俺の主人公   作:ランたまご

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しゅじんこう?

バイトを始めて数週間が経ったある土曜日、部活に顔を出した。

 

「スマン!遅れた!」

「まだ始まってねえよ、大丈夫。」

「そっか、よかったわ。」

「最近遊気合入ってるな。バイトもあるのによくやるよ。」

「週に一、二回しかない部活なんだし気合入って当然!なんならもっと増やそうぜ。」

「兼部してる奴ばっかだしな。俺はしてないけど。」

「なら二人で弾こうぜ。」

「いやギターとキーボードだけじゃなあ。やる気わかねえわ。」

「そーかよ。」

 

今話してた奴は新田 和臣(かずみ)、高一の時の同級生で今はクラスこそ違えど部活が同じだから結構よく絡む。

…面倒くさがりのくせに上手いんだよなあ。才能の差を感じる。イケメンだし。

 

「他の奴らは?」

「んー、聞いてないな。」

 

「おっす、はえーな二人とも。」

「俺らが遅かったんじゃね。悪い。」

「お、来た。」

 

よし、部活始めますか。

 

「だあー!もう疲れた。」

「まだ何曲もやってねえぞ、和。」

「厳しいなあ、遊。へいへい、弾きますよ。」

 

「和臣、ケータイ鳴ってるぞ。」

「ホントだ、サンキュ。」

 

『─風邪ひいた?わかった。─おう。』

 

「悪い、姉ちゃんが風邪引いたらしくてさ、親帰ってないから世話しに帰るわ。」

「そーなん?ならしゃあないな。」

「マジかよ。折角ノッてきたのに。」

「遊はいつもノッてるからたまにはクールダウンしなさい。じゃあな。」

「バイバイ。解散する?」

「じゃあな。そうだなあ。」

 

解散になってしまった。

んー、まだ時間は早いけどとりあえず事務所行くか。

──────────────────────

「おはようございます。ちひろさん。」

「あ、藤堂君、おはようございます。早速で悪いんですけど頼まれごとしてもらっていいですか?」

「あ、はい。なんですか?」

「今日新田さんが体調を崩してお休みなので、出演予定だった午後からのイベントの埋め合わせをお願いできますか?」

「了解です。代役をしてもらえばいいんですかね。」

「はい、誰がいいでしょう。新田さんの代わりが務まるのは。」

「アーニャか蘭子ちゃんは?」

「蘭子ちゃんなら大丈夫ですね!」

「よし、なら蘭子ちゃん連れて行きます。」

「気をつけて。」

 

「蘭子ちゃん、いる?」

「む、第二の瞳を持つ者よ、何用か?」

「新田さんが出演予定だったイベントの代役、頼む。」

「なんと、同胞の姿が見えなかったのはそれ故か。よかろう。宴の仕切り、果たそうぞ!」

「よしゃ、なら電車だな。行くぞー。」

「うむ!」

──────────────────────

「すいませーん。」

「はい、どうされました?」

「今日のイベントの責任者の方っていらっしゃいますか?」

「失礼ですがどちら様でしょうか。」

「あ、346プロの者です。」

「ああそうなんですか!今呼んできますね。」

「お願いします。」

 

「同胞よ、此度は無用な疑いをを受けずにすんだようだな。」

「やっぱスーツってスゲえな。」

 

そう、俺は今スーツを着ている。

以前学生服で関係者だって主張したら全く信じてもらえず、その時一緒にいた蘭子ちゃん、それに説明しにわざわざ出向いてくれたちひろさんに迷惑をかけてしまったことがあり、それ以来なるべく大人っぽく見える服、出来たら父親や346プロの方々のスーツを着るようにしている。

 

武内さんのはさすがに大きすぎて無理だったが。

そういえばちひろさんにその件で謝った時にプロデューサーさんが職務質問された時の対処で慣れてますから大丈夫って言ってたけどそれはどうなんだろうか。

 

「どうも、館長の今井です。」

「346プロの藤堂と言います、実は今日新田が体調を崩してしまいまして、代役をたててもよろしいでしょうか。申し訳ありませんがギャラは同じで。」

「そうなんですか!ええ、ええ、もちろん構いませんよ。新田さんは大丈夫なんですか。」

「はい、そこまでの大事では無いと思いますが、体調が万全でないと良いイベントにならないと思いまして。」

「ああー、そうですか。なるほど。ところで代役の方は。」

「神崎、こっち来い。自己紹介しろ。」

「うむ!我が名は神崎「世間一般的に。」か、神崎蘭子です!今日はよろしくお願いします!」

「は、はい。こちらこそ。えー、打ち合わせをしたいと思うので、15分後位に二階に上がってきてもらえますか。」

「はい。」

 

「よくやった蘭子ちゃん。」

「同胞よ、汝はどのようにしてその殺気を得たのか?」

「え?殺気?出てた?」

「我を慄かす程の殺気を無意識で、はーっはっはっは!やはり、ただ者ではないな!」

「おう、今もそれでいいしこれからもそのキャラでいいんだが今回は新田さんっぽく頼むわ。」

「むう、そう言うのなら…」

「スマンな、今度お勧めの黒っぽい本持ってきてやるから。」

「そうか!ならば契約完了だな!」

 

中学時代の黒歴史がこんなところで役に立つとはな。本も捨てなくてよかったかもしれん。

でもやっぱ蘭子ちゃん素直ないい娘だな。堕天なんてしてなさそうな。

イベントも無事成功し、事務所に帰った。

──────────────────────

「ただいまー。お、本田ちゃん機嫌いいね?」

「おう遊君、わかるかい?実はね。」

「ほう、なんかあったのかね。」

「聞きたい聞きたい?なら教えちゃおう、私たちが美嘉姉のステージのバックダンサーをすることになりました!」

「マジか!美嘉さんって莉嘉ちゃんのお姉さんだよな、売れっ子じゃん、デカいステージだろうな。」

 

最近アイドルの勉強をしててよかった。

大変だけれど、直接会ってみないとなかなか記憶に残りにくいし。

 

「月例ライブらしいですよ。」

「おお島村さん、島村さんもでるの?」

「はい、私とそれに凛ちゃんも!」

「へえ。頑張って!」

「はい、頑張ります!」

 

うん、武内さんじゃないけどいい笑顔だ。

 

さて、今日はもうやる事もないしリーナに会いに行こうかな。

 

新田さんの風邪、軽いといいけど。




読んでくださりありがとうございます!

ヒロインが出てこないとは。

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