幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
「ふむふむ。じゃあ当麻はその
「は? いやいや。例え
「・・・は? 無いのに?」
「ああ。我武者羅に体鍛えて、
「・・・じゃあ質問を変えて良い?」
「記者が質問変えるのは当たり前だろ。どうぞ」
「体を鍛えたのは何で? そんな力があるなら鍛える必要は無いと思うけど」
「強く、なりたかったから」
「強く?」
「先代博麗の巫女。って呼ばれてる十二代目博麗の巫女は知ってるか?」
「うん。当麻がさっき“命さん”って呼んでた人でしょ」
「そう。命さんは博麗の巫女で唯一、その拳一つで『博麗の巫女』の務めをしてたんだ。その姿はさ、女性なのに男の俺よりかっこよくて。追い付きたくて、隣に立ちたくて。死ぬ気で強くなりたくて。本気で修行したんだ」
「ちなみにどんな修行方法?」
「腕立て伏せ100回。上体起こし100回。屈伸100回。そして走り込み10キロ。これを毎日やった」
「それだけ?」
「本当にこれだけ。他に何かやった記憶もないぞ?」
「・・・・・・もしかして当麻が修行してたのって『
「そうだけど」
「と言う事は・・・。走り込みの最中とかにもはぐれ妖怪とかに襲われたんじゃ?」
「それが?」
(どうやって・・・生き残ったの・・・・・・?)
「おーい? どうしたほたてさん?」
「私の名前を貝みたいに言わないで! 私の名前ははたてよっ!」
「「おぉ」」
「? お?」
「こいつぁ将来有望だな。八九寺」
「ですねぇチュララ木さん」
「人を沖縄県の方言みたいに言うな! 俺の名前は阿良々木だっ!」
「失礼。噛みました」
「違う。わざとだ」
「かみま・・・しね」
「やっぱわざとだ! って、それはガハラさんのヤツじゃ無いか。八九寺。一体どこで知ったんだ?」
「忍さんに『化物語』という物を読ませていただきまして。“阿良々木暦”上条さんに私が付けたあだ名ですが失礼でしたね。あんな変態野郎と一緒にするなんて」
「客観的に見れば俺がオマエにやってる事はその阿良々木さんと一緒なんだがな」
「・・・あ、あの。質問の続きしてもいい?」
「「あ、どうぞどうぞ」では私はこれで」
八九寺が去った後。はたての取材が再開される。
「じゃあ。何で、そんな事に会ってたのに生きてるの?」
「強くなったから。じゃないかな?」
「・・・」(そんな事? 初めから強かった訳じゃ無いって自分でも言ってるのに?)
「―――ご主人、初めは死にそうなほど怪我してたじゃ無いですか」
「そうなの?」
「えぇ。そうですよ。腹部を切り裂かれたり、左腕が使い物にならなくなったり。骨が砕け散ったり、耳が聞こえなくなったり」
「「「「!?」」」」
「言うなって言ってただろ!? 約何名か極度の心配性がいるから俺の怪我は伏せとけって!!」
「もう良いじゃ無いですか。時効ですよ時効」
「時効は15年だっ! まだ七年も経ってないだろ!」
「当麻? ・・・危ない事してないって言ってたよね・・・?」
「あ、いや。霊夢さん? これは違っ・・・いや違わないけど! もう、怪我なんてしないしさ! 例え怪我しても一瞬で治っちゃうし? 何なら死んでもリスポーンできちゃうしさ! だからほら・・・上条さん的には泣き止んで欲しかったりするんですけど・・・」
「当麻の馬鹿っ! もう知らない! 大っ嫌い!」
「あ、おい霊夢!!」
上条は神社の方にかけていく霊夢の方に手を伸ばして、自分は走る事はしていなかった。
「ご主人。今のはダメでしょ」
「・・・・・・分かってる。霊夢が欲しかったのは言い訳なんかじゃなくて謝罪だって事は分かってる。
「・・・朴念仁当麻とは何のことだったんでしょうねー・・・」
「はっ。馬鹿にすんなよ。俺は気付かないんじゃ無い。気付いても無視してるんだよ」
「・・・サイテーですね。ほら、その『眼』で見つけて。口で謝ってこい。馬鹿トーマ」
「・・・ありがとな。エネ」
「キスまでなら許します」
「・・・浮気はしねーよ」
「・・・じゃあ信じてます」
上条は霊夢の後を追いかけて神社の方へ消えていった。
「・・・大変なのね。上条当麻を取り巻く人間関係は」
「そう、ですね。人間ってのは独占欲が強いですから。誰か人を好きになると独り占めにしたくなるものです」
「妖怪には・・・あるのかな」
「あるんじゃないんですか? 心があれば人間みたいなものなんですから」
「そう・・・・・・」
「あ、ところで東海道さん」
「えっと。八九寺ちゃんだっけ。私を本州太平洋側の行政区分の名称で呼ばないでくれる? 私の名前は姫海棠よ」
「失礼。噛みました」
「違うわ。わざとよ」
「かみまみた」
