超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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バトル開始〜一歩半手前。


仲間の証

 

《はあっ、はあっ、はあっ、く……!》

「へんしんとけちゃったよ〜……」

 

変身が解けたピーシェは海の中で立ち上がった。その目は虚ろでキョロキョロ周りを見渡す。

 

「ぱ〜ぱ〜?ま〜ま〜?ど〜こ〜?」

《…………!》

 

砂浜へとピーシェが戻っていく。するとその前にアノネデスとレイが現れた。

 

「パパはここよ?おいで」

「ぱぱ〜!」

 

ピーシェがアノネデスのことをパパと呼んで走り寄る。

その様子をみんなは呆然とした様子で見ていた。

 

「だっこして〜!」

「はいはい」

 

ピーシェがアノネデスに抱き上げられて幸せそうな顔をする。

すると横の茂みからプルルートが出てきた。

 

「ね〜え〜。ピーシェちゃんに〜、何したの〜?」

「それは、あの子が1番知ってるんじゃないかしら?」

 

アノネデスはX3を見る。プルルートもX3を見た。

 

《強化人間への改造……!薬物投与、洗脳、マインドコントロールなどの非人的なことを人体に対して行うんだよ。それで人工ニュータイプを作り出す行為……どんな副作用が起こるか!》

「副作用〜?」

《精神的な障害だとか、情緒不安定になるだとか……!慢性的に薬物も投与しなくちゃいけないはずだ!》

「100点の解答ね。褒めてあげる」

「……ね〜え〜。ピーシェちゃんに〜、なにしてくれてるの〜?怒っちゃうな〜……!」

 

プルルートが変身した。

 

「取り返しのつかないこと、してくれたわね〜……。覚悟はいい?」

 

プルルートが鞭を地面に打ち据える。レイがひっと怯えた声を出した。

 

「あらいいの?アタシを傷付けるってことは……この子を敵にするってことよ?」

 

アノネデスに抱かれたピーシェが虚ろな瞳でプルルートを見た。

 

「ね、ねえぴー子?どうしたのよ、私達のこと、忘れちゃったの……?そんなわけ、ないわよね……?」

 

ネプテューヌがフラフラとピーシェに歩み寄る。だがネプテューヌを打ち据えたのは無情な拒絶の言葉だった。

 

「………だれ?」

「っ!」

「ぱぱとままいじめるひと、きらい!だいっきらい!あっちいって!」

「そ、んな………」

《こんな……!こんな、こと……!》

「ふふっ、改めて紹介するわ。こちらにおわすお方こそ、我らがエディンの女神。イエローハートこと、ピーシェ様よ!」

 

『……………!』

 

「そしてここでレイちゃんから重大発表がありま〜す。ほら、早くアレ読んで」

「は、はい……!」

 

レイが懐から紙を取り出して読み上げ始めた。

 

「……は……の……」

「声が小さ〜い!」

「エディンは!国内で生産された成人向けコンテンツの制限のない流通を各国に求める!これに賛同しない場合は!……わ、我が国への!宣戦!布告と見る!」

 

ザッザッと規則正しい足音が聞こえる。R18アイランド改め、エディンの軍隊の足音だ。しっかりと整列した軍隊は今すぐにでも銃を撃てるような体制を整えた。

 

「な、なによ、やる気⁉︎出来たばっかりでロクにシェアもないような国が……!」

《やめて、ノワール。一旦帰るんだ》

「でも!」

《これは!ただの戦争じゃない!ピーシェを取り戻せるかそうじゃないかの戦いなんだ!》

「でも……っ!」

《戦争は……僕が1番嫌いなことだ……!でも、だからと言って退けない!戦争を止めるにはもう手遅れなんだ……!だから、せめて早く止める!それが僕達のやることなんだよ……!》

