目の前で頭を下げる兄弟に、もはやため息しか出なかった。
ベジータの隊に割り振られようとしていた惑星を横取りした事で、奴から何か言われる予想はしていたが、まさかこんなことになるとは……。
「ベジータ様すねちゃって、ナッパだけ連れて修行行っちゃったんです……」
サイヤ人兄弟の弟が下げていた頭を上げて心底弱り切った声で言った。
すねた?あのベジータが!?
思わず口元が緩みそうになる。俺の行動はかなり奴にダメージを与えていたらしい。
兄も顔を上げ、弟の頭をこづく。
「半分くらいお前のせいだろ!それでですね、ベジータがいないと俺たち仕事に行けなくて、キュイさんとこに一時入れてもらえないかなって思った次第です」
ふむ、と、一応考えるそぶりをしてみせた。
はじめは手続きの面倒さやベジータからの探りの可能性も考えたが、これは好機だ。
確かに奴は気に食わない、しかし、惑星の掃除ではかなりの成果を出しているのも事実だ。今回この二人から少しでもベジータの手法を盗めれば、俺の隊の評価も上がることだろう。
「しょうがないな、今回だけだぞ!ベジータには一つ貸しだと伝えておけ」
そう放った言葉をここまで後悔する事になるとは……。
二人につけた部下からの息も絶え絶えな通信。
『た、隊長、もう無理です……もう、俺には……』
なるべく二人と同じ行動を取るようにと命令した部下一人と兄弟に大陸を一つ任せたまでは良かった。
その後、この惑星を牛耳っていた体毛の発達した巨大ネズミも順調に片付けていた。
その後だ、俺たちが死骸を焼き尽くしている時に入った通信、苦しそうな部下の声、俺がその場所について見たものは、うず高く積まれた骨の山と脂汗を垂らしてひっくり返っている部下、そしてこんがりと焼かれたネズミを頬張っているサイヤ人兄弟だった。
「もう無理、もう食えない、腹がはち切れる……」
何があったかは部下のうめき声から知れた。どうやら忠実に二人の行動を真似しようとして限界を超えたらしい。
「あー!キュイさんっ!!一緒に食べます!?」
「どうですか?脂乗ってて美味いですよ」
「いや、俺はいい。その……お前たちはいつもこうなのか?」
「ふぉぉって(こうって)?」
口いっぱいに頬張りながら首をかしげるサイヤ人弟。
「こう、始末した後、食べるのか?」
「ええ、そのままだと燃やすのも手間だし、お腹も膨れるし、え、キュイさん達食べないんですか?」
サイヤ人兄が当然のように返事をし、俺がうなずくと聞こえるか聞こえないかの小さな声で「うわ、もったいない」と呟いたのがやけに耳に残った。
無事仕事を終えて帰還した俺は部屋に戻り、防音を確認し、スカウターのスイッチを念入りに切ってから叫んだ。
「何だよアレ!なんだよアレえぇ!!そりゃ速いさ!!てか明らかに胃袋より多いだろ!どこ消えてんだよぉぉ!!サイヤ人って奴は!サイヤ人ってやつはぁぁ!!」