この手が君に触れる。
この手から君に少しでも優しさが伝わればいいのに。
この手が君に触れる。
この手から君に少しでも想いが伝わればいいのに。
この手が君に触れる。
この手から君の気持ちを感じられればいいのに。
この手が君と離れる。
君の想いと優しさは、僕を確かに変えた。
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ナスーネ高原の辺りに住んでいた人々の案内でモンスターが蔓延っている地域まで向かう。
そこにはよくもまあこんなにいるもんだと呆れるくらいのモンスターの数。目の前にも丘の上にも様々なモンスターが彷徨っている。
それぞれのモンスターが弱いことが救いか。だが、『戦いは数だよアニキ』ということわざもある。
「ここがナスーネ高原ね」
「ええ。モンスターが大量発生して困っているのですわ」
「わかりました。お隣の国のネプテューヌさんとネプギアさんが対処してくれるそうです」
「ねぷっ⁉︎いきなりふる⁉︎」
「この数を私達だけでやるんですか?」
「ミズキよりも強くなりたいんでしょ。ついでに、活躍もアピールしときなさい」
それもそうだ。経験値が低いならたくさん倒せばいいだけのこと。
「広報用に、撮影しといてあげるね」
ユニがネプギアからNギアを受け取って起動する。
「ちぇ〜、面倒くさいなあ」
どうせならメタルな奴をたくさん狩って楽に経験値を稼ぎたい。これだけモンスターがいればメタルスライヌとか転がってないものか。
「ま、こんな奴らくらい、楽勝だもんね!」
『戦いは数だよアニキ』ということわざはあるが……『数だけいたって』ということわざだってある。
ネプテューヌは体操代わりに坂道を前転で降りてジャンプしながらローリング。
そして華麗にシュタッと降り立った。オリンピックの金メダルも真っ青な床。10点、10点、10点!
「やっちゃおっか!」
まずはミズキに会う前にウォーミングアップから!
ネプテューヌの手に日本刀が握られる。ネプテューヌはその柄を引き抜いて投げ捨てた。
「ネプギア!」
「うん、お姉ちゃん!」
私だって、強くなる。少しだけだけど、ミズキさんに公園で教えてもらったことはまだ私の胸の中にある!
ネプギアは手に持ったビームソードの刃を展開する。
ーーーー『ignited』
「…………っ!」
ネプテューヌとネプギアは果敢に敵の群れに突っ込んでいく。
ネプテューヌの一振りが何匹もの敵を一斉に葬る。
(ミズキなら、これくらい……!)
きっと、笑いながら倒していくんだ。
微笑みながら、正確無比な動きで、無駄なく、迅速に。
私だって、負けていられない!ミズキに、勝つんだから!
「はあっ!」
ネプギアのビームソードも既に何匹も敵を倒していた。
(思い出して、ミズキさんはどうするって言ってた……⁉︎)
常に2秒、3秒後の相手の動きを予測し、それに見合った行動を取る。それはたとえ何人敵がいても同じこと。
ネプギアは視界に映る敵の次の動きを予測していた。未来視なんて大層なものじゃない。誰にでも出来る、基本中の基本!
「やあっ!」
飛び込んできたモンスターに合わせてビームソードを振るう。それはしっかりと命中してモンスターは消える。
やった、見えてる。私には、見えてる!
「さすがネプギア!我が妹よ!」
「………うんっ!」
だが目の前の敵を倒したからといって戦いは終わらない。
丘の向こうからまだまだモンスターは湧き出てきた。
「…………」
「……っ、………」
剣を構え直して気を引き締める。
数は多い、注意しなくてはならない。だが、それを恐れていては何にもならない!
「ちぇすとーーーぉっ!」
「本気で行きます!」
ネプテューヌとネプギアは数の不利などものともせず敵をどんどん倒していく。
それをユニはNギアで撮影していた。
できるだけ、カッコよく。できるだけ、綺麗に。活躍が一目でわかるような写真が望ましい。
ユニは写真を撮りながら2人の活躍を見て頬を緩める。
だがノワールの方を振り向くとノワールは厳しい顔つきで腕を組み、2人を見ているだけだ。
「数が多すぎるわね」
「私達も手伝うです、あいちゃん」
「そうね」
2人はネプギアとネプテューヌのいるモンスターの群れの中へと走っていく。
アイエフとコンパだって、ただネプテューヌがミズキを連れ戻すのを見ているだけのつもりはない。
2人だって、戦う。ネプテューヌやネプギアがいなくたってミズキを連れ戻せるように。
「あいちゃん、コンパ!」
ネプテューヌとネプギアは2人の援軍を見て嬉しくなる。だが、それが気を緩めることとなってしまった。
「きゃっ!」
ネプギアが敵の植物モンスターの触手のムチを食らう。ビームソードで受け止めたからダメージは小さいが、普段なら問題なく避けられる攻撃だ。
(ダメ!集中しなきゃ……!)
ネプギアは深呼吸をしてからまた敵モンスターに向かった。
アイエフが両腕を組むとその袖口からカタールが現れる。
「いくですよ〜!」
コンパの手元には大きな大きな注射器が。
「はっ!」
アイエフの両手のカタールでモンスター達が数匹倒される。
ネプギアは女神式典のために1度しかミズキと相手はしていないが、アイエフはその間も何度かミズキと特訓をしているのだ。
その教えと教訓はアイエフの中に流れて動きを変えていく。
「えいっ!」
コンパは大きな注射器を足元のモンスターに突き刺す。そのまま注射器を押し込むと何かしらの薬品が注入されモンスターはドロドロに溶けていく。
アイエフは思う。マジでアレなんの薬品?
