彼と猫の世界   作:ノスタルジー

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勉強にSAOの二次創作を見てます。

面白い作品がいっぱいあるのですが、一つだけ、思ったことを言わせてください。



古武術多くね?


彼と猫が挑む話

 2022/12/2

 

 100層からなるSAOにおいて1層を攻略するのにどれくらいの時間がかかるか、と聞かれればβテスター達ならこう答えるだろう。

  「βのときは大体1週間だった」と。

 SAOという名のデスゲームが開始してから1ヶ月。

 しかし、プレイヤー達はいまだ第1層に留まっていた。

 

 

 ―第1層 リーンダース―

 

 ≪第1層ボス攻略会議≫が始まろうとしている。

 円状に並ぶ階段に数十人のプレイヤー達が腰を下ろし、その時を待つ。見れば皆が第1層で入手できる最高クラスの装備を身に付けている。

 俺とアオイは目立たないよう一番後ろに座って、辺りの人間を観察していた。

 

 

 2022/11/31

 

「≪ボス攻略会議≫?」

 俺はとあるレストランでとある女性プレイヤーと会話をしていた。

「ああ、そうダ。2日後この街の広場で開かれル。高レベルプレイヤーに招集がかかっているんダ」

「なるほど。あなたはその手伝いですか?」

「そんなところダ」

 彼女のことを知らないβテスターはいないだろう。

 ≪鼠のアルゴ≫―β時代からの情報屋だ。そのフードの奥には金色の巻き毛と3本のヒゲのようなフェイスペイントが見える。変わった口調だということもあるし、もしかすると生粋の日本人ではないのかもしれない。

「デ?どうするんダ?出るのカ?」

「そうですね……」

 ≪ボス攻略会議≫か……

 ≪ボス≫は層と層の間を繋ぐ塔のような迷宮区という場所にいるモンスターの総称だ。

 ≪ボス≫を倒せば次の層に進むことが出来るが、当然のことながら≪ボス≫はかなり強い。一人で勝つなどまず不可能だ。《レイド》と呼ばれる複数の≪パーティ≫の集合体で戦い、犠牲を出しながらも勝利する、あるいは敗北する。

 ―敗北は、死だ。

 

 β版のときは俺も数回参加した。 相変わらず「そこそこ」の活躍をしたと自負している。一番活躍したのは間違いなくキリトだろうな。

 彼女―アルゴのことだから俺がβテスターだということを知っていてもおかしくはない。それほど目立たなかったとはいえ、βの時と顔も名前も一緒なのだ。

今の俺のレベルは10、今日か明日には11に上がるだろうが、高レベルプレイヤーと言える水準だ。声を掛けてきたということは、レベルも知っているのだろう。

 

 俺が返答もせず、黙っていると

「相棒はどうしタ?」

「あぁ…あいつならふらっと出掛けました。街の外には行くなって言ったんで、中にいるみたいですけどね」

「そうカ。彼女にも出て欲しいんだがナー?」

「……伝えておきます」

「行くぞって言えばついてくるんじゃないのカ?」

「……何が言いたいんです?」

「イヤ……何でもない。今日は退散するヨ。明日また来るからその時に返事をしてクレ」

アルゴそう言い残して席を立ち、代金を払って去っていった。

「……」

 それを見送った俺は一人でレストランに残り、飲んでいた紅茶を飲み干してから、レストランを出た。

 

 その夜。

 ボロい宿の食堂でアオイと膝を突き合わせ夕食をとっていた。

「今日はどこ行ってたんだ?」

「散歩?」

「何で疑問系なんだ?」

「ユートは?」

「俺はβ時代の知り合いと偶然会って、話をしてた」

「ふぅん」

 心なしかアオイの目が冷たい。

「ふぅん」

 ずいっと顔を寄せて、俺の目の中を覗く。

「な、何だ?」

「嘘、はついてない。けど何か隠してる」

「……お前には敵わないんだな。ほんとに」

 嫌になるよ。

 

