白羽達が遊んでいた時、虚空からそれを見ていた者がいた。
能力により創り出された亜空間。そこから白羽たちの様子を見ていたのは、"妖怪の賢者"こと『八雲紫』であった。
『──。それじゃバイバイ』
『『バイバイ』』
そうしてあの人間の少女は歩き出した、おそらく自らの家へと帰り始めたのだろう。
「…あの子は、もう少しの間様子見をしておく必要があるでしょうね。
言うなれば異常な事。人間が妖怪が持つはずの妖気をその身に宿している
「まだ彼女は、この幻想郷に影響を与えるほどの力は有していない。しかし、大きなとはいえないものの、異変を起こせる程にまで成長する可能性がある」
「それに…あの子の身体能力、おそらく中級妖怪程度であれば素で撃退出来るほどのもの。人間にあれ程の力は普通無いはず、やはりあの妖気の正体が関係していると見るのが妥当ね」
あの妖気の正体は未だ分からずじまい。まだそれが何なのかを知るには情報が足りない。
「…この幻想郷は全てを受け入れる。それは彼女が何者であろうとも変わりませんわ。たとえそれがこの幻想郷に何をもたらそうとも。
今はまだ卵…羽化するその日は、きっと遠くはないわ」
賢者たる彼女はそんな小さな危惧を抱くのであった。
…
……
「はぁ、少し頭を使った気分だわ。しばらく監視は藍にまかせようかしら?それに、あのお嬢さんに起こしてもらう異変。どうするのか見物だけど、スペルカードルールが広くこの幻想郷に普及させるためにも利用されてくれなければね」
その表情は流石は妖怪の賢者と呼ばれる程であった。
「ふあぁ…早く帰って寝ましょう」
ただし、最後は少しだけ締まらなかった。
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時は少し遡り、紅魔館
紅魔館の主とは思えないその容姿、つまり幼じy「おい、ナレーション。今ちょっと私は機嫌が悪いんだ。あまり巫山戯たことを言ってくれるなよ」…それは失礼、ともかく小さくも偉大な吸血鬼であるこの少女の名はレミリア・スカーレット。そんな彼女だが、少々イライラする事が起きたようだった。
「…まぁ、いいか。ハァ…まったく、あの忌々しいスキマ妖怪め。頼みごと、だと?あれはこちらを利用しようとしていただろうに」
ちょうどさっきまで、八雲紫がここに来ていた。そこで頼みごとがあると言い、『貴方に異変を起こしてもらいたく存じますわ』とそう言った。
胡散臭い奴。アイツの言葉はそう感じさせるのだ。掴み所がなく、言葉の真偽が読めない。
自分で言うのも癪だが、まんまとあちらのペースに乗せられたといってもいい。
「それに、『スペルカードルール』だといったわね」
『スペルカードルール』、八雲紫と今代の博麗の巫女が決闘法として制定した『遊び』だ。
そのルールは
『一つ、妖怪が異変を起こし易くする。
一つ、人間が異変を解決し易くする。
一つ、完全な実力主義を否定する。
一つ、美しさと思念に勝る物は無し。
・決闘の美しさに名前と意味を持たせる。
・開始前に命名決闘の回数を提示する。
体力に任せて攻撃を繰り返してはいけない。
・意味の無い攻撃はしてはいけない。
意味がそのまま力となる。
・命名決闘で敗れた場合は、余力があっても負けを認める。
勝っても人間を殺さない。
・決闘の命名を契約書と同じ形式で紙に記す。 この紙をスペルカードという』
闘いをしながら弾幕の美しさも競うというものだ。他にも決闘法があるそうだが、これが1番人気らしい。…まぁ、美しさを闘いの中に入れるというのは私としても面白いとは思うわね。
「本気で相手を潰すのは簡単だけれど、それはそれで芸がないわ。でも、この決闘法には美しさが兼ね備えられているという。…優雅でいいじゃない。
