期間が空いてしまいました。楽しみに待ってくれた方は申し訳ございません。
絶対に完走はしますので、どうか最後までお付き合いいただければ幸いです。
今回から新しいキャラや既存のキャラがちらほらと出てきます。そしてメインヒロインの登場です!
脱字誤字等ございましたらなんなりとどうぞ!
魔法やスキルとはそれはそれはとても便利なものである。
あの後、アクセルを出て近くの草原で野営するということで同意した俺と魔族の少女は、野営の準備をしようとしていたのだが…。
魔族の少女は、先程から傷を負った箇所に治癒魔法をかけたり、かじ系スキルを用いて野営の準備をしている。
野営の準備全て魔族の少女一人でできるようなのである。
使い勝手がいいなあ。
今現在俺は、記憶混濁させる魔法メスト。魔物や魔族とでも会話ができるというスキル対話。対象を選択し、都合がいいように形を変えたり、そう見えるようにする偽造。そして、相手や自分の記憶を共有したり、一方的に見たり見せたりする意思疎通。
これら全て対人や使い方の応用を効かせねばならないものだ。だからとても使い勝手に困るし、こういった状況で何一つ役に立たない。
それが今日よくわかった。
それにくらべてこの子の持ってるスキルや魔法はどれも使い勝手のいいものばかりだ。
今もおそらく火系統の魔法だろうか、それで木に火をつけて暖をとる準備をしてくれている。
これから先、俺はどれだけ時間がかかるかはわからないが、神と本気で殺しあうつもりでいる…となるとこういったことに遭うケースが多くなるだろう。だからこういったシンプルに使えるものは必要になってくる。
どうにか覚えないものかねぇ…。
冒険者カードを確認してレベルアップしてスキルや魔法を覚えないか見てみたが、高難度のクエスト後何回分くらいでレベルが上がるのか見当がつきそうにない。
それよりも、クエストを今後どこで受けるかを考えなきゃな。
街の人たちが魔族を嫌っているのを知りながら魔族をこっちは助けたわけだから、あの街にはもう行けないだろう。となると…。
俺が思考に更けていると、火を起こし終え、野営の準備ができたのか魔族の少女がやってきた。
【あの、準備、できました…】
【ん?ああ、悪いな全部してもらって】
何も出来なかった罪悪感から申し訳なさそうにする。
【とんでもない!これくらいさせてください!命を助けて頂いたのですからっ!】
【お、おうそ、そうか】
急に大きな声を出されて少しびっくりして体が震える。
こちらとしては大見得切って助けた割に、何もできない奴に助けられて失望させたのではないかと心配したのだが、どうやらそういうことを考える子ではないらしい。
【急に大きな声を出してすみません。でも、助けて頂いたことに本当に感謝しているんです。本当にありがとうございました!】
頭を縦に降り、お辞儀のようなポーズをとる魔族の少女。
魔族にも貴族やそういった身分制度みたいなものがあるだろうか。少女からは先程から礼儀や仕草、それに雰囲気や言葉遣いなど、育ちの良さを感じさせられる。
一応は俺も貴族の生まれ、こういったものは見れば瞬時にわかるのだ。
【いや、気にしなくていいよ。俺が勝手にしたくてしただけだしな】
【いえ、そういうわけには…】
【いいんだって……あー、そういやあんたなんて名前なんだ?】
【はい!私は…】
【あ、ちょっと待った!名前は聞く前に名乗るのが礼儀だな、俺はジオサイド・ア…いや、ジオサイドだ】
【わ、私はメイル・ヴァンジャスです!本当に助けていただきありがとうございました!】
頭を足のかかとが見えるのではないかと疑うくらい魔族の少女メイルは頭を下げた。
そこまでかしこまらなくても。
「メイルさんというのですか」
自己紹介を終えた後、四方八方から声が聞こえた。
「誰だ!」
瞬時に振り返り拳を構える。
アクセルの住民か?
