超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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話重め。もっとコメディを頑張りたいなあ。


ネプギアとデート大作戦

 

猫は見ていたその恋を。

 

猫はその恋を羨ましく思った。

 

猫は見ていたその愛を。

 

猫はその愛を羨ましく思った。

 

猫は見ていたその終わりを。

 

猫は終わりを羨ましくは思わなかった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ネプギア、準備はいい?」

「はい!バッチリです!」

「それじゃ行こっか」

 

教会の玄関でネプギアがフンスフンスと鼻息を荒くしている。

ミズキは白いスキニーを履いてボーダーのカットソーを着ている。その上に七分袖のジャケットを着ていた。

ネプギアは少しモコモコした白いワンピースに着替えている。その肩に斜めがけを背負っていた。

 

「そのお店はどこにあるの?」

「15分くらい歩きます!」

「じゃあ、道案内よろしくね」

「はい!」

 

2人は歩き出す。

ミズキはネプギアの歩くスピードに合わせて隣を歩く。

 

「そうだ、いくつかミズキさんに質問してもいいですか?」

「質問?別にいいけど……なんで?」

「私、まだあんまりミズキさんのこと知らないから……。だから、今の機会に気になることを質問してみたいなって」

「なるほどね。じゃあ、僕も後で質問するね。最初の質問は?」

「えっと〜………」

 

うんうん唸るネプギア。

質問が出てこないらしいが、少ないからではなく多いからだろう。

 

「そうだ!ミズキさんって、いつもニコニコしてますけど怒ったこととかないんですか?」

「くすくす、僕だって怒ることはあるよ」

「どんな風にですか?全然想像できないです」

「みんなには人格が変わるって言われた」

 

ゾクッ。

ネプギアは背筋が凍るのを感じた。

これ以上はこの質問はいけない、本能がそう言っていた。同時に、絶対に怒らせちゃいけないとも。

 

「あ、後は〜……。あ、どうしてそんなに機械とかに詳しいんですか?」

「元いた次元で色々ね。戦艦を直したりとか、ロボットとかを作ったりしたから」

「戦艦、ですか?」

「そう。いつも壊すのはみんなでさ、僕だけ後片付けで……クスクスクス」

 

そう言って笑うミズキの顔を見たネプギアは不思議な安心と不安に襲われる。

『くすくす』ではなく『クスクス』と笑うミズキの顔はなんだか心の底から笑っているみたいだったから、安心した。

じゃあ、今まで私達に向けていた顔は……?

あのくすくす笑いはどこから笑っていたんだろうとネプギアは不安になった。

 

「………っ、………」

 

言いたいことが喉元まで出て引っ込む。

この質問をしてしまっては、何かが壊れてしまうかもしれない。

でも、確かめずにはいられない。

理性と不安、そのせめぎ合いは狂おしいほどの不安に軍配が上がった。

 

「み、ミズキさんは………」

「ん?」

「ミズキさんは、私達のこと……好きですか?」

「…………………」

 

ミズキさんの顔が見られない。うつむいて顔を上げられない。

ミズキさんのことだから、きっと『好き』って言ってくれる。

だけど、もし、もしその笑顔がくすくす笑いだったら……クスクス笑いじゃなかったら、私は………。

 

「好きだよ。大好きだ。イストワールもアイエフもコンパもネプテューヌもネプギアも」

「っ!」

 

バッと顔を上げる。

その顔はネプギアが予想していたどちらの顔でもなかった。

悲しそうな顔。笑ってなんかなくて、辛そうな顔をしていた。

 

「たかが数週間だけど……もう君達のことは大事な友達だと思ってる。傷つけたくないし、離れたくないんだ」

 

どうして、そんな悲しい顔をするんですか……?

 

そう言いたいのに、言えなかった。

ふとネプギアはミズキの次元のことを思い立った。

もしかして、ミズキはまたあの次元のように私達が消えるって考えてるんじゃないか?

