時に“それ”は起こった。
相澤はそれまでの種目において、新と組む相手を新の“個性”に耐性の有る出久を当てていた。だが、持久走はそれまでの種目と違い、生徒全員で一斉に行なった。
ちなみにこの時、新は先頭の割と良いポジションで構えていた。誰も新を自分の背後に立たせたくなかったからである。
『位置について、ヨーイ……』
スタートを告げる「パァン!」と言う音が鳴った瞬間から、新は全力全開のフルスロットルだった。瞬く間に集団を抜けてトップに立ち、凄まじいスタミナを有する新はトップスピードを維持しながら走った。新はあっと言う間にグラウンドを一周して二周目に突入し、まだ一周目の生徒達の背後へと迫った。
「その時に調べた呉島の一周目のタイムから、呉島の足は時速に換算すると約107km/hって所だった。さて、ここでちょっと想像して欲しい。全身の筋肉を力強くもしなやか且つ俊敏に動かし、野獣の様な凄まじい咆哮を上げながら、時速約107km/hの猛スピードで背後から迫ってくる、“個性”を使った呉島の姿を。
………想像したか? ああ、その通りだ。きっとあの時は生徒の殆どが同じ事を考えていただろうさ。『取って喰われる』ってな」
50m走の時の新の動きは、一秒にも満たない一瞬の内に終わっていた。しかし、持久走の時は時速約107km。それは高速道路を走行する自動車と同等であり、それは視認出来るからこその恐怖だった。
「正に地獄絵図だった。背後から迫る呉島を見てしまった生徒達は、様々な反応を見せた。恐怖に耐え切れずコースアウトした奴。ガタガタ震えながら地に伏せて頭を抱える奴。振り向いた瞬間に呉島と目が合って、泡を吹いて気絶した奴。そして、自分の“個性”を使って迫り来る呉島を攻撃した奴だ。まあ、攻撃に関しては大半が不可抗力だ。
二周目の呉島はクラスメイトに妨害されまくっていた。そして、攻撃を喰らった傍から呉島の体の傷は回復し、その様を見て更にクラスメイト達から攻撃が来る悪循環に陥っていた。たまに攻撃をジャンプしてかわしたりしたが、それはそれで『飛び掛って襲おうとしている怪人』にしか見えなかった」
弁護させてもらうなら、新は本気になって一位を取ろうと頑張っていただけだった。しかし傍から見れば新の姿は、「『バイオハザード』なんかに登場する、高速で動き回る追跡型クリーチャー」以外の何者でもなかった。
次々と生徒達がテストを放棄し脱落し、悲鳴と怒号と絶叫と慟哭がグラウンドに飛び交う中、“個性”がトップギアに至った飯田が遂に新と並んだ。
「まあ、飯田はそれまで50m走も反復横跳びも呉島に遅れをとっていたからな。せめて持久走では挽回したかったんだろう。全力以上の力を発揮し、残り600m程度になった所で、遂に飯田は勝負に出た」
飯田天哉の“個性”はふくらはぎにエンジンのような器官が備わっており、それによってとてつもない俊足を生み出している。しかし、50m走ではあらゆる意味で圧倒的な脚力に敗れ、なりふり構わず挑んだ反復横跳びでも新には敵わなかった。
その為、飯田は最後に行われる持久走に全てを賭けた。何としてでも足で新に勝つ為に、トルクオーバーを引き起こしてトルクと回転数を無理矢理底上げし、約10秒間の爆発的な超加速を可能とする「レシプロ バースト」の使用に踏み切った。使用後は反動でしばらく“エンスト”するが、これが最後の測定なので問題は無い。
「必死に食らい付く呉島だったが、飯田との距離は縮まる所か広がるばかりで、飯田がこのまま逃げ切るかと俺を含めた誰もが思ったその時だ。
呉島の腹が光ったと思ったら頭に皹が入り、呉島は走りながら『脱皮』した。『脱皮』する前がトノサマバッタだとするなら、その時の姿はショウリョウバッタって感じの鋭角的なフォルムだ。