こういった時のためにやはり武器の一つぐらいは買っておくべきだったな。
「そしてあなたはジオサイドさんですか」
「どこだ出てこい!」
声の主は現れない。
まあ、もし街の奴らなら俺一人で倒せるだろう。
一瞬で消し飛ばしてやる。
殺気を周囲に飛ばし、気配を探る。
数百年鍛えた五感は伊達ではないのだ。
「ここか!」
反応があった草むらに拳を殴り入れる。
「ちょ、ちょっと、痛い痛いストップです!ストップです!出ますから!!」
殴られた頭を抱えて現れたのは、長い尻尾に目線に困る服装、それに独特のフェロモンを常に出し続けている淫魔、サキュバスであった。
「こちらです」
それにしてもあんな馬鹿でかい壁の割には結構警備はゆるいのな。流石は初心者冒険者の街といったところなのだろうか。
淫魔サキュバスに連れられ、俺とメイルは再びアクセルの街へと戻ってきた。なんでも話したいことがあるとか。
メイルと相談した後、行く当てもないので取り敢えず付いていってみることにした。
メイルも女の子だ野営は出来ればしたくないのだろう。
「姉さん!お疲れ様です!!」
「はい、どうも。またいらしてくださいね?」
「勿論です!!」
街に入ったら襲われるのではないかと心配していたが大丈夫なようだ。
どうやらこのサキュバスは、街の男たちに何らかの恩を売っているらしい。街の男たちはさっきから会うたびにこうして挨拶をしてきており、こちらには目を向けもしない。
一体どうやってここまで信頼を勝ち取ったのだろうか。
この街の住民は皆というわけではないが、魔族や魔物に対して憎悪や畏怖を持っていた筈だ。
それが…。
「どうもお疲れ様です!あの、今晩…」
「はい、上がらせていただきます」
「やった!楽しみにして待ってます!!」
本当に何をしているのだろうか。
興味は尽きないが聞くのも野暮なので聞かないことにした。
「着きました。ここです」
いや、今ので確信した。
こいつらは淫魔、つまりはそういうことなのである。
だから男たちは恩があるのだ。
「さて、何からお話ししましょうか…」
淫魔サキュバス達が経営するそれはもう見るからにいかがわしい店に俺とメイルは通された。
「まずは…」
「…」
「大切な仲間を助けていただき、本当にありがとうございました!」
「…へ?」
「我々サキュバス、物陰からメイルさんを見ていて助けに行こうとしていたのですが、こういった立場上、助けには行けず、メイルさんを見殺しにするところでした…」
「…」
「そこで現れたのがジオサイドさんで、居ても立っても居らず、こうしてお礼を言いきたのです!本当にありがとうございました!!」
頭を何度も下げ、お礼を言いつづけるサキュバス。
成る程、こいつらは種族が違えど仲間のことを思って俺に礼を言いにきたのか。
「いや、俺が勝手に助けただけだし気にしなくて…頭をあげてください」
なおも頭を下げたまま動かないサキュバス。
「…本当にありがとうございました」
そういって頭を上げサキュバスは笑顔を向けた。
その笑顔を見て止まっていたはずの性欲が激しく暴れ出そうとする。
【ジオサイドさん。あの、この方は何とおっしゃっているのですか?】
メイルに話しかけられ冷静な俺に戻る。そうか、メイルは人の語を話せないのだ。
【この方に感謝を述べていただけですよ、メイルさん】
【あんたも喋れたのか…】
【はい、元々はこちらの話し方ですから】
そうだよな。仕事上、このサキュバス達は人の語を覚えているだけだろうしな。
【あ、初めまして、私メイル・ヴァンジャスと申します】
【はい、初めまして。私は…】
メイルは楽しそうに会話をしている。
やはり、同じ魔の種族同士ということもあって話しやすいのだろう。
少し寂しいが俺もまた、メイルに危害を与えた人間とは呼べないが人間という種なのだ。
対応が違うのも当たり前だ。
【ジオサイドさん、それにメイルさん。もう夜も更けていることですし、よければ今日は泊まっていかれてはどうですか?】
一通り話し終えたのだろう、メイルとの話を切り上げ、俺に提案してきた。
【え、いいんですか?】
外はもう既に火がなければ何も見えないほど暗闇に覆われている。泊めてもらえるというのなら是非泊めさせて頂きたい。
【勿論です!では、こちらに】
【はい】
【お邪魔いたします!】
案内された部屋は普通の生活空間を形成しており、先程までのいかがわしさは皆無となっている。
トイレに風呂もある。宿屋よりもかなりいい部屋のようだ。
【メイルさんは私と同室でよろしいでしょうか?】
【はいっ!よろしくお願いします】
同じ種族同士まだ話し足りないのだろう。
メイルはサキュバスの手を握った。
この短時間で随分と仲良くなったものである。
【私としてはまだお話ししたいことがあるのですが、私はもう少ししたら仕事がありますので、また明日でよろしいでしょうか?】
【はい】
俺の目的は総崩れしてしまったが、仕方がない。
【ではまた明日、本当にありがとうございました】
最後にまた礼を言った後、サキュバスはドアを閉め、部屋から出て行った。
メイルもまた頭を下げて行った。
「いい人だな」
そう呟き、俺はベットに入り、横になり眠ろうとした。
別に眠らなくてもいいからだにはなっているのだが、今日は気分的に色々あって疲れたから眠りたくなった。
しかし…ここはやはりサキュバスの住処であった。
「ふふふ。あなた、いい匂いね」
「クフッ、匂いだけで興奮してきました!」
ベットには先客がおり、サキュバスが
二人、ベットで待ち構えていた。
「やっぱり寝るのはやめだな」
「キャァー!」
「グフッ、これはこれで…」
俺はベットにかかっていた布で二人を捕縛し、近くにあった紐でくくりあげた。
やはりサキュバスは侮れないのだ。
【失礼します。おはようございます、よく眠れましたか?】
【おはようございます。ええ、よく眠れました】
【おはようございます、ジオサイドさん!】
【メイルもおはよう】
あれから夜更けまで話明かしたのだろう。メイルの目にはクマが出来ている。
朝の挨拶を済ませた後、サキュバスは朝の朝食を出してくれた。
因みに昨晩捕縛したサキュバスが迷惑をかけた謝罪だということで用意してくれた。
美味いな…。
今朝の献立はパンに肉を挟んだ簡単なものなのだが、肉の味付けといい、パンの焼き加減といい、最高そのものだった。
すぐさま平らげ貰った水をすすった。
「それで、昨日の続きというか、ご相談なのですが…」
「はい」
人の語で話すということはメイルには聞かれたくない話なのか?
