幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活   作:軍曹(K-6)

41 / 71
Stage2 吸血鬼としての上条当麻

「―――えっと。アンタがドラマツルギーか?」

「●●●。・・・ああ、現地の言葉で、だな。その通り、私がドラマツルギーだ」

「あ、そう」

 

2mを裕に超え、伸び放題に伸びた髪をカチューシャでかきあげた、筋肉隆々の巨漢。

そんな大男が、厳しい表情で口を真一文字に閉じたまま、少し開けた広場に立っていた。

時間は二十三時。

こんな事になっているのも、忍野メメのせいだった。

 

 

―――数刻前。

 

「何とか一人ずつ対峙してくれる事を取り付けたよ。相手はハートアンダーブレードの眷属がするって事も伝えてね」

「儂の方が眷属なんじゃぞ!」

「はっはー忍ちゃん元気が良いねぇ」

「良いって忍。別にお前に使えるのは嫌じゃない。それにそもそも俺は、誰かの上に立つのよりは前線に出て闘う方が性に合ってる」

「そ、そうか?」

 

上条はそうさ。と言って忍の頭をなでる。

 

「・・・はぅ。や、やめんか! そ、それは下僕があるじへの忠誠の証! お前様がするでない!!」

「いや、頭撫でるぐらい良いだろ。スキンシップだスキンシップ。八九寺にもやってるだろ?」

「あれはセクハラじゃろう」

「何を言うか。あれは歴とした愛の表現方法だ」

 

胸を張る上条に呆れる忍。蚊帳の外だった忍野が声をかけてきた。

 

「そろそろ良いかい? 最初の相手はドラマツルギーって言うらしい」

「それ以上の情報はくれないんだな?」

「ああ。勘違いされたら困るから言っておくけど、僕は妖怪や怪異(今の君や君達)の味方じゃない。強いて言うなら人間の味方でもない」

「あくまで中立の立場を貫くから、手助けは最小限ってワケだな?」

「そうだよ。だからあとは頑張ってとしか言いようがない」

「じゃあ忍。大人しく留守番頼むぜ」

「この小僧と二人きりか?」

「・・・我慢できないか?」

「ああ安心すると良い。君は一人で留守番だ。僕は他にも仕事があるからね」

「なら良いのじゃが」

 

 

 

―――そして時は戻って。

 

「勘違いするな、同胞よ。私が、あの軽薄そうなあの男の言に従ってここに来たのは、何もお前を退治するためではないのだ」

「へぇ。吸血鬼狩りなんてしてるからてっきり好戦的なのかと思ったぜ?」

「だから、勘違いするなと言っている」

 

反論を許さない厳めしい言葉は続く。

 

「私がここに来たのはお前を我らの仲間として迎え入れるためだ。鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、ハートアンダーブレードの眷属という稀有な存在は殺すには惜しい」

「仲間・・・?」

「そうだ。私と同じように―――吸血鬼狩りに身を窶すつもりはないか?」

 

上条はその言葉に少し、いや。口の端が歪むくらいには笑ってしまった。

 

「―――その提案を俺が飲んだとして、お前達はハートアンダーブレードを諦めてくれるのか?」

「それは違う。むしろハートアンダーブレードを殺すのがお前の初めての仕事だ」

「・・・・・・」

「なぜ躊躇う? お前はあの女に血を吸われて吸血鬼となったはずだ。復讐したいとは思わんのか?」

「あいにくだが、そんな事は微塵も思わねぇよ」

 

上条は吐き捨てるように言った。彼は今の知り合いとの出会いを感謝こそすれど憎んだ事など一度も無い。何故ならここは、全てを受け入れる幻想郷だから。上条が大好きな皆が住んでいる。大好きな場所だからだ。そんな場所で自分の手によって同じ住人を、家族を殺させようとする目の前の男に上条は決して少なくない殺意を抱く。

 

「なぜだ? お前は主人からの支配も弱かろう? 復讐するなら手を貸そう。お前だけで心もとないのであれば私と我が同胞53名が手助けしようとも」

「支配力の強弱とかじゃねぇ。復讐の有無でもねぇ。俺は俺が好きだからアイツといるんだ。アイツの隣に立ってる。それの邪魔をされたくはないね」

「ではそろそろ始めるとしよう―――哀れなる少年よ。ハートアンダーブレードの眷属よ。あまり時間をかけるわけにもいかないのだろう?」

「・・・そうだな。夜が明けたらお終いだ。・・・だがその前に一つだけ確認させてくれ」

「いいだろう。相互の認識に齟齬があっては困るからな」

 

忍野メメがした交渉。その内容の確認。

 

「俺が勝ったらしn・・・ハートアンダーブレードのことを諦めてもらう」

「私が勝てば、ハートアンダーブレードの居場所を教えてもらおう」

 

認識に齟齬はない。では始めるとしよう。

吸血鬼同士の闘争を。

 

 

 

ドラマツルギーは武器などを使わずに肉弾戦を仕掛けてきた。彼のパンチはかの霊長類最強の男も真っ青なものであった。風を切る音が耳元を掠め、空気が揺れる。

だが。

 

「遅い」

 

吸血鬼としての反射神経だけでは間に合わない。だが、人間の時に培った身体能力の動きに付いてこれるようになった目がその動きを見切り、上条の体に回避行動を取らせる。

二、三度続けて回避行動に専念する上条に、しびれを切らしたのかドラマツルギーが叫ぶ。

 

「どうした! 逃げ回ることしかできんのか! ハートアンダーブレードの眷属よ!」

「俺が攻撃したらこの辺が吹っ飛んじゃうだろ。まだ力が完全に扱えてないんだよ。察せ」

 




これはあれだ。タグの中に入ってる。クロスって入れてる。そう。大丈夫
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。