超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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はあ?1話の半分も終わりませんよ…?




ミズキの残り香

君は海の向こうへと駆け出した。

 

なんでそんなことができるの?海の向こうにはなにがあるかわからないのに。

 

君は空の向こうへと駆け出した。

 

なんでそんなことができるの?空の向こうにはなにがあるかわからないのに。

 

君は振り向いてこう言った。

 

僕がいるには、ここはあまりにも退屈すぎるからだよ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「……ねえ、よくわからないのだけれど」

 

ノワールの眉がピクピクと動く。

腕を組んだ姿は不機嫌そのものだ。

 

「なんで隣の国の女神がウチの教会で寝てるのかしらっ⁉︎」

 

それもそうだ。

ベランダに設置されたベッドでネプテューヌがくつろいでいる。

………いや、なんでだと。

これはつまり、日本の首相官邸でオバマ・ザ・プレジデントが「アイムハッピー。ハッハッハ」とか言いつつダラけてるのと同じようなことだ。アベ・ザ・ソーリダイジンが「ホワイ。アイキャントアンダスタンド」というのも仕方のないことだろう。

 

「気にしないで〜、ノワール……」

「私が気にするのよっ!」

 

ネプテューヌといえばつい数時間前の勢いは何処へやら、完全に安眠モードだ。

 

「お姉ちゃん……」

「わかってるよ〜、ネプギア〜。ねえ、ノワール。ちょっと頼みがあるんだけど〜」

「何よ。悪い予感しかしないのだけれど?」

「私とさ、模擬戦してくれない?1回だけでもいいからさ〜」

 

案外まともな頼みだ。

普段のノワールなら聞いていたかもしれないが……生憎今は無理だ。

 

「今は無理よ」

「え〜!なんでよ!」

「これよ」

 

右手の手袋を外して手首を見せる。そこには包帯が巻かれていた。上からではわからないが包帯の下には湿布が貼られている。

 

「え?ノワール、怪我?」

「利き手の手首をね。だから、今は無理。治ってからならいくらでも相手してあげるけど……」

「私が手当しましょうか?」

「いいわ。もう手当はしてもらったから」

 

そう言ってノワールは手袋をつけ直しながらベランダから部屋へ戻っていく。

 

(あの包帯の巻き方、どこかで……?)

 

「もう〜、つれないなあ、ノワールは!そんなんだから友達少ない〜とか、ボッチ〜とか言われちゃうんだよ!」

「なっ!」

 

なかなか痛いところを突かれたようでノワールがうろたえる。

 

「手首の怪我ぐらい、奇跡のパワーでパパッと治しちゃいなよ!可愛い可愛い女神様からの頼みだよ〜!」

「治せるわけないでしょ!それに、友達くらいいるわよ!」

「………ふ〜ん?誰、それ?どこのどなた様?」

「う………!」

 

ノワールが答えに窮しているところにエレベーターが到着した。そこには書類の束を抱えたユニがいた。

 

「お姉ちゃん、書類終わったよ」

「あ、ありがと。そこの机に置いといて」

「うん」

 

ユニは机に書類の束をドンと置く。

そして未だに言い争いをしているノワールを見てもじもじし始めた。

 

「あ、あの……お姉ちゃん」

「だから……!ん、どうしたの、ユニ?」

「どうかな、今日、結構早く仕事、出来たんだけど……」

 

自信がある。今日は特に早いタイムのはずだ。よく頑張ったねと頭を撫でられてもおかしくはない。

 

「…………ええ。よく頑張ったわね。お疲れ様。今日はもう休んでいいわよ」

「………うんっ!」

 

頭は撫でられなかったが褒めてもらえた。

だが、ノワールの表情は笑顔のはずなのになんだか寂しい。ネプテューヌはその笑顔に見覚えがあった。ミズキもしていた顔だ。

 

「ノワール……?」

 

胸がズキズキと痛む。ノワールも、何か嘘をついている?何か、隠している?

 

「あ、あの、ノワールさん。私ちょっと……」

「ん、どうかした?」

「いえ。ちょっと、行ってきます」

 

ネプギアも寂しい笑顔で行ってしまった。ノワールの笑顔には気付いていないだろうが、ミズキのことを考えて辛くなってしまったのかもしれない。

ネプギアは1人にしてあげたい。

 

「………あ〜!もしかして友達ってユニちゃんのこと⁉︎ダメだよ、妹はさすがに友達としては……!」

「ち、違うわよ!」

 

そんなことを話してノワールを引き止める。

今、私は酷い顔をしてるんだろうなって思った。

 

そしてユニは寂しい笑顔をして出て行ったネプギアを不思議に思った。

 

「ネプギア……?」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「……………」

 

湖の湖面を橋の上から見つめる。湖面に映った自分の顔は我ながら酷いものだった。

 