「あら、戦争は止められるわよ?私達の要求を飲んでくれさえすれば……ね」

《僕は言ったはずだよ。流通とか制限とかどうでもいいんだ。この戦いはピーシェを取り戻すかどうかの戦いだ!》

「ふ〜ん。じゃあアナタはピーシェちゃんを取り戻せるの?」

《僕じゃない!ネプテューヌがきっと、取り戻してくれる……!僕は信じているんだ!》

「ミズキ……!」

 

ネプテューヌが振り返ってX3の顔を見る。

 

《覚悟してよ……!僕は君を、許さないから……!》

「楽しみにしてるわよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

プラネテューヌの教会では女神候補生4人が集まっていた。ロムが話があるというからだ。

 

「それでロムちゃん、話って?」

「……あのね……最近私変なの……」

「変?」

 

ロムは俯いて椅子に座っている。その顔をネプギアは覗き込むがやはり浮かない顔をしていた。

 

「時々ね……どうしてかわからないけど……色々なことがわかるの……」

「それってもしかして、あの部屋の時の?」

「うん……。あの時も、嫌な感じがした……」

 

ユニの心当たりがあるのはアイエフが爆弾が仕掛けられたドアを開けようとしてしまった時のことだ。

普段のロムではありえない程のはっきりした声と切羽詰まりようだった。

 

「……私も、そういうことあるかも」

「え……?ネプギアちゃんも……?」

「うん。時々、モンスター退治とかしてる時に次の動きがわかったりするの……。マジェコンヌの時にも感じてたし……」

 

マジェコンヌの時ほどはっきりしたものではないが今でもその感覚が生じる時がある。

ロムは仲間がいるとわかって少し顔をほころばせた。

 

「私はなにも感じないわよ?」

「私も。そんな不思議なことないわ」

 

ユニとラムは首を傾げている。

 

「でも、そんなに悲観することかしら?」

「え……?」

 

ユニがあっけらかんと言い放った。

 

「少なくとも私達はその……なんていうの?勘?みたいなもので助かったんだし……悪いものじゃないんじゃないの?」

「そう、かもしれない……けど……」

「わかんないなら、執事さんに聞けばいいのよ!」

「執事さんに……?」

「そうだね。私が『勘みたいなもの』を身につけたのも、ミズキさんの力を発揮した時だったし……ミズキさんならなにか知ってるかも」

「執事さんに……」

 

確かに、なにか知ってるかもしれない。

あの部屋に散らばった資料を見るなり慌てて飛び出していったミズキが戻って来たときに聞けばいいだろう。

すると、またロムを不思議な感覚が襲った。

 

「………!帰って、来る……!」

「それって、ミズキさんが?」

「わかんない……。けど、誰かが帰ってくる……」

 

ロムが走ってベランダへと向かう。3人もそれを追いかけてベランダに出た。

ベランダから空を見上げるとそこには女神達が戻ってきているところだった。

 

「すごいロムちゃん!当たってるわよ!」

 

ラムが歓喜する。

女神達はベランダに降り立って変身を解いたがネプテューヌだけは変身を解くなりベランダから出た。

 

「お姉ちゃん⁉︎」

「ごめん、ネプギア……!」

 

ネプテューヌは顔を伏せながら行ってしまった。

変身を解いたミズキはネプギアを引き留める。

 

「大丈夫、ネプギア。少し……ほんの少しだけ時間がいるだけだから。泣きたい時は、泣くべきだ」

「でも……!」

「……大事な話があるんだ。少し、聞いてくれないかな」

 

 

 

 

 

 

「そんな、ピーシェちゃんと……!」

「戦……争………!」

 

ネプギアとユニが絶句した。

 

「決して間違えて欲しくないのは……これはエディンとの戦争じゃないってことだ。ピーシェを取り戻せるかどうかの戦争ってことだ」

「でも、ピーシェちゃんは私達のこと忘れちゃったんでしょ⁉︎」

「…………それでも、僕は取り戻したいから……!」

 

絶対に諦められない。ピーシェを殺すなんてことは絶対に嫌だ。

 

