色々な方に読んでいただけているみたいでとても嬉しく感じております!!
それと同じくらい緊張しております!皆様のご期待に沿えるよう頑張らせていただきますのでどうかこれからもよろしくお願いします!
脱字、読みにくい等ございましたらなんなりとどうぞ!
書いている時に、この作者中二病臭いなぁ…
いやこれは自分じゃーん。中二病臭いの自分じゃーん。ってなりました。(・・;)
あの忌々しい神に呪いをかけられて早数百年、ついに先日鍛えてた時にようやく習得したスキル「偽造」により、ほんの数日なら人と関われるようになった。
狂気とも呼べるあの孤独の日々から少しの間だけ解放された俺はそのほんの数日を過ごすため、初心者冒険者の街、アクセルへと足を運ぶことにした。
あそこには最初に必要なものが何でもあり、目先の目標を達成するのにはちょうど良い。
目標としては自分のレベルアップと装備を整えられればいいのだが…街が廃れてないといいな。
幸いにも体を鍛えていたあの場所からさほど遠くない場所にアクセルはあった。
「…それにしても、ここからでも見えるあのバカでかさはなんだろうなぁ」
ここからでも見える街を覆う壁、その大きさは、近づくごとに目では測れないほど壁の大きさが増していく。
うーん、この世界に何か強い魔物でもやってきたのだろうか。
百年使い旅をしていた時にも見かけた他の街も、あんな感じで壁を大きく作り街を覆っている。だから今見たバカでかさはこれが初めてではなかったのだが、いつ見ても不気味な感じだ。
少し嫌な予感がしたが気にしても仕方がないと自分で納得し、街へと歩を進めた。
そこそこに速いペースで歩いていたが、慣れない土地ということもあってか、夕暮れ前に街に着いた。
そして街に着くとそこには…。
人が大勢居た。
洗濯をする人、仲間と共に少し早い夕飯を食す人、走り回りながら友達と遊ぶ人、何やら楽しげに話したり時には空気がピリつくような話題を話す人、見渡す限りの人、人、人、人。
大勢の人が居た。
ここ数百年、人に全く会っていなかった所為か、俺は口を開け暫くその様子をジロジロと見てしまった。
その時は勿論、仮面をつけていたので顔など全く見えていない筈なのだが、街の人々は俺の方を見てコソコソと会話をし始めた。
何を話しているのだろうか?何か変な顔でもしてい…はないな見えないだろうし。
街の人々は暫く話し合った後、自分達の子供やその友達の子供まで家に入るよう促した。そして何やら怖そうな大人達が出てきて俺を遠目から睨んでいる。
…うむ、よく考えてみたら突如現れた変な仮面を被った変な人がこちらをジロジロと見ていたらそれは確かに不審だよな…。
自分が不審人物だと思われていることに少なからずショックを受け、取り敢えずその場から急いで離れた。
道中、「変態だ…変態の仮面野郎が走ってそっちに向かっているぞ!!」と叫び声が聞こえたが、何百年と生きた俺の精神には傷一つけられない、と思いたい。
それにしても感動した。
これが人と関わるということなのか。
しかし長年孤独で生きてきた俺には少々刺激が強すぎたようだ。
走っている最中、被っている仮面からは少しばかり湿りを感じ、口元にはほんのりと塩の味を感じた。
何とかさっきの変態呼ばわりする人達がいる場所から離れ、俺はギルドの前までやってきた。
ギルドとは冒険者を集め、依頼やらなんやらをする、冒険者という職業の仕事場みたいなものだ。
そしてその仕事を受けるには冒険者カードが必須である。
この冒険者カードについては、何百年も前にだが作っていたものがあるので登録の手数料やらなんやらはいらない筈だろう。
ギルドの中へと入ると、新顔の俺を見て受付から甲高い声の女性が走ってきた。
「ようこそ!冒険者が集うギルドへ!!」
「ど、どうも」
「見た感じ新顔さんですね!冒険者カード登録手数料は…」
うむ、こうして仮面を被った俺に驚くこともなく挨拶してきたところを見る限り、ここにいる女性はかなりこういう人物に慣れているとみた。良かった。
今だいぶ昔のことを思い出したが、そういえば冒険者は変な連中が多かったきがする。
紅い目をした変な口調で喋る輩とかいたしな。
「いやあの、昔登録した者なんですけど、ここでまた仕事ってできますかね?」
呪いをかけられてから初めての会話のような気がしたが、わりと普通に話すことができた。
数百年の年の功は伊達ではない。
「はい!少し確認だけさせていただけたら仕事は受けられると思います!」
元気一杯に丁寧に対応してくれるギルドの女性、略してギル女。多分向こうは仕事の一環で、普通に対応してくれているだけなのだが、俺からしてみれば本当に人と関われるようになって良かったなと身に染みる思いだった。
「えーはい!特に問だ…はぁ!?」
マジマジと俺の冒険者カードを見るギル女、そして興奮したように声を上げる。何か変なものでも付いていたのだろうか?
