幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

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あ、文字数今年の年号じゃん。と思った今日この頃


Stage3 歴史喰いの懐郷

軽い足音を立てて、上条当麻が人里に降り立った。

が、

 

「な、なんだ・・・これ。人里がねぇ・・・・・・」

「お前か。こんな真夜中に里を襲おうとする奴は」

「あぁ? んな訳ねーだろ」

「じゃあ何故、吸血鬼が人里に来る必要がある」

「ん、あ。い、いや。俺だって、慧音!」

「・・・お前が誰であろうと関係ない。里を襲う者は倒す」

「だぁあぁあぁあぁあ!! 話が通じないのは相変わらずかぁーっ!!」

 

上条はやけくそ気味に右手と左手、両手に一枚ずつスペルカードを出現させる。

 

「「命名決闘開始!!」」

「スペルカード 産霊「ファーストピラミッド」」

「スペルカードW 幻槍「世界(人の思い)を壊す矛」幻鎧「世界(人の思い)を護る盾」」

 

上条が放った幻想喰い(イマジンイーター)を表す二つのスペルカード。それは、自らの弾幕同士がぶつかるごとに不思議な力を発生させていた。

 

「なっ・・・! この現象は!」

「矛と盾の登場する故事成語ぐらい知ってるよな?」

「矛盾・・・!」

「Exactly(その通りです) 俺の弾幕同士がぶつかれば、そこに矛盾が生じてしまう。実際問題どうなんだろうな。この右手。幻想(人の思い)を殺す矛になるのか、世界を元ある形に戻して護る盾になるのか」

「知らんな。それは使用者の使い方次第だろう。私の知った事ではない。スペルカード 始符「エフェメラリティ137」」

「スペルカード。「人間でいる事に耐えられなかった弱い化け物」」

 

上条の体が異形に歪む。紫のスキマのような大量の目が体中に現われる。

吸血鬼アーカード。そのチカラ全てを身に宿す上条当麻の吸血鬼としての全力だった。

 

「何・・・だ。そのスペルカードは!」

「その名の通りだよ上白沢慧音。この能力の元となった化け物は、人間でいる事から逃げた。自ら神に背き、吸血行為をし吸血鬼となった。そう、魔が差したのだ」

 

犬・猫・鳥・蛇・獣・虫・魔物・・・・・・etc.

この暗闇の中、上条の使い魔が大量に集まってきた。慧音も流石にヤバいと思ったのか一歩、二歩下がる。

 

「さぁ、やろうぜ」

「それが・・・お前の本当の姿か」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そもそも、俺にとって姿形など何の意味もなさない」

「そうか・・・」

「それに、俺は別に人間を取って食う気なんかさらさら無いよ」

「なっ!?」

「吸血鬼が血を吸う以外で人間を襲うか? そもそも俺は人間だ」

「・・・待て。噂には聞いていたが・・・、当麻なのか・・・?」

「ああ。俺は上条当麻。趣味で博麗の巫女の代理をしている者だ!」

「そう・・・か。本当に人間ではなくなったのか」

「バーカ! 俺は人間だ! 俺のこれはスペルカードだ」

「・・・・・・良く分からないが、私の知っている当麻だというのか?」

「俺は上条当麻。それ以上でもそれ以下でもないんだよ」

 

慧音は上条のその言葉に笑うと、人里を復活させた。

 

「おぉ!?」

「さ、行くと良い。竹林の方に犯人がいるはずだ」

「・・・知ってるのか」

「私は歴史を知っているからな」

「・・・そうか。ンじゃ!」

 

そう言って上条は人里を駆けていく。

 

 

―――人里のとある家。

 

「あのーすいません。竹林ってどっちの方にありますか?」

 

勢いよく飛びだしたものの、上条は迷っていた。近くにあった家に声をかける。

すると、

中で倒れている人を発見した。

 

「?! ち、ちょっ! 大丈夫ですか!?」

「・・・・・・き、キミは・・・?」

「あ、俺は博麗の巫女の代理をしている者です」

「! そうか。なら丁度良い。私の代わりに、私の娘の敵を取ってくれ」

「敵討ち・・・相手は妖怪ですか?」

「ああ。吸血鬼だ。四十年前に私の娘は喰われた。あの美しい容姿を持つ吸血姫になっ!」

 

ゲホゲホと咳き込み始めた老人に、上条は問いかける。

 

「いいんですね? 自分で取らなくても」

「いいさ。私はもう動けん。その代わり、そこに立てかけてある二本の刀でヤツを取ってくれ。私が打った。これでも刀鍛冶は得意でな。三〇年以上もかかってしまったが、ようやくできた」

「・・・・・・」

 

上条が老人の指差す先を見ると、それは二メートルを超す大太刀と通常の小太刀が置いてあった。

 

「何だ? あれ」

「妖刀だ。長い方が妖怪殺しの妖刀『心渡』。短い方が妖怪生かしの妖刀『夢渡』」

「何で。生かす物なんて作ってんだ」

「娘がな・・・生きていると希望を持ったんだ。だから、希望も作った。吸血鬼を、人間に戻せる。そんな可能性を持ったものを」

「生かさなくて、良いのか」

「年老いた父親の元に戻っても何もない。母親もいない。もう、生きていたとしても切ってくれ」

「分かったよ、じいさん。この刀、使わせてもらうぜ」

 

上条は『心渡』と『夢渡』。両方の妖刀を手に持った。

 

「さて、じいさんの願いを叶えに吸血鬼を探しますか!」

「若いの」

「何だ?」

「奴の根城は迷いの竹林。ここから南にまっすぐ行ったとこ・・・ろ・・・だ」

「お休み。じいさん」

「・・・・・・」

 

上条は振り返らずに家を出る。迷いの竹林はすぐそこだ。

 




妖刀「心渡」

ジャッカル・ハーディスと並ぶ上条当麻のメイン武器の一つになります。

次回はその吸血鬼との闘いです。
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