幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
Extra Srage 東方紅魔狂~Sister of Scarlet
幻想郷。とある日。
博麗神社にて。
「くっ。スペル! 霊符「夢想封印」!」
「ふっふっふっ。効きませんよ! 無双「烈風封魔」!!」
上条は霊夢と貴音の弾幕ごっこ(修行)を縁側に座り、お茶を飲みながら眺めていた。
「ちょっと、良いかしら?」
「ん。レミリア、霊夢達は取り込み中だぞ?」
「あなたに頼みよ。当麻」
「なんだ? 事と次第によっちゃ代金をもらうぜ?」
「逆に、大したものは払えないわよ」
「・・・何の用だ?」
「私には、妹がいるんだけど、遊び相手になってあげて欲しいの」
「子守りを任せるってか」
「私より五歳年下。四九五歳だけどね」
「だからどうした。妖怪は長生きするんだろ? 人間の寿命と比べちゃいけねーよ」
上条は立ち上がると、紅魔館に向けて走り出す。レミリアはその後を飛んでついていった。
「当麻、あなた・・・速い・・・わね」
「ん。疲れてんのか?」
「当たり前でしょ! はぁ。咲夜。あの子の所に当麻を案内してあげて」
「分かりましたお嬢様」
上条は咲夜の後をついて地下に向かう。先日の図書館よりも深いところだと上条は推測する。
「なぁ。お前らはレミリア妹の事をなんて思ってんだよ。怪物?」
「・・・・・・私からは口にできません」
「あそ」
やがて、鉄のぶ厚そうな扉の前に上条は立たされた。『この中です』と、咲夜に言われ中に入ると、外側から鍵をかけられた。
(俺に相手をしろってのはこういう事ね・・・・・・)
上条が暗闇に目を向けると、七色に光る翼をもつ少女がいた。
「やっはろー」
「・・・・・・誰?」
「俺? 俺は上条当麻だ」
「なにしに来たの・・・・・・?」
「お前の遊び相手をしに来た」
「ホント!? オモチャも全部壊れちゃって退屈してたところなの!」
「そうかそうか。何もないとつまらねェよな」
言われればレミリアの妹にも見えなくはない。でも、類似点が翼ぐらいしかないのはどうしたものか。
「お前、名前は?」
「フラン。フランドール=スカーレット!」
「お、そうか。じゃあ、やるか?」
「うん!」
初撃から、上条の体に重たい衝撃が加わる。ズズ・・・と床を足が滑るが、なんとか踏みとどまる。
(吸血鬼の少女ってこんなに強いものなのか!?)
「あははっ。凄い、凄いよトウマ!」
「おほめに頂き光栄ですよ。フランさん!」
ある程度の弾幕をかわし、受け止め、かわす。を繰り返す上条。全てカンと経験だけでやっているため。動きこそ雑に見えるが、確実に避けている。
「・・・・・・騒がしいわね」
「・・・当麻の事よ。どうせフランの攻撃を受け止めたり流したりしているんじゃない?」
「レミィ。心配じゃないの?」
「どっちの心配? フラン? 当麻? 私は今回に至ってはどちらの心配もしないわ。だって当麻は、規格外に強い」
その時。
ドゴォ。と、壁を突き破って上条が図書館に突入してくる。
「広っ。って図書館かっ!!」
「キャハハハ」
「飛ばし過ぎだっ! 部屋で遊ぶって言っただろうがッッ!」
「ごめんなさーいっ!」
笑顔で謝るフラン。上条も口では怒っているが、この状況を楽しんでいるようにも見える。
「あ、あの子が笑ってる・・・・・・。あんな・・・良い笑顔で・・・! ヤバ、鼻血でそう」
「そのシスコン治しなさいよレミィ」
「うるさいわね。私のは普通の姉妹愛よ! だって私は好きな人他にいるもん」
「あら、私も最近できたわ」
「パチェ?」
「レミィ?」
「「ケンカ売ってるのかしら。それは」」
「あ、お姉様だーっ!」
「あ、フランがこっちに気付い・・・・・・四人に増えてる!」
「あ、レミリアいたんだ」
上条は気楽そうに四人の相手をしているが、めんどくさくなったのか、ため息をついて巨大な銃を取り出した。
「消えろ」
撃ちだされた銃弾が、増えた三人を的確に消し飛ばした。