「昨日メイルさんと話をしたのですが、メイルさんの住んでいた場所は実はもう既に無くなっているんですよ…」
「…そうでしたか」
やはり、か。予想通りとはいえ心にくるものがあるな。
「…」
「…」
互いに沈黙が続く。
【どうしたんですか?】
しばらく黙ってしまったせいかメイルが心配そうに俺とサキュバスを見る。
【いや、なんでもないよ。大丈夫だ】
【…大丈夫ですよメイルさん】
【そうです、か】
少し変な態度をとってしまったせいかメイルは不安そうにこちらを見つめてくる。
メイルは賢い。
自分が置かれている状況にも気がついているし、親や仲間たちがもうこの世にはいないことも知っているのだろう。
【…メイルさん、ここで暮らしませんか?】
その顔を見て決心したのかサキュバスは言った。
相談事とはこの事なのだろう。
少女という幼い年頃であるメイルは、一人で生きていくには厳しい。
しかも魔族ということもあって人間がいる世界では生きづらいのだ。
それに例え魔族でなかったとしても、一人で生きるというのは辛すぎる。
それは俺もよく理解している。
メイルはサキュバスの言葉を聞き、下を向いた後答えた。
【………は、い】
首を縦に振り、サキュバスに抱きつき泣きじゃくった。
こんな幼い年なのにきっとここまで我慢してきたのだろう。
ようやく掴めた安心に、我慢が解かれ、溢れかってしまい泣いているのだ。
「良かった…」
久しく忘れていた、心から出た安堵の言葉であった。
【それじゃあ俺はこれで】
【はい、また来てください!】
【必ずまた会いにきてください!】
元気いっぱいに言うメイル。やはり元々はこんなに元気な子なのだろう。
俺は仮面越しから微笑みを浮かべ頭を撫でながら言った。
【勿論、またな】
サキュバスとメイルに別れを告げ俺は店を出た。
あんなことをしておいて、この街に居続けては俺のメンタルが保たないし、金品を盗まれれるのは避けたい。
無論、メストをバンバン使えばこの街にいる人たちの記憶から俺のしたことを取り除けるのだが、そんなことをすれば魔力切れという本末転倒このうえない。
移動して俺のことを知らない街に行く方が効率がいいのだ。
…しかし、やはり簡単な武器だけでも買っておくか。
俺は街の門からくるりと向きを変え、昨日見かけた武器屋へと向かった。
昨日の夜の一件もあって少し警戒すべきと判断したからだ。人や魔物などから襲われて、手元に武器がなく時間を食ってしまうのはあまり良くない。
武器屋へと到着しドアを叩こうとした…が、少し躊躇い立ち止まった。
果たして今の自分の状態で武器を売ってくれるのだろうか、と考えてしまったからだ。
先程から歩いているとコソコソと仮面の悪口や俺自身の陰口を言われているようだし、武器屋がお前みたいなやつに武器なんぞ売ってやらんとか言い出したらどうしようか。
ええいままよ!
俺はドアを叩き、武器屋へと入った。
「おう、いらっしゃい」
罵詈雑言を考えていたのだが、嬉しいことにそんなことはなく、武器屋の親父は俺のことを気にすることなく、普通に接してくれるようだ。
商売人ということもあって買うもん買ってくれれば評判が悪い変人でも普通に商売してくれるみたいだ。俺は変人ではないが。
「うーん、どれも高いな…」
様々な武器を見て見たがどの武器も高く、俺の現資金では買えそうにない。
槍に斧に剣に弓、それに誰が使うのかわからないが殺傷性の薄いムチのようなものまで置いてある。
「すまんな、最近魔王の幹部とかいうのが来てから材料が集まらなくてねぇ」
そういえばそんなこと聞いたな。
仕方なく一番安い武器を探していると、奥の方に一つ値段が書いていないものがあった。
血に染まった赤い鎖で、先端にはナイフが付いていて、末端は鎖が絡まっていてよく見えない。
見ただけでわかる、これは相当やばい武器だ。
そしてその鎖は、しっかりした鉄格子のケース入れらており、何らかの字が書かれた紙が大量に貼り付けられていた。
「お客さん、そりゃダメだ」
親父は鎖に魅了され、じっと見ていた俺に割って入ってきた。
「これはウロボロスっていう鎖の武器なんだが、いわゆる曰く付きでな、これを装備してったやつらはな、何故か皆んなこの鎖に首を絞めらたりして殺されちまうそうなんだ」
成る程、だから値段も書いていなかったのか。
なら何故置いているんだ。間違って子供とかが触れたらどうするんだ。
「ただ、曰く付きだけあって色々と伝説もあってな。これを装備していた最初の主人は人の理を超えた力を得たらしい。どうだ?試してみるか?」
親父はニヤっと笑いながらそう言った。
置いているのはそういうことか。
人の理を超える力を欲しくはないといえば嘘になる。神をも超えるにはそれくらいの力がなくてはならない気もするしな。
