幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
リアルが忙しく、そしてなおかつアイディアが浮かばず、学園都市生活の方ばかり書いていたので遅くなりました。
かれこれ数十分ほど、上条は迷っていた。所々でメイド服を着た妖精を見かけたが、上条には霊夢や貴音のように人を脅す趣味はない。
「さて、どっちに行こう」
『右、じゃないですか?』
「・・・信じるぞ?」
「次はどっちだ?」
『右、ですかね?』
「お次は?」
『左かな?』
「ん~?」
『右~?』
「ん」
『左』
「迷ったじゃねーか!!」
『う、うるさいですねぇ! 来た事もない館の中をカンで進む方が間違いなんですよ!』
「はぁぁぁ・・・・・・。お、大きな部屋の扉発見。ここ、かな?」
比較的大きな扉を開けると、そこは大図書館という言葉が相応しかった。何万という数の本が二階、いや三階の天井までびっしりと並んでいる。一応読書スペースなのか、机が置いてあったりもするが、上条には関係ない。
「・・・・・・こういう本を見ると嫌な思い出がよみがえるな」
『あれは私のせいじゃないですよ?』
「お前のせいだっつの」
上条は文句を言うのをやめた。その理由は、自分達の後方。空中に浮かぶ少女が原因だった。少女の格好はまるで寝間着のようだった。まさか今の今まで寝ていたのではないだろうか? と思うほどに。
「外で美鈴と派手に暴れていたのはあなただったのね。あなた、何者?」
「俺か? 俺は上条当麻。趣味で博麗の巫女の代理をしている者だ」
「・・・・・・。趣味? 趣味ですって? 笑わせないで頂戴。あなたはどこからどう見てもただの人間。あなたが博麗の巫女の代理なんて、聞いて呆れるわ」
「そう見えてんのなら嬉しいな」
笑う上条に、少女は少し怪訝な顔をした後。
「私はパチュリー=ノーレッジ。ここは紅魔館の地下に当たる場所よ」
「そうか。言ったと思うけど俺は博麗の巫女の代理でここにいる。できればこの霧を止めたいんだけど」
「そう」
パチュリーという少女が一冊の本を構えるように手元に持ったその瞬間。
「お待ちくださいパチュリー様! こんなネズミの始末など。私で十分です!!」
図書の本棚の陰から少女が飛び出してきた。
唐突に出てきて何だ貴様。が、上条の感想である。見た目からして悪魔の一種なのだろう少女は、すでに臨戦態勢だった。上条はため息をつくと、スマホを取り出して画面を少女に向ける。
「行け、貴音。あの悪魔の相手は任せた」
「了解ですご主人!」
フワリと降り立った貴音は目の前の悪魔のような少女よりも悪魔らしい狂気の笑みを浮かべていた。
「さあ、始めましょう。お互いの主人の名誉にかけて」
「良いでしょう。ボロボロにして差し上げます!」
「何を勝手に・・・・・・」
「決めてんだよ・・・・・・」
使いが使いなら、主も主らしい。
二人がぶつかると、そこまで激しいものではなかった。だが、確実に“弾幕ごっこ”なのは間違いない。
以下、他愛もない口喧嘩。
「何ですかあなたの主は、ツンツン頭で幸無さそうですね」
「はっ。何を。あなたの方こそいかにも根暗っぽくて残念美人ですけど?」
「なんだと!?」
「なんですと!?」
「確かにパチュリー様は根暗ですよ!? ですけど良いところだっていっぱいあるんですっ」
「だったらご主人にだってありますよ! 確かに筋金入りの不幸ですけどね!」
「ああ見えてパチュリー様はですね!」
「ご主人はですね!」
「「いい加減にしろ」しなさい」
ゴンッ。と、原始的な暴力の音が響く。上条の方はゲンコツ落とし。パチュリーは本の背表紙を落としていた。
「痛いですよ~。ご主人!」
「いいから、もう下がっとけ。あのパチュリーとかいうやつを仕留めてくっから」
「あら、大きく出たわね。人間」
「どうせお前魔法使いとかだろ? 体術苦手な奴じゃん。俺はそっち系統は得意なんでね」
スマホをしまいながら上条は言う。パチュリーは何かがカンに障ったのか、眉毛をひくひくさせて。
「いいわ。教えてあげる。あなたが絶対たどり着けない領域の魔法というものをね!!」
パチュリーがそう言うと、周りの景色が星空に変わる。だが、どうやら地面はあるようだ。
余所見をしていた上条の元に、ビームのような細く鞭のようにしなる魔法攻撃が襲い掛かった。
それは上条に直撃した後周りに煙を発生させた。
「・・・・・・。さっきの減らず口はどこに行ったの?」
「きちんとここにありましてよ?」
煙が晴れた後、上条は自らを守るように右手を突き出していた。たったそれだけで、パチュリー自慢の魔法は防がれたのだった。
(い、一体・・・・・・一体何が・・・・・・? タイミングも距離も完璧だったはず。何故!?)
状況の理解ができていないパチュリーに、上条はにやりと笑う。
「答え合わせをしてやるよ。俺のチカラは幻想殺しって言ってな。それが異能の力であるならば、神様の
「な・・・・・・」(何よそれ。魔法に対する決定的なジョーカーって訳!?)
「だからさ。お前らみたいな魔法だの超能力だの、『異能の力』を専門に扱ってそれを一番として戦う奴等を潰すことなんざ―――」
「ご主人の、次のセリフは―――」
「「―――赤子を殺すより楽な作業よ」ですっ」
「へぇ~。そう・・・・・・」パチュリーは全身に嫌な汗をかきつつ、「だからどうしたの? あなたは私を殺すっていうの?」
「は? 殺す訳ないだろ。俺は、俺達が全員無事で帰れたらそれでいいんだから。何も全員ずっと悪役でいなくちゃいけないなんてルールはないからな」
その言葉を聞いたパチュリーは、周りの景色を元通りに戻すと、膝をついた。
「お、おい。大丈夫か?」
『彼女、おそらく喘息持ちですね。ご主人、どうします?』
「持病を治す事は?」
『可能に決まってんでしょアンポンタン』
「俺より馬鹿だったくせにな」
「うるさいうるさい」
「・・・ゴホゴホッ。この館の二階の奥・・・そこにレミィがいる・・・。お願い。あの子を救ってあげて・・・あなたなら吸血鬼のあの子も救える・・・・・・」
パチュリーは咳き込みながらそう言った。上条は暫く唸った後。
「もしかしてお前ら、外から来たのか?」
「吸血鬼の迫害とか、十字教ではあり得なくない話ですね・・・・・・」
「アンデットやゾンビなんてイエス=キリストも同じものだと思うけどな。だってあいつ蘇ったんだろ?」
「ええ。まあそうですけど」
「パチュリー、だっけ。お前の言う“レミィ”も、なんとかしてみるさ。俺はこの異変、解決しなきゃならないんでね」
「私はここに残ってパチュリーさんの喘息を治しますので」
「なん・・・・・・で」
「今それ聞きます? 言ったでしょご主人が、悪役がいつまでも悪役でいる必要はないんです。悪役にだって、救いがあっても良いものですから」
「悪には、悪の“救世主”が必要なのね」
「ご主人は悪ではないですけど。まあそういう事ですね」
「二階の奥だろ? とりあえずエントランスロビーに戻るか!」
上条は一階入り口を目指して全力で駆けていた。
色々言っていますが、要するに忘れていただけです。