お腹の穴も無事にふさがり、調子を聞かれたボクは少し体を動かしてみて答えた。
「うん、なんかすごく良い感じ。前より体が軽くなった気がする!」
そしたら医務室の人は首を傾げて、
「だるいとかじゃなくて?普通あれだけの怪我の後は体力が落ちてたり、バランスがずれたりして辛いはずだけどね〜。まあ、おかしいところがあったらまたおいで」
「はーい」
道中もやっぱり前より調子が良い。兄ちゃんのところに帰ってそのことについて話したら、ボクよりも怪我する事が多い兄ちゃんはあっさりと頷いた。
「普通だろ?ひどい怪我の方が治った時に調子が良くなるぞ。前にベジータにやられた時なんて次の手合わせの時に驚いてたくらいだからな」
ナッパのおっちゃんが入ってから、ボク達は二組に別れることが多くなった。それもほとんどが兄ちゃんとベジータ様、ボクとおっちゃんの組みだ。
それでいつの間にかラディ兄ちゃんはベジータ様の事を呼び捨てにするようになった。
おっちゃんもベジータって呼んでて、ボクも呼んでいい?って聞いたらダメだって言われた。なんか腹たつんだって。よくわかんない。
「そっか、これで普通かぁ」
「普通普通」
「……なあ兄ちゃん」
「どうした?」
普通という言葉を受けて聞いてみる。
「サイヤ人の普通ってどんななの?」
もうボク達四人、キャロを入れても五人になってしまったサイヤ人。父さんと母さんの事はおぼろげにしか覚えていないし、よく『サイヤ人ってやつは……』って言われるし、思うところがあったボクは心のままに吐き出した。
「もし、兄ちゃんやベジータ様、ナッパのおっちゃんが普通ならさ、サイヤ人って他の人の十倍近く食べて、なるべく強いやつと戦うのが楽しくて、怪我したら体調が良くなるっていう変な種族になるんだけど?」
「え?普通だろ、なんか変か?」
あ、変なのボクの方だった。でもナッパのおっちゃんはベジータ様や兄ちゃんほど好戦的じゃないしなぁ。強くなるにつれて戦いたくなるのかもしれない。
そんな事を考えてたらドアを叩く音がした。
ガンガン!ドンガン!!
いや、壊れるから。スライド式なんだから叩いても押しても開かないよ。
「ナッパかぁ?横にボタンがあるからそれ押せって!!」
兄ちゃんが怒鳴ると音が止み、開きかけたドアがガツンと引っかかった。
あちゃあ、ドア変形しちゃったか?
そして隙間から手を差し入れてこじ開けようとするおっちゃん。
ギシリ……ガツッ!ゴッ!ゴッ!
何だろう、隙間から見える必死の顔も相まってすごく怖い。兄ちゃんも何も言えずに固まっていた。
ギキ、ゴガン!!
ついにへし折られたドアの向こうから姿を現わしたのは髪の毛の無い大男。何というか、一連を子供が見たら泣くかも知んない。とにかくドアの修理代は払ってもらおうと思う。
「おう!チビが治ったって聞いてな!!鍛えてやろうかと思って来たぜ!あー、ドアはすまん」
「謝るよりも先にいい加減文明の利器の使い方を覚えろ!!」
未だ機械に不慣れなおっちゃんに、さっきまでの恐怖を隠すためにもボクは思いっきり怒鳴りつけたのだった。