もっとも、ソレが見えたのはほんの一瞬で、呉島は文字通り目にも止まらぬスピードでグラウンドを走り、一秒にも満たない一瞬で飯田を追い抜いてゴールしたんだ」
飯田はその時、ゴールまで残り50mと言う所まで来ていた。しかし、この時の新は通常を遥かに上回る超高速を発揮し、持久走でも一位を獲得した。飯田はしばし呆然としていたが、自身の敗北を素直に認め、お互いの健闘を讃えようと新に近づいた所で、新に異変が起こった。
「呉島の“個性”については、個性届で事前に確認していた。あの『脱皮』に関しては恐らく、呉島の『あらゆるエネルギーを吸収して進化する特性』が発揮された結果だろう。だが、急激な進化は体に大きな負担を与えたようで、呉島は胸を押さえながら苦しそうなうめき声を上げてその場に倒れた。そして、それと同時に“個性”も解けた」
実は新が『脱皮』をした際、体操服も一緒に脱皮する様に脱げていた。そんな状態で“個性”を解いたらどうなるだろうか?
答え:全裸になる。
その有様を近くで見ていた飯田は動揺し、クラスメイトの恐怖とは違う悲鳴が上がった。そして相澤は冷静に、創造の“個性”を持つ八百万に体操服を作るように頼んだ。ケツ丸出しで倒れる新に合ったサイズの体操服を……だ。
その後、すぐに新は復活したが、持久走の記録は半分以上の生徒がその場から逃げ出した為、“記録無し”の生徒が大半を占めた。記録を出せなかった生徒達はやり直しを要求したが、「それなら呉島君にもやり直す権利がある」と飯田が主張し、代えの体操服を着た新に意見を求めた。
『呉島君! 君だってそう思うだろう!? これではフェアな記録とは到底言い難い!』
『……いや、俺はこれでいい』
『!? 何故だ! 理由を聞かせてくれ!』
『相澤先生が言っていただろう? 「この世界は理不尽にまみれていて、そう言うピンチを覆していくのがヒーローだ」って。
だから俺は「これは俺がヒーローになる為に必要な事」だと受け取った。その結果がコレだ。だから、俺はコレで良い』
飯田を含め、その場にいた全員が衝撃を受けた。仮に自分が同じ状況下に置かれたとして、果たしてこんな事が言えるだろうか? いや、間違いなく文句を言うだろう。
お前等一体、何してくれてんだ……と。
その後、相澤の「プロヒーローの現場に『やり直し』なんてものは無い」と言う、ごもっともな言葉も相まって、『個性把握テスト』は奇妙な形で幕を閉じた。
しかし、相澤にとって最も恐るべき事態は、この後になって訪れた。
「俺が『“最下位は除籍”ってのは、生徒の最大限を発揮する為の合理的虚偽』って言った時だ。緑谷の隣にいた呉島が絶叫しながらバッタ人間に変身したと思ったら、こめかみがピクピク痙攣し、真っ赤な目玉をぎょろぎょろさせて、俺を凝視しながら唸り声を上げたんだ。……ああ、あの時は流石に少しヤベェと思ったよ」
死ぬ? 殺される? いや、むしろ喰われる?
何故か私服姿の自分が野原で為す術なく食われる光景が相澤の脳裏をよぎったが、新は相澤を憤怒の形相で睨みつけているだけだった。
「その後どうしたって? 緑谷にこの後ばあさんの所に行く様に伝えて、その場で解散したよ。次の日の朝のHRは滅茶苦茶行きたくなかったけどな……」
後にも先にもアイツ以上に恐怖を覚える生徒は現れないだろうな……と、相澤消太は心から思った。
●●●
全ての体力テストが終了し、今日はもう帰るだけ……となっていたのだが、俺は出久とクラスメイトの切島の治療が終わるのを待っていた。待っている間に考えているのは、今日の持久走で起こった出来事だ。
持久走で飯田に追い抜かれ、何とか距離を縮めよう足掻いたが、どうしても飯田に追いつくことが出来ない。それどころか距離をみるみる離されていく。向こうは足に“個性”が現れているタイプだが、此方も足にはかなり自信があるのだ。正直負けたくない。
もっと早く! いや、誰よりも速く走ることが出来たら……ッ!!
