幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
上条はとりあえずレミリア達に紅い霧を消すように言うと、博麗神社まで歩いて帰る事にした。
「一件落着だな」
「ご主人の場合一拳落着ですけどね」
「あ、そう。貴音の方はどうだったんだ?」
「え? 私ですか? パチュリーさんの喘息を治した後、いろいろ教わりまして、図書館利用カードもらっちゃいました」
「仲良くなったねェ。随分と」
「ご主人も、じゃないですか? レミリアさんですか。ロリ吸血鬼ってなんかこう萌えますよね」
「いや、全然」
「あ、そうですか」
話していると、博麗神社が見えてきた。その博麗神社の境内の方から、話声が聞こえてきた。
「ほら、魔理沙が早く飲まないから、赤い霧晴れちゃったわよ」
「う、うるさいっ! こんなの飲める訳ないだろ!!」
「飲んだら行くって言ったのは魔理沙よねぇ?」
「う・・・。そ、そうだけどさ!」
「何やってんだ? お前ら」
「お茶?」
覗いてみると、魔理沙が湯呑に入った液体を飲むか飲まないかでプルプルしていた。
「何だよそれ」
「当麻が作ったあれよ」
「いや、それなら貴音が作った奴だろ」
「ご主人が作ったものに私が工夫を加えた奴ですね」
「結果を言うと飲みモノじゃないだろこれ!!」
「「「当たり前じゃん」」」
「くそっ。揃ってて腹立つ」
「大方霊夢が行くのを面倒くさがってそれを出したんだろ。飲んだら行く、なんて言ったのが間違いだな。魔理沙」
「あー。もうっ!」
魔理沙は液体をピシャッとその辺の土にばら撒くと、立ち上がる。
「とにかく、異変は解決したんだろ? だったら宴会だぜ霊夢」
「はぁ、用意はしてあるけど。今回の異変の首謀者とは初顔合わせなのよね~」
「お前がだらけて俺が行くとそうだろ?」
「そうですよ」
「お前も大半見てるだけだろ」
「テヘ」
今回の首謀者であるレミリア達は特にレミリアが吸血鬼なので、宴会は夕方から夜にかけて行われる事になった。
「お誘いありがとう博麗の巫女。はじめましてね」
「ええ。はじめましてね。霊夢よ」
「よろしくね。霊夢」
「お嬢様。それでは」
「宴会始めようぜ!」
魔理沙のかけ声で宴会が始まった。来たのはルーミア・チルノ・大妖精・美鈴・小悪魔・パチュリー・咲夜・レミリア。元からいた霊夢、魔理沙、貴音、上条だった。
「これからの異変とともに増えるのかね」
「あら、私達を忘れてもらったら困るわよ?」
「紫。いたのか」
「いるに決まってるじゃない。霊夢いる所に私ありよ」
「だとよ。よかったな霊夢」
「うれしかないわよ。あんたに好かれるぐらいならよろこんで当麻に膝をつくわよ」
「・・・なぁ? 何でお前らはすぐそうやって俺の前に跪こうとするんだよ!」
「ご主人は主にあるはずのない部下に優しいタイプですからね」
「だったら厳しくしてやろうか? ああ?」
「今のままのご主人が一番ですよぅ!!」
少し笑いが生まれる。が、上条はなんとなくつまらなそうな雰囲気だった。
「そう言えば何だけど。当麻達って外来人。なのよね」
「ん。ああ、貴音と俺は元々は外の世界の人間だぜ?」
「ここに来たのは十三年か四年前でしたけどね」
レミリアの素朴な疑問に、上条達は普通に答える。
「そんなに前なの? へぇ・・・・・・その力はどうやって?」
「霊夢の先代の巫女さんに。ま、七割方自分の自主鍛錬だけど」
「な、何をしたの!?」
喰いつき気味に聞くレミリアに、上条は当時を思い出すように目を閉じて。
「腕立て伏せ一〇〇回。上体起こし一〇〇回。屈伸一〇〇回。そして走り込み一〇キロ。これを毎日やった」
「そ、それだけ?」
「ハゲはしませんでしたけどね。美鈴さんには苦戦してましたね」
「え? だって、体に大穴開ける訳にはいかないだろ?」
上条のその言葉に、その場が凍る。
「え? ご主人。どういう事ですか?」
「いや、たまに人里の帰り道とかで見かける人型を保ってない妖怪かぶれの化け物はさ、ワンパンで粉砕するけど・・・・・・。流石に化け物や怪人でもない奴を、ワンパンで仕舞いにしようとは思わないな」
「つまり、当麻は・・・。やろうと思えば誰でもワンパンで沈められる訳?」
「さあ? それはやってみなきゃ分かんねーけど。大抵の相手なら、お腹や胸に風穴を開ける事ぐらいはできるぜ?」
「どんだけ、規格外なんだぜ。当麻」
のほほんと言った上条に、魔理沙が頭を抱える。そして、ふと気になったらしい上条は、紫の方を振り向いて。
「なぁ紫。外って出れるか?」
「なによ。唐突ね」
「いや、ちょっと用事があってさ」
「じゃあ、行ってらっしゃいよ。私は進んで見送ってあげる」
「は?」
「え?」
上条と貴音の足元の床が抜ける。いや、正確にはスキマが開いたのだ。そのまま上条達は無慈悲にも、吸い込まれていった。
「行ってらっしゃーい」
「すぐに帰ってきそうね」
「だな」