「ミズキさん………」

 

「ネプギア」

「……ユニちゃん……」

 

2人は座って話し出す。

 

「ユニちゃんは最近どう?仕事とか……」

「私?私は大丈夫よ。ミズキさんが言ってくれた言葉があるから」

 

『ひたむきな心と負けん気』。

ネプギアはそんな言葉を受け取っているユニを羨ましく思った。消えてしまったミズキの残り香がユニに残っている気がしたのだ。

 

「ネプギアこそ、どうしたの?らしくないわよ」

「……あのね、ラステイションに来たのはね、理由があるの」

「理由?」

 

そう、理由(ワケ)がある。

 

「実は……私達のところからミズキさんがいなくなっちゃったの。だから、私達は……」

 

そうだ、私達は。

 

「探しに来たの。それで連れ戻しに来たの」

「ミズキさんを?」

 

きょとんとした顔をしているユニ。

 

「ミズキさんならつい数日前までここにいたわよ?」

「うん………え?」

「え?」

「ええええええええっ⁉︎」

 

慰めの言葉とか励ましの言葉とかが来るかと思っていたらまさかの情報でしたっ!

 

「あ、あれ?ミズキさんはネプテューヌさんと喧嘩したって……。消えちゃったってどういうこと?」

「き、聞きたいのはこっちだよ!っていうか、ユニちゃんはミズキさんに会ったの⁉︎」

「あうあうあうあうネプギア揺らさないで揺らさないで混ざるぅぅぅ」

 

ネプギアは立ち上がってユニの肩を掴んでブンブン揺さぶる。

ユニはぐるぐると目を回してしまった。

 

「だ、だって……私稽古だってつけてもらったわよ?」

「け、稽古まで⁉︎」

「強いのね、ミズキさんって。私、全然歯が立たなかったわ」

「ゆ、ユニちゃん!その話、kwsk!」

「え?う、うん………」

 

ネプギアの必死さに内心ドン引きしながらユニはつらつらと数日前の出来事を話し始めたのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その頃。

ネプテューヌとノワールはまだ言い争いをしていた。ネプギアから注意をそらすために始めた言い争いだったが、楽しくなってきちゃったのだ。

 

「だから!友達はいるの!」

「どこの誰?教えてよ、ノワール」

「そ、それは………」

 

ぐっ、と言葉に詰まる。

だがノワールには最終手段があった。

 

「い、いるわよ。あの人が」

「だから誰?」

「み、ミズキよ」

「……っ………」

 

不意にノワールからその名前が出てきてネプテューヌは一瞬怯んだ。

それをノワールは攻撃のチャンスとして捉えた。

 

「っていうか、私と模擬戦するためにわざわざ来たわけじゃないでしょ?」

「え?い、いや、それは確かについでだけど……」

 

ラステイションに来てミズキを探すついでにノワールやモンスターと戦ってレベルアップしたかっただけで。

 

「ミズキならまだラステイションにいるかもしれないわよ。探しに行ってきたら?」

「………え?な、なんでそのこと!」

「え?なんでもなにも、ミズキと喧嘩したんじゃないの?」

「だ、だから!ノワールはなんでそのことを知ってるのさ!」

「ミズキと会ったからよ」

「……………!」

 

ネプテューヌは胸の内が暖かくなるのを感じた。

ミズキは、ここにいる……!

 

「お、お姉ちゃん!大変だよ!ミズキさんが、ミズキさんがここにいるって!」

「ま、待ってよネプギア〜!」

 

慌てた様子でネプギアとユニがエレベーターから駆けて来た。

 

「………どうやら、何かあったみたいね」

「うぐ」

「仕方ないわよ。正直に話しましょう、ネプ子」

「ですぅ。これ以上は誤魔化せないですよ」

「…………わかった」

 

こうしてネプテューヌは数日前の出来事を話し始めた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「なるほど、ね……。そんなことがあったの……」

 

ノワールとユニはネプテューヌ達から話を聞いて頷く。

 

「確かに、話が噛み合わないとは思ってたのよね。そうとわかっていれば引き止めていたのに……」

「すれ違いだったね」

「そう!その話だよ!」

「そう!その話です!」

 

ネプテューヌとネプギアが同時に声を荒げる。アイエフとコンパは苦笑いだ。

 

「ここにミズキさんがいたってどういうことですか⁉︎」

「どういうことなの⁉︎」

「わかったわかった話すから落ち着いて」

 

ノワールが立ち上がった2人を椅子に座らせる。

最近は妹も含めて熱くなる人が多くて困る。

 

「私がミズキに会ったのは……ちょうど、4日前かしら」

「私達を助けてくれたんです」

「何から⁉︎」

「そ、そこまで………」

 

これはもう根掘り葉掘り聞かれることは決まっているらしい。ノワールとユニは胃が痛くなるのを感じた。




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