幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
日本 某県 某市 某区・・・・・・
その山の中、ひっそりと立つオンボロの神社があった。
「うひゃぁー! 『外』でもこんな扱いなんですね! 博麗神社は!」
「“管理者”がいない分、余計に汚いんだろうな」
「って言っても、私達が目を覚ましたあの場所はもう少し綺麗でしたよね」
貴音が言いながらクルクルと回る。
「そうだな。俺達が目覚めたのが何時の時代か知らないが、今は二十世紀後半。俺達が始めすんでいたのが二十三世紀前半・・・。俺達は過去に飛んだのか?」
「そこは私も、おそらく紫さんも分からないと思います。正解は、過去に行くか、二十三世紀前半まで生きて、私達が来るのを待つか、です」
「・・・答え合わせなんてする必要ないだろ? ここが何時であれ、俺達が幻想郷に帰る事には何ら影響は無いんだから」
上条はそう言うと、幻想喰いを解放する。
「な、何をする気ですか? ご主人」
「結界を喰い破って中に入る。ご丁寧に外に出してくれた割に迎えにも来ないんだから、これぐらいしたって・・・・・・「いいわけないでしょ」・・・やっぱり来たか、紫」
上条が振り返ると、自ら開けたスキマに腰掛ける少女。八雲紫がいた。
「なぁ紫。俺達、帰れるんだよな?」
「なんのために私がいると思ってるのよ。ほら、帰るんでしょ?」
「ああ」
「ええ!」
上条と貴音は久しぶりに幻想郷へと帰還した。
幻想郷の博麗神社の石畳を踏みしめた上条は、退屈そうに掃除をする霊夢と、社務所の縁側でくつろぐ魔理沙とレミリアが見える。
「・・・よっ。久方ぶりだな」
「・・・お帰り当麻」
「お、帰ったのか」
「お帰りなさい。当麻」
「たっだいまかえりましたよ!」
「お帰りなさいお姉ちゃん」
「久しぶりだな、貴音!」
「お帰りなさい貴音さん」
「なんで私に敬語なんですか! レミリアさん!」
「え、だって、まだあなたの事よく知らないから」
レミリアはあたふたとしている。が、貴音はなんとなく納得したらしく、ふぅとため息をついて煎餅を口に運んだ。
「そういえば異変とか起きなかったか?」
「でたのは妖怪のなり損ない。言うなればあれは人間の負の心ね。あんなの毎日相手してた当麻の気が知れないわ」
「あー。アイツか。右手で殴ったら幻想殺しとか関係なく物理的に吹っ飛ぶから最近は気にしてないな」
「特に大きな異変は起きてないから安心すると良いぜ」
「ああ。そうか」
上条はうむ。と頷くと、貴音の食べかけの煎餅を奪い取り口に放り込む。
「あ、あー!」
「うるさい貴音」
「それで? 吸血鬼が日の下を歩ける方法は見つかったのかしら?」
「なんで紫が知ってんだ?」
「私並に幻想郷大好きなあなたが、外に出るって言い出したから、理由を彼女に聞いたのよ」
「あ、アハハ」
「ふーん」
「で? 見つかったの?」
少し、いや、興味津々とばかりに手を止めて聞いてくる霊夢に、上条は少しため息をついて。
「ああ。見つかったぜ。俺が今こうして立ってる事がその証拠だ」
「・・・まさか、当麻吸血鬼になったの?」
「いんや。吸血鬼に近い状態になったけど、別に血を吸わなくても死にはしないし、ニンニク食っても平気だぜ?」
「・・・試したのね。それで? どうやってレミリアちゃんをその日の下吸血鬼にするのかしら?」
「・・・あー。考えてなかったな。でも俺の眷属にすれば良いんじゃねーの? 実際眷属にしたエネは余裕で日光の下歩いてるし」
「え!? 貴音、当麻の眷属になったのか?」
「い、いやまあ。半ば無理矢理ですけど」
「強姦・・・ね。外の世界では捕まってるわよ」
「そういう意味じゃねーよ。帰って早々吸っただけだよ」
「・・・で? 眷属にはできるの?」
「・・・えーと」
―――個体名:レミリア=スカーレットを個体名:上条当麻の眷属にする事は可能です。50%ほど魔力を流し込めば良いと思います。
「・・・できると思う。やるか?」
「ええ。日の出ている内にやりたいわ」
「じゃあ、ちょっと頂きます」
上条は縁側に座るレミリアの前に立つと、その首筋に牙を突き立て魔力を送る。貴音と同じような反応をしているが、いかんせん犯罪臭が大きい。早急に切り上げねば。
「・・・どうだ?」
―――魔力与送率50%です。完璧ですね。
「・・・俺の中では完璧なんだが。どうだ?」
「・・・やったわ! 当麻お兄様! 私も日の下を歩るわ!」
「おう、そうか」
「「「「当麻・・・お兄様?」」」」
「え? わ、私何を!」
「アハハ。吸血鬼が吸血鬼によって変化させられた事で微妙にバグってるのかもな。まあすぐ治るだろ」
上条はポンポンとレミリアの頭をなでる。
「あ、あう・・・・・・」
「それじゃあ、どうする?」
「とりあえずこのメンバーでプチ宴会しようぜ。当麻帰還祝いだ」
「お前等、酒は飲ませんからな!」
「ヒィ! あ、悪魔が帰ってきたんだぜ」
「飲んだんだな? 飲んだな魔理沙!」
「れ、霊夢も飲んだんだぜ!」
「れぇぇぇいむぅぅぅ?」
「の、飲んでない飲んでない! 魔理沙! 嘘言わないでよ! 私がどれだけお姉ちゃんと当麻の言いつけ守ってると思ってんの! 当麻も信じてよ。ね?」
「・・・なら、良いんだけどな」
その日、小さな宴会が開かれた。上条達は外でどんな事をしていたかを話したり、幻想郷で何が起こっていたのかを聞いたりしていた。