「≪ボス≫って強いの?」

「そりゃ≪ボス≫だからな。その層で最強だと思っていい」

「そう」

「……気になるのか?」

「うん」

「……死ぬかもしれないぞ」

「うん」

「……俺がダメだって言ったら?」

「行かない」

 どうしても行きたいようだ。何が葵の琴線に触れたのかはわからない。まさかのバトルジャンキーではないことを祈る。

「……わかった。会議に出てから決めるってことでいいか?」

 数分の逡巡の末。そう答えた。葵の希望を出来る限り優先してやりたいという気持ちと安全を天秤にかけてみると、ゆっくりと、その天秤が傾いたのだ。

「うん」

会議に出るだけ出て、攻略に参加しないとなればバッシングを受けるかもしれないが、それくらいいいじゃないかと自分に言い聞かせ、目線を下に。湯気の立つスープをじっと見つめた。

 

 

 2022/12/2

 

 夕日が白い階段と舞台をオレンジ色に照らす。顔見知りはいない。それも当然だろう。特に他のプレイヤーと交流はなかったし、顔見知りの数人のβテスター達はその顔を変えている。名前を確認しないと分からない。名前が変わっていてはまずわからない。

 後ろの方、階段に腰を下ろした。その時、茶色い肌の大男や青髪のイケメンなどキャラの立った連中の中にそっと入ってきた人影。

 

「キリト……」

 俺たちの反対側にあの少年がいた。その隣にはローブ。

 えらく怪しい奴と一緒にいるな……

 キリトも俺たちの存在に気づいた様で、軽く手を挙げた。

 俺も同じ様に手を挙げ、挨拶を返した。

 

 しばらくして、広場の中央にいた青髪のイケメンが壇上に上がり、声を張り上げた。

「皆!今日は俺の呼びかけに応じくれてありがとう!!」

 なるほど。彼が言い出しっぺなのか。

「俺はディアベル!!職業は気持ち的に《ナイト》やってます!!」

 彼の仲間であろうグループから囃し立てる声がする。爽やかで好感が持てる男だ。リーダーシップもありそうだし、ボス攻略はうまく行きそうだなと漠然と思った。

ふと、隣に座るアオイを見ると、ディアベルの方には目も向けずにキリトとローブのことをじっと見ていた。

 

 

 

 期待できる集まりだと思っていたのだが、雲行きが怪しい。

 ディアベルの話に割って入ったキバオウという男。

 βテスターを非難する発言を繰り返す。

「謝れや!!こん中にもおるやろ!!卑怯なβテスターがな!!」

 彼の言によれば、この1ヶ月に死んだプレイヤーの数が約2000人にも及んだのはβテスターがβ時代の情報を隠し、自分たちだけが強くなろうとしたからだ。死んだ2000人に対して謝罪をし、持っている情報やアイテム、コルを差し出せ、ということらしい。

 

 俺も情報を隠し続ける卑怯なβテスターであり、そのことに罪悪感を少なからず抱いていることに間違いはない。他のテスターにもそういう奴はいるだろう。彼らが動けばたしかに、攻略はよりうまく行くに違いない。

 だが、彼らを動かすために行った彼のこの行動は悪手だ。

 そもそも死んだプレイヤーの数は2000人なのだ。βテスターは全員が初日にログインしたと仮定すれば1000人。テスター達の多くがおそらくその知識を活かし、《始まりの街》を出ることを決めただろう。2000人の中にどれだけβテスターがいたかはわからないが、無視出来ない数だったと予想できる。割合的には初心者とテスターの死亡者数が逆転するかもしれない。

 

 そして、この発言がテスターの反感を買い、初心者とテスターの間に亀裂が入れば攻略はかなり困難になる。生き残っているテスター達がどれだけ攻略に貢献するか、分からない奴はいないだろう。最悪、テスターVS初心者の潰し合いになるかもしれないし。

 

 彼の行動の目的は立派かもしれないが、如何せん方法が悪い。

 これでは問題がまた問題を生むだけだ。

 