俺が心の底からそう願った瞬間、不思議な事が起こった。
腹のへその部分に存在する黄色い玉が突然光り輝き、俺の体を得も知れぬ大きな力が突き抜けていく感覚が襲った。そして、自分の殻を脱ぎ去った様な感触がした直後、俺の体は羽根の様に軽くなり、今までとは全く違った高速のヴィジョンが視界に飛び込んできた。周囲がスローモーションに見えるほど超高速で走る事が出来る様になった俺は、瞬く間に飯田を追い越すと、持久走でも一位を獲得する事に成功した。
しかし、完走した後の俺は今まで体験した事の無い激痛に苛まれ、倒れて気絶すると同時に“個性”も解けた。正直“個性”が解けただけなら問題は無かったが、この時の俺は本当に自分の殻を脱ぎ去っており、その時に体操服も一緒に脱げていた。
それはつまり、“個性”が解ければ全裸になると言う事。
かくして、俺は総合1位の代償としてクラスメイトにトラウマを植えつけ、最後にはケツ丸出しの醜態を晒すと言う、衝撃的な高校デビューを飾ったわけだ。……ヤベェ、涙が出てきた。
そして「最下位は除籍」が嘘だと知った時の衝撃と怒りによって“個性”が発動し、一瞬でバッタ人間になった時は周囲が物凄く緊張していたが、それは些細な事だ。別に相澤先生を取って喰おうだなんて考えもしてないぜ。
制服に着替える為に更衣室に行こうと思ったその時、一人の男子が俺に近づいてきた。
「よッ! 総合一位とか、先生が言う通りスゲェ“個性”だな!」
「GRR?」
「俺か? 俺は切島鋭児郎だ! これから一年よろしくな!」
切島はそう言うと俺に握手を求めてきた。このバッタ人間の姿の俺に対して、よろしくと言いながら握手を求めた人間は皆無だ。若干の感動を覚えた俺は勢いよく頷き、快く握手に応じた。
「うおおおおおおおおおおおおぉッッ!?」
「気をつけて! その爪は『ハイバイブ・ネイル』と言って、何でも切り裂けるんだ!」
「へッ!? へ……平気だ、こんなもの! お、おおおおおおっ!?」
「その腕の棘は『スパイン・カッター』と言って、何でも切り裂けるんだ!」
「(何でも切り裂ける所、多過ぎじゃね!?)何の……耐えて、見せるッ!!」
切島は歯を食いしばって必死に耐えていた。何という男だ。この切島という男は、俺の“個性”を真正面から受け止めるつもりなのだ。その心意気に感動した俺は、なんとかこの感動を切島に伝えたいと思い、そして閃いた。
この状態では言葉で感動を伝える事は出来ないならば、行動で伝えれば良いのだと。
「ぐわああああああ! 肩! 肩! 痛ッ! え、ちょ!? 待て、抱擁は止めろ! ちょッ、まっ……ア゛ーーーーーーーーーーーッ!!」
……うん。感極まって切島には悪い事をしてしまった。その後で理由を話して謝罪すると、切島は快く許してくれた。切島はとても良い奴だった。
こうして、黒歴史と化した『個性把握テスト』を振り返っていると、保健室から二人が帰ってきた。せっかくなので今日は三人で帰ることにした。
「何にしてもクラスの誰も除籍にならなくて良かったな」
「うん。でも、多分普通にやってたら、僕が最下位だったと思うな」
「それよりも俺は、峰田が爆豪に一体何を言ったのかが気になるぜ」
「勝己のアレか……」
「峰田君、かっちゃんに酷い目に遭ってたよね……」
それはハンドボール投げで出久が例のピーキーな“個性”を使い、700m超えの記録を出した後の事。その時に勝己が峰田に何か言われたようなのだが、それに勝己がマジギレして峰田をフルボッコにしていた。ボコボコにされた峰田曰く「よく分からないけど、予想の250倍位キレられた」らしいので、峰田の方に原因があるっぽいが、一体どんな事を言ったのだろうか? 聞いてみたいが、聞いたら聞いたで勝己がまたキレそうで怖い。