「ごめん、ミズキ。もう私達は国に帰らせてもらうわね。エディンは4カ国全てに宣戦布告をしたわけだし……」

「私達も、準備をしなきゃいけない……」

「どんな手段を用いてくるかもわかりませんしね」

「わかってる。だけど……その前におまじないだ」

 

ミズキが微かに微笑んで女神候補生達を見た。4人は顔を見合わせて笑ってから右手を差し出した。

 

「おまじない……?」

「お姉ちゃんも……手、出して……?」

「早く早く!」

「ユニは知ってるの?」

「いいから、右手を出してお姉ちゃん!」

「ベールさんも」

「……?え、ええ」

「ほら、プルルートさんも」

「ん〜?何するの〜?」

 

全員が手を出した。それを見て笑ってからミズキはまずノワールの手を取る。

 

「えっ、な、なによ」

「ノワール」

「う、うん」

「君の中にあるのは……人を変える力だ。それは自分だって変えてく。たとえ今はなにもできなくても……いつか変えられる。その時を信じて」

「………うん」

「信じてるよ、ノワール。僕はあの時の言葉、忘れてないからね」

 

ノワールの右手の甲に赤い炎のシンボルが刻まれた。

次にミズキはユニの手を取る。

 

「ユニ」

「はいっ!」

「ひたむきな心と負けん気……忘れてないね?」

「はい、覚えてます」

「君はまだまだ先に行けるよ。もっともっと強くなる。強くなって、ユニ」

「はい!」

 

次にミズキはロムの手を取った。

 

「ロム」

「はい……!」

「忘れないで、勇気を出すことだ。君の隣には……誰がいるか、わかってるね?」

「お姉ちゃんと、ラムちゃんがいるよ……!」

「うん、大丈夫だ。頑張って」

 

ミズキがラムの手を取る。

 

「もう、怖がってないね?」

「ええ!お姉ちゃんだっているもの!」

「うん、その通りだ。君達が力を合わせてできないことなんて、なに1つない。頑張って」

「うんっ!」

 

そしてミズキはブランの手を取った。

 

「ミズキ……」

「君の中にあるのは、戦うための力だ。けど、その力……何かを守るためにだって使えるはずなんだ」

「ええ……私はルウィーも、妹も、ミズキだって守ってみせるわ……!」

「頼んだよ。君がいなきゃ、僕は癒されないからね。クスクス……」

 

ブランの手にも赤い炎が刻まれる。

次にミズキはベールの右手を握った。

 

「ベール、君の中にあるのは戦いながら平和を求めた人の力だ。どんな矛盾の中でも……諦めないでね」

「わかりましたわ。私が1番乗りして、ミズキ様を助けてみせましょう」

「信じてる。支えてくれるから、僕はもう壊れないよ」

 

ベールの手にも赤い炎が刻まれる。

ミズキはネプギアの手を握った。

 

「ネプギア」

「はい!」

「君はもっともっと進化できる。もっと、もっともっと進めるんだ。今の君なら、その力を解き放てる」

「……はい!」

「いい返事だ。頑張ろうね、ネプギア」

 

ネプギアの手にも炎が刻まれた。

最後にミズキはプルルートの手を取った。

 

「プルルート、ネプテューヌをありがとうね。君のおかげで、ネプテューヌはきっと戦える」

「……そうかな〜?ねぷちゃん、泣いちゃったよ〜?」

「大丈夫だよ。だから、プルルートも……」

 

ミズキがプルルートの手に炎を刻み込んでいく。

 

「君は、とても優しい上に強いから。友達もたくさんいて……。けど、困った時は僕がいつでも助けに行くから」

「うん〜、わかった〜」

 

全員の手に炎を刻み終わる。子供たちの仲間の証を。

 

「みんな、信じてるよ」

 

ミズキは自分の右手の甲を撫でてニコリと笑った。




女神達は自国に帰ってミズキはネプテューヌの元へと向かった模様。

強化人間は大抵悲劇的ですからね…。幸せだったのはマリーくらい?1番泣きかけたのはステラ。……髪の色が、同じ……?(ゲス顔
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