超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

28 / 212
あ、安心してくださいよ、この章はすぐ終わりますから、はい。


第3章〜リーンボックスの歌姫。響く弱音と震える歌声〜
超次元アイドル、5pb.


優しくなりたいと誰かが願った。

 

そうなれば、人の痛みがわかるから。

 

優しさを捨てたいと誰かが願った。

 

そうなれば、楽に生きられるから。

 

でも僕は、優しさを捨てたくなかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

リーンボックス、その街中。

今日はリーンボックスでは1日中雨が降っていた。

そんな中をミズキは傘もささずに歩いていた。

 

「……………」

 

体中ずぶ濡れで髪からは水が滴り表情はうかがえない。

ミズキは路地裏に入り込む。その中の屋根の下に入り込んだ。

 

「ジャック」

「……なんだ」

「……あと、アンチクリスタルは幾つ?」

「2つ、いや……1つ」

「………………」

 

ザーと雨の音が遠く聞こえる。

失敗、続きだ。何1つ、成功させられていない。こんなんじゃ、誰も守れない……!

 

「僕はもう……ダメかもしれない」

 

約束を、守りたいのに。僕の中の優しさがそれを許さない。そんな優しさ捨て去れたらと思う。だけど、その優しさが僕だから。その優しさがみんながくれたものだから、捨てられない。

 

「………ジャック、僕を軽蔑するかい?」

「何をナイーブになっている。この程度で軽蔑していたら、『子供たち』なんかで過ごせやしない」

「………そうだね」

 

そうだ。僕は1人じゃないんだ。この次元のみんながいる。あの次元のみんなだってきっと僕を見守ってくれている。

 

「自分のやりたいことだけやる……だよね」

「思い出したか?なら、まだ頑張れるな?」

「うん。……そうだ、負けられない」

 

ミズキの目には消えかけていた炎が灯っていた。その火はいくら雨に濡れようが消えることのない、決意の灯火。

 

「最後のアンチクリスタルは……リーンボックスのどこかにある」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その数日後。ルウィーでのこと。

 

「申し訳ありません」

 

ベールはみんなに向かって頭を下げていた。ちなみにみんなとは各国の女神、女神候補生に加えてアイエフとコンパだ。

 

「そんな、頭をあげてよベール。アナタは何も悪くないじゃない」

「そうだよ!悪いのはそのペドリストなんだから!」

「テロリストね。ペドはあの変態だけで十分よ……」

 

頭を下げるベールをみんなが擁護する。

 

「しかし、後少しだけチケットを取るのが早ければ……。申し訳ありません」

「大丈夫ですよ、ベールさん。ライブに行けないのは残念ですけど、生中継されるんですよね?だったら……」

 

ネプギアもベールを擁護する。

 

何故ここに至ったかというと。

ルウィーにもミズキが現れて消えたとなると、残る可能性はリーンボックスのみになった。

ネプテューヌ姉妹とアイエフ、コンパ、ノワール姉妹に加えてブラン姉妹も同行を望んだためにリーンボックスの女神であるベールはとある提案をする。

 

『皆さんを招待しますわ』

 

リーンボックスの歌姫、5pb.のライブチケットを取って招待することを約束したのだ。ベールはリーンボックスの女神である上に、5pb.の親友でもある。だから頼めばチケットは取れるはずだったのだ。だったの、だが。

テロリストからの予告があったのだ。5pb.のライブを襲う、と。

ベールはもちろん5pb.にライブを中止するように忠告したのだが、5pb.は断固として拒否。

観客が1人もいなくたって私は私の歌を届けたいとベールにその熱意を伝えたのだ。

ベールはその熱意に押されてライブ中止を取りやめる。無論、警備を強化することで。

そして例え女神といえども裏からチケットを取ることはできなくなってしまったのだ。

 

「もう!無粋だよね!せっかく歌を歌ってくれるっていうのにさ!私の歌を聞けえ!」

「ネプテューヌ、戦闘機にでも乗る……?」

 