「わざとじゃないの!?」
「とりまみた?」
「何を!? 何を見た確認なの!?」
「・・・そのギャグについて行けるんですね・・・ご主人以外で初めて見ましたよ」
―――博麗神社裏の森の中。
小さな池の側で霊夢はしゃがみ込んでいた。
「・・・・・・当麻の馬鹿。いつもいつも1人で誰にも何も言わず1人で傷ついて・・・こっちの気持ちにも気付いてよ・・・。当麻の馬鹿」
「―――馬鹿で悪かったな」
獣道を滑り降りてきたのか、月明かりに照らされて、上条当麻がそこにいた。
「・・・! やっぱり来たんだ」
「当たり前だ。落ちた好感度は元に戻さないとな」
「当麻の事はもう嫌いだよ」
「ああ。でも『嫌い』と『好き』は変換可能なんだよ」
「・・・?」
「恋愛の神が言ってたぞ。ケンカしたり嫌われたりするイベントも、必ずプラスになってるってな」
「・・・何それ」
「俺の事が嫌いだって言ってたよな」
「そうだよ。大っ嫌い。できればもう顔も見たくない」
「・・・そうか。そこまでか」
「話しかけないで」
「・・・でもな、最後に一つだけ言わせてくれ。俺は、霊夢の事が嫌いだ」
「・・・・・・・・・え」
「何でもかんでも才能でやってのけるお前が嫌いだ。生まれもった天才なお前が昔っから嫌いだった」
「・・・ウソ・・・」
「ウソじゃねェ。お前昔、弾幕のコツを聞いてきた魔理沙に自分が何て言ったか覚えてるか?」
「・・・え?」
【「勘よ勘。勘で何とかなるでしょ?」】
「・・・あ」
「生まれもった天才。馬鹿と天才は紙一重とは言うけどまさにそうだな。天才は努力をしない。だから努力したヤツの気持ちなんて分からないだろう? だからあの時、俺がどう思ったか知らねーだろ」
「・・・聞き、たくない・・・・・・」
「勘で何とかなるなら俺の努力は何だったんだ。って思ったよ」
「・・・や、めて・・・」
「なぁ。これでお終いだ。お前は俺の事が嫌い。俺もお前の事が嫌い。それで博麗霊夢と上条当麻の関係は終わりだ。でも、最後に言っとくぜ。怪我したりしてた事、ずっと黙ってて悪かったな。余計な心配をかけたくなかったんだよ」
上条は踵を返して博麗神社の方へ帰ろうとする。と、その腰に回される腕があった。
「やだ・・・終わりなんてやだ・・・っ! 当麻と離れたくないっ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・さい。ごめんなさい」
「・・・謝んなくて良いぞ。俺が勝手に怒ってただけだし。嫌いなんだろ? 顔も見たくないんだろ? 安心しろこれ以上喋らない。出てってやるから」
「・・・きだ。当麻なんか大好きだバカァ!!!」
「お、おい霊夢?」
「どーして!? キライって言ったのも! 当麻が好きだからに決まってるでしょ! 当麻の事が心配で、ずっと一緒にいて欲しいから。怪我したって聞いた時心配したし、なんで黙ってたのかそんな当麻に腹が立って・・・。言わなかった当麻が嫌いなだけで、私は心の底から当麻が好きなのに! 大好きなのに・・・どうして出ていくなんて言うの・・・そんな当麻は嫌いだよ・・・。でも好きだよ・・・」
「・・・・・・」
「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい」
「・・・ハァ。もう気にしてねーよ。大体霊夢がほとんどの事を勘でこなしてたのは知ってた事だ。そんな感情最初すっと入って消えてったよ」
「・・・大好き」
「何が?」
「当麻が」
「なんで?」
「分かる訳無いでしょ。好きだから好きなの。貴音お姉ちゃんには悪いけど絶対奪い去ってみせるもん」
「貴音から? はっ。俺が貴音以上に霊夢に惚れるとでも?」
「恋愛に関しては努力あるのみよ」
「・・・はっ。俺はヒロイン系主人公じゃ無いぜ?」
「相変わらずその不思議言語は理解できないけど。人を好きになるのに理由なんかいる?」
「いらねーな。気付いたら好きになってるってのが一番だ」
「でしょ? だから私は当麻を落としてみせる」
「やってみろ」
「頑張る・・・・・・」
上条の頬に霊夢の唇が軽く触れる。
「これは宣戦布告だから!」
逃げるように博麗神社の方へ消えていった霊夢に上条は思わずため息をついた。
「・・・・・・宣戦布告・・・か」
上条は空を見上げて、後ろにいる気配の正体を分かった状態で声を出す。
「・・・月が、綺麗だな」
「―――――ふふっ。
ずっと前から月は綺麗ですよ。ご主人」
「・・・それもそうだな」
その後2人は宴会会場には戻らず一晩中何か話していたそうだ。
すまない霊夢・・・。
君をただ恋する女の子にしたかっただけなんだ。
え? 言い訳は聞きたくない? ハイ、スイマセン。