「緑谷君に呉島君に切島君、今から帰りかい?」
「ああ、二人の治療が終わったからな」
「そうか。しかし、呉島君。今日の僕は君に負けたよ。完全敗北だ。いや、足なら誰にも負けないと僕も少し驕っていた。君のお蔭で、上には上がいると目が醒めた。ありがとう」
「? どういたしまして」
「それにやられたと言えば、相澤先生もそうだ。俺は『コレが最高峰!』とか思ってしまった。教師が生徒を嘘で鼓舞するとは……君達はどう思ったんだい?」
「俺はどんな無理難題でも、何時でも受けて立つぜ!」
「俺は正直ふざけんなって思ったな」
「ぼ、僕は……」
「お~~い、皆待って待って~~!」
「ん? 君は無限女子。それに君達は……」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんって呼んで」
「私は葉隠透だよ。よろしくね」
なんと言う事でしょう。ここで更にほんわか女子の麗日と、梅雨ちゃんと、葉隠が加わり、合計7人の大所帯となった。ここで「シン」というのが渾名で本名が新だと皆に教えたのだが、そのまま「シン」で通した。出久も「デク」で通すらしいし、その気持ちは分かる。
しかし、飯田も彼女達も何と言うか……普通だ。出久以外の誰もが、俺を恐れもしなければ、怖がりもしてない様に見える。
……まさか、受け入れられているのか!?
世の「自分が正常である」と信じきっている、異常な正常者共の正気の沙汰によって異端の烙印を押され、迫害され続けてきたこの俺が!? 人々から後ろ指を指され、恐れられながらも忌み嫌われる存在であるこの俺が!?
試しに電車で出久と距離を置いてみたが、俺の両隣に一人分以上の隙間を空ける事無く、普通に切島と梅雨ちゃんが腰を下ろしている。……いや、もう少し様子を見よう。
「……ちょっと気が早いとは思うんだが、自分のヒーロー名とかもう決めてたりする?」
「それなら俺はもう決まってるぜ! 剛健ヒーロー『烈怒 頼雄斗【レッド ライオット】』だ!」
「それってもしかして、漢気ヒーロー『紅 頼雄斗【クリムゾン ライオット】』のオマージュ?」
「おお! 知ってんのか緑谷! ちょっと古いんだが、俺の憧れるヒーロー像が『紅 頼雄斗【クリムゾン ライオット】』なんだよ!」
「私は梅雨入りヒーロー『FROPPY【フロッピー】』よ。子供の頃から決めていたの。シンちゃんは?」
「……へ、変身ヒーロー『MASKED RIDER【仮面ライダー】』」
「? それってどんな意味があるの?」
「父さんが昔考えた自分のヒーロー名だ。何でもコスチューム着た上でバイクに乗ってヒーロー活動をするつもりだったって言ってた」
「なるほど。お父さんの意志を継ぐと言う訳か。そうなると、在学中にバイクの免許取るつもりなのかい?」
「ああ、二年生の時にある『ヒーロー活動認可資格仮免』に合わせて取るつもりだ」
「バイクに乗る必要は無さそうだけどね~」
「確かに!」
普通に皆と会話が成立し、場が盛り上がっている。
……永かった。本当に永かった。
男子にも女子にもある意味でキャーキャー言われていた俺にとって、恐怖の悲鳴こそが今までの学校生活を象徴する暗黒の賛美歌だった。そんな光無き学校生活のどん底で巻き起こる、想像を絶する苦しみの連続。
自分の“個性”を怨んだ事は一度も無いが、あえいでいくしかなかった永い年月の中で、叫び! 吼え! 呪い! 嘆き! のたうち! 未来への栄光と、爽やかな学校生活を夢見ながら、どうすればあんな風に男女混合で楽しく過ごせるんだろうと、人知れず枕を濡らしてきた。
しかし、そんな今までの苦難も、此処まで来れば安いものよ! ふははははははははははははは! 此処までくれば安い安い!