「そうなんですか…」
一つの考えに至り、鎖に手を近づける。
…あまり好きではない考え方なのだが、俺は呪いのせいでどうせ死なない。なら、試してみても良いいじゃないかと考えたのだ。
俺は鉄格子に付いていた紙を破りウロボロスを手に取った。
「あ!!お客さん!!冗談で!ヤバイ!!早く、手放しな!!」
親父は焦りながら俺を止めようとする。
しかし何も起こらない。
なんだ何も起こらないじゃないか。大したことはなかったな。
俺はウロボロスを手に取り大丈夫だと武器屋の親父に見せようとしたその瞬間。
ギュルギュル…ギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュルギュル。
首に鎖がグルグルと回り、俺を絞め殺そうと一気に締め付けてきた。
そして…。
ぐきり。
嫌な音が鳴り響き、首の骨が一瞬にしておられてしまった。
「グッ…」
血を吐き倒れこむ。
これで死…ということはなく、呪いが発動し首が元に戻る。
…!急いで鎖をはずさなくては。意識が戻る同時に鎖を力で無理やり外し、地面に叩きつける。
「ハァ…ハァ」
「お客さん!大丈夫か!!」
焦って寄ってきてくれた親父。
「大丈夫、それより鎖は…?」
周囲を見渡すとどこにもない。
この店の何処かへ移動したようだ。俺も親父のいる受付へと身を隠し、親父の盾がわりに周囲を警戒する。
…あの鎖、自分で動いていたな。もしかすれば意思があるかもしれない。
となれば、スキル意思疎通の出番だ。
あのスキルならば何からしの弱点を見つけられることだろう。
そんなことを考えながら周囲を見渡す。しかし、周囲をいくら確認しても、ウロボロスは見えず、武器と親父以外見当たらない。
「…!お客さん上だ!」
親父が叫び上を見る、が少し遅かった。
とっさに俺は拳を振り弾き飛ばそうとしたが、鎖はそれを難なくスルリと避け、周りを囲み今度は体全体を絞め、殺そうとする。
「クッ」
バキ、バキと体中の骨の嫌な音が鳴る。
更に…。
「うっ…」
鎖は俺だけでは飽き足らず暴れまわり、親父に激突し、親父の意識を奪った。
「おい!親父!!チッ…」
俺はすぐさまスキル意思疎通を使いウロボロスの全ての情報を見た。
スキルを発動した後、脳に情報が注ぎ込まれていった。
どうやら成功したらしい。
このスキルも少し未完成で、対象の能力の高さによって魔力の消費量が変わり、もしウロボロスが今の俺より能力が高ければ魔力が足らず失敗していたかもしれなかった。
「…!?おぉ…!!」
流れてくる情報を見た後、俺は笑みを浮かべ、スキル偽造と意思疎通をウロボロスに使い、ウロボロスに触れた。
するとウロボロスは先程までとは打って変わって首や体を絞めていた鎖を緩め、地べたにストンと落ちた。
とりあえず何とかなったみたいだ。
ウロボロスに近づき手を差し伸べる。
それに答えるようにウロボロスは鎖の形から美しい赤い髪の色をした女性の姿に形を変え、その手を強く握りしめ、涙を浮かべた。
これがスキル意思疎通で得た知識、神器ウロボロスの正体である。
この世界とは違う異世界、チキュウと呼ばれる世界からきた…つまりは異世界人が、この世界に魔王を倒すべくやってきているらしい。
それも元いた世界で一度死んで転生という形で復活を果たし、女神が一つだけその転生者である異世界人に強力な能力や道具を授けて転生させているとのこと。
その女神が転生者に授けた道具というのが、俗にいう神器と言うものだ。
そして例えばその神器の設定が「最強の鎖型の武器で、武器から人になれる武器で、自分もとい主人以外が使用しようとすると殺す、使えないと人型になれない、不老不死で血に染まった色をした髪の毛をしたウロボロスと言う名の胸の小ささがコンプレックスな忠誠心が強い、変に正義感が高く、時に周りが見えなくなる、絶世の美女で…略」だとする。
それを手にした転生者は恐らく、伝説の力を持った英雄にでもなったことだろう。
その時は幸せだったみたいだ。
ただし、英雄には寿命がある。
いつしか英雄は魔王を倒せず寿命が尽きてしまい、設定が盛られすぎたウロボロスと言う名の神器は、誰にも使われなくなり、人型になって人と関われなくなったのだ。
それからは孤独に武器屋で生き続け、手に持ってもらい誰かに使ってもらえると思ったら盛られすぎた設定の所為で殺している。
これの繰り返し。数百年間殺すか孤独に生きるかを繰り返し続けてきたのだ。
で、最終的には俺と同じ、女神に復讐を果たしたいと考えるようになった。
自分を後先考えずに創造し、そのまま孤独のまま放置し、尚且つ関係のない人を殺したくないのに殺させる設定を作り上げた女神をこの手で復讐を果たしたいと思っているそうだ。
