リーナがギターを持ってくるまで店をブラブラ。
ちっちゃな(身長の)幼馴染からのメッセージに返信したりギターを見たりして時間を潰す。
30分経たないうちにリーナが戻ってきた。
「ゴメンね待たせちゃって。」
「いや、で、公園ってどこ?」
「ついてきて!」
勢いよく飛び出すリーナ、よっぽど楽しみなんだな。
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「ここだよ!」
「へえ、静かなとこだな。」
「へへっ、ギター弾くのに向いてそうだなって思ったんだ!」
人もいないし迷惑にはならないだろう。
といってもスピーカーもないしそもそも大きな音は出せないんだけど。
「まず、どこまでギターの知識があるのか教えて欲しいんだけど。」
リーナは簡単なコードがいくつか知ってるくらいだった。とはいえ全く知らないわけじゃないし弾きたい気持ちはあるんだろう。
「とりあえず姿勢を正して…」
「はいっ!」
「そうだなー、ならまずキッチリ音出せるようにしようか。」
「うん。なかなか良い音が出せなくて。」
「ネットとかで調べてるとは思うんだけど実際にやってみると難しいよな。」
「そうなんだよね…」
「まず押さえてみて。」
「うん。」
「もうちょっと指立てて。」
「う、うん。」
「そう、で鳴らしてみて。」
「こう?」
「あー、もっと垂直に。」
「こうか!」
「おっ、そう。良い音。」
「ホントだ!」
「それを安定して出せるようになればいいんだよ。他のコードもそんな感じでやってみよう。」
随分安定してきたと思う。なんでネットとかで調べて出来なかったんだって思うくらい飲み込みは早かった。
「じゃ、曲弾いてみよっか。」
「えっ、曲!?」
「うん。今使えるコードだけでも弾けるよ。」
「ホント!?」
めっちゃ目を輝かしてる。いい笑顔だなあ…
「授業で音楽はとってないの?」
「とらないのが逆にロックかなって思って…」
「Oh…ま、まあ高校の授業でやるくらいの曲をやってみようか。」
そういって俺が弾いてみたのはゆっくりした曲。アメリカの歌を日本人がカバーしたもので、有名なアニメ映画にも使われてるものだ。アコギとはちょっと違う感じ。
「あっこれ知ってる!」
「だろ?これなら弾けると思う。」
「やってみたい!」
「ふふふふー、ふんふふーふー。」
俺の鼻歌に合わせながら練習している。リーナの一生懸命な顔やすこし戸惑ったような表情、色んな顔が俺を彼女から目を離せなくしてる。
「やった!通して弾けた!」
「おめでとう!」
そして、この笑顔だ。惹きつけるってのはこのことを言うんだろう。
「一回弾き語りしてみたら?」
「えっ、難しそう…」
「確かに普通に弾くより難しいけど出来るようになると楽しいぜ?」
「そうだね!やってみる!」
「トリー…ド」
彼女の歌声は綺麗だった。そして上手い。リズム感もある。ゆっくりした歌を歌っているけれど彼女の好きなロック調の歌も似合うだろう。
「通してやってみるよ!」
「うん。」
リーナは本当に通して歌って弾いてみせた。簡単とはいえ習得のスピードがすごい。そして、俺は彼女の歌に魅せられてしまった。
「はは…」
「うっ、変だった…?」
「いや、文句なしに良かった。」
「ホント!?」
「こんなことで嘘つかないよ。」
「やったー!ありがとう!」
手を握ってくるリーナ、ギターを投げ出すな、いや、というか少し冷たくてちっちゃい。そして指先が少し硬くて努力が伝わってくる。
気恥ずかしくなってきた俺と同時にリーナも恥ずかしくなってきたようで、手はすぐに外れた。
…少し残念だ。
「うーん!今日はありがとね!藤堂君のおかげだよ!」
「いや、リーナも頑張ったしな。」
「…リーナ、か。」
「ごめん!嫌だった?」
ミスったか!?やっぱ下の名前は良くなかったか…
「ねえ、私も遊って呼んでいい?」
「え、…ああ!」
「良かったー。よっしゃ!じゃあこれからもよろしくね!遊!」
「ああ。」
「で、よかったらだけどまたギター教えて?」
「もちろん。─連絡先教えてくれない?」
よく噛まなかった俺!
「あ、うん!もちろん!」
良かった…アドレス帳には女子の名前もあるけど一部を除いて殆ど連絡はとってない。
リーナとはたくさん話せるといいな。
そんなことを思って連絡先を交換した。
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「─おう、でさその子にギター教えてたんだよ。」
『へぇ、遊でも役に立つんだね』
「相変わらず失礼だなお前は」
『親を除けば1番遊を見てきた人間の客観的な意見だと思うけどー?』
「へいへい、ありがたく受け取っておきます。」
『よろしい。』
「で、お前は?部活楽しいの?」
『フフッ、いつも聞くよねそれ。楽しいよ。大変だけど。』
「まあお前が部活でバンドやるとは思わなかったからなあ。心配なんだよ。ま、楽しいならそれでいいんだ。」
『そのうち私達の演奏聞いてよね。』
「機会があったらな。」
『楽しみにしときなさい。じゃあね。』
「おう、おやすみ梓。」
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