少し動揺し俺もギル女の隣に回り込みカードを一緒になって見る。
「ス、ステータスがこのレベルでここまで!?しかも、よくわからないし…」
「あ!!メスト!!」
忘れていた。
俺が神なんかに復讐を果たすとか馬鹿げた妄言を余裕で吐いてしまえる理由を…。
あの地獄のような発狂と覚醒を繰り返していた時に目覚めた職、アヴェンジャー。
この職は他の職と違い、レベルが極端に上がりにくく、スキルや魔法を覚えるのにも時間がかかる。そして尚且つ、レベルに比例してそのスキルやら魔法やらの目的や威力が変わる。
がしかしその分リターンも大きい職で、ステータスは一つレベルが上がるごとに異常な程上がる。
これが神に復讐を果たせるという俺の自信であり、俺が唯一手に入れた神にさえ通用する武器だ。
時間が無限にある俺の体で鍛え上げれば、このレベルさえ上がれば別人のように強くなれる職は、神なんか余裕で超えられるはずだ。
因みに百年費やして、レベルは3でスキルは3つでステータスは普通の職で表すと15ランクだ。本当に上がらない。
…そしてついさっきそんな異常な職のカードを見せてしまった訳で。
そりゃ普通驚くわな…。
この冒険者カードの利点とも呼べる点、それは偽造ができないという点だ。
そんな偽造が絶対にありえない状況の中で、偽造じみたものなんか見たら誰だって驚くだろう。
にしても、間一髪だった。
俺は再度偽造した冒険者カードをギル女に見せた。
「…はい!大丈夫です!掲示板はこちらになります!これからよろしくお願いします!!」
「あ、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします!」
そそくさと逃げるようにその場を離れ、掲示板へと向かう。
「……うーん?おかしいなぁ、なーんか違うような、さっき見たような…」
俺が離れるとくるりとターンし、また受付場まで戻っていくギル女。
何も違うこともないし、さっきのは幻ですよ…。
先ほど見てしまったギル女にはアヴェンジャー専用の魔法「メスト」によって冒険者カードを見た部分だけ記憶を混濁しておいた。これでさっき見たのは何かの間違いだったということになっている。
そして冒険者カードは、これまたアヴェンジャー専用のスキル「偽造」により上手く偽造した。これにより俺の今の職はソードマスターということになっている。
だがしかし、ここで一つ何かおかしな点が生まれる。
偽造できないはずの冒険者カードが偽造できている、この点だ。
これに関しては一体どうしているのかというと…正確には俺は冒険者カードを偽造しておらず、冒険者カードを見る相手の目を偽造した。
つまり、これにより俺の許可なく冒険者カードを見た者は、見た瞬間、そいつの見る目が偽造され、冒険者カードにアヴェンジャーではなく、ソードマスターと書かれるようになるのだ。
このちょっとした裏技で俺は上手く偽造したのだった。
しかしこれには一つ大きな欠点がある。それは見られるたびに自動でこのスキルが発動してしまうという点だ。
この自動で発動してしまう未完成なスキルにより、未だ少ない俺の魔力が消費され、気がつけば魔力がすっからかんになり、偽造が解けてしまう恐れがあるのだ。
そしてすっからかんになるのかはレベルが足りていないからに他ならない。
だからこうしてギルドに来て、レベルを上げ、ステータスを高めようとしているのだ。
それがさっきのギル女の所為で全て台無しになるところだった。
ギル女がもしこの俺のステータスを見て、大騒ぎでもしたら神か女神達に存在がバレてしまう。
折角手に入れた神器と呼ばれるこの仮面も意味をなさなくなってしまう。
流石に姿かたちが見えなくなっているとはいえ、騒ぎが出てしまえば見つかってしまうだろうしな。
少し安堵のため息を吐き、俺は掲示板を見た。
「いらっしゃいませ〜!旅の宿へとようこそ〜!」
掲示板に載っていたのは、俺が今のレベルでは到底クリア不可能なものばかりだった。
百年も鍛えておきながら、こんな初心者の街でつまづくとは、本当に人生何があるかわからんな。
少し落ち込みながらも、取り敢えず俺は今日泊まる宿を見つけて少し早めだが休むことにした。
陽はまだ降り切っておらず、辺りは夕暮れに染まっている。
「お客さん、見ない顔…いや、仮面だね」