これを知った俺は、すぐさまもう一度スキル意思疎通を使い、こちらも同じ目にあってると伝え、同じ目にあった者同士、力を合わせようではないかと持ちかけたのだ。
そしてスキル偽造を使って偽造し人と関われるようにした。
偽造のスキルは神の呪いを偽造するにはまだ未完成であったが、女神が創造した神器の設定の一部分ということなら上手くでき、「自分以外」の所を「俺」という名前に偽造しておいた。
これのおかけでこの神器は主人に使われたことになり、こうして人の形を取れるようになったのである。
その姿は確かにべっぴんさんであった。血に染まったような美しい赤色の毛も健在だ。
胸は…確かにその、設定通りであった。
「…ジオサイド様、新しき主人様。先ほどのご無礼どうかお許しください」
深々と頭を下げ跪くウロボロス。
忠誠心が強いのも設定通りか。
因みに確かに忠誠心は高いが、元持ち主である異世界人の女性「サトノハシズカ」は既に死んでいるため今はもう何とも思っていないそうだ。
「頭を上げてくれ、俺は大丈夫だ。知っての通り死ねないしな…それに敬語は不要だウロボロス。これから俺とあんたは同じ志を持つ同士だ。砕けた感じの方がやりやすい」
「はっ!…しかし、僭越ながら私の持ち主であり、私を救ってくださったジオサイド様に敬語を使わないなどあり得ません」
「…まあ、あんたの好きにしてくれればいいが」
頭を掻き思い出す。
設定「融通が利かず、たまにドジを踏むことがある」か。
そんな設定果たして必要なのだろうか。ウロボロスの知識曰く、チキュウに住む異世界人のそれも特にニホンジンという種は、そういうこと設定というものにとても細かく、こだわりが強い種族らしい。
であるとするなら、そういう感じであるということは知っていて損はないな。
もし異世界人もとい転生者に出会った時、これを上手く使い友好的な関係を結べば女神の情報を聞き出せるかもしれない。
「して、我が主人様。これからどうされるのですか?ご命令とあればこのウロボロス、何にでも従う所存です」
再び跪くウロボロス。
出来ればそれをやめて欲しいんだけどな。
「そうだな、じゃあとりあえずさっきから踏みまくってのびてる武器屋の親父からどいてやってくれないか?」
「ああっ!!」
設定「たまにドジを踏む」
確かに踏んでいた。
今回はドジではなく親父であったがな。
親父には悪いがのびてる間にメストをかけ、俺とウロボロスの情報をあやふやにしておいた。これで面倒ごとには巻き込まれないですむはずだ。
「…それでこれからのご予定は?」
店を出てから先ほどの失態もあって少し元気をなくした口調で聞くウロボロス。
気にしなくていいのに。
「道具屋にでも寄ってから街を出る。魔力回復用の道具か何か買わないと魔力が無くて次の街に行ったとしても入れなくなるからな」
「かしこまりました」
軽く会釈するウロボロス。
年齢は明らかにこちらの方が上だが、年上に見える女性にこういった敬意を払ってもらうと不思議な感覚になる。
が、気にしても仕方ないだろう。
それからたわいもない会話や改めての自己紹介をしながら歩いていると、道具屋に着いた。
「…ここなのか?」
「そのよう…ですね」
「うゔゔ…結界がはられてる。何でごんなことを…うゔゔ」
道具屋の目の前には涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔になった存在が薄れていっている女性が一人、結界のはられた道具屋のドアを叩いていた。
声をかけるべきだろうか。
俺が少し対応に困っているとウロボロスが近づき声をかけた。
「あ、おい!」
そうか…。
設定「困ってる人を見たら周りが見えなくなり、ついつい口を出してしまう」である。
「あのどうかされましたか?」
「うゔ、グスン。その結界が、ですね、いや、私普通の人間で、ここで働いてるんですけど、その結界がですね…」
何やらよくわからんが話を聞く限りこの女性は道具屋の人で、結界をはられて中に入れず困っているみたいだ。
「…この結界ですか?私は普通に入れますが」
ウロボロスは結界になんの妨害も受けず、道具屋のドアを普通に開けて入っていく。
あれ?おかしいな、確かに結界ははられているようなのだが。
見た所、アークプリーストが作った結界のようで、アンデッドやリッチーを避けるための人しかいないこの街では何の役にも立たなさそうな結界なのだが。
「その、あの…そう!私、実は少し不思議な体質をしてまして、聖なるものに触れられないんです!」
その証明とばかりに結界を触り足やら体がどんどん薄くなっていく女性。
…どうやらこの人、アンデッド、いやリッチーらしい。薄くなっていく時点で簡単にわかる。
「そうだったのですか…!そんな奇妙な体質聞いたことがありませんが、それはお気の毒に…」