「そ、それじゃあ、僕達はここで降りるから」
「そうか、ではまた明日学校で会おう!」
おっと、もう降りる駅に着いたのか。楽しい時間が過ぎるのは本当に早いな。
「それじゃあ、ここでさよならだな」
「おう! また明日な!」
「シンちゃん、緑谷ちゃん、また明日」
「デク君、シン君、またね~」
「バイバ~イ」
なんて気のいい奴等なんだ。俺と出久は電車に手を振って、駅に降り立った。そして電車の窓からも手を振っていたので、俺達は電車が見えなくなるまで手を振っていた。
「……あっちゃん。僕、雄英に合格して良かったって、心から思うよ」
「ああ、俺もだ……」
「友達も出来て、女の子といっぱい話しちゃった」
「そうだな。……これからコーラで祝杯をあげようと思うんだが、お前もどうだ?」
「……そうだね、今日位は……良いかな?」
「今日位は……今日位はいいだろう……」
これまで俺達は、毎日の様に見えない何かに敗北を喫したまま家路についていたが、今日は初めてその何かに勝った様な気がした。
勝利の美酒として二人で煽ったコーラは、何時もよりも何十倍も美味かった。
●●●
昨日の放課後は今までに無い、未体験ゾーンな下校によってハイテンションになっていたが、代えの体操服を作ってくれたと言う八百万は俺を見る度に目を逸らし、俺の後ろの座席の口田は虫が苦手だそうで、俺が後ろを振り向く度にビクビクしている。
個性把握テストの総合一位の代償は決して小さいものでは無かったが、今までとは違った意味で、どこか一目置かれている様な感じがするのは気のせいだろうか?
そして今日から本格的に始まる雄英高校のカリキュラムは、午前中は通常の高等学校と同じ必修科目の普通の授業。午後からがヒーローの素地を造る為のヒーロー基礎学だ。
本日はオールマイトの指示の元で行なわれる戦闘訓練で、それぞれが専用のヒーローコスチュームを着用して、入試の時に使ったグラウンドβに集合する。
ところで雄英高校には「被服控除」と言う、要望する機能とデザインを学校に提出すると、各生徒専用となる最新鋭のヒーローコスチュームを学校のサポート会社が用意してくれる素敵な制度があるのだが、今回俺に用意されたコスチュームは「被服控除」によって造られた物では無い。
バッグの中に入っていたのは、黒を基調とした所々にプロテクターが装着されているライダースーツ。ブルーグリーンのブーツとグローブ。薄手の深紅のマフラー。中央に風車が付いた大きなベルト。そして、バッタを模したフルフェイスのヘルメット。
これが俺のヒーローとしてのコスチュームだ。
「わあ! あっちゃんのコスチューム、凄くカッコイイ! それあっちゃんがデザインしたの?」
「いや、コレは父さんが造ったものだ。多分、父さんが身につける筈だったコスチュームのデザインなんだと思う」
「そうなんだ……実は、僕のコスチュームも母さんが用意してくれたものなんだ」
「そうか。お前もしっくりと馴染んでいる感じで似合ってるぞ。それと、このコスチュームには驚くべき機能がある」
「え?」
ヘルメット以外の全てを身につけた俺は“個性”を発動し、バッタ人間の姿となる。通常なら着ている服の袖が破けたりするものなのだが、このコスチュームはそうならなかった。両手足に装着したグローブとブーツは、「スパイン・カッター」や「ハイバイブ・ネイル」を外に突き出す事無くその形状を保っている。
そして俺はバッタを模したヘルメットを被り、「クラッシャー」と呼ばれる口の部分を嵌め込んだ。カチッと鳴る音がどこか心地良い。