きっと、ミズキの次元にはもっとたくさんの友達がいたはずだ。私達なんかより、全然親しい親友がいたはず。

それが一瞬で消えてしまっては心の底から笑えなくて当然だ。いや、嘘でも笑えるはずがない。

無理していたんだ、きっと。

 

「ミズキさん……あの」

「ん?どうかした?」

「私達……大丈夫ですから。私達、消えたりしませんよ?」

「………クス、ごめんね。心配かけちゃったかな」

 

ミズキさんは歩きながら私の頭を撫でてくれる。

ずいぶん身長差があるけれど……ミズキさんの手は温かかった。

 

「それじゃ、ネプギア。1つ、頼まれてくれるかな」

「はい、なんですか?」

「………僕はね。あの次元でみんなを助けられなかったんだ。きっとどこかで選択を間違えて、ミスをした。そのミスを必死に取り返そうとしたけど、結局ダメであの次元は壊れてしまった」

「………………」

 

やっぱり。

ミズキさんはきっと、凄い力を持っていたんだ。世界すら変えられるくらい、凄い力を。

だけど、その力を以てしても次元の崩壊が止められなかった。

ミズキさんは精一杯やったはずだ。それは今までの時間でわかる。みんなを助けるために、きっと頑張った。

だけど、救えなかった。きっとミズキさんは今でもそれを悔いているんだ。

 

「だからさ、もし、もしさ。僕1人では誰かを助けられそうになくなってしまった時は、君を頼っていいかな」

「……任せてください!きっと私が、ミズキさんの力になります!」

「………ありがと」

 

私が、ミズキさんを覆う不安を払うことができるなら。

 

「じゃあ、今度は僕が質問していいかな?」

 

そう言ったミズキさんの顔は優しい笑顔だった。

切り替えてくれたんだ。

このお出かけ……お出か………デートを楽しくするために。

い、いいじゃないですか!1人でそう思うだけなら!

 

「ま、待ってください!あと1個だけ!」

「………?う、うん。何を慌ててるの?」

「なんでもないです!」

「………うん?」

 

え〜とえ〜と、何か、何か……!そうだ!

 

「ミズキさんは、好きな人っていますか?」

 

ぴゃああああああああああ!

なななな何を質問してるんですか!私!

 

天使ネプギア「ダメよ、今すぐにでも撤回しなさい?好きな食べ物と間違えたって言えばいいのよ」

悪魔ネプギア「んなつまんないことすんな!他の人を言ったならライバルってことだし、自分を言ってくれたなら万々歳じゃねえか!」

天使ネプギア「でも………」

悪魔ネプギア「何より、面白そうだろ?」

天使ネプギア「そうですね」

 

天使いいいいぃぃ〜!

なにやりこめられてるんですか!口車に乗せられてますよ!ほんの数秒でってどれだけチョロいんですか!ていうか悪魔の私なんか男らしくないですか⁉︎

 

「そうだね、さすがに今はいないよ。でも昔、告白したことはあるよ?フラれちゃったけどね」

「ああ、わかります。あの苦味がいいんですよね」

「ネプギア?会話が成り立ってないよ?」

 

ミズキがブンブンとネプギアの頭を振ってネプギアを再起動させる。

 

「はっ!私、一体なにを言って……」

(やっぱりなかなかの変人だよなあ)

「そ、そうでした!ミズキさんの告白の話でしたよね!」

「気恥ずかしいな、フラれた話なんて」

「どうしてフラれたんですか?」

「グイグイくるね……。そうだね、その女の子には『ミズキはまだ恋がなんなのかわかってないみたいね。恋ってものが何かわかってから出直してきて』って言われた」

「こ、恋を……ですか?」

「うん。クスクス、恥ずかしい話でしょ?」

「ちなみに……今はわかったんですか?」

「ううん。今でもわからないや。でもあの時の気持ちは恋じゃなかったってのはわかるよ」

「どんな気持ちだったんですか?」

「ん〜………、クス、内緒。さ、次は僕の番だよ」

「そ、そんな〜!」

 

でもなんだかんだ質問はラストと言ったのに根掘り葉掘り聞いてしまったことは否定できない。つまり、なにも言えない。

 

「質問。ネプギア」

「はい?なんですか?」

「目的地まで、あとどれくらいかな?」

「え、あ!」

 

すっかり忘れてました!

えっと、ここは………。

 

「だ、大丈夫です!もうすぐ着きます!」

「そっか。それなら良かった」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

その数時間後。

ホクホクした顔でネプギアは電気屋から出てきた。

その手にたくさんの紙袋を持って。

 

「はあ〜………私は今、幸せです……」

 

うっとりした顔でつぶやくネプギア。

そしてネプギアは振り返ってミズキを見た。

 

「今日はありがとうございました!」

 

ネプギアは頭を下げてお辞儀する。

 

「もうすぐ式典の準備が始まるので、すぐには無理ですけど……また、一緒に来ましょうね!」

「…………うん」

 

「また、ね………“くす”」




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