幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
「しかしなー。何だって肝試しなんか」
「妖怪が肝を試しても仕方なかろうに。儂もあるじ様も生半可のことでは驚かんぞ?」
「忍は簡単に驚きそうだがな」
「む。ぱないの」
「待っていたぞ。満月の夜にやってくるとはいい度胸だ」
「これは俺じゃなくて忍に言ってるんだよな? 慧音」
「そうじゃろうな。さて、相手をしてやるぞ。ハクタクよ」
「あの人間には指一本触れさせない!」
「カカ♪ 見ておれ、あるじ様」
「ああ。見ておくよ」
忍は遠慮無しに駆け出して、その力を振るう。
「おっ。やっぱり吸血鬼なんだな」
「まぁ、腐っても。といった所かのう」
「グールじゃないだろ? お前は」
「うむ。そうじゃの」
「使え。そいつを喰らって無事な奴はいない」
上条は自分の影から取り出した黒鉄の銃を忍に投げ渡す。
「あるじ様。これは?」
「対化物戦闘用13mm拳銃『ジャッカル』。全長39cm、重量16kg。装弾数6発。もはや人類では扱えない代物だ。専用弾、13mm炸裂徹鋼弾」
「弾殻は?」
「純銀製マケドニウム加工弾殻」
「装薬は?」
「マーベルス科学薬筒NNA9」
「弾頭は? 炸裂式か? 水銀か?」
「法儀式済み水銀弾頭だよ」
「ほう。面白いのう!」
ガンッガンッ!! と、炸裂音が響いて慧音に向かう。
「儂らは殺し合いをしに来た訳ではない。肝試しをしに来たのじゃ」
「その割には殺す用の道具を持ってるけどな」
「カカカ♪」
その後、無事に慧音を撃破し真宵迷いの竹林の奥へと進む上条・忍ペア。
「人間以外の者達同士で討ちあう丑三つ時。人間も妖怪も無い殺伐とした夜。こんな満月の夜だからかな?」
「あいにくだが俺は人間だ」
「そう? でもね。あいにく私も人間なの」
「あるじ様。丁度いい、人間がおるぞ」
「丁度いいのか? 俺がいるって言うのに」
「そちらのお嬢さんは妖怪ね」
「儂は妖怪というより怪異じゃがな」
「いや、妖怪だろ?」
「・・・うむ。どこからかの電波が儂に間違った情報を」
「あ・・・そ」
「で、目的は何? お馬鹿さん」
「お馬鹿さん? 俺達がか!?」
「こんな夜に出かけてるんだ。お馬鹿さんで十分だろう?」
「あーはいはい。ソウデスネ」
「で、目的は何?」
「肝試し」
「肝とか色々試しておるよ」
「なんと肝試し! ああ、何時から人間はこんなに馬鹿になったのかしら? こんなに狂おしい満月の丑三つ時に、こんなに妖怪が沢山出る処まで来て、事もあろうか肝試し! 妖怪に殺されなかったのが不思議ね。それに死んだら、妖怪達に生き肝を喰われる肝試しなんて・・・・・・」
「言われ放題じゃぞあるじ様」
「聞いてりゃ分かるよ。だがな、肝試しって言ったって、あの蓬莱山輝夜がやれいけそれいけ言うからだなぁ・・・・・・」
「今なんて? 輝夜って言った?」
「言ったか?」
「言ってたぞ」
「むきー! 肝試しなんておかしいと思ったら、やっぱりあいつの仕業なのね。そうか、今度はこいつ等をけしかけて私を始末しようとしているな? あいつったら、いっつもいっつも私を始末しようとして! 全く、こんな不便な体にしたのはあいつじゃないの!」
「なんか、一人で盛り上がってるな」
「あるじ様。便乗せんと損じゃぞ」
「ふん、輝夜の使いがどれほどのもんなのか見せて貰おうか。あいつが遣したって事は、あいつよりは強いんでしょ?」
「まぁの」
「だが人間相手に闘うのはな・・・」
「私を普通の人間だと思うな。私は死なない。絶対に死ぬ事が無い。あのにっくき輝夜の所為で。そうよ、いくらあいつが私を始末しようとしても、どだい無理な事。あいつはそれが判ってて使いを遣して来る。腹立たしいにも程があるわ」
「死なないって事は本気でやっていいって事だよな」
「思いっきりやらなきゃ、貴方の人生ゲームオーバー。もう戻り橋にも戻れない、一方通行の丑三つ時。お望みどおり。貴方達の肝、試させて貰うわよ」
「肝なんて据わりすぎて逆に驚かねーよ」
笑顔で上条は心渡を肩にかける。長い刀身は上条の肩を優に通り越し、異様に光っていた。
「さて、スペルカードと真剣どちらがお好み」
「ルールが出来ているのだろう? それを破るの?」
「それもそうだな」
上条はクルクルと器用に片手で心渡を回してみせる。
「んじゃ。スペルカード。妖刀「心渡」」
「儂もそうしようかのう。スペルカード。妖刀「心渡-
二人が二本ずつ。二刀流で心渡を持つ。と、思ったら『お前も持つなら』と言った上条の装備が変わる。白銀の銃と黒鉄の銃。カスールとジャッカルだ。
「スペルカード。双銃「カスール&ジャッカル」」
「さぁ」
「不死なる人間よ」
「「お前の血は何色だ」」
飛びだした忍のあとを追うように、13mmの銃弾が放たれる。
「ソードスキル。二刀流「スターバーストストリーム」」
「よく刀で両手剣のソードスキルを発動できるな・・・・・・」
「感覚」
「無茶苦茶ね」
「よく言われる」
上条は二丁の銃を影に高速でしまうと、前に出る。忍もそれを分かっていたように、後ろへ跳ぶ。前衛と後衛が交代した所で、上条は両拳を握って。
「両手連続。普通のパンチ!!」
「ソードスキル。二刀流「ジ・イクリプス」」
肝試しに来たはずが、特に肝を冷やすこともなく終わってしまった二人だった。
「ちなみにじゃが」
「ん? どうした」
「手がしびれておる」
「ジャッカルでか」
「うむ。意外に楽しいがあれ痛い」