「どうだ? 俺の声がちゃんと聞こえるか?」
「!! うん! ちゃんと聞こえるよ!」
そう。このコスチュームを着ていれば、“個性”を使った状態でも喋る事が出来る様になるのだ。声には若干のエコーが掛かっているが、それ位は全く問題にならない。他にも色々な機能があるようだが、それはおいおい使っていこう。
「……なあ、出久。もしかして、着替え終わっていないのは俺達だけか?」
「え? あ! 本当だ! 急ごう、あっちゃん!」
出久と共に急いで演習場に向かいながら、俺はそっと右手でヘルメットに触れて、父さんがこのコスチュームのデザインを見せた時を、自分がかつて考えたヒーロー名を教えてくれた時の事を思い出す。
変身ヒーロー『MASKED RIDER(仮面ライダー)』
それはきっと、誰しもが一度は心に思い描く、普遍的で理想的な存在。力無き弱者が理不尽な暴力を前にし、ただ涙を流すしかないと言う絶望的な状況で、誰よりも速く『騎士【ライダー】』の如く駆けつける――。
父さんも嘗てはそんな『騎士【ライダー】』を目指し、『英雄【ヒーロー】』になる事を夢見ていたのだと思う。
「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女! 自覚するのだ! 今日から自分は……ヒーローなんだと!」
既に俺達以外の全員が、コスチュームを着た状態で集っていた。ちなみにフルフェイスの顔が完全に見えないコスチュームを着ているのは、俺と出久の他には二人。消去法で考えるなら、二人の内一人は飯田だ。
「良いじゃないか皆、カッコいいぜ!! それじゃあ、始めようか有精卵共!! 戦闘訓練のお時間だ!!」
言い忘れていたが、これは俺が一つの呪いを解き、一つの理想を目指す。そんな『物語』が始まる為の『序章【プロローグ】』だ。
――完――
To be continued
『怪人バッタ男 THE FIRST』
キャラクタァ~紹介&解説
飯田天哉
ヒロアカ屈指の真面目キャラ。ちなみに反復横跳びの時は、スピンオフの『すまっしゅ!』のなりふり構わないやり方で挑戦して敗れた。個性把握テストの持久走はある意味、ネット版『ディケイド』のライダー大運動会。
蛙吹梅雨
ヒロアカが誇るケロイン。出久の個性がオールマイトの個性に似ていると看破したこの子なら、きっと少しの情報でシンさんが誰なのかも分かるだろうと思って出してみた。そう考えると、正体バレがNGな変身ヒーローの世界では、鬼門の様な存在かも知れない。
それとは全く関係ないが、作者が好きなカエルがモチーフの怪人は、デストロンのガマボイラーである。ア~ブラ~。
峰田実
ヒロアカに出現した変態王子。ある意味ではシンさんやデク君と同類。この世界ではシンさんに心底ビビッており、「ヒーローになってモテるどころか、とんでもない魔窟に来てしまった」と思っている。除籍が嘘だと知った時は、嬉しい様な残念な様な複雑な心境だったりする。
切島鋭児郎
男らしさに拘る熱血漢。何となく『フォーゼ』の弦太朗っぽい奴だなと思った為に、コイツにネット版『フォーゼ』の弦太朗とシンさんの絡みをやってもらった。スピンオフの『すまっしゅ!!』ではギャグ描写で描かれていたが、爆豪のパートナーは真面目な話コイツしか居ないような気がする。
呉島真太郎【くれしま しんたろう】
主人公の父親。主人公の“個性”は主に彼から引き継いだものであり、言うなればこの人は初代シンさん。名前や設定的には『仮面ライダーX』の神啓太郎や、『真・仮面ライダー序章』の風祭真が混じっている感じ。
