幻想殺しと電脳少女の幻想郷生活 作:軍曹(K-6)
上条当麻曰く、あきれかえるほど平和で。のんびりした幻想郷。大した事件もなく、異変ですらヌルい調子のこの地で、彼は暇をもてあましていた。
「連続・・・普通のパンチ」
「雷歩・・・・・・雷迅・・・・・・奈惰嶺」
今日も彼は自分の作った特別な空間で修行を積んでいた。対戦相手は特におらず。上条と対等に戦える存在を彼自身が思いつく訳もなく、ただ1人。黙々と己を磨いていた。
「必殺マジシリーズ・・・連続マジパンチ」
「幻想紋・・・・・・幻想の紋章」
本気で動き回り、自分が作り出した空間を自らの手で破壊しかけた時。上条の手は止まった。
「・・・・・・なんだろうな・・・。創り出せる限界で創ったのに、こうも簡単に破壊できるとちょっとくやしいな・・・。あれだな、地球の自然と一緒だな。簡単に破壊できるけど、造るのは大変なんだから・・・。自然は大切にしよう。うん」
「―――盛り上っとるところ悪いが、あるじ様。博麗神社にお客が来とるようじゃ。今紅白娘と黒白娘が相手しとるぞ」
「・・・分かった。もう壊れかけだし、デリートしてから行く」
その空間自体を、右手を軽く振っただけで消し去る上条。消えた空間を背に上条の体は博麗神社に戻ってきていた。
「―――お客さんはどちら様?」
「・・・と、当麻!」
「来ちゃダメなんだぜ!」
「おっと? ここは同人世界だと思ったんだけど、なんで君がここにいるのかな? とある魔術の禁書目録・主人公、上条当麻くん」
「・・・誰だよテメェは」
「・・・っご主人。気を付けてください! そいつは・・・」
「へぇ。榎本貴音が上条当麻をご主人呼び? ・・・なるほどなるほど。これは、どうやら、何て事だ。ぼくは二次創作の世界に来てしまったのか」
「誰だっつってんだ。答えろよ」
「そう先を急がない方が良いぜ幻想殺し。そうだよね。ぼくの事が気になるよね。突然現われて君の大事な2人を傷付けたんだから。もっとも君の大事な人ってのは気付かなかったけど。東方Projectの主人公がどのくらい強いのか知りたくてね。不意打ちだったのもあるから弱かったけど。ああそうだ。また話が逸れちまったぜ。ぼくの正体だったな。ぼくの名前は
「・・・安心院さん? ・・・親しみ込めて呼べっつってんのに敬称着けなきゃいけないのかよ」
「・・・わお。これはびっくり、もしかして呼び捨てで呼んで良いとか思ってる? だけど残念。いくら君が電撃文庫を代表する小説の主人公だからと言ってぼくは君より長生きなんだ。親しみを込めるにしても敬称は必要。これでどうだろうか」
「
「そう怒るなって。ふむ、じゃあぼくの来た先でも教えて上げようか。彼風に言うならこうだろう。週刊少年ジャンプからやってきました。安心院なじみだぜ。よろしく☆」
「殺して良いかこのアマを」
「やれるものならやってみると言いぜ、幻想殺し」
2人の視線がバチバチとぶつかり空気が震える。それだけで損害が大きくなりつつある。
と。
2人の足元に大きくスキマが開いた。
「
「・・・ぼくに大人しくしてろと? 面白い冗談だぜ八雲紫」
彼女はそう言うと、何かしらのスキルを発動させる。それに気付いた上条は幻想紋章で足場を創り、彼女の元へ跳んで開いた右手でスキルの発動をとめさせた。
むにゅ。という感触と共に。
「・・・むにゅ?」
「おっと。その右手の効果を考えたら確かにそうするのが正しいぜ。でも胸を触られるのはちょっと予想外だったな」
「っとスイマセンでしたーッ!!」
「どうだった? ぼくの胸の感触は」
「・・・・・・正直言って丁度良い感じだな。で? 自称めだかボックスからやってきた安心院なじみ。わざわざ東方Projectの世界に来て何をするつもりだ?」
「君は知ってるんだな。ここがゲームの世界だって」
「ああ。これでも現実の世界に生きてたからな。それなりに知ってるつもりだ。で? 何しに来たんだよ」
「博麗の巫女と闘ってみたかったんだけどさ。彼女、思ったより強いぜ。それでも弱かったけど」
「じゃぁ俺と闘るか? 相手になるが」
「え。ヤる? ・・・初対面の相手とはちょっと・・・・・・」
「オーケー。ケンカなら買うぞ?」
「ケンカなんか売ってないぜ」
「売ってんだよその舐めた態度が」
「じゃあ売らせてもらおうか。どうだい? 安くするぜ」
「じゃあ買わせてもらおうか。ここにはみんなが大好きなご都合主義もみんなが大嫌いな主人公無双もない。あるのは、ただの実力差だけだ」
「わはは・・・。格好いい事言うじゃん。実力差、ねぇ。それはつまり、君は上条当麻であって上条当麻に非ずって事だ」
「出生も周りの環境も違うんだ。
「いいじゃん。惚れちゃいそうだぜ」
「惚れるなら俺以外にしてくれよ。最近周りの当たりがキツいんだ」
「鈍感でもないなんていよいよ君はなんなんだ?」
「
上条の振るった右拳で安心院なじみの体が遥か遠くへ消えていた。
「スキル無効化か・・・。この右手、スキル頼りのヤツには相変わらずのチート性能・・・」
「わはは。それがなけりゃ簡単に勝てるんだけどね」
「はっはー。そんな事言って、めっちゃ笑顔じゃん。何か良い事でもあったのかい? ・・・それともこれからあるのかな?」
「うん。あったさ」
「あったのか」
後ろに吹き飛ぶようにバックステップで距離をとる上条だったが、安心院なじみは何かしらのスキルを使ったのだろう。上条の後ろに先回りして攻撃を叩き込む。
「チッ。面倒臭ェーな。その多すぎるスキル・・・。なんだったら俺がただの女の子にしてやろうか?」
「ん? それは君がぼくを性的に食べるという事かい?」
「んな訳ねーだろ! お望みなら喰ってやるけどよ! ―――じゃなくて!! お前の保持スキル全部消して、ただの女子にしてやろうかっつってんだ」
「遠慮しておくぜ。ぼくは可愛いからね」
「話がかみ合ってないな。というか雪ノ下かよ。自分で自分を可愛いって」
「彼女のように子供ではないさ」
「子供だろ」
「君は大人だと?」
「俺も子供だ。俺の持論は『人間は学ばず、成長しない生き物』だからな」