幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
イェーイ!!
吸血鬼 ミナ・ハーカー
英国。ロンドン。
高そうな椅子に座り、金を前に細く笑む男がいた。
一瞬で男は命を落とす。額を銃弾で貫かれて。
周りにいた従者たちは原因を必死に探す。だがそれは堂々と現れた。
「―――確かにお命頂戴しました。これも上の命ですので、そこの所ご理解いただけるよう、願っています」
少年は向けられる銃口に怯みもせずに笑顔でそう告げた。
―――ロンドン街、“闇夜の黒猫”
政府の命を受け、英国の上位悪人を殺す
黒猫の異名を持つその少年は、リボルバーとオートマチックの別種二丁拳銃の持ち主で、青色の眼が全てを見透かし、一度眼をつけたら逃げられないという。
・・・もうお分かりだと思うが、その正体は―――
―――幻想を喰らいし世界の基準点にして、神を超えた魔神。上条当麻である。
「・・・それでも抵抗なさるというのなら、遠慮なく潰させてもらいます」
もう戦意すら無くなった男達を一瞥すると、ボサボサ頭の少年は銃を懐にしまう。
「それでは」
少年が立ち去るその背中に銃弾を撃ち込む者はいなかった。
暫く歩いて離れた場所で、少年は黒いコートを翻し歩いていた。
国際連合特務機関秘密結社『シリウス』
彼が今いるのはそんなところだ。任務で世界中を飛び回る、彼の仕事は国連の邪魔になるものを消すことだ。
「さて、終わったな」
「ですね」
そこでふと、上条の足が止まる。
「? どうしました? ご主人?」
「血の匂いだ。レミリアと同じような」
「吸・・・血鬼・・・?」
上条はその匂いの元を追って、人込みをかきわていく。
「・・・・・・・・・よし。解析完了」
「? 何を解析していたんです?」
「匂いだよ。今俺の視界には匂いが『色』で表示されてる。だんだん色が濃くなってきた。近くだ」
「了解ですっ!」
上条はその匂いの元の女性に声をかける。
「どうもこんにちわ」
「こんにちわ」
「あなた、どうしてそんなに血の匂いがするんですか?」
「!? ・・・・・・あなたは一体」
「上条当麻です。ちょっとお時間よろしいですか?」
▽
上条達は、女性を自分たちのアジトに招き入れていた。
「私も自己紹介するわ。私はミナ・ハーカー。一般的に言う吸血鬼ね」
「ヴァンパイア・・・!」
「やはりそうでしたか。で、私としてはあなたにお願いがあります」
「・・・? 何かしら?」
「今はお昼過ぎ、あなたは悠々と日の下を歩いていた。その太陽の元を歩ける力が知りたい」
ミナは、ふむ・・・。と悩むように顎に手を当てる。
「吸血鬼は、日の光に弱いわけではないわ」
「? そうなのですか?」
「日は
「少なくとも」
「灰にはならない」
「・・・そう、ですか」
上条は少しだけ落ち込む。助ける方法を見つけるとは言ったものの、血筋が問題なら危うすぎる。あいつらが外を歩けないという事は、吸血鬼としての血筋はかなり細いという事になる。
「・・・そもそも、あなたはどうするつもりだったの?」
「喰う気でした」
「食べる?」
「ええ。俺の体に宿る力、幻想喰いっていうんですけど。何でも喰えて、何でも自分の力にしてしまえるんです。普段は右手首から先、幻想殺し何て呼ばれてますけど」
「・・・へぇ。あなたが、今代の」
「だから、そんな力がもしあるなら、俺の友達を助けてやりたいなーって思うんですよ」
「友達?」
「そいつ、吸血鬼のくせに太陽が好きなんですよ。自分を照らしてくれない太陽を霧で隠してしまうほど」
「・・・・・・方法がないこともないわ」
「あるんですか?」
上条は思わず身を乗り出す。それを見たミナは少しだけ笑って。
「血を送るのよ」
「血を?」
「ええ。吸血鬼ドラキュラの一番強い血をその子に流し込む。まあ要するに眷属にしてしまうのね。そうすれば、その子も日の下を歩けるんじゃないかしら?」
「ふむ。なるほど。で、この世界で最も一番強い血を引くのは誰でしょう? できればその方の・・・」
「私よ」
「「!?」」
「私が一番強い。ドラキュラの・・・ヴラド=ツペシュの血を一番強く引くのは私」
「それは・・・なぜ?」
「彼を『愛し』、彼から『愛され』ていたから。結果的に、彼に血を吸われ、彼の血を吸ったのだけど」
上条はその言葉の後、少し考えてから言葉を紡ぐ。
「では、ミナさんが俺を眷属にしてくれれば・・・「ダメよ」・・・なぜ」
「私が眷属にするとあなたの血と混ざりまた少し劣化する」
「なら」
「いい方法があるわ」
「・・・嫌な予感しかしませんが。聞きましょう」
「私を食べればいいの」
「・・・・・・やっぱりですか」
「ええ♪ 私はもう十分生きた。もうできれば死にたいわ。なら、その友達を救うって言う、とても心優しい人間さんに殺されたいわ」
「・・・わがままなお嬢さんですね」
「私もそう思う。でもね、これは本心。あなたが私を喰らえば、あなたの力が、あなたの言う通りのものなら、私の血は。吸血鬼ミナ・ハーカーの血は、そのままあなたの物になる。私は、あなたの手で死にたいわ」
「・・・・・・殺しはしませんよ。それでもいいですか?」
上条はそう言って立ち上がる。対してミナは拍子抜けした顔をして
「あら、最強の抹殺者さんが殺さないの?」
「依頼じゃないですからね。上からの
「・・・・・・優しいね。君は、じゃあお言葉に甘えようかな」
そう言うと、ミナは変装を解いた。正確には殻を脱ぎ捨てた。魔力があふれ、吸血鬼としての彼女が降臨する。
「じゃあ、
「ええ。それじゃあ
「折角良い感じで締めてたのに壊さないでくださいよ」
「湿っぽくは嫌なのよ」
「・・・ハァ。おやすみなさい」
「ええ。おやすみなさい」
床から狐取りの罠のように、ミナの体を龍の顎が飲み込んだ。
「・・・・・・早く、起きろよな。あんたとはもっと喋ってみたいからさ」
「・・・・・・
ドゴンッ。と上条の頭にエネのチョップが叩き込まれた。
「なっ。何すんだバカヤロー!」
「それはこっちのセリフです。で? もう帰るんですか?」
貴音のその問いの直後、上条の携帯電話にメールが届く。
「・・・いや、どうやら英国にはもう一匹、吸血鬼がいるらしい・・・・・・!」
上条当麻の持つ携帯には、殺害依頼が届いていた。
その内容は
【
吸血鬼Arucardの殺害を命ずる】
イェイ