 俺以外のプレイヤー達も彼にあまりいい印象を抱いていないような重い雰囲気。

 そこに低いバリトンボイスが響いた。

「発言いいか?」

 自らをエギルと名乗ったチョコレート色の肌をした大男が話を始めた。

 アルゴの書いた攻略本を取り出し、スラスラとした日本語でキバオウを黙らせる。

 要約すれば、「金やアイテムはともかく、情報はあった。それでも死んだプレイヤーがいたのは彼らがSAOを舐めてかかったからだ。そんなことよりボス攻略について考えよう」

 至極もっともな意見。この集まりはあくまでボス攻略に関するもの。いくらここでテスターについて言及したところでここにはいない他のテスターは蚊帳の外になってしまう。

 

 エギルのその発言を受けて、ディアベルが場を纏めた。

「みんな、仲間や周りの人とパーティを作ってくれ!!」

 その掛け声と共にプレイヤー達が動きだし、集まりを作っていく。

 しまった。何だか雰囲気に流されているが、俺たちはまだ参加か不参加かを決めていない……

 ここでひとまず抜けようか、と考えたところで横から声が掛かった。

 

「俺たちと組まないか?」

 黒髪の少年ーキリトとローブ。二人がぼうっと立っていた俺たちをパーティに誘ってくれた。

「え?あ、ああ?」

 考え事をしていた最中に急に声を掛けられ、変な返事をしてしまう。

 隣に立つアオイを見ると、コクンと小さく頷き二人のパーティに参加しようとしていた。

「あ、アオイ?」

 どうもボス攻略にかなりの興味があるようだ。俺が強く止めない限りは参加するだろう。

 どうすればいいのか。第1層のボス《イルファング・ザ・コボルトロード》については俺はよく知っている。βのときに攻略に参加したからだ。アオイの強さを考えると問題はないと思うが、万が一はある。

 キリトは強い。間違いなくトップクラスの実力者だ。でも―

「えっと…ユート?」

 悩み、黙り込む俺の名前を呼んだのはキリト。

「……キリト。失礼な質問をするが、その隣のプレイヤーは強いのか?」

「え?」

 真剣な顔でそう言う俺に一瞬戸惑ったキリトは目を合わせて

「強いよ」

 と断言した。迷う俺にとって、こいつの存在と言葉が頼もしかった。

「そうか……わかった。じゃあパーティを組もうか」

「あぁ」

 

 パーティのメンバーの名前が視界に表示された。≪Asuna≫という名前。これがローブの名前だろう。名前がわかったところで、命を預かり預ける信頼関係は築けないと思った俺はさっそくアスナに話しかけることにした。

「さっきは失礼なことを言ってすみません。俺はユート、こっちはアオイです。よろしく」

 年齢がわからないため一応敬語で話してみる。

「……別にいい。アスナ。よろしく。あと敬語はいらない」

 綺麗な声。わざと低めに出しているであろうことを考えても綺麗だった。女性だったのか。

「……そうか。わかった」

 会話終了。自分はここまで口下手だったのか、という自己嫌悪が心に浮かび上がった矢先、見兼ねたキリトが助け舟を出してくれた。

 

「えっと…ユートとアオイは初日に会って助けてくれた、命の恩人なんだ」

 俺たちの評価をあげようと頑張ってくれるキリト。

「二人も俺もアスナも強いし、多分このパーティは最強じゃないかな~な、なんて思うん……」

 しーん。

 女性2人は黙ったまま何の反応も起こさない。

 キリトの助けてくれという気持ちが込められているであろう視線を受けて、俺は目を逸らした。

 すまん。

 

 

 ディアベルが七つの六人パーティと一つの四人パーティを検分し、役割に応じた部隊へと編制した。しかし、何の役割も割り振られていない俺たち四人パーティ。ディアベルは俺たちのもとに来ると、少し悩んだ素振りを見せてから