シャウトするネプテューヌにブランがツッコム。

 

「しかし、これではその後のホームパーティも危うい有様ですわ……。これでは……」

「だからいいって言ってるでしょ。ホームパーティくらい私達で準備できるんだし、アナタは5pb.の警護があるんでしょ?」

「はい……」

「ならしっかり5pb.を守ってからよ。私達はミズキを探してるから」

 

ノワールの言う通りでもあった。ベールはその言葉にようやく頭を上げる。

 

「では、私は一足先にリーンボックスへと向かいますわね」

 

ベールは席を立ってリーンボックスへと向かった。最後まで「本当に申し訳ありません」と頭を下げながら。

 

「でも残念だな〜、ライブ見たかったよ!」

「こればっかりは仕方ないわよ。でも、テロが起きたらすぐに駆けつけるようにはしましょう」

「そうね……。どんな手段を使ってくるかわからないわけだし」

 

大陸中のアイドルの5pb.。

彼女を狙う理由は犯行予告には明記されていなかったらしい。

 

「お姉ちゃん、私達はどうするの?」

「そうね、しばらくここにお世話になっていいかしら」

「構わないわ。ロムとラムもいいわよね」

「うん!大丈夫だよ!」

「嬉しい……!」

 

そういうわけで、ネプテューヌ達はもう少しルウィーに滞在することになった。

 

「あ、それじゃ、また模擬戦やる?」

「ええ〜!変身すると疲れるんだも〜ん!」

「アナタがダメならブランに頼むわよ」

「ブランはやるの〜?」

「私は……そうね、やらせてもらおうかしら」

「仕方ないな〜、じゃあ私もやろっと!」

 

「またやろっか、ユニちゃん」

「うん。ロムちゃんとラムちゃんもやる?」

「模擬戦?なんで?」

「強くなるためだよ。強くなって、女神化できるようになって、ミズキさんを連れ戻すの」

「執事さんを……?」

「うん。やらない?」

「やる……ラムちゃんも、やろう……?」

「いいわよ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ライブ、3日前。

5pb.はリハーサルのためにライブ会場へと来ていた。海が非常に近い会場で潮風の匂いがする。

5pb.は車から降りるとまるで国の要人を警護するように大勢のSPが周りを囲んだ。

 

「…………」

 

一見、5pb.は平然とその中を歩いているように見える。では、心の声を聞いてみよう。

 

(ひゃあああああああ知らない人ばっかで、怖いよぉぉぉぉぉっ!)

 

そう、5pb.は極度の人見知りなのである。

ベールと親友ではあるが、むしろベール以外にあまり友達がいない。

ライブなどは平気なのだが……こんなに近くにいると怖くて怖くて仕方がない。

表情は笑顔のままカッチンコッチンで無意識のまま手と足を動かしている状態である。

しかし車から会場の入り口にまで向かうとそこには変身したベールが待っていた。

 

「ありがとうですわ。もう戻ってよろしくてよ」

 

ベールの号令で厳ついSP達は車に戻っていく。

 

「5pb.ちゃん?大丈夫ですか?」

「ムゲン○ンチ……」

「ダメみたいですね」

 

○限拳とかどこの1万2000年ですか。

 

「正気に戻って5pb.ちゃん、私ですわ、ベールですわよ」

「スト○ーサンシャイン……」

「ダメみたいですね」

 

古いですわね。5pb.ちゃんは進化の力で動いているとかですか?

