何時もは父さんとラディ兄ちゃんとで出かけてたけど、今日はボクにも一緒に来るかって言ってくれて、三人で擬似戦闘区へとやってきた。未だ飛べないボクは父さんの背から砂煙が巻き上がり、岩山が削られる地表を見下ろしていた。
なんでもここは、昔におこった戦争で人が住めないほどに荒れ果ててしまったために、演習や個人での戦闘訓練に無料で開放されているらしい。
滅多に雨が降らないとかで赤茶けた土や岩ばかりで緑は見られない。ボクは首から三人分の水が入った水筒と携帯食料の入った袋を下げているので見るだけだと言われたけど、それでも連れてきてくれて嬉しかった。
嬉しかったんだけど……、帰ったら母さんがいなくなってた。
「うああぁぁん!おがぁさーん!!」
家のどこを探しても居なくて、病院に行ったんだって、でも居なくて……。
「うぇええぇん!!」
「だーかーらー!母さんは赤ちゃん産むから病院行ったの!!分かる!?」
「おがぁさんいないぃぃー!!」
ラディ兄ちゃんが怒ったぁぁ!
「すまんラディ、俺は仕事に行くからレイ頼んだ」
「やだー!!おどーざーん、行っちゃやー!!」
「仕事なんだって!!こら、しがみつくな!」
「ほらレイ、母さんが作っといてくれた飯あるから……あ"」
「おがーざん、いない……ふえ」
その後すぐにベジータ王子からの呼び出しをくらったおれは、散々悩んだ末に集合場所にたどり着いた。
「何だそれは?」
開口一番の王子の発言がこれ、それとはもちろんおれの足にしがみついて離れない弟を指している。
「すみません、どうやっても離れないもので」
「ふぅん」
言うが早いか王子はレイの襟首をつかんで引っ張った。そしてそのまましがみつかれているおれごと振り回して離れないことを確認すると、引っ張ったのと同じく突然にその手を離す。
当然宙に放り投げられる形になった為に体勢を整えて、目を回してるレイが落ちないように気をつけて床に降りた。
「ふん、オレの弟より根性あるじゃないか。ラディッツ、邪魔にはさせるなよ?」
「は、はい!ありがとうございます!!」
その後、すぐにポットで二日ほど離れたところにある星に向かったけど、二人乗りは結構キツかった。
さて、演習も終わってその日の夜、スカウターに母さんからの通信が入った。
『あら、それは急だったのね』
「そ、突然すぎてレイを連れて行くしかなくてさ、でもまあ、王子が許してくれてよかったよ。母さんは大丈夫?」
『もう三人目だからね、全然平気よ。レイはいる?』
母さんの質問に隣で船を漕ぎながら聞いていた弟が目を瞬かせたので通話口を向けてやる。
「居るよ!お母さん、弟産まれた?」
『まだまだ、後二、三日はかかるって。何、弟って決まってるの?母さんは次は女の子がいいんだけどな』
ふと気になったのでスカウターを取り返して聞いてみる。
「名前はもう決まってたんだっけ?」
おれの時もレイの時も産まれる前日には決めてたって言ってたし、今回は帰るまでに日がかかりそうだから名前だけでも聞いておきたかった。
「男の子だったらカカロット、女の子だったらシャーロットよ」
「カカロットとシャーロットか、レイ、聞いてた?」
「んー、きゃーろっと……」
「混ぜるなよ……」