たまにアイエフは笑顔でモンスターをドロドロに溶かしていくコンパに薄ら寒い恐怖を覚えるのだった。
「まさに百人力!これで勝ったも同ぜーーー」
と言いかけたところで丘の向こうから大量の植物モンスター達が飛び上がった。
住処を追われたモンスター達は必死だ。まさに、生きるか死ぬか。
モンスター達から触手やら粘液やらスライヌやらイイ感じのもののオンパレード。
18禁でR18、泡風呂お布団なんのその。アウトな世界で大活躍する触手やら粘液やらの洗礼がネプテューヌ達を襲う。
「お姉ちゃん、私達も助けてあげた方が……」
「ダメよ」
ユニの提案はノワールに却下された。
「ここはあの子達だけでやることに意味があるの」
ユニは、それをどうしても納得できなかった。
お姉ちゃんの狙いはわかってる。さっき言った通り、ミズキさんを探すついでにレベルアップを図るというのは本心。
だけど、ノワールは嘘はついていないが本当のことも言ってはいなかった。
ノワールの狙いはネプテューヌのシェアを回復させること。
ノワールもここ最近のプラネテューヌのシェアの下がりようは把握していた。いくら怠け者だと言っても、下がり方が極端すぎたのだ。
そんな時にネプテューヌがやってきてミズキが消えた話をした。そこでノワールはその問題とミズキの話が結びつく。
きっとネプテューヌはミズキが消えてしまって、落ち込んでいたのだ。それで仕事がいつも以上に出来ず、シェアが下降していた。
だから、シェアを上げるべくネプテューヌ達にモンスター退治を任せているのだ。
広報用の写真を撮り、ネプテューヌの活躍をここの人々にアピールさせ、シェアを上げる。
女神にとってシェアとはつまり力だ。シェアが上がれば自ずと力も上がる。それはいずれ、ミズキに勝つ力となるはず。
それがノワールの考え。
だがユニはそれにどうしても納得できない。
(どうして?お姉ちゃんがいれば、あんなのすぐに……)
「………うん」
ユニは渋々頷く。
ネプテューヌ達の方ではなかなかアレな光景が繰り広げられていた。
「きゃっ!変なところ触るな!」
「気持ち悪いですぅ〜……」
「そんなとこ、入ってきちゃダメ!……ぅんっ!」
「だーはははは!くすぐったい、笑い死ぬ!あーはははは!助けて、ひーっ!」
ネプテューヌ達に絡みついているモンスターの後ろにもまだまだモンスター達が待ち構えている。隙あらばR18にしてしまおうと企むDNN.comのしもべ達。
やめて!『超次元ゲイムネプテューヌ』は健全な少年少女のためのゲームよ!
アイエフの体には切り払っても切り払っても新しい触手がまとわりつく。
ネプギアの体にも同じだ。ネプギアにはなんだかよくわからない緑色のネバネバしたものがかけられていた。
「こ……のっ……!」
「はあっ、ぅぅん、んぅっ……!」
ミズキの特訓を受けたことのある2人はミズキの言葉を思い出していた。
『もし、君達が負けそうになって』
「ふぅっ、はぁ……っ」
「やっ、離れて……!」
『土壇場の土壇場、ピンチのピンチのピンチの連続の時』
「ふざけないで、よ……!」
「アナタ、達なんか……!」
『そしてその時、後ろに守りべき人達や国民がいた時は』
「ふぅっ、はあ………」
「うううっ!」
『まず1度、深呼吸。どんな状況でも集中が大事だ。雑念を追い払う』
「すぅーーーっ、はあ………」
「すぅっ、はぁーーーっ……」
ネプギアとアイエフは大きく息を吸って吐く。1度、体にまとわりつく触手や粘液は忘れる。自分をリセットし直す。
『そして恥も外聞もかなぐり捨てるんだ。泣いても悔しくても恥ずかしくても立ち向かうんだ!』
「やああっ!」
「はああっ!」
ーーーー『100年の物語』
ネプギアとアイエフは剣を振り回して手当たり次第に触手を切り刻んでいく。
服の中に入ってくるとか気持ち悪いとか考えてみればどうでもいい。そんなこと、誰かの命に比べればどうってことなんかない。
そして、ネプギアとアイエフはただ乱暴に触手を切り刻んでいるわけではない。
その上で、相手の2手3手先を読む。
もうネプギアとアイエフは体に触手など触れさせなかった。
華麗に、踊るように、舞うように周りの敵モンスターを倒した。
「お姉ちゃん!」
「コンパ!」
ネプギアはネプテューヌ、アイエフはコンパの元へ向かって2人に群がる敵モンスターを倒す。
「コンパ、大丈夫⁉︎」
「行くよ、お姉ちゃん!」
そしてすぐ敵に向かって剣を構え直す。もう油断はしない!
「………うんっ!いくよネプギア!」
「大丈夫です!やっちゃいますよ〜!」
「負けませんっ!」
「お前ら、冥界に送り返してやるよっ!」
4人はモンスターを撃退していく。誰かがやられたならみんなでそれをフォローする。
ネプテューヌ達はもう2度と触手に捕まることはなかった。
それを見ていたユニは一安心して微笑んだ。
だがノワールだけは厳しい目付きをしていた。
あんな雑魚モンスター達を1人で倒せないようじゃ……ミズキのあの強さには到底及ばない。
「ネプテューヌ……もっと頑張りなさいよね」
かのドズル様はことわざを言っていたのですね。
余談ですがピンチのピンチのピンチの連続もことわざですよ(大嘘
え?なんでスライヌから触手になったかって?いや、そんな、趣味とかじゃないですよ。本当ですってば。本当なの!この後の話に関わるの!そんな関わらないけど!