 

「5pb.ちゃん、いい加減みんな飽き始める頃ですわよ」

「フクシャハドウ……」

「ええい、いい加減治りなさいな」

 

紅蓮なのですか、もう。

 

少し乱暴に頭を振るとようやく5pb.は正気を取り戻した。

 

「はっ!ボクは一体……」

「なんでもないですわ。さあ、早くリハーサルをしましょう」

「……?う、うん……?」

 

ベールに連れられて控え室に向かう。

 

「ここが控え室ですわ。リハーサルは……」

「わかってるよ。あと1時間くらいだよね」

「ええ。あと、5pb.ちゃんに付きっ切りのSPがそのうち控え室入りするはずですわ」

「う………」

 

そう、ベールは5pb.がライブを開くための絶対条件として付きっ切りのSPを付けるということを約束させたのだ。

無論、ライブ中などは側にはいないがそれでも近くで見守るという約束で。

 

「でも……やっぱり、気が散っちゃうと思うよ……」

「今さら何を言っていますの。いい機会ですから、そのSPさんと仲良くなってみては?」

「そ、そんなの、無理だよぉ……」

 

ベールははあ、と溜息を吐く。ステージの上ではあんなに立派なのに。

 

「とにかく、私も打ち合わせがあるので。危なくなったら、机の上のスイッチを押してくださいな」

 

それだけ言ってベールは言ってしまった。

 

「………………」

 

5pb.は縮こまってしまう。自分を変えたいとは思っているものの……やっぱり、怖いものは怖い。

多分、SPさんが来たら満足にウォーミングアップ出来ないだろうから今のうちに……。

 

「ーーーーーーー」

 

5pb.は椅子から立ち上がって発声練習を始める。

発声練習しながら周りを見渡してみたが、この控え室は中々の広さだ。

逃げられるようにドアが2つあり、中央に長机と椅子、部屋の壁にはガラスやピアノまである。

 

「ーー……ふぅ」

 

発声練習はお終い。喉は十分に温まった。

次は歌の練習。

爪先でリズムをとって頭の中に音楽を流す。

 

「光れ、夢の星………!」

「失礼します」

「超新星爆発しまぁぁぁぁすっ!」

「えっ⁉︎爆発っ⁉︎」

 

5pb.はドアを開いて現れたSPに恐れおののいて部屋の端っこまで逃げる。

 

「ち、近付かないでください!押しますよ!押しちゃいますよ!」

「待ってよ!それ万が一のためのスイッチだよね!」

 

体を縮めてガクガク震える5pb.。SPは確かにスーツを着てはいるものの、サングラスなどはかけていないし顔はにこやかなのだが……やっぱり怖い。

 

「す、ストップストップ。えと……僕何かしましたか?」

「え、あ、いや、そういうことではなく……」

 

両手をあげて降参のポーズをとるSP。

少し眉を下げてそんなことを言うから、5pb.は訂正した。

 

「ボク、その、極度の人見知りなんです……。だから、その、キミが悪いわけでは……」

「ああ、そういうこと。クスクス、びっくりしたよ」

 

SPは机の近くの椅子を取って壁際に持って行ってそこに座った。

 

「じゃあ、出来るだけ離れてた方がいいね」

「で、出来れば、そういう風に、していただけると……」

「僕の名前はクスキ・ミズキ。5pb.、君は僕が守るよ」

 

そう言ってミズキと名乗った男はニコリと微笑んだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ライブ会場でのリハーサルは完全警護の元、行われていた。

事前にチェックを受けたものしか入ることは出来ず、入口と出口は完全にロックする。

さらに、監視カメラを使ってリアルタイムで会場中の様子を見ている。

SPはとある警備会社に頼んで隙はない。

では何故そこにミズキが潜り込めたかというと答えは簡単、ハッキングだ。

 

「甘いセキュリティだ。少し用心が足りないんじゃないか」

 

そう、ひとえにジャックの力あってこそだ。ジャックが得意とするのはハッキング。そして、情報処理。

この電子化した世界では警備会社にウソの申請を送り監視カメラの映像を偽装するなど簡単なことなのだ。

 

そして電子の世界の中でジャックはミズキと5pb.がいる控え室を見ていた。

 

「ククク、愉快じゃないか。なあ、ミズキ」

 




夢の星、超新星爆発。

5pb.の口調あってますかね…?キャラ設定も若干微妙なんですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。