孫が界王拳を思いの外早く習得したり、元気玉を扱うために自然を感じ取ったりしている間、成り行きでわたし預かりとなった孫の兄、レイディッシュはたまに一人で姿を消していた。
よく共に引っ張り回されているピッコロに聞いてもどこに行ったか分からないとでも言うような動きをする。
思えばこいつも丸くなったものだ。ついこの間には説法中に逃げられて気を落としたわたしを慰めるようなそぶりまでしてみせた。
あのレイディッシュには孫とは違う方向で人を変える力があるようだ。そう、他の者を振り回しまくり疲労感にさいなまれる者同士に近親感を覚えさせるような……。
だが、何と言うか、悪意のない、はたまた邪気のないと言うべきか?閻魔様が地獄へ送るのをためらったのも頷ける。
まるで子供がそのまま大きくなった様子に首をかしげたが、この間の生い立ちを聞いて納得がいった。あのような生活を送ってきたのなら物知らずにもなるはずだ。しようがない、一度引き受けた身だ、責任持って常識を教え込むとしよう。
数日後、多少渡り合えるものになってはいるが、あいも変わらず孫にいいようにあしらわれる組手の中で、レイディッシュが驚くべきことをしてみせた。
「えーい!ぐるぐるビーム!!」
気の抜ける大声と共に放たれたのはピッコロの魔貫光殺砲そっくりの代物で、かろうじて避けたものの孫は驚きを隠せない様子だった。
「に、兄ちゃん、それって……」
「ふはははー、驚いたか!なんかカッコ良かったから真似して見たんだ♪」
「すげーな兄ちゃん!そっくりだったぞ!!」
盛り上がってる兄弟を横目に我が半身の様子を伺うと、微動だにせず固まっていた。
長い間を費やして編み出した技をああもあっさりと真似されて、衝撃だったのだろう。
「さっきのぐるぐるビームってやつもっかいやってみてくれよ!」
「よっくみてなよ〜!」
ぐるぐる……魔貫光殺砲が、ぐる……
「ぶふっ!」
思わず吹き出すとピッコロに繰り返し体当たりを受けたが害もないので放っておく。
「しっかしまぁ、お前さん戦闘センスはからっきしのくせにこう技術的なのは器用だのー」
界王様も呆れたような顔をしている。
孫が界王拳をこうも早く習得できたのはレイディッシュの助言のおかげが大きい。
だが、レイディッシュ自身の界王拳は静止状態ならともかく戦闘で使うことが難しいらしく、界王拳の持ち腐れと言えるだろう。
「うーん、我ながらそう思う!」
「開き直らず努力せんか!」
思わず怒鳴りつけるといつものように肩をすくめた。