ウロボロスはそれを簡単に信じ込み、聞いて申し訳ないと言わんばかりに目元を暗くする。
たまにドジを踏む設定がここで生かされているとは…。
「え?あ、は、はい。そうなんです!その、知り合いのアークプリーストの方に、嫌がらせ?のような、意地悪?のような、滅しに?きてるようなことをされていまして、今日のも多分それなんです」
まあ、アークプリーストからしてみればアンデッドやリッチー退治なんかは仕事の一環だしな。結界はられて当然だろう。
というか何故人の街で平然と暮らしいるのだ。俺が知る限りリッチーっていうのはかなりの上位の魔物のはずなんだが。
しかし、それを聞いてまたまた信じ込んで涙を潤ませるウロボロス。
「それはお可哀想に…この結界どうすれば破れるのですか?」
今後こいつには契約書とか押させないようにしっかりと見張っていなくては。
「それが、いつもなら時間が経って消えるか私一人で解除しているんですが、昨晩魔力を殆どそのアークプリーストさんに消されかけまして、今は時間が経つのを待つしかないんです」
アークプリーストの結界を消せるってことは、こいつそうとうな手練れのリッチーなのか。それにしてはやけに自信なさげにおどおどしているが。
「クッ…こんな目に合わした奴って一体どんな奴なんですか?」
涙を堪え聞くウロボロス。
「えっと、アクアという冒険者なのですが」
「特徴は?」
まさか探しにいくとか言わないだろうな。勘弁だぞ。
「水色の綺麗な髪をした女性です」
「わかりました……主人様、そのお願いが」
「却下だ。今すぐ街に出るぞ」
「クッ…何故ですか!?」
全く何を考えているのかこいつは…さっき有能そうに見えて感心した俺の感心を今すぐ返せ。
それに確かに砕けた感じを所望したが、こちらの骨が折れるくらいまで砕けた感じを出せとは一言も言っていない。
「何故ですか!困ってる人がいたら助けるのが通りでしょう!!」
「最初の予定どこ行ったんだどこに…それにそいつは人じゃなくてリッチーだ」
まだわかってなかったのかこいつは。
「ええ!?ち、違いますよ!わ、ワタシハフツウノマチノヒトですよ」
目を泳がせ、下手くそな口笛を吹き始めたリッチー。
どうみても怪しすぎだろ。まだ消えかけてるし。昨晩何があったんだよ。
「…しかし!リッチーだとしても…」
熱く拳を握り俺に語ろうとするウロボロス。設定の「常に冷静」はどこにいったんだよ。あ、設定に「周りが見えなくなる」ってあったからそれか。
「はぁ、わかったよ…でもこんな結界俺のスキルや魔法じゃ消せないし、やっぱりそのアクアっていうアークプリーストを見つけて解除させたほうが早いな。何か他に特徴は?」
俺は諦めて結界を解除するためアクアというアークプリーストを探しに行くことにした。
ウロボロスも興奮して面倒臭いことになっていることだしな。
「えっと、女神を、いや本物いや、これは確か言っちゃったらダメな…」
……。
…女神、だと?
ウロボロスは砕けた雰囲気を一瞬で消し去り、周囲に殺気を撒き散らし始める。
俺も同様に周囲に警戒を巡らせ怪しい奴が、特に神性が高そうな者が近くにいないかを探り始めた。
「…成る程、わかりました。水色の髪に女神ですね。では主人様、今後のご予定は変更ということになるのでしょうか?」
すぐさま殺しに行くぞと言わんばかりに目で合図を送ってくる。
こういうところを見ると俺と同じ復讐心は持ち合わせているようだ。
が、しかし。
「……いや、変更は無しだ。早急に街から退散する。気持ちはわかるが、今の俺らじゃ勝てる相手かもわからん。万全の準備をしてから立ち向かうべきだ」
まだダメなのである。
「はっ!冷静なるご指摘お見事でございます。それと、分をわきまえず失礼しました」
「?」
先ほどまでとの印象の違いにリッチーはびっくりしている。
「気にするな…それとリッチー、そこで待ってな」
「は、はい」
俺は道具屋のドアはられた結界に触れる。
アヴェンジャーはその特性として、女神や神に対して、高い特攻力が付与されている。女神が作った神性が高い結界ということなら、特攻が働いて簡単に破ることができるだろう。
結界に向かって手刀を入れ込み、大きな扉を開けるように結界をこじ開ける。
火花が散り、結界がこじ開けられるていく。
バチバチと音が鳴った後、結界は崩壊を始め、崩れていった。
予想以上に脆いな。アクアという女神は、よほど雑魚か馬鹿な女神なのかもしれん。
「あ、あなたは一体何者?」
結界を小手先無しで破った俺を見てリッチーは驚いている。
まあ普通の冒険者はこんなこと出来ないだろう。
「俺が何者かはともかく、この街からすぐ出て行かなきゃならないんだ。道具屋なら旅に役立つ何かを売ってくれないか?」
これ以上聞くなと威圧が入り混じった声色で言う。
