幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
時は西暦2200年。ここは平凡な街。
超能力なんて誰も持ってないし、魔法だって無い。家から少し歩けば商店街やショッピングセンターがあり、丘の上には神社がある。だからと言って田舎であるかと言えばそうでもない。どちらかといえば都会だろうそんな普通の街。
この街に住む少年は“一人”だった。『不幸』と言うだけで人から嫌煙され、疫病神扱いされてきた。そんな少年の名前は上条当麻。ツンツン頭が特徴の一般人だ。
「・・・~~~♪ ~~~♪」
平日の昼間にもかかわらず、少年上条当麻は自宅の自分の部屋のパソコンに向かっていた。その指は慣れた手付きでマウスを動かし、ディスプレイに表示された譜面に音符を並べていく。
彼がやっているのは作曲。もちろん作詞もするが歌うのは彼ではない。楽器などを手掛けるYAMAHAが作った歌うアンドロイド『ボーカロイド』 声の調子から歌い方まで
さて、本題に戻るが彼は学校へは行っていない。彼が通うべきは高校だが、一年の途中に遭った事件がきっかけで、彼は立派な自宅警備員になりました。
所謂引きニートなのだが、妹であるモモがアイドルとして大分稼ぐため、それなりに過ごせているようだ。
「~~~♪」
その時、めったに来ないはずの上条のパソコンに1通のメールが届く。怪しく思う上条だが、文面を確認するだけして、何も他を触らなければいい。と、たかをくくってメールを開く。すると、パソコンが一時フリーズする。『オイ!?』と叫ぶ上条だったが、時すでに遅し。まるで女子向けアニメの変身シーンのように、青いジャージの少女がデスクトップ上に表示される。
「・・・はぁ?」
「初めまして・・・ですね。ご主人。メール、開いてくれてありがとうございます。これから、このパソコンに住まわせてもらうことになりました。よろしくお願いしますね」
「・・・・・・不幸だ」
それが『幻想殺し』保持者上条当麻と、電脳少女エネの出会いだった。
「・・・あのー? ご主人」
ここで俺にも春が来た! ヒャホゥ! とかなる奴は相当バカだよな。と上条は思う。どう考えても不幸の種だ。しかもこうして人が悩んでいる間に二時間の力作をご丁寧にバックアップごとゴミ箱に突っ込んでくれていらっしゃる。
「オイ? 何やってんだこんちくしょう」
「え? いらないごみファイルを撤去・・・」
「おかしいよな? 所有者に確認もとらずにゴミ箱行きか? あァ!?」
「おー。おー! 血気盛んなのはいいですがご主人。パソコンの中にいる私に触れられるとでも?」
「でてこいこのヤロウ」
「チッチッチッ。ヤロウは男に使うものですよー?」
「お前女なの?」
上条のその一言に、少女の額からカッチンという音が聞こえたような気がした。
「このプロポーション! この顔で、どこが女の子じゃないというんですか!!」
「わーったわーったか大きな声出すな! 俺はヘッドフォンしてんだキンキンうっせんだよ」
「ほほう・・・? つまり今のご主人は大きな音に弱いと?」
「うるせェ。お前はあれか思春期の子供ですか。めんどくせェ」
そう言うと上条はパソコンの前から立ち上がる。
「あ! あー? ど、どこへ行くんですか!?」
「トイレだよ」
「え、あ。いってらっしゃい・・・・・・」
トイレに入った上条は、ロダンの考える人のように便器に座った。
(どうする。アイツがいると俺の自由がなくなる気がするぞ・・・・・・。俺の不幸メーターが警報を鳴らしてやがる・・・・・・! パソコン買いかえるか? そんな金はないし・・・。・・・・・・・・・! アイツ、俺のことご主人って言ったよな。だったら俺好みに調教できるんじゃねえか?)
ボーカロイド脳を働かせる上条。だが、そのあとすぐにその考えを取っ払う。
「あー何考えてんだ俺は! 大体アイツのせいだ・・・・・・。あーもう不幸だァァァァァァアアアアアアアアア!!!!!」
「お兄ちゃん!」
「トーマ!」
「「うるさいっっ!!!」」
「すいません」
休日出勤の父を除き、家にいた二人に怒られた上条は、おとなしく部屋に戻ることにする。
「はぁ・・・・・・」
「あ、お帰りなさいご主人」
「おい。一体いくつ俺の音楽ファイルを捨ててくれたんだ?」
「全部ですけど?」
「一回でも聞いたのか?」
「いいえ?」
「聞けよ」
「だってこれからは私が御主人の暇つぶしをするんですよ? こんなもの必要ないじゃないですか~」
(うっわ~、ヤンデレ気質あるよこのプログラム。何、私がいるから他の娘はいらないでしょばりにシステムに嫉妬してるんじゃね?)上条は深いため息をつきながら、「頼むから消さないでくれよ。それ、大事なプログラムだからさ」
「え? 私がいるのにほかのプログラムも必要ですか?」
「ああ」(はいヤンデレいただきました。じゃねーよ、いらねーよ。なんだよヤンデレって、俺が一番嫌いな部類じゃん。見る分には楽しいけど実際はいやだの典型的例だからね? あれ)
上条はとりあえず、『ヤンデレ・対策』をスマホで検索する。
(えーと?)
「ご主人。いま私はここからすごく出たいです」
「へー。なんで?」
「そのスマホに、私が映っていないからです」
「・・・・・・・・・」(ホント、どこまで病んでるんだろうね。この娘。あったあった。何何? 一回殺されて来い? おい。何病まれるほど愛されてる奴がここに来るからってそんな悪口書いてんだよ。こっちは本気で困ってるっての)
「ご主人~」
上条は脳内位で怒涛の突っ込みをしているので、後ろのパソコンのディスプレイの中で少女が泣いている事に気づかない。
(羨ましいとかコメントすんじゃねーよ。どーせゲームの話だろ。管理人何書いてんだ。確かにそういうゲーム攻略する奴いるかもしれないけどさ)
「お兄ちゃん?」
「・・・・・・モモ?」
「何・・・やってるの?」
「何って、調べものだよ」
「じゃあ、パソコンの中で泣いてるのは誰?」
「知らねーよ」
「じゃあどうしてここにいるのよ」
「何か知らんがメールを開いたら感染した」
「ウイルスって事?」
『ウイルスじゃありません! 私はエネ! スーパープリティ電脳ガールなんですから!!』
「・・・・・・スーパー?」
「プリティ電脳ガール(笑)」
「・・・お兄ちゃん。もうすぐ晩御飯だから、早く下りてきてよ」
「・・・へいへい」
『ご主人。私も行きましょうか?』
「来るな」
『冷たいですねぇ。ご主人は』
(演技・・・だったのか?)
この日は、奇妙な二人の生活が始まった日だった。
エネさんはヤンデレではありません。決して。断じて