幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
―――とある夏の日。
「暑・・・」
「パソコンも熱を持ってますよー」
「冷房つけてんのにこの暑さだよ。嫌になるね全く」
「ほら、そんな時は私を見てくださいよ! 癒されるでしょ」
「画面が見えん。退け」
エネのアピールをガン無視した上条の発言にエネはむっとした顔をする。
「・・・いいですよ。じゃあご主人の秘蔵ファイル流してやります」
「はっ!? ふざけんなよ!・・・おわっ!?」
勢いよく立ちあがった上条だが、椅子のキャスターを踏みつけ足首を捻り転倒。その際にキーボードで顔面を打ち、炭酸飲料のボトルを倒してしまう。
「あー?! キーボードが!」
「ご主人! 速く! 拭いて!」
「お、おう!」
慌てて拭く上条だったが、案の定使い物にならなくなっていた・・・」
「・・・・・・あーあー。やっちゃいましたねぇwww」
「・・・なぁエネさん? そんなに上条さんが嫌いですか! 俺の心を抉って、不幸を嘲笑って楽しいですか!」
「わ、私はそんなつもりじゃないですよ! ご主人っ!」
必死に弁解するエネだったが、超絶鈍感旗建て男である上条には直接しっかり伝えないと伝わらない事もある。
「そんなつもりじゃないなら何でこんな事をするんだよ!」
「え・・・・・それは・・・・・わ、私が」
「私が?」
「ご、ご主人にかまって欲しいからであって・・・・・」
ゴニョゴニョと話すエネの言葉は既に上条当麻の耳には届いていなかった。
「・・・・・ご主人?」
「・・・・・・新しいの買いに行かなきゃダメかな」
「ですよね。だったら最近できたデパートに行きましょう!」
「・・・わーったよ」
上条はエネがスマホに移ったのを確認して、イヤホンを耳に突っ込み家を出る。
「・・・暑いな。この気候」
「私にはこの暑さわからないですけどねー」
「そうか」
屋上に遊園地があるという新しいデパートについた上条。
「もう無理・・・。エアコン効いててくれィ」
店内は普通に涼しかったため、上条のテンションは普通に上がっていた。
途中で誰かに当たって謝ったが、上条は無事最新キーボードを手に入れた。
「wktkが止まらんぜよ」
「よかったですねー。ご主人」
その時、上条のすぐそばの窓の向こうからフル装備の軍人のような風貌の男たちが飛び込んでくる。
銃を乱射しながら。
数メートルを転がり、上条は顔を上げる。防犯装置が作動してシャッターが下りて行っているのが見える。近づいてきた一人によって、上条は腹に一撃をくらった。
暫くして、少し広い憩いの場のような場所に上条達は集められた。
(・・・・・・少なくともこのフロアにいた人間は全員人質にされたみたいだな・・・)
何か無線などを使って色々しているようだが、心底どうでもいいような顔をする上条。
「・・・ねぇねぇ。ちょっといいかい?」
「んだよペテン師」
「・・・・・・? いきなりひどいね~」
にこやかに言う少年だったが、眼が笑っていない。まるで品定めでもされてる気分だ。
「お前の顔に書いてある。僕は人を欺くのが得意ですってな」
「え? うそっ」
「そこのガキ! 静かにしろ!」
「はーい」
「すいませーん」
さきほどから声をかけてくるこのパーカー少年は本当に信用ならないと上条は思う。こういう
(・・・ま、厄病神である俺が言えた事ではないけどな)
そうして、ピリピリした空気の中。そうそうに親指拘束具を破壊した上条は、持ち物を確認していた。
(スマホ・・・財布・・・武器は・・・ない・・・か)「・・・っておいっ」
上条は自分が買ったキーボードの箱が穴だらけな事に気付く。慌てて中を確認すると、無残な事に新品のキーボードも使い物にならなくなっていた。
「はっ・・・ハハ・・・、やってくれたな・・・平眼球共が!」
ゆらりと上条が立ち上がる。明かりの消えた店内にその光が、青色の瞳が揺れる。
彼はそのままゆっくりと目を開いた。
「自由自在に視覚を操る眼球の王―――――。テメェら今から全員の視覚をシャッフルしてやる。ゲロ吐いても知らねぇからな、覚悟しとけよ」
「は? 何言ってんのオマエ」
「平眼球ども、俺に従え―――!!」
そして全員の絶叫がその場に響いた。関係のない人質の視界までシャッフルしたようだ。だが上条はそのままエネが入ったスマホを手に持ちそれを店内のパソコンに繋げるとこう言った。
「セキュリティを解除しろエネ。俺はここを出る」
「あ、はいご主人」
そう言った上条の両目にヒビがピキリと入る。シャッターが開くのと同時、彼はその場に倒れこむ。ゆっくりと、閉じていく上条の目は“普通”だった。
「・・・オイ? エネ・・・これは一体どういう事かな」
ファンシーな部屋の可愛らしいベッドの上、上条はあぐらを組んでスマホのエネを睨んでいた。
「いやー。何かご主人にキョーミを持った人たちが自分たちのグループに入れ、的な事でしてー」
「ああ? っざけんな。俺は帰る!」
「悪いけど。それはできないよ」
「あ・・・。デパートのパーカー女とペテン師!」
「どんな覚え方をしてるよバカ兄」
「モモ!? 何やってんだ・・・?」
「いやー。なんかさ。ここにいるみんな私みたいな能力があるんだよね。だからさ・・・私も何か力の解明とかができないかなって・・・」
「・・・・・・で? んだよ。俺への興味って・・・」
「「「「「眼」」」」」
「ハァ・・・」
めんどくせェ。素直に上条はそう思う。
(大体俺の眼に何があるって・・・。あった)
頭を抱えてうなる上条。そもそも『この眼』の事をどう説明しろというのだろうか。この際私は神だ。とか厨二臭い事を言ってやろうか事実だけど。とか上条が思っていると。
「何も危害を加えようというわけでもない。ただ、我らメカクシ団の事を認識できたのでな」
「・・・とりあえず自己紹介しようぜ。俺は上条当麻。自慢じゃねェが高校には行ってねェ」
「・・・・・・バカ兄・・・! えっと紹介したと思うけど上条桃です。アイドルやってます」
「エネです! 超絶プリティ電脳ガールですよっ」
「・・・どこが・・・」
「では、メカクシ団のメンバーを紹介しよう。まず私がNo.1キドだ」
「俺はセトっす。No.2っす」
「No.3カノだよ~」
「No.4・・・マリーです・・・」
「・・・で、私がNo.5で」
「私がNo.6なんですよご主人」
「お前らは加入してるのか・・・」
「ん? お前ももうこの団の秘密を知ったからには入ってもらうぞ」
「ハァ!?」
「プクク・・・。ご主人、後輩ですねww」
「その容姿で言われると余計ムカツク・・・」
「どういう意味ですかぁ!」
「・・・分かった。分かったよ。分かりましたの三段活用! 入ってやりますよメカクシ団!」
「おぉ。そうか。よろしく頼むぞトーマ」
「よろしくっすトーマさん」
「よろしくー。トーマ君」
「よ、よろしく・・・トーマ」
「ああ。よろしく」