その時、不思議な事が起こった。
元ネタは皆さんご存知、昭和ライダー最強のチートの塊たる『キングストーン』の力を現した台詞と、「相手からの感情波や余剰エネルギー等の、あらゆるエネルギーを吸収して常に進化する」と言う、情報ソースが不明なシンさんのチート能力その2。
その能力を聞く限りではRXやダグバ、或いはアギトの持つ「限りなく進化する力」と同様の能力と判断。もっとも、シンさんの場合は不思議な事が起これば起こるほど、今回の様により強力な最強のバッタ怪人へと進化してしまうが。
シンさんの脱皮
元ネタは『仮面ライダーカブト』の「地球外生命体ワーム」。設定上は「ホッパーワーム」と言う、人間をワームに改造する実験で生まれたワームが存在するらしいので、採用してみた。しかしどんな見た目が分からないので、脱皮後の見た目はキックホッパーがワーム化したような感じをイメージ。でも影山がネイティブになったら、最終的にそんな感じの成虫体になる気がしないでもない。
シンさんワーム
飯田の感情波やら、「レシプロ バースト」のエネルギーやら、シンさんの負けん気やらが混ざって不思議な事が起こった結果生まれた高速形態。10秒間の超高速移動が可能になるが、体への負担も大きい。「シンさん・アクセルフォーム」の方が名前としては相応しいかも知れない。
ちなみに仮に1000倍の速度で動ける様になるとするなら、それに伴ってパンチ力やキック力は100万倍(速度を二乗する)に強化されることになる為、アクセルフォームのファイズは本来ならパンチ力250万t、キック力500万tになる筈である。もしかするとオルフェノクの王を素手でミンチに出来ない様に、大幅なデチューンでもされたのだろうか?
主人公のコスチューム
元ネタは『真・仮面ライダー序章』以降の「シンさんがメルメットとコスチュームを手に入れ、その凄まじい外見を隠して戦う」と言う本編として考えられた設定と、小説『仮面ライダー 1971-1973』の素体・強化服・二輪兵器のセットで構成される改造人間「S.M.R.【System Masked Riders】」。現時点での見た目は『仮面ライダー THE FIRST』のホッパーこと「仮面ライダー1号」。御大のラフ画だと……ねえ?
このコスチュームの最大の特徴は“個性”を使った状態で「会話による意思の疎通」が出来る様になる事。戦闘力自体はコスチュームを着ない方が高いが、ヒーローとして活動するにはこのコスチュームが必要不可欠。
後書き
これにて「真・怪人バッタ男 序章(プロローグ)」は幕引きとなります。続きが見たいと言う陳情が集れば、ネット版『ディケイド』の様に本編が始まる……かも知れないっすね~(某イライラ貝社員風)。
この作品の方向性として、今後考えられる選択肢は――
①原作のAクラスに所属する生徒の誰か抜かして20人にする。
②クラスの定員を増やして、AクラスもBクラスも21人or22人にする。
③元ネタと同じ様に「序章(プロローグ)」で終わっておく。
――の内の三つ。①だと「誰を抜かすか」で悩み、②だと「オリキャラを入れるか」、「『逢魔ヶ刻動物園』のどのキャラを入れるか」で悩む。③だと本編は始まらず、作者は何も悩まない。
8/19 活動報告に意見の場を新設しました。宜しければご活用下さい。
中途半端に思う人もいるかもしれませんが、あくまでコレは「序章」なので、コレくらいが丁度良いかと思い、こんな終わり方になった次第です。
それでは皆様、良きひと夏を……。