それに、癪だとはいえ契約は契約。異変は起こすわ。いくらあの胡散臭い妖怪相手だろうが、悪魔は契約を破らないってね。まぁ、私の個人的な興味もあるのだけど」
そう、異変は妖怪達が起こすもの。だが、それを解決するのは人間。
人間は私からすれば食料でしかない。脆くて弱い、所詮そうなのだ。…でも、それでも抗う人間は滑稽で面白い。そしてこの幻想郷では博麗の巫女という存在もいるのだ。多少興味も湧く。
「さて、だとすれば異変をどう起こすのかという話になるか…ま、そこはおいおい考えることにしよう。
…んんっ」
グッ、と少し体を伸ばし席を立つ。そこへちょうどと言っても良いくらいの完璧なタイミングで
「お嬢様、御夕食の準備が整いましたわ」
「そ、ありがと。今から行くわ」
「では「咲夜」…はい?」
「襟が少しめくれてるわ。直してあげる」スッ
「……あ、ありがとうございます」//
「ふふ、咲夜だというのに珍しいわね」
「──ッ!で、では失礼致します」
紅魔館のメイド長・十六夜咲夜は初めからそこにいなかったかのようにその場から消えた。…少し慌てながらだが
「?ま、いいか。
まだ、どういったことをするかは決めていないけど、おそらくこの異変で何かが変わる。何がかは曖昧だから分からないけどね。
…さてと、そんな事より食事ね」
背中の羽をパタパタとしながら、吸血鬼の少女は食事に向かっていった。
やっぱり幼じy((ピチューン
「…懲りないなお前」
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紅魔館の地下、大図書館より下にそこはあった。
少しひっそりとしたそこには1人の少女がいた。
「あー、ひーまー」
退屈だ。もう慣れたとはいえ退屈は退屈なの。お人形さんも壊れちゃったし。
トントン
「んー?」
「失礼します妹様。お食事を持って参りました」
「ありがと美鈴」
「いえ、では「ねぇ」…どうかしましたか?」
「少し聞いたんだけどさ、何か外では"スペルカードルール?"ってのが流行ってるそうじゃない?」
「あー、確かに流行ってるみたいですね。なんでも闘いが分かりやすいそうで、実際私も妖精相手ですがやった事はありますよ」
「ふーん、そうなんだ。で、どうやるの?」
「へ?どう、ですか。
互いに弾幕を貼り、それを避けながら相手に弾幕を当てる。といったもので、『弾幕ごっこ』とも呼ばれてます」
「弾幕?」
「はい。(これは見せた方が分かりやすいか)これに関しては見ていただいた方が分かりやすいので」
そう言い、美鈴は手のひらの上に1つ弾を作り出した。
「へぇ、これを沢山相手に向かって撃つのね」
「はいそうです。ただ、この弾幕ごっこでは適当に弾幕を貼ってはいけないということになっています」
「それもルールにあるって事か」
「弾幕を貼る際は避けることの出来ないものはダメで、少なくとも避けることの出来るものである必要があります」
「避けられるんだったら何でもOKなの?」
「さぁどうでしょう。いいんじゃないんですかね?」
「ふーん…ちょっと面白そう、今度教えてよ」
「私で、よろしいのですか?」
「うん。いっつもとは言わないからさ、時間がある時に教えてよ」
「分かりました。では、できるだけ時間が作れるようにしますね。それでは失礼します」
「ありがとねー」
ガチャン
一礼し美鈴が部屋から出ていった。
「ふふふ、もしかしたら
ちょっとした野望を掲げながら、『悪魔の妹』フランドール・スカーレットは意気込んだ。
この出来事によって、彼女は1人の少女と出会う事になるのだが…それはまたあとの話。
白羽「振りじゃ無かったのか…」
というわけで今回は紫、レミィ、フランの3人でした。微妙に説明回っぽくなってしまった…
ちなみにフランの従者?ポジションに美鈴が入ってます。そこの所はご了承をば。