「え・・・・・・?」
「一対一が一番面白いだろ? ほら、遊ぼうぜ」
「・・・それ、何!?」
「対化物戦闘用13mm拳銃「ジャッカル」 専用弾 13mm炸裂徹鋼弾。法儀式済み 純銀製 マケドニウム加工水銀弾頭弾殻。マーベルス化学薬筒 NNA9 全長39センチ、重量16キロ」
「? ?」
「つまり、対吸血鬼用の専用拳銃というわけだ! まあ使わないがな。今だけだ」
「・・・当麻ってすごいよね」
「何が凄いって彼の信念よ」
「やっぱりパチェもライバル?」
「私だけじゃないわよレミィ。恐らく博麗の巫女とあの魔法使いも。そして、フランも。ね」
「は、ハーレム作ろう!」
「ハーレム?」
「そうしたらみんな、仲良く・・・・・・」
「それならそれでも良いけど。彼がみんな平等に愛してくれるのかしら。彼は愛情はあるけどそれは友愛に過ぎないと思うのだけど」
「うぅ・・・・・・」
「でも、良い方法ね」
「禁忌「レーヴァテイン」!」
「ちょ、得物はずるいんじゃねーのっ!?」
「えーいっ!」
「なんてな」
上条は素手でその攻撃を受け止めていた。
「遊び方ってのを教えてやるよ。その前に、その強すぎる狂気の力。封じさせてもらうぜ」
上条はそういうと、ポケットから大量の護符を取り出した。
「悪いな。霊装「幻想封印」!」
「え? え?」
「お前のその力、俺よりは弱いけど遊び隊盛りの子供には強すぎる力だ。眠ってな」
上条はフランの腰辺りに護符で魔法陣を創りあげる。
「遊んでくれるんじゃなかったの!?」
「ばーか。命をかけて遊ぶ奴がどこにいる。そんな遊び方じゃ、命がいくつあっても足りないぜ!」
「そんなの、トーマがコンテニューできないのさ!」
「する気ねーよ。俺は負けないからな」
上条はそのまま構え直す。
「言っとくけど。お前のその吸血鬼のパワーは消してないからな? かかってこいよ。フラン」
「・・・・・・本気で壊してもいい?」
「・・・そっちの方が面白そうじゃん」
ドゴォ!! と、二つの純粋なただの力がぶつかり合う。
ぶつかり合ったお互い、笑っていた。上条もフランも、猟奇的な笑みを浮かべて。
「結構強いじゃねーの」
「えーい」フランと上条は一度お互い離れると、同じように行動する。「いっくよー!」
「来いやァァァァ!」
「「連続・普通の(全力)パンチ」!!」
フランは全力。上条はいつも通りのスピードで拳を突き出す。が、圧倒的に上条の方が早かった。
「うお―――――!」
「・・・・・・」
さらに加速させるフランだったが、上条はスピードを変える事はしない。
「お、オリャリャリャリャリャリャ!!」
「強いなお前」
「当たり前よ」
「レミリア?」
上条はフランとの攻防の間に話しかけてきたレミリアに返答する。
「私達は高貴なる吸血鬼よ。そんな簡単に負けるはずがないじゃない」
「・・・・・・言ったな? 拘束制御術式第三号・第二号・第一号、開放。状況A『クロムウェル』発動による承認認識。能力使用。限定解除開始。では教育してやろう。“本当の吸血鬼”の闘争というものを・・・・・・」
上条を含め、図書室全体が闇に染まり、多数の眼がレミリアを含め少女四人を見ている。
「な、何よこれ・・・・・・」
「魔法・・・・・・?」
「残念だ・・・本当に残念だ。この程度で驚くとは、貴様それでも吸血鬼か。情けない」
ゆっくりと姿を現した上条は一瞬でフランとの距離を詰める。
「・・・・・・!」
「ひっ!?」
上条の放った拳が、フランの顔の目の前で寸止めされる。爆風を受けたフランが、後ろにこてんと倒れる。
「悪い。俺こういうの苦手なんだ」
「つ、強いよ! トウマすごいよ!」
「え? そうか?」
レミリアとパチュリーは信じられないものに目を白黒させていた。それは、フランの後ろ。壁が壊れ、土が抉れ、山が半分以上削れていた。
(いつか当麻に追いついてやろうって思ってたけど・・・・・・。どうしてもそのイメージがわかない)
(凄いわね。彼。一体何をしたらああなれるのかしら)
