この許し難い世界に復讐を!   作:黒曜 暁

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どうも、黒曜です。
表の復讐劇があるなら、裏の冒険劇もある。
今回のお話はそんなお話です。

誤字、脱字、読みづらい等ありましたらなんなりとどうぞ。


裏一話目 妹

私達兄妹二人は、少しばかり名のある貴族の人間だった。

兄は誰にでも優しく、そして自分にとても厳しい人だった。

あの兄を一言で表すなら、清廉という言葉が当てはまるぐらい、素晴らしい人だった。

街の人たちも兄のことが大好きで、そんな兄が私も大好きだった。

…でも、私の両親は何故か兄のことが嫌いで、何かにつけてよく兄を虐待していた。

家の跡継ぎの件も、兄ではなく私が継ぐこととなっていた。

十代後半になって、家のしきたり上、兄と私は別々で過ごすこととなった。

私は一生懸命勉強して、早く家を継いで兄と一緒に暮らそうと考えていた。

だけど、私が家を継ぐその前日の日、兄は死んでしまった。

両親の虐待に等々耐えきれなくなって、身体を壊してしまい、死んでしまったのだ。

私は間に合わなかった。

このことを聞いて激怒した私は家を継いだ後、両親を陥れ、地位を奪い、街から追い出してやった。

そして数十年後、兄を失った私は悲しみのあまり病気にかかり、そのまま病死した。

少ない人生だったが、またあの大好きな兄に会えると考えると、とても嬉しかった。

…兄が死んでおらず、永遠と孤独に生き続けさせられていると聞くまでは…。

 

死後人が訪れる場、死後の場。

ここに今日急きょ呼び出された私は、出された椅子に座り、目の前にいる、自称女神を睨みつけていた。

「…よく来てくださいました」

「…」

女神はもの凄く申し訳なそうに頭を下げる。私はそれを無視し、女神をただただ睨みつけた。

この女神は誤審で私の兄に呪いをかけ、永遠に生き続けさせている張本人の中の一人なのだ。

そんな奴に礼儀など必要無い。

「はぁ…」

「…!あの!本当にこの度は!申し訳ございませんでした!!」

女神は私を再度見て深々と頭を下げた。

私が兄の妹だということは知っている。だからこの対応はまぁ、当たり前だ。

「あぁ、もういいですから…それよりなんで呼び出したんですか?出来れば顔ももう見たく無いんで、早く帰りたいんですけど」

面倒くさそうに睨みつけるの止め、毒を吐く。

この女神とは二回会っていた。

一度目は死んだ時、二度目は誤審だった報告の時に会っていた。

つまりこれは三度目で、出来れば会いたくなかった。そして出来ればこの場で殺してやりたい。

「…はい、失礼します」

女神は顔を上げ、私と少し距離を置いたところにある椅子へと座った。

「今日お呼びしたのは誤審に対する謝罪、それとあなたのお兄様が見つかったことの報告です」

「はいはい、もう謝罪はいいから謝られても許す気なんてあり…え?」

「…あなたのお兄様が、見つかりました」

「え?」

 

「つまり、アクセルの街に兄の反応があったと?」

「はい」

「…間違いじゃ無いんですか?何せなんとかっていう神器の所為で、見えなくなっているんでしょう?」

「他の女神達もそう言ってますね…」

兄は女神と神の目からでさえ逃れられる神器を数百年前に手にし、ずっとつけ続けているらしい。

これのせいで兄を捜索する時も見つけられなかったそうだ。

「でもまぁ、生きているのは確かなんで居るかもしれないですね」

私は兄が生きて街に居るということがわかって少しほっとした。

何せ呪いの所為で人と関われなく、なっ、て?

「え、それっておかしく無いですか?兄は人と関われなくなっているんでしょう?」

普通におかしなことだった。兄は死ねない呪いと人と関われない呪い二つがかけられている。

だとするなら、人が多い街なんて行けっこない筈なんだが。

「そこなんです」

女神は口元に手をやり、不思議そうにする。

「なんらかの神器か、はたまたあの力のせいか…」

うーん、と悩む女神。

それを見て私は女神に嘲笑を向けた。

「はっ、だったらいいんじゃないですかね?私は兄が見つからなくても良いですよ」

「え?」

キョトンとした顔で女神はこちらを見る。

「だって兄はあなた達に復讐をするために力を蓄えているんでしょう?だったら街行った方が断然効率が良いし、装備も整えられる。万全の状態で復讐を遂げられるじゃないですか」