リッチーはそれを聞いてウロボロスと話していたみたいに少しだけオドオドして頷いた。
このリッチー、読み通り相当な手練れのようだ。
「あ、ありがとうございました」
リッチーの経営する店は散々であった。
リッチーが経営するくらいだからてっきり魔力を大きく回復するような道具でも売っているものかと期待していたのだが、どれもポンコツな品物ばかりだった。
それも使えば爆発する感じのが多かった。何でそんなもの売っているのだろうか。
疑問が止まらないリッチーであったが、少し可哀想だったので押せば爆発し光を発する道具だけ買ってしまった。
何に使おうか。
「よろしかったのでしょうか。このような劣悪品を購入して」
「それを言うな。というか、そもそもお前が声をかけなければよかったのだろが」
「ふっ。主人様、困っている人を助けるのは当然です」
「確かにそういう心意気は大事だが、問題を解決したのは俺なのに何でお前が少し誇らしい顔しているんだ。しかも道具買ったの俺だしな。二重の意味で困ってるの助けたの結局俺だしな」
ウロボロスは俺の文句を聞いてもなお自慢げに胸を張っている。
こいつ、助けなきゃよかった。
…とはいえこれからは一人孤独に生きることは無くなったのだ。これくらい大目にみるべきか。
彼女が武器の形態をしていたら俺の呪いの対象外に入る。これにより俺はこれからは一人ではなくなるのだ。一人ではなくなる、それに同じ志を持った同士を仲間にできた。それだけでも今回街に来た価値があるといっていいくらいだ。満足だ。
それにウロボロスは殺したくもないのに人を殺し続けてしまったんだ。
設定云々より罪悪感から正義感にかられるのも無理もない。
反省の色がうかがえないウロボロスを心の中で許し、街を出ようと門前に来ると、一人の男性冒険と二人の女性冒険者が何やら確認作業のようなものを行なっていた。
男性冒険者の方は、何やら物凄い高価そうな防具を身にまとい、腰に携えた剣も見たことない剣を持っている。女性冒険者の方は見たことある装備ばかりだ。
その男性冒険者はこちらを見た瞬間、はっとしたような顔になり、剣に手を当て近づき、話しかけてきた。
初対面の相手に剣を向けようと考えているとは、失礼極まりない。
「お前が噂の変態仮面か…街の住民に昨日、暴力を振るったそうだな?」
…やっぱりそんなにこの仮面だめなのか。後でウロボロスにも聞いてみよう。
この街の人達に仮面の悪口を言われてきたせいで、俺もこの仮面がダサいのではないかと疑い始めてきた。
もしかしたら数百年経った今では、時代遅れなのだろうか。
「変態ではないが、暴力を振るったのは確かだ。それがどうした」
少し挑発気味に言う。
こういった自分がかっこいいと思っている奴…ウロボロスの知識曰くナルシストという輩には、こうした態度を取るのが一番だ。
冷静的な思考を奪う点でな。
「!!そうか、ならここで僕、ソードマスターであるミツルギキョウヤが今!!街のために貴様を成敗させてもらう!!」
「やっちゃいましょう!キョウヤ!!」
「行くぞー!!」
剣を構え走って来るミツルギとその仲間達。
やっぱりそうくるか。
だが、動きは素人そのものだ。
俺から見てものんびりと振りかぶられた剣の攻撃を軽く避ける。
「出来ればやり合いたくないんだが…」
避けながら口を挟み、遠回しにやめてくれとミツルギに言う。
「なら、貴様が突っ立って僕の剣のサビになれ!!」
どうやらやめてくれないようだ。
「このっ!!」
ブンブン振り回す割には、全くもってトロイため軽々しく避けられる。当たればあの剣ならヤバそうだがな。
どこぞの貴族の坊ちゃんかこいつは。高価そうな防具を身にまとっているのもそれなら頷けるな。
避けながらそろそろ反撃しようかと考えていると。
いや、待て。確かウロボロスの知識によると異世界人は妙な名前をしているという。
ミツルギキョウヤ、だったっけか。
こいつは女神の祝福を受けた転生者かもしれないな。
「…おい、あんたは異世界からの転生者か?」
武器を振り回し続け、疲れたのかその場で息を荒げているミツルギとその仲間達。
「…そうだが、それがどうした?」
息が整った後ミツルギは答えた。
「そうか、ウロボロス!!」
「はっ!」
あの程度なら俺に傷一つつかないと確信してか後ろで控えていたウロボロスは、武器の形態へと変わり俺の腕に絡まる。
「…俺が勝ったら女神に関する情報を全て教えてもらう」
鎖の先端に付いたナイフを向ける。
使い方は今はわからないが、こいつ一人なら大丈夫だろう。
「ふっ、君は女神様に送られるべきではなかったね。まぁいい、やっと本気になったようだ。こちらも本気でいかしてもらおうか!」
先ほどの息切れは何だったのかと聞きたかったが、どの道こいつらを倒さないとこの街から出れそうにないし一度倒すか。