上条はそのまま、修復魔法で元に戻す手伝いをして帰って行った。
「お姉様! お姉様!」
「? どうしたの。フラン」
「明日もお兄様と遊んでいい?」
「!!?」その時、レミリアに電撃が走る、(当麻がフランの兄、なら必然的に当麻は私の彼氏という事に)
「ならないから安心なさい。レミィ」
「パチェ!」
「検証の結果が出たわ。あの山一つ吹き飛ばした彼の攻撃。単純な打撃の風圧よ」
「え」
「やっぱり! そうなんだ」
「ええ。何も魔力の痕跡もなかった。それに妖怪賢者の話では、彼は神格を得て神の力を持っているそうだけど、自己的に封じているらしいわ。神の力を解放した時には神力っていう魔力と似たような痕跡が残るらしいから間違いないわ」
「つまり・・・・・・当麻はあれだけの事を、
「そう言う事よ」
レミリアはフラフラと腰が抜けて地面に座りこむ。咲夜が慌ててその下にクッションを引いた。
「す、凄すぎる・・・・・・。絶対勝てないのね・・・彼をライバル認定するのは早かったかしら・・・」
「あらレミィ、
「む」
「彼もこれからも修行を積むでしょうし、まだまだ強くなるかもね。でも、諦めるのは早いんじゃない?」
「・・・・・・分かったわよパチェ。あなたにそこまで言われたらやるしかないわ」
密かに、レミリアは上条を目標にすることを決めたという。
「そんなあなた達に吉報です」
「貴音さん・・・・・・」
「何の用かしら」
「私の考えで良ければ、ご主人の強さの秘密、教えてあげられますけど」
「それは・・・・・・」
「気になるわ」
「気になるぜ」
少女二人が、本棚の陰から現れる。
「霊夢、魔理沙」
「聞かせてくれよ。当麻がどうやって強くなったのか」
「・・・・・・ご主人は、本当にこの間の宴会で言った事しかやってません。ただの筋トレです」
「・・・そんなんで強くなれるなら、私だってやるわよ」
「・・・ですがご主人は、逃げないんです。妖怪からも、困難からも、自分からもです」
「・・・・・・?」
その場の全員、揃って首を傾げる。貴音はクスクスと笑うと続けていった。
「ご主人がした事は、今言いましたけど。ただの筋肉鍛錬です、しかもちょっとキツイだけの。でも、ご主人は本当に毎日欠かさず続けたんです。
―――例え、妖怪に大怪我を負わされた次の日でも」
「!?」
上条の言っていた筋トレは、誰もが認めるほど運動部がやるレベルのものだ。さほどハードでもない。
だから初めは、全員馬鹿にしているのかと思った。
けど、そうだ。
上条だってトレーニングを始めるまで普通の、ごく一般人レベルの強さしか持たない人間だった。博麗の巫女として認められて、強くなることが前提の霊夢や。吸血鬼であるレミリアやフランには簡単に負けてしまうほどの。逆に守られてもおかしくないほど。
「ご主人は、妖怪との戦いで腕が骨折しても、腕立て伏せをやめたり、数を減らしたりしませんでした。悪戯好きの妖精に襲われそうな子供を庇って、自分が。当時は弾幕なんて生易しいものはありませんでしたから、必ず死にいたると言っても良いほどの攻撃でした。それをまともに食らっても、ランニングを中断しませんでした。私がボロボロのご主人に泣いてお願いしてようやく手当だけ・・・・・・、もちろんそれが済んだら残りの距離を走りに行きましたよ」
貴音は困ったように、それでも誇らしげに笑う。
霊夢や魔理沙。レミリアは驚きで目を見開いている。
できない。そう悟ったのだ。確かにトレーニング内容だけ見ればそこまで強い訳でもない。何か特別な事をしている訳でもない。だが、上条は貫いたのだ。やると決めた事を、例え何があろうとも。
「ご主人は、そうして強くなりました。多分ご主人は、本当に趣味で博麗の巫女のお手伝いをしているんだと思います。霊夢が博麗の巫女を正式に継ぐまで、ご主人は幻想郷で英雄って呼ばれていましたからね」
だから、と貴音は句切って。
「強くなりたいのであれば、強くなりたいと願うのではなく。強くなりたいと、強く誓ってみてください」