「君たちには攻撃部隊のサポートに回って欲しい」

 それはつまり。

「取り巻きの≪コボルド≫の殲滅の補助ということか?」

 俺がそう言うとローブのフードで隠れた闇の中から暗い雰囲気が滲み出てきた。いや、雰囲気なんてそんな軟な言葉で表現できるものではない。

「ああ、そうだ」

「了解。重要な役目だな」

 ローブの奥から剣呑な気配を感じたキリトが素早くそう言った。アスナを会話に参加させまいと頑張ったようだ。

 

「……どこが、重要な役目なの?結局下がって雑魚の相手をしてろってことでしょう?」

 もともと低かった声をさらに意図的に低くし、アスナが棘のある声をだした。

「……仕方ないだろ。何て言うんだよ……納得いかないって駄々こねるのか?」

「それは……そうだけど」

 そんなことをすれば先ほどのキバオウと同じだ。アスナがそう思ったのかはわからないが、キリトの言葉にしぶしぶながらも納得したようだ。

「まぁいいじゃないか。一番安全だ」

 安全。大事なことだろう。デスゲームなんだから。

「安全って……安全を求めるならそもそも参加すべきじゃないと思うけど」

 俺の言葉にいち早く反応を示したのはアスナだった。彼女の言うことは正論も正論で、どう返していいのかがわからない。そもそも俺だってあんまり参加したくはない。

「いや…それはそうなんだが」

 言葉を濁して、隣でぼーっとしているアオイを見る。

「まだ1層だ。ボス戦はあと99もある。今回出番がなくても次頑張ればいいだろう?」

 とりあえず差しさわりのない言葉をアスナに返した。

 アスナは返事もせず、黙ったままだった。

 

 

 2022/12/3

 

 昨日と同じく会議が始まった。今日は各部隊の部隊長の挨拶からスタートだ。

「H隊のリーダー≪ユート≫です。若輩者ですが、よろしくお願いします」

 差しさわりのない挨拶。あまり自分を卑下するような言葉を言わない方がいいかとも思ったが、強気に出すぎて反感を買うこともないし、いいだろう。

 何故俺がリーダーになったかというと、話し合うまでもなく女性陣はその役目をスルーされ、キリトか俺かという話になった。全員と顔見知りのキリトがやるべきだろうと思ったが、キリトが辞退したため、俺がするということになった。ここで駄々をこねるのも大人気ないと思い、受諾したのだ。

 

「よし!じゃあ次はアイテムとコルの配分についてだ!!」

 ディアベルの爽やかな声がこだまする。

 SAOではパーティで戦闘したとき、ドロップアイテムやコルをどう配分するかでもめることが多々ある。普通のMMOならダイスロールで決めるのだが、SAOではシステムが勝手にドロップアイテムを分配するため、ダイスロールをするにしても一度ドロップアイテムを得た者が名乗り出る必要がある。だが、そんな正直者ばかりとは限らない。そのまま名乗り出ないという者もいるのは当然。これがβ版なら、仲が悪くなってパーティ解散で済むのだが、今は。

「今回はコルに関しては均等に配分!!アイテムに関しては取った者勝ちにしたいと思う!!」

 いい案だろう。皆がそう思ったのか反論するものはいなかった。

 

 

 和やかな雰囲気で二日に亘った会議を終えた。皆は各自別れて酒場やらレストランやらに行くようだ。

「さて、俺たちはどうする?」

「そうだな…飯でも食いに行くか?」

「ああ、いいな」

 パーティとしての結束力を強めるため。同じ考えを共有していたであろう俺とキリトが提案すると。

「いい。私は帰るわ。後はご勝手にどうぞ」

 そう言って、スタスタと去っていくアスナ。

「ねぇ。帰ろ」

 そう言って、クイクイと袖を引くアオイ。

「解散しようか……」

「うん…そうだな……そうしよう」

 男二人の小さな声がただただ空しかった。

 

 

 2022/12/4

 

 ボス攻略戦当日。朝の十時、広場に集合した面々。総勢四十六名。

その真ん中に青い髪のナイト―ディアベルが立っている。周りにはキリト、アスナの姿も見える。

「ん?あれは…」

 キリトと話しているのは小柄な男―キバオウ。何故あいつが?

