なんちゃってドラゴンボール   作:横山

1 / 25
転生?

ただ、ひどく曖昧な空間にその魂は浮かんでいた。

あまりに薄く儚い輝きのそれに、この空間の主が語りかけていた。

「さっきから何度も説明させてもらってるけど分かってる?もー、返事しないのならこれが最後だかんね?」

すでに被っていた猫は剝がれ落ち、ほぼ素の状態で話しかけるも相変わらずの無反応。主は、神はそのまま話し続けた。

「君が死んじゃったのはぼくの手違いだったから、お詫びとして君をとある世界に転生させてあげるよ。転生、言ってることわかる?あれだよ、あれ、大出血サービスでドラゴンボールの世界にしてあげる。日本の男の子なら誰だって大喜びだろう?……少しくらい喜べっての。ならさ、サイヤ人にしてあげるよ!それもあの孫悟空の兄だ!!……っち、もういい、とっとと行け」

神が投げやりに手を振るとされるがままに魂は押しやられ、世界の間に消えていった。

「あーぁ、つまんないの。あんなやつもう知らない!」

それきり、興味をなくした神はどこかへと姿を消した。

一方、地球の日本と呼ばれる国ではテレビでとあるニュースを流していた。

『本日未明、愛知県豊明市にある民家に小さな隕石が落下しました。隕石は長谷川孝太郎ちゃん生後二ヶ月の命を奪い……』

 

 

おれの名前はラディッツ、父と母の三人家族だ。だけど今、家には父とおれしか居ない。

父は椅子に腰掛けて平静を装ってはいるものの、さっきからずっと組んだ腕を指先で叩き続けている。

おれはと言えば、そんな父をチラチラと伺いながら、特に用事も無いのに家中をウロウロしていた。

突然、テーブルの上に置いてあったスカウターに通信が入った。

「バーダックさーん、じきに産まれますのでおヒマでしたら病院へ……」

「すぐ行く。ラディ、行くぞ?」

「うん!」

おれは未だ速く飛べないので、父に抱えられるままに母のいる病院へと向かった。

病室へついた時にはもう弟は産まれていて、母に抱かれて眠っていた。

「遅かったね、二人とも」

「お、お前が早すぎるんだ……」

なぜかがくりと肩を落として父はつぶやき、母はあははと笑っていた。

「母さん!おれの弟見して!?」

「はいはい、男の子だったからね、名前はレイディッシュよ?」

レイディッシュ、レイは寝てたけど髪は母に、つまりはおれに似てる。どんな目をしているんだろう?

「ねえ、レイいつ起きるの?」

「んー、今寝たばっかりだからね、そのうち起きるでしょ」

ほおをつついたら顔をしかめて横を向く。

「こおら、お兄ちゃんでしょ、いじめないの」

「はあい」

この日から、おれは四人家族になった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。