年末の歌番組をみて鐘の音を聞きながら家族と迎える年明け、毎年こんな感じだ。
三世代住宅なので正月に帰省することもなくのんびりと過ごす。
テレビもめでたい新年モード。たくさんのアイドルが出演している。天海春香や小日向美穂、高垣楓といった有名どころしか知らないが、とても華やかだ。
クラスのグループやSNSもあけましておめでとうで一杯だ。
少し浮ついた特別なこの感じは好き。
リーナや梓、仲のいい友人たちからは個別にメッセージがきている。
年賀状も数える程度には。小学校や中学校の頃の友達とはこういうやりとりしかない奴もいるから素直に嬉しい。
家族、友達と初詣に行った後はやる事もなくプラプラしてた。
3日にはいつの間に仲良くなったのかリーナと梓に誘われて買い物に出かけた。
女の子2人と正月から買い物に行くなんて今年はいい年になりそうだ。
リーナはまたもやヘッドフォンを買ってた。どんだけ持ってるんだか。
梓はペットショップで猫を見てほわんほわんしてた。梓も猫っぽいし波長が合うのかもな。
俺はというとお年玉が入ったから本をここぞとばかりに買い込む。慢性的に金欠な俺にとって好きなだけ本が買える正月は最高ともいえる。
「遊、この後なにするつもり?」
「そうだな…リーナはなんかしたいことあるか?」
「私?んー…」
「2人とも考えてないんならセッションしない?」
「セッション?」
「うん、ほら、李衣菜ちゃんギターの練習してるんでしょ?なら上手い人と演奏してみるのもありかなーって。」
「なるほど、いいかもしれないな。」
「ええ、でも私下手だし迷惑かかるよ?セッションって響きはすごいロックでいいけど。」
「気にすんなって、遊びなんだから。ってか梓はリーナがギターあんまり弾けないって知ってたんだな。」
「うん。あの後やり取りしててね。あ、先輩たちは知らないよ。」
「そっか。」
「んーーー、セッションって簡単にできるの?」
「できるけど全員ギターってわけにもいかないからな…あ、母さんにピアノ弾いてもらうか?」
「あ、いいね。おばさんピアノすっごい上手だもんね。」
「ゆ、遊のお母さん?」
「うん。意外と上手いぞ。俺の音楽の師匠だからな。」
「会ってみたい…かな…」
「よし、なら俺ん家行くか。」
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「ただいまー。」
「おかえり。ずいぶん早いわね。」
「母さん、ちょうどよかった。今暇だろ?」
「うん。なんかあるの?」
「ちょっとピアノ弾いてくれよ。」
「藪から棒になによ。友達と遊びに行ったんじゃないの?」
「友達がセッションしたいっていうからさ。梓もいるしいいだろ?」
「まあいいけど…、どこでやるの?」
「ピアノの部屋でいいじゃん。」
「はあ、わかったわ。連れて来なさい。」
「よし、梓、リーナ。はいっていいよ。」
「「おじゃましまーす。」」
「こんにちはおばさん。」
「梓久しぶりね。で、後ろの子は?」
「多田 李衣菜と言います。初めまして。」
「あら!何この可愛い子!あんた梓ちゃんの他にもこんな子捕まえて!」
「えっ、そうですか?」
余計なこと言うなよ…
「まあまあ、こんな子なら大歓迎よ。ささっ、二人とも上がって上がって。ぜんざい食べる?」
「セッション忘れてねえか?」
「食べたあとでもいいでしょ!ほら、遠慮しないで!」
「は、はい。」
「おばさんのぜんざい美味しいから好きです。」
しまったな。提案を間違えたかもしれん。
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「美味しかったー!」
「ふふ、良かった。ところで李衣菜ちゃん。どこの馬の骨ともしれないこの男とはどこで知り合ったの?」
「あ、私も知りたい。」
「失礼な親だな。あんたの息子だぞ。」
「あんたは黙ってなさい!」
「えっと、初めは病院で声かけられて、その後けっこう経ってから音楽店で会って、そっから仲良くなったって感じです。」
「うわ、ナンパじゃん遊。」
「ホントね。全く、面食いなところは父さんにそっくりだわ。」
自画自賛してんじゃない。
「それでギターとか習ってて、知りあえてよかったです。」
「あらあ。嬉しいわね。ならおばちゃんもギター教えてあげるわ。遊より教えるの上手いわよ。」
「おい!リーナは俺の弟子なんだ、俺が責任持って教えるから!」
「なによむきになって。ま、いいけど。」
「あ、おばさん。そろそろしません?」
「そうね。いい時間だしお腹もいっぱいになったし。」
「やっとだよ…」
ピアノのある部屋に移動。
「責任持つ、かあ…。ふふっ。」
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「じゃ。軽くやってみるか。」
「まず私達だけでやってみたら?李衣菜ちゃんには見ててもらって。」
「そうか。なら母さん頼んだ。」
「はいはい。いきますよ。」
弾きだしたのは簡単なコードのくり返し。
このくらいなら余裕だ。
俺の音と梓の音は同じギターでもけっこう違う。
梓が小さい体を目一杯つかってエネルギッシュに、でも正確に弾くのに対して俺は少し雑味を持たせて弾く。個人的に雑味を持ってるほうが好みなんだ。
その二つとピアノが混ざり合って曲を奏でる。なかなかいい感じと言える。
「よし、こんな感じだ。リーナやってみな。」
数分後、俺のギターを渡す。
「う、うん。でも知ってる曲じゃないとできないかも…」
「あ、そっか。なら梓と母さんなんか無い?」
「ならアレはどう?」
梓が上げたのはみんな知ってる童謡。これなら弾けるだろう。
「じゃ、せーの!」
母さんのピアノと梓のギターに引っ張られてだけどしっかりリーナの音も聞こえる。
混ざっていい感じになってる。
人と合わせる、こればっかりは仲間がいないと出来ないし音楽の一番楽しい部分といってもいいんじゃないか。
リーナがそれをわかってくれると嬉しい。
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「楽しかったよ。ホントに!」
「そっか、ならよかった。」
「遊といると楽しいことばっかりだ。」
「そう言ってくれるとうれしいね。」
「ありがとね。私何もできてないけど。」
「そんなこと言うなんてリーナらしくないな。もっとロックにいこうぜ。」
「そ、そう?ならもっと頑張る!」
「おう、母さんも梓もまたやろうって言ってたしそんときまでにもっと練習しような。」
「うん。ね、私遊を楽しませたいんだ。」
「俺を?」
「いつも楽しませてもらってるからね。ま、期待しててよ。」
「おう?わかった。」
「送ってくれてありがとね。じゃ、また。」
「じゃあな。」
駅まで送った。楽しませるってどういうふうにだろう。彼女の言うとおり期待していよう。
こんなのでいいんですかね…
そろそろデレアニに入りたいです。
読んでくださりありがとうございます。