俺が宿表に名前を書いていると、えらく若そうな店主の女性が話しかけてきた。
「もしかして新規冒険者の方かい?だったら残念だね。この辺最近魔王の幹部が来ちゃって、下位の魔物が怖がって出てこなくなってね。今多分高難度なクエストしか残ってないはずだよ」
「あぁ、そうなんですか…」
そうだったのか…。
そういえば街の門付近にも何やらゴツい装備をした輩が多く出張っていたな。
俺の悪い予感は的中したみたいだ。しかし魔王の幹部か…。
俺は宿表を書き終えると自室の鍵を受け取り部屋に行こうとした。
すると何やら外から物騒な声が聞こえてきた。
「おい!なんか言えよこのクソ魔族!あぁん?」
「や…や、てぃせん…」
「あぁん?何言ってんのかわかんねよこのクソ!死ね!!」
「や、やてに…」
外にはムキムキの冒険者が魔族の少女に首輪のようなものをつけ殴りつけていた。
どうやらあの魔族は捕まって、いたぶられているらしい。
「あぁ、今日もやってるのかい…ん?お客さんは魔族見るの初めてかい?」
「いえ、初めてではないのですが、ああやって奴隷みたいに扱われているのを見るのは初めてです……というか誰も止めないんですね」
「うーん、まぁ訳ありでね。私らここらへんの住民は魔族に関してちょっとした恨みやらなんやらあるからねぇ…」
ふーん。なるほどこれはそのうさばらしという訳か。
魔族の少女は人間の言語を話せないのに真似て話そうとしている。それを聞いたら冒険者が殴りつけるというループをしている。
正直見ていて気分が良いものではない。
「私の夫も、ね。魔族にやられちまってね…ただ畑を耕してだけなのにね。私が止めないのもここらの連中が止めないのも一種の報復、いや復讐みたいなもんかね…」
「そう、だったんですか…」
…ここの住人にだって殴りつけたりするこのような正当な理由がある。
俺だって神と女神達に復讐を果たそうとか考えている身だ。
とやかく言える立場ではない。
ムキムキの男性の仲間達が寄ってきて、また殴り始めていたのを見るに耐えなかった俺は自分の部屋へと向おうとした。
が、すぐさま引き返し魔族の少女の元へと駆け寄った。
聞こえてしまったのだ。
【何も悪いことはやっていない】と。
アヴェンジャー専用のスキル「対話」。
これは魔物だろうが魔族だろうが会話をすることができるというスキルだ。
正確には魔物や魔族の心の声が聞こえるというスキルなのだが、それは置いておいて。
この使い道なさそうだなと思っていたスキルで、ハッキリと聞こえてしまっのだ。
【やっていない】と。
ともあれば話は別だ。こんな胸糞悪い状況今すぐにでも潰したかったのだ。
やっていないのなら止めなければならない。
これは俺の復讐に対する信条みたいなものだ。
不当な暴力に対して行われるのは正当な復讐。
これが俺の信条だ。
「あぁん?なんだオメェ!?そこどけやがれこの変態仮面!」
変態仮面だと言われ少し傷ついたが傷は浅い。
というか、そんなに変な仮面なのだろうか。
俺は仮面がそんな悪いデザインなのかと改めてそんな変な仮面を被っていることに後悔しながら、ムキムキの男性冒険者との間合いを詰めた。
「おぉ?良い度胸じゃねぇか!お前みたいなモヤシ系野郎、ほんのひとひねりで潰したらぁ!!」
男性冒険者は声を荒げ俺に剣先を向けた。
見た感じ俺と同じソードマスターらしい。
「やっちまぇ!ゴリキ!!」
「首だ首をへし折っちまえ!ゴリキ!!」
そしてゴリキという名前らしい。
どうでも良い情報が入ってきたのをさらりと流し、俺も拳をゴリキに向ける。
「はん、まともな装備すら買えない弱小冒険者ごときが、俺様のようなベテラン冒険者様にたてついてんじゃねぇ!!」
叫びとともにゴリキの剣が頭に降りかかる。
実に単調な動きだ。これではこの近くに生息すると噂のガチムチで頭が悪そうな見た目からゴリラとか愛称で呼ばれている魔物の方が強いんじゃないだろうか。
俺はスルリと剣をかわし拳をゴリキの前で突き上げて止める。
ゴリキは驚いた表情をし、また声を荒げる。
「…!カッコつけてんじゃねぇ!!」
ゴリキはまたもや剣を振り回し俺の頭を狙う。
本当に実に単調だ。
突き上げた拳を、ゴリキが剣を持っている方の右手をはたき、剣を落とす。
これで武装解除完了だ。