 気になった俺はアオイを連れて、我がパーティメンバーのところへ足を進めた。二人のもとにたどり着く前にキバオウは離れて行った。

「キリト」

「…ああ、ユートとアオイか」

 どこか、本当に少しだけ元気のない様子で答えたキリト。やはり何かあったのだろうか。

「さっきのどうしたんだ?」

「…大したことじゃないよ。ソロが調子乗るなってさ」

「なんだそりゃ?」

 ソロじゃないだろう。テスターじゃないのか、とは言わない方がいいと思った。

 キバオウがソロがどうのなんて態々言うのはおかしい。ソロプレイヤーは他にもいる。にもかかわらず、キリトを選択して話しかけてきたということは、テスターに関する話だろう。キバオウならソロなんかよりテスターの方が気になっているはず。キリトの名は結構有名だろう。テスターとして。

「まぁ気にするなよ」

「ああ。わかってる」

 無難な言葉を口にしておく。

 俺には何もできない。心の中で小さな謝罪をした。

 

「よし!皆!今日は集まってくれてありがとう!――たった今、全パーティ四十六名が一人も欠けずに集まった」

 雑談をかき消すように、ディアベルの声が響き渡る。

 歓声、拍手、指笛。周りからいろんな音がする。

「一人も欠けずに集まってくれてよかった!今だから言うけどもし一人でも欠けたらこの作戦は中止にしようと思ってた!」

 あぶねー。

「でも……そんな心配は皆への侮辱だったな!こんな最高のレイドが組めてスゲー嬉しいよ!!人数はちょっとだけ足りないけどさ!」

 ディアベルのリーダーシップ。疑うべくもないが、皆を煽りすぎな気がしないでもない。あまり依存が高まると万が一の時に危険だと思うのだ。

ディアベルが両手を上げると音が止む。

「みんな…俺から言うことはたった一つだ!!―――勝とうぜ!!」

 声が広場を包む。

 不機嫌そうに耳をふさぐアオイの頭を撫でた。

 

 行軍。四十六の戦士たちが森を進んでいく。キリトとアスナは目の前にいる。俺たちは最後尾。つまり彼らもかなり後ろにいるのだが。二人は何か話をしているようだ。アスナは初心者らしいからキリトが何かを教えているのだろうか。

「アオイ」

「何?」 

「今回のボス戦について復習だ。敵は?」

「≪イルファング・ザ・コボルトロード≫と≪ルインコボルト・センチネル≫」

「俺たちの狙いは?」

「≪センチネル≫のほう」

「注意点は?」

「装甲が固いから短剣は効かない。倒すなら首を狙うしかない」

「お前の役目は?」

「ユートのサポート」

「よし」

 ボスの取り巻きである≪ルインコボルト・センチネル≫は鎧で全身のほとんどを覆っているため、胴体への攻撃はほぼ通らない。そのため鎧で覆われていない一点である首を狙うのが定石。

 だが、例外もある。それが全武器中最高の貫通性能を持つ≪槍≫だ。≪片手用短槍≫は扱いやすさを重視し、攻撃力を犠牲にしてはいる。だが、俺は武器の強化は≪鋭さ≫をメインとしているため、≪短槍≫とは言っても十分な貫通力―≪センチネル≫の鎧を貫くほど―がある。

「あと危険だと思ったら即座に撤退だ。お前の足の速さなら鎧でガチガチの犬は追いつけないさ」

「うん。わかった」

「よし」

 目を上げると、高い塔が見える。β版の時に慣れ親しんだはずのそれに親しみなど感じるはずもなかった。

 

 大きな扉。この先にはボスがいるのだ。

「――行くぞ」

 その声に頷きを返す面々の中にいる俺たち。

 扉を開く重い音がこんなにも嫌なものだとはβの時は思いもしなかった。

 




アルゴの口調が似非中華みたいな感じになってしまう。
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