「主人様、私一人で勝てますので主人様は立っておられれば結構です」
ウロボロスは馬鹿馬鹿しそうな言い方で言う。
ウロボロスから見たら呆れるくらいの雑魚らしい。
「そうか?なら任せよう。ウロボロスの力も見て見たいしな。あっ、でも殺すなよ。後処理が面倒だ」
「了解しました」
ウロボロスはそう言うと自分で体を伸ばし、武器だけを狙い、執拗に攻撃し刃こぼれを誘発しようとしている。
ほほう、見事なものだ。
ウロボロスの方が今の俺より魔法やスキルなしなら強いかもしれないな。
俺は感心しながらそれを眺めていた。
武器はウロボロスの猛攻に耐えきれず、ボロボロと刃こぼれをしていき壊れていく。
「あぁ!!!いっぱいお金貯めてようやく買ったばかりなのに!!」
「あぁ!!!折角直してもらったのに!!もう直せないのに!!」
やっとこさ手に入れたり直したりした武器なのか、それらを破壊され戦意を喪失させる二人の女性冒険者。
襲われているのはこちらなのに、なんだかこちらが悪者のように見えるのは不思議だ。
「クッ!二人とも!!クソぉぉ!!」
そんな中耐え続けるミツルギ。
ウロボロスは攻撃の手を止めない。それどころかどんどん手数を増やしていき、隙が埋まり始めている。
勝負あったな。
「ウロボロス、もう充分だ。ありがとう。これなら当分こいつらも立ち直れないだろうし…」
「了解しました。にしてもあの武器、女神から受け取ったものかと。私同様、攻撃を受けても刃こぼれ一つおきてません」
やはりか。これで確定だな。
俺はまだ剣をこちらに向けているミツルギに近づき聞く。
「で、俺の勝ちなわけだが。女神について知ってる情報全部教えろ」
「クッ、誰が貴様のような輩に女神様のことを教えるか!!」
最後の攻撃とばかりに飛びかかってくるミツルギ。
遅い。
俺はスルリと避け、武器を奪い投げ捨てた。
いい加減イライラしてきたのと、周囲に人だかりができ始めたので俺は脅すことにした。
「時間がない、早く教えろ」
殺気を見にまといミツルギの首に手をやり力を加えるそぶりをする。
「わ、わ、わ、わかりまひた!すぐはちます!はなちますから!!放ちて!!」
「「キ、キョウヤ!!」」
顔は先ほどの勇猛果敢な顔つきからは変わって青くなり、体はガタガタと震えている。
そんなに怖くしたつもりはなかったので俺は少しだけ傷ついた。
ミツルギの仲間の冒険者はミツルギが殺されるのではないかと怯え、泣き叫んでいる。
そしてそれを見ている街の住民から聞こえる怯えた声。
どっからどうみてもこちらが悪者であった。
ミツルギから得た情報は少なかった。
あの怯えた態度から嘘を言っているようにも見えないし、転生者はどうやら必要最低限しか女神と関わっていないようだ。
そしてミツルギもまた女神アクアを知っていた。というより女神アクアの手によってこの世界へやってきたそうだ。
何故女神が現界しているのかは謎だが、もしかすると地位の弱い女神を現界させて俺を発見次第消しにきているのかもしれない。だとするとあの結界がやけに脆かったのも理由がつく。
となるとすぐさまレベルアップしなくてはならない。
多少街の人の目や悪口を気にしてでもこの街で強くなる必要があった。
本当は別の街に行って人と交流したかったのだが、ウロボロスもメイルもサキュバス達もいるから別に問題ないだろう。
だが、女神が近くにいるというのは危険ではないかと俺はウロボロスに言った。
が、逆に盲点になるかもしれないとウロボロスは言う。
ここに派遣しているということは、ここはそいつに任せているためそいつ以外は来ないかもしれない。
ならここは安全だから、ここを隠れ蓑にし、力をつけたほうが良いのでは?とのことだ。
そうなってくるとアクアというこの街の女神を殺すのは追々になってくるのだが、そこはもう我慢するしかない。
俺はこのウロボロスの提案に納得し、この街に残ることを決めた。
しかし今は俺の魔力回復のための休息をとるため、ウロボロスと共に昨日の野営地点で野営の準備をしている。
事が順調に運んできていて、気分がいい。これなら女神や神を倒すのも遠くないかもしれない。
そんなことを考えながら気分良く焚き火用の木を集めていると。
「貴様が噂の変態仮面か」
そこには真っ黒な、太陽を受け入れることを拒絶しているような服を着た一人の女性が立っていた。
ここまで読んでいただいて誠に感謝します。
それともう一度…期間が空いてすみません。
次回の更新もまた未定となっておりますが、なるべく早く書いて投稿いたします!
では、またのお越しを!
◇プロフィール
名前:ウロボロス
性別:女性(神器)
好き:手入れをしてもらうこと。
嫌い:女神や神
一言:私こそが正ヒロイン…歳はもう数百歳だけど。