そうだ。兄はこいつらに復讐を誓い、その呪われた体で強くなろうとしているんだ。

復讐など考えていなかったあの頃なら、今すぐにでもアクセルへと向かって助け出したい。

でも、それは兄の今の考えではない。

なら余計なことをせず、こうして傍観してるのが正しいだろう。

私はニヤリと笑い女神を見た。

女神はそれを見て、希望を失ったかのように体を震え上がらせ、涙を浮かべながら私の方へと駆け寄り、しがみつきながら懇願してきた。

「お願いします!どうかあなたのお兄様を見つける手伝いをしてください!」

私は女神を振り払い、正論を述べる。

「はぁ?それはおかしくないですか?迷惑かけたのはあなた方なのに、何故私が手伝いをしなくてはいけないんですか?呪いをかけたのはそっちでしょ?自分達でなんとかするか、バッサリと兄に殺されてください」

「…!お願いします!お願いします!都合がいいことを言っているのは百も承知なんです!!お願いします!」

「いや、だから…」

「お願いします!お願いします!」

なんとか私に助けてもらおうと、しがみつきながら泣きじゃくる女神。

…この女神は多分、兄の力を目の当たりにしたのだろう。

神である自分が殺されるかもしれない。

そんな初めて味わった恐怖に、この数百年間、怯えながら過ごしてきたのだろう。

そう考えてみると少し可哀想な気がしたが。

私は断る。

「無理、あなた方が全部悪い。毎晩兄が襲ってくるかもしれない恐怖を味わえ。それが兄にかけた呪いのせめてもの報いだ。報いを受けなさい!」

「お願い、します。お願、いします」

兄に迷惑をかけたくない。このまま順調に力をつけてもらい、不幸な中生きてようやくできた目標、ぜひ果たして貰いたい。

私はしがみつく女神を振り払い、死後の場から出て行こうとした。

…すると、とある女神がスッと上から現れ私に告げた。

「邪魔なんですけど」

「度々のご無礼失礼します。私は女神エリスでございます。妹様、どうかお考え願えませんでしょうか?あなたのお兄様は、もう昔のお兄様ではなくなってしまったのですよ?」

「は?」

銀髪の髪をした女神が私に告げた。

 

私は兄を見つけ出し止めるべく、再び死ぬ前の二十代の姿で蘇っていた。

「そのままの私の体なんですか?」

死後の場から転生ではなく天国を選択した私は、どうやら死んだ後の身体の状態や、魂の状態などそのままで保管されていたらしい。

「はい!そのまま残しておりましたのでっ!!あ!あと敬語は結構ですよ!」

敬語が必要ないというこの少女はあの時泣きじゃくっていたあの自称女神。流石に数百年も時が経った今の世界では、私がどこがどこだか道に迷ってしまうしあまりに非効率なので、こうして案内人として引き連れてきたのだ。

「そんな笑顔で言われてもなぁ…」

私はあの後、兄が昔の優しさなど今にはなく、凄く凶暴な性格に変貌しているとエリスとか言う女神に教えられた。

そして女神は自分の兄が、他人に迷惑をかけるのはあなたは許せるのかと問いただらされた。

それを聞いて私はググッと黙り込み、納得してこうして手伝いをすることとなった。

だけどあれは多分嘘だろう。

女神エリスは嘘をつくのが苦手なのだろうか、私を見てそれを話すときずっと目が泳いでいたのがいい証拠だ。

じゃあ何故嘘だと知っていて手助けに応じたのか。

それは単に、兄には復讐をして欲しいが復讐をやめて欲しいからだ。

兄のする復讐は確かに正しい。

でも、兄にはそんなことをしてあの素晴らしかった過去の兄を汚して欲しくない。

でもこれは一方的な信条の押し付けだ。

でも、最初で最後の妹の我が儘だ!聞いてくれなきゃね!

…それに、兄にはもう安らかに眠ってもらいたい。

これまで生きた兄の人生。幸福とは程遠い人生だったけど、せめて、安らかに眠るくらい妹である私が兄に贈ってあげたい。

私が絶対に兄をとめる。

兄の反応があったアクセルの馬鹿でかい壁を見ながらそう決心した。

「ん?どうしたんですか?行きますよっ!」

「なんでそんなにウキウキなのよ…貴方殺されるかもしれないのよ?」

「だって妹であるとあなたの近くにいれば、一番安全ですし、流石に出会ってすぐ殺しもしないでしょう?」

「はぁ…貴方が案外打算的に生きる女神で少し見直したわ。でもね、兄にかかれば私がいても貴方ぐらい軽く捻って殺すと思うわよ」

「ひっ!そ、そうなんですか?そうなら早く言ってくださいっ!」

「…冗談よ、兄にはあれから会っていないし、正直わからないとしか言いようがないわ」

「もうぉ!やめて下さいよ…!」

少々前途多難な気がするが、これもまたあの大好きな兄のためだ。

「ほら行くわよ」

「待って下さいよ!」

これくらいの多難、なんてこともない。




ここまで読んでいただき誠に感謝です!

今回、千回記念ということで書かせていただきました!
残念ながら二話はまだ完成しておらず、絶賛執筆中です!
もう少しお待ちください!

では、またのお越しを!
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