「おいおい?何やってんだよゴリキ!!」
「そうだぞ、そうだぞゴリキ!!」
「うるせぇ!!たまたま手元が狂っただけだ!」
ゴリキは仲間に煽られ興奮したように胸をドシドシと叩く。
その様子を見て少し興醒めになった俺は拳を下ろし、ゴリキとその愉快な仲間達に話しかけた。
「お前ら、魔族になんか恨みでもあるのか?」
「あぁん?当たり前だ!あるに決まってるだろぉ!!ここいらの連中だってそうだがな!こいつらのせいで俺たちは仲間を殺されたんだぞ!!」
やはり殺された恨みか…。
「それってよ、本当にこの魔族の少女がやったのか?」
ゴリキは何を馬鹿なと言った後、大声で俺に向けて言った。
図体も声もでかい迷惑な野郎だ。
「俺たちはな確かにこいつにはされてねぇよ!でもな!こいつの親父やら母親やらに俺たちの大事な人はやられたんだ!!こっちは何もしてねぇのにな!!これはその報復だ!!復讐だ!!変態仮面野郎に邪魔される筋合いわねぇ!!」
「そうか…」
成る程、筋は通っている。
でも…。
「じゃあなんでこの娘の親に復讐をしない?何故この娘なんだ?お前らの大切だと言い張る人を奪ったのはこの娘じゃないんだろ?」
俺は至極まっとうな答えを叩きつけた。
するとゴリキは俺に落とされた剣を拾いながら更に怒ったような顔をして、声を荒げた。
「俺たちはな大事な人を奪われたたんだ!!だったら、そいつの大事なものを奪って当然だろ!!!」
言い終えた後、ゴリキは再び剣を俺に振り下ろした。
しかし剣は俺に当たることなく俺の隣の地面に突き刺さった。
「はぁ…はぁ…」
ゴリキは息荒げながら、地面から剣を引き抜いた。
「邪魔すんじゃねぇ、お前が強いことはわかった。でもな、正義感ぶってんじゃねぇぞ!!失せろ!!」
「そうだ!失せろ!!偽善者!!」
「なんも知らないくせして偉そうに言うんじゃねぇ!」
ゴリキは俺を通り過ぎ、剣先を魔族の少女に向ける。
「し…」
「なんだ、お前ら魔族と同じじゃねぇか?」
ゴリキに振り返らないまま、俺はゴリキに向かいそう答えた。
「…なん、だと?もういっぺん言ってみろ。もういっぺん言ってみろ!!」
「魔族と同じっだって言ってるんだよ」
「ふざけ…うごぉ!」
言い終わる前に手が出た、俺はゴリキの頭を拳で殴り飛ばしていた。
「な、何しやがる!」
「お、おい!ゴリキ!!大丈夫か!」
すぐさま仲間が駆け寄った。
俺はその間に魔族の少女に駆け寄り首輪を外し、殴り飛ばされた所為でドロドロになっている服を破り俺の羽織っている上着を着させた。
勿論ちゃんと破る時は見ないようにした。
そして俺はビクビク震える少女に手を添え、対話した。
【とりあえずこの場から離れるぞ】
【!?魔族の言葉があなた話せるの?】
【まぁ、正確には話しているわけではないがな】
【それってどういう…】
【いいか、ほら】
少女を背中に担ぎゴリキから離れる。
するとゴリキは息を荒げ再び俺に向かって言った。
「まちやがれ!訂正しろ!魔族と同じではないと訂正しろ!そして置いて行け偽善者め!」
俺は振り返らずゴリキに言った。
「いやだね。お前らは魔族と同じだ…いや、違うなそれ以下だ」
「…ぉ!!」
すぐさま離れたお陰もあって、あのゴリキの馬鹿でかい声も散り散りになり聞こえなくなった。
ゴリキから離れていく時俺は考えた。
…果たしてゴリキやその仲間たちは気付くのだろうか。
自分達が大切にしていた人がこの復讐を本当に望むのか。そしてこの不当な暴力を不当な暴力で返した、間違った復讐を望むのか、と。
俺の信条である復讐は、不当な暴力を正当な暴力で返すというものだ。
その信条を押し付ける感じで伝えたが、果たして届いただろうか。
「ま、信条の押し付けほど、クソみたいに不当な暴力はないがな」
俺は宿屋に戻った後鍵を返し、街を出ることにした。
宿屋の店主も魔族が居たら気分が悪いだろうしな。
それにさっきからコソコソと俺の悪口を言っている輩が大勢いる。流石に居続けるのはこの魔族の少女にとってはまずいだろう。
俺は背中に乗っている少女に気をつけながら、ゆっくりと街を出た。
本当はもう少し人と会話がしたかったな。
ここまで読んでいただき誠に感謝です。
次回の更新は未定でございます。
なるべく早く出すつもりです。
ご感想